では、どうぞ。
刀哉side
「ゲイムギョウ界ねぇ…」
俺はプラネテューヌの教会の外で夜空を眺めていた。
あの後、ゲイムギョウ界についての説明をイストワールさんから聞いた。この世界は四つの国で成り立っているらしく、それぞれの国に一人の守護女神がいるらしい。そして、その国の人々の女神に対する信仰心がシェアエナジーというものになり、それが女神の力の源となっているらしい。
しかし、そのシェアエナジーを奪い合い、時には争うこともあったらしい。だが、イストワールさんの話だと、今度四つの国で友好条約を結ぶらしく、争いごとでシェアを奪い合うのは禁じられ、国をより良くすることでシェアエナジーを増やし、世界全体の発展に繋げることになるらしい。それを聞いた時は、この時期に来て良かったと思った。
その後は、こっちも地球(というより日本)について出来る限りの説明をした。こちらの世界にも似たようなゲームや文化が在ることがわかった時は驚いた。
「にしても、これからどうすれば良いのか…」
俺が説明し終わった後、イストワールさんが何とか元の世界に帰れる方法を探してみると言った。ただ、イストワールさんも聞いたことの無い言葉ばかりらしいので、あまり期待はできないだろう。
しかも調べるのには三日かかってしまうらしい。大した可能性も無いのにそんなに時間をかけてまで調べてもらうのは、本当に申し訳ない。
正直に言うと、俺は帰る方法が見つからないと決めつけている。
なんで見つからないと決めつけているのかって? 今までも期待すればする程、結果に裏切られることになっていたから、常に最悪のパターンを考えるようになったんだ。特に今回は望み自体がかなり薄いから、すでにこの世界でどう生きていくかについて思考を向けている。
実際、俺はこれからどうすれば良いのだろうか?このまま此処で世話になる訳にもいかないし、かといって此処から出たとしても何処に行けば良いのか。此処は俺のいた世界とは違う。言葉は今のところ大丈夫だが、金は流石に無理だろう。こっちでは野口さんや福沢さんが使われている訳がないし。
「…ああ、クソッ!」
考えれば考える程わからなくなってくる。この普通はあり得ない状況に、イライラする。少し気を抜いたらどうにかなってしまいそうだ。
「おーい! 刀哉ー!」
「っ!?」
突然後ろから声をかけられ、かなり驚いた。心臓が凄くバクバクいってるが、とりあえず声をかけてきた人を確認するために振り返る。
「ネ、ネプテューヌさんか…。驚かさないでくださいよ」
「えー? 私は普通に声をかけただけだよ。刀哉が勝手にビックリしただけでしょ」
「うっ…」
確かに思考の海に入っていたせいで、全然ネプテューヌさんに気付かなかった。普通にしてたら、普通に返事が出来ただろう。
「まあ、今回は気配消して近づいて驚かせるつもりだったから、予想以上のリアクションを取ってくれて結構嬉しかったよ」
おい待てコラ。今なんて言ったこの人。
「そんなことは良いとして、こんな所で何やってるの?」
「いや、こんな所って…。ネプテューヌさんが此処で僕が落ちてくるの見ていたんでしょ? だから一回見に来てみたんですよ」
「本当?」
「………」
ネプテューヌさんが此処で俺が落ちてくるのを見たというのは本当だ。だが、それは咄嗟に思い付いた口実だ。実際は静かな場所で一人でいたかったから此処に来ていた。俺は思わず黙り込んでしまう。
「これからどうしよう、とか考えてたりしてたんじゃないの?」
「…聞いてたんですか?」
心を見透かされたように当てられるので、ネプテューヌさんが気配を消して聞いていたのではないかと疑ってしまう。
「ううん、聞いてないよ。そんなこと考えているんじゃないかと思っただけだよ。ちなみにこれは本当のことだからね」
ネプテューヌさんはいつも通りの口調だがその目は真剣だった。嘘をついているとは思えない。
「…僕は此処にはいれません。皆さんには本当に感謝しています。だからこそ、これ以上迷惑はかけれません」
「そんなことないよ! 全然迷惑なんて感じてない!」
「皆さんが良くても、僕はダメなんです。」
俺はその場で俯く。ネプテューヌさんの優しさに甘えたい気持ちは有る。そうすれば一番楽だろう。だが、ただでさえ助けてくれた人に更にその後の世話をしてもらうなんてことは出来ない。
「…ねえ、刀哉」
ネプテューヌさんの声が聞こえる。顔を上げるとネプテューヌさんが真剣な顔をしていた。
「刀哉は私に助けられたことに恩を感じてるんだよね?」
「? はい、もちろんです」
「恩を返したいと思ってる?」
「まあ、できればお別れする前には返したいです。でも、僕なんかにできることなんてたかが知れてますし」
「じゃあ、簡単に恩を返せる方法を教えてあげるよ」
「えっ?」
口角を少し吊り上げてそう言うネプテューヌさんに、俺は嫌な予感がした。
「刀哉も薄々気付いてると思うけど、私って仕事とかやるの嫌いなんだよね」
それは予想していた。正直、ネプテューヌさんの性格で真面目に仕事をする姿は想像出来なかった。
「だからさ、刀哉が私に恩を返したいのなら、此処で私の仕事をやってよ!」
…これは一本取られたな。俺は皆に迷惑をかけたくないが、それ以上に命を助けてもらった恩を返したい。今の案なら俺は恩を返すことが出来るし、俺を此処に住ませることが出来る。
「…はぁ、わかりました。あくまで恩を返すためにしばらくお世話になります」
「本当!? やったー! これでゲームが出来る時間が増えるよ!」
あれ? もしかして、本当に仕事をしたくないだけだった?さっきの発言を撤回したくなった。
「じゃあ、夕飯食べたら早速よろしくね! 今朝からほとんどサボってたから凄い溜まってたんだよ」
「って、ええっ!? そんなにたくさんですか!? 僕、書類仕事とか余り得意じゃn」
「もちろんだよ! いやー、持つべきものは恩人だね!」
「……………」
俺の話を最後まで聞かずにネプテューヌさんは中に入ってしまう。だが、これで二つ決まったことがある。一つは恩返しのために此処の協会で世話になること。もう一つは…
「あいつには二度と敬語は使わん」
ネプテューヌへの態度を改めることだ。
今読み返すと、今回までちょっとシリアスな感じでしたね…。
ですが次回からは、主人公もだいぶはっちゃけてくる予定です。ギャグもなるべく入れるようにします。
それでは、さようなら。