超次元ゲイムネプテューヌ~深紅の剣神~   作:初代凡人

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大変遅くなりました。申し訳ありません…。

洒落にならないレベルで現実が忙しいのです。これからもこの状況が続くと思います。時間を見つけてちょくちょく書こうと思うので、よろしくお願いします。

あと、今回文字数がかなり多いです。すいません…。

それでは、本編をどうぞ。


第二十九話 熱き想い

刀哉side

 

プラネテューヌに帰ってきてから数日。

 

シェアが下がってないか不安だったが、幸か不幸かあまり変わってなかった。

 

ただ、他の三国は少しばかり下がっていたらしい。…これを聞くと、国民のネプテューヌに対する信仰心が他の三人に比べて低いことがわかってしまうな。

 

でも、三人ともどうにかシェアを回復することは出来たみたいだ。…そう、三人は。

 

「相変わらず緩やかな低下が止まらない…」

 

「そうですね…」

 

「「はあ……」」

 

俺はイストワールさんと一緒にため息をつく。此処はシェアクリスタルが有る部屋だ。

 

あの後、ネプテューヌを連れてクエストを何回もこなしたのだが、どれもこれもあと少しのところでネプテューヌがやらかして微妙な結果になってしまい、中々シェアが上がらない。

 

「これだけクエストに行って、全く良い傾向が見えないと俺もやる気なくしますね…」

 

いい加減、肉体的にも精神的にも疲れた。

 

「そうですね。刀哉さんもそうですが、ネプテューヌさんがゲームしかやらなくなってますからね」

 

「いつもと変わらない気がしますけどね…」

 

ネプテューヌが一回真面目にクエストに行っただけでも上出来なのだが、何回も行ったせいで限界がきていた。これ以上行ったら確実に壊れるだろうな…。

 

「……仕方ありませんね。刀哉さん。休暇を与えますので、ネプテューヌさんと気晴らしに出かけてきてくれませんか?」

 

「え? 別に良いですが……あいつ余計仕事サボりませんかね?」

 

「大丈夫です。その時は刀哉さんが叱って仕事させてください」

 

あれ? 結局は俺頼みか? …まあ、良いか。初めてでもないんだし。

 

「わかりました。今から行っても良いですか?」

 

「ええ。むしろ早く行って、ネプテューヌさんの調子を少しでも戻してください」

 

「了解です。それじゃ、行ってきます」

 

俺はそう言って部屋をあとにした。

 

 

 

――――――――――

 

「おい、ネプテューヌ。出かけるぞ」

 

おれはリビングに入りながら、ゲームの画面とにらめっこしてるネプテューヌに声をかける。

 

「……やだよ。どうせまた失敗しちゃうんだから」

 

こっちを一瞥したが、すぐにふて腐れた感じで画面に視線を戻す。さては、またクエストに行くと思ってるな?

 

…少しいじわるしてやるか。

 

「…そうか。せっかくイストワールさんから休みを貰ったから、一緒に出かけようと思って誘ったんだけどな」

 

「……え?」

 

こっちに信じられないという視線を向けるネプテューヌ。俺は構わず言葉を続ける。

 

「残念だが、お前が嫌なら仕方ない。俺一人で出かけて――」

 

「ま、待って!」

 

「……なんだ?」

 

「や、やっぱり私も行くよ!」

 

「出かけたくないんだろ? 別に無理して付いてくる必要はないぜ」

 

「い、いやー! もうそろそろ出かけようと思ってたんだよ! 流石刀哉! タイミングが良いね!」

 

「……上からものを言うんなら置いて行くぞ」

 

「わ、わかったよ! 本当は刀哉と出かけたかったの!」

 

「……ゑ?」

 

「え?」

 

思いもよらないことを言われ、アホな返事をしてしまう。それって…、え?

 

少しすると、ネプテューヌは顔を赤くする。

 

「ちちち、違うよ!? 今のはその……変な意味じゃなくて…!」

 

必死に否定しようとするネプテューヌを見て、不覚にも可愛いと思ってしまった。

 

「……まあ、俺も意地悪し過ぎた。悪かったな。ちゃんと連れて行ってやるから」

 

「…本当?」

 

うぐっ!? 今涙目で見上げるのは止めてくれ!

 

「ほ、本当だ。もう行くから早く準備してこい」

 

俺は顔を逸らしながら言う。

 

「わかった!」

 

ネプテューヌはリビングを出る。出かける準備をしてくるんだろう。

 

「…ふう。今の内に深呼吸」

 

いつもと違うネプテューヌを見て、顔が赤くなってしまっていた。

 

いかんいかん。何ネプテューヌにドキドキしてるんだ。

 

「お待たせ! 行こう!」

 

「早ぇなオイ!?」

 

ちゃんと落ち着く前にネプテューヌは戻ってきてしまった。まあ、行く最中に落ち着けば良いか。

 

 

 

――――――――――

 

「それで、何処に行くの?」

 

「実はイストワールさんからこれをもらったんだ」

 

俺はウエストバッグからあるものを取り出す。

 

「あれ? これってプラネテューヌで人気の遊園地のチケットだよね?」

 

「ああ。定番だが充分楽しめるし、時間も潰せるだろ。俺もこういう場所に行くのは久々だから楽しみなんだよな」

 

何年振りになるんだろうな…。

 

ただ、この遊園地の名前。なんだカムナーパークって…。そんなに舌噛むのか?

 

「そうなんだ。それじゃ、早く行こう!」

 

「お、おい!?」

 

ネプテューヌは俺の手を引っ張って走り出す。

 

まだちゃんと落ち着けてないんだから待ってくれよ!

 

 

 

――――――――――

 

「此処だな」

 

あれからしばらくしてカムナーパークに着いた。

 

結局、此処に着くまでずっと手を掴まれていた。柔らかかったな…って、考えるな!

 

「じゃあ、早速入ろう!」

 

「おい、待てよ!」

 

ネプテューヌが先に入り口に向かったので、慌てて後を追う。

 

入り口の係員にチケットを渡し、中に入る。

 

「さて、まずは何するか…」

 

「やっぱりジェットコースターだよ!」

 

目を輝かせながら言う。いや、でもな…。

 

「…別のにしないか?」

 

「あ、もしかして刀哉。怖いの?」

 

ネプテューヌはニヤニヤしながら言ってくる。

 

「ああ。それも有るのは認めよう。だけど、それ以上の問題が有るだろ」

 

「え、何?」

 

「それは――」

 

 

 

――――――――――

 

「すいません、お客様。身長が足りません」

 

「――身長制限に引っかかるってことだよ」

 

予想通りというか、ネプテューヌは身長が低い方だからジェットコースターに乗るための身長制限に引っかかった。だから、別のにしようって言ったのにな…。

 

「えー!? 私子供じゃないから良いでしょ!?」

 

「すいません。身長が足りないとお客様の安全を保障出来ませんので…」

 

「わかったろ? 別のやつに行くぞ」

 

「………」

 

「ネプテューヌ?」

 

返事をせずに俯いて黙り込んでいる。

 

少しすると、ネプテューヌの身体が光った。って、おいまさか…。

 

「これで問題ないでしょう?」

 

パープルハートの姿に変身したネプテューヌがそう言う。ジェットコースターに乗るためだけに女神化するなよ…。

 

「あ! は、はい! これなら大丈夫です!」

 

「それじゃ、刀哉。行きましょう」

 

「ったく、わかったよ」

 

正直怖いが、仕方ない。終わる頃には楽しいと思えるように祈ろう。

 

 

 

――――――――――

 

「………」

 

はい、ダメでした。やっぱり乗らなきゃ良かった。

 

「刀哉、大丈夫?」

 

「…まあ、お前が楽しめたならそれで良いが」

 

「それなんだけど、女神化したら常に冷静で楽しいと思えなかったわ」

 

「オッケー! ちょっと裏で話そうか!!」

 

ふざけんな! それじゃあ、俺が怖い思いまでして乗った意味がねぇだろうが!

 

「次はあそこに行きましょ」

 

「無視すんな!」

 

ネプテューヌは俺の言葉を聞かずにある場所を指差していた。

 

それは見た目がかなり古いデザインで、さらに建物の名前は赤いペンキで書かれ、ところどころ垂れていて血のようになり独特な不気味さを出していた。……これだけ言えばわかるな?

 

そう。ネプテューヌが次に行こうとしてるはお化け屋敷だ。…うん。

 

「向こうのメリーゴーランドに行こう」

 

「待って」

 

逆の方向に行こうとしたら、ネプテューヌに腕を掴まれ止められてしまう。

 

俺は冷や汗をかきながらも出来るだけ笑顔で振り向く。

 

「ナンデゴザイマショウカ? オレハムコウニイキタインダガ?」

 

「…わかりやすいわね。刀哉、お化け嫌いなの?」

 

「そそそそそ、そんな訳ねねねねねねねね!?」

 

「……嫌いなのね。わかったわ」

 

違う! 幽霊は別にいても良い! ただ、こっちに悪さをするのは勘弁してもらいたい!

 

「まあ、わかっても行くのは止めないけど」

 

「鬼! この鬼!」

 

「なんとでも言って。それじゃあ、行きましょう」

 

「いぃぃやあぁぁぁぁ!!」

 

抵抗空しく、俺はネプテューヌに引きずられてお化け屋敷に行った。

 

 

 

――――――――――

 

「いやー。結構雰囲気有るねー」

 

「………」

 

「……刀哉。目を開けなよ。耳も閉じないで」

 

今俺は何も見ず聞かないために目は固く瞑り、両手で耳を塞いでいる。これなら、何が起きてもビビらねぇ!

 

来いよ、お化けども! 怨念なんて捨ててかかってこい!

 

「……ふう~」

 

「ふおおぉぉぉぉぉ!?」

 

突然耳に変な感覚がして、変な声を出してしまう。敵襲! 敵襲!

 

俺は目を開けて耳から手を放し後ろを見る。

 

「あはははは! ふ、ふおぉぉ、って……! あははは!」

 

そこには、腹を押さえて爆笑しているネプテューヌがいた。

 

「……まさかとは思うが、今のはお前の仕業か?」

 

「そ、そうだよ…! 何も反応しないから耳に息を吹きかけたら…! あはははは!」

 

「そうかそうか。歯ぁ食いしばれ」

 

俺は握り拳を作る。

 

「あ、刀哉。後ろ」

 

「そんな手に引っかかるか!」

 

構わずに拳を振り下ろそうとする。が…。

 

俺の肩を誰かが触ってきたので、後ろに振り向く。

 

「誰だ!? こんな時に肩を叩くアホは――」

 

「アー…」

 

そこには、血まみれの服を着て、顔が前髪で隠れて見えないお化けがいた。

 

……ふぅー。

 

「ネプテューヌ…」

 

「え? 何、刀哉――」

 

「逃げるぞ!!」

 

「うわっ!?」

 

俺はネプテューヌを抱きかかえ、全速力で走る。こんなところ一刻も早く出てやる!

 

 

 

――――――――――

 

「はー! はー! ようやく出れた…!」

 

あの後、途中で同じところを何回も行ったり来たりしてしまっていた。暗いせいで余計に迷った。

 

というか、中を迷路みたいな構造にした奴出てこい!

 

「と、刀哉。その……もう下ろしてくれない?」

 

「え?」

 

そこで俺はネプテューヌを抱えていたことを思い出し、視線を向ける。

 

ネプテューヌの顔は赤くなっていた。それはそうだ。……だってまたお姫様抱っこだもの!!

 

マジでアホか俺は!? なんでまたこんな抱え方してるんだよ!?

 

「す、すまん!」

 

「………」

 

下ろしてやったが、ネプテューヌはまだ顔を赤くしたまま俯いている。くそ! どうにかしてこの雰囲気を元に戻さねぇと!

 

「ちょ、押さないでよ…!」

 

「何を言っていますの! この瞬間をカメラに収めませんと!」

 

「…二人とも、静かに…!」

 

「ん?」

 

後ろからいくつかの声が聞こえてきたので、反射的に振り向く。しかし、そこには誰もいなかった。

 

…気のせいか? なんか、他の国の女神たちの声だったような…。

 

「えっと、刀哉。次何に行く?」

 

「え? あ、ああ! そうだな……」

 

俺は周りを見渡して何か良さそうなものがないか探す。すると、一つの看板が目に入った。

 

「ネプテューヌ。あの看板見てみようぜ。何かのイベントが有るかもしれないし」

 

「あ、うん!」

 

俺たちは看板の近くまで歩き、書かれてる内容を見る。

 

「アシカショーか…。もう少しで始まるみたいだな。行ってみるか?」

 

「そうだね、行こう!」

 

看板に書いてある案内を見て、俺たちは会場に向かった。

 

 

 

刀哉side out

 

 

 

no side

 

「ふう…。危ないところでしたわ」

 

「誰のせいだと思ってるのよ…!」

 

刀哉たちが歩いて行ったあと、ノワール、ブラン、ベールの三人が物陰から出てきた。

 

先程、刀哉が声を聞いた気がしたのは気のせいではない。滅多に見れないネプテューヌと刀哉の様子をカメラに収めようと、ベールが若干暴走して物陰から姿を出してしまいそうになった時に聞こえた声だ。

 

「…落ち着いて。それより、二人はアシカショーを見に行ったみたいね」

 

「後を追いますわよ!」

 

「そういえば、ユニたちは大丈夫かしら?」

 

「…大丈夫でしょ。万が一が有っても女神化すればどうにでもなるわ」

 

今回は偶然にも、四人の女神たちが妹たちを連れてこのカムナーランドに来ていた。

 

ユニとロムとラムはある程度の小遣いを貰い、別行動をしている。なぜ別行動なのかというと…。

 

「流石にあの子たちをこんなことに付き合わせる訳にはいかないものね…」

 

今ノワールが言ったことと、この醜態を妹たちに見せないためと、六人行動は流石に目立つという結論からである。

 

実を言うと、ネプギアも此処に来ている。最初はせっかくなので、ネプテューヌたちも誘うためだったのだが、その時にネプギアから刀哉とネプテューヌが()()()()で既に出かけたと聞いて、三人は面白そうだということで、二人を見つけて後をつけることになったのだ。

 

「ですが、それだけの価値は有りますわ」

 

「そうね。見てて面白いし」

 

「…そして何より」

 

「「「からかうネタになる」」」

 

…妙なところで意気投合する女神たちである。

 

「さて、無駄話をしてる場合じゃないわね。行くわよ!」

 

「「ええ!」」

 

三人は二人の後を追った。

 

 

 

刀哉side

 

「大分遊んだね」

 

「そうだな」

 

あの後、俺たちはメリーゴーランドやゴーカート、コーヒーカップなど様々なもので遊んだ。アシカ可愛かった…。え? アシカショーの感想それだけかって?俺に細かい感想を求めてはいけない。

 

時間も大分経ち、気がつけばもう夕暮れになっていた。

 

「さて、そろそろ帰るか」

 

「あ、待って! 最後にあれ乗ろう!」

 

ネプテューヌがあるものを指さす。それは観覧車だった。

 

「いや、でももう時間が…」

 

「ダメ……かな?」

 

やけに真剣な表情で聞いてきた。

 

「……わかった。あれに乗ったら帰るぞ」

 

「うん!」

 

俺たちは観覧車に乗ることにした。

 

 

 

刀哉side out

 

 

 

no side

 

「二人とも観覧車に乗っちゃったわね…」

 

「…これじゃあ、撮影は出来ないわね」

 

ノワールとブランが残念そうに言う。

 

「ふふっ。二人とも甘いですわね」

 

ただ一人、ベールが不敵に笑う。

 

「どういう意味よ、ベール。まさか、これだけで女神化するとは言わないわよね?」

 

「…そんなことしたらネプテューヌと同レベルよ」

 

「そんなことはしませんわ。ですが、二人とも。良く考えてください。夕暮れ時の観覧車に一組の男女が乗る。何が有っても不思議ではありませんわ! お茶の間には公開出来ないようなことをしているかもしれませんわ!」

 

「そ、それって…!」

 

「………」

 

二人はベールの発言でお茶の間に公開出来ないようなことを頭に思い浮かべ、顔を赤くする。

 

早くどうにかした方が良いのでは…。

 

「カメラに収められないのは確かに心苦しいですが、あの中で二人が何をしているか想像するのも良いものですわ。――ああ! そんなことまで!?」

 

「そ、それ以上はダメよ二人とも!?」

 

「もうすぐ一周するからそこまでにしろ!?」

 

……既に手遅れである。

 

 

 

ネプテューヌside

 

「いやー、十年振りか。これに乗るのも」

 

「そんなに前だったの?」

 

「ああ。初めて乗った時、高いところと少しの揺れが怖くてな…。それ以来乗ってなかったんだ。今じゃ自分で飛べるから何も怖くないがな」

 

刀哉がそんなに怖がりだったなんて意外だなー。

 

って、そうじゃないでしょ私! 刀哉に言わなきゃいけないことが有るのに!

 

「――刀哉!!」

 

「うお!? なんだよネプテューヌ?」

 

「その………ごめん!」

 

私は刀哉に頭を下げて謝る。

 

「はい? 突拍子過ぎて訳わからないんだが…」

 

そうだ! 何も説明してなかった! 私は顔を上げて刀哉を見る。決心が揺らぎそうになるけど、完全に二人きりな状況なんて今しかない!

 

「えっとね…。この前、グランが刀哉がこの世界に来た原因を話したでしょ?」

 

「ああ、あのことか。あれは別にお前のせいじゃないんだ。気にしなくて良いぞ」

 

「そんなことないよ!」

 

私はつい大声を出してしまう。

 

「私があの時、何か面白いことが起きないかな、って言わなければ、刀哉がこの世界に来ることもなかった! 苦しい思いをすることもなかった! 命懸けで戦うこともなかった! 本当なら元いた世界で、今も平和に暮らせてた!」

 

「………」

 

刀哉は黙って私の話を聞いてくれている。

 

「この前、刀哉が私たちが捕まった時に助けに来てくれて嬉しかったよ。でも、血まみれで倒れたのを見て、刀哉が死んじゃうと思って、私凄く怖かった…!」

 

言葉を出すごとに、目から段々涙が出てくる。泣いている姿なんて見せたくないけど、それでも話さないと…!

 

「生きていたから安心したけど、グランの話を聞いて、私責任を感じたんだ…! だから、クエストも頑張ってやろうとしたけど、逆に空回りして余計に失敗しちゃって…! 刀哉に嫌われたと思うとおかしくなりそうだった…! でも刀哉はいつも通りな感じで怒らなかったよね? 正直、ほっとしたよ。でも刀哉に甘えて、この事実から逃げるのは嫌なの! 一回だけで良いから、本気で怒って! じゃなきゃ、自分が許せないの!」

 

「……はあ、わかった。それじゃ、目ぇ瞑れ」

 

「…!」

 

私は目を閉じて刀哉の拳が振り下ろされるのを待つ。

 

「――ふん!」

 

「あう! ……え?」

 

額に衝撃がきたけど、全然痛くない。いつも悪ふざけをして殴られた時の方が痛い。

 

「はい。お望み通りにしたが?」

 

「……刀哉! ふざけないでよ! 本気で怒って、って言ったのに全然痛くないじゃん!」

 

「は? 何言ってんだネプテューヌ。俺は今凄く怒ってるぞ。そのことに関していつまでもすまないと思ってるお前と俺自身にな」

 

「え?」

 

良くわかんないんだけど?

 

「お前のせいじゃない、って言ってるのに、長々と謝罪とその訳を言いやがって…。流石にイラつくぞ。でも、それ以上にイラついてるのは、そんなに苦しんで、悩んでいるネプテューヌに気づけなかった俺自身にだ。それに、本気で怒れと言われたが、誰に向けてとは言われてないからお前には怒りの一パーセントだ。でもって、残る九十九パーセントは…」

 

そう言って刀哉は拳を握る。え、まさか!?

 

「――俺に向けてだ!!」

 

そのまま自分のおでこに拳を叩き込んだ。

 

「うぐおぉぉぉぉ!? でこと拳がかち割れるぅぅぅ!!」

 

かなりの痛みのようで、刀哉はその場で転げる。

 

「と、刀哉!? 大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫だ…! 問題ない…!」

 

なんでだろう。全然大丈夫じゃないように聞こえる…。

 

「まあ、とにかくだ! お前がそんなこと気にする必要はない! それに、何か面白いことが起きないか、って言ったのは俺も同じだ。だから、これは俺自身が招いた問題でもある。確かに、お前の言った通り苦しい思いをした。だけどな、それ以上にお前や皆と出会えたことは俺に色んなものを与えてくれた。こっちの世界に来て、俺は力を手に入れて、頼りになる仲間も出来た。元の世界じゃ絶対に有り得なかったことだ」

 

ギュッ…

 

「!?」

 

刀哉は私を抱きしめる。突然だったけど、なぜか抵抗する気にはなれなかった。

 

「だから、そんなに責任を感じるな。俺はむしろ、お前に感謝してるくらいなんだ。元の世界じゃ、俺は本当に何処にでもいる凡人。お前がこっちの世界に来る切っ掛けを作ってくれなかったら、俺はあのまま向こうの世界で平和だけど退屈でありきたりな毎日を過ごしていただろうからな」

 

「とう……や…!」

 

私は涙が溢れ出そうになるけど、なんとか堪える。甘えたらダメ…!

 

すると、刀哉は一旦抱きしめるのを止め、顔を見て微笑む。

 

「泣きたいなら泣けよ。こんな奴の胸で気が済むのなら、いくらでも貸してやるから」

 

「…う……あ…っ!」

 

私は我慢出来ずに刀哉の胸に顔を埋める。

 

「うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そして、私は大声で泣き始めた。

 

 

 

――――――――――

 

「落ち着いたか?」

 

あれから私は結構な時間泣いていたみたい。もう少ししたら、一周しちゃうな…。

 

「…うん。ありがとう、刀哉。ごめんね迷惑かけて…」

 

「今更だろ? それに、いつもの迷惑よりベクトルはマシだ」

 

「あはは…」

 

言い返せない…。でも、私が迷惑かけないなんて有り得ないからね!

 

「これからも迷惑かけると思うけど、よろしくね刀哉!」

 

「正直よろしくしたくないが…わかったよ。俺の世話もよろしくな」

 

「わかったよ! ……ふふふ」

 

「なんだよ、一人で笑って。さっきまで泣きわめいてたくせに」

 

少し引きぎみで刀哉が言う。でも、関係ないね!

 

「気にしないで良いよ。鈍い刀哉にはわからないことだからね!」

 

「オッケー。降りる時に蹴り飛ばしてやる」

 

「それは勘弁!?」

 

いつも通りのやり取り。でも、それだけで心が満たされる。さっき刀哉の胸で泣いていた時も不思議と安心出来た。それに、刀哉の顔を見てるとドキドキする。うん。これは間違いないね。

 

 

 

 

 

私は―――刀哉のことが好きなんだ。

 

 

 

 

 

ネプテューヌside out

 

 

 

刀哉side

 

俺たちは観覧車から降り、遊園地の出口に向かって歩いている。

 

「あれ? 刀哉。あれってネプギアだよね?」

 

「ん? 本当だな。しかも、近くの三人はユニとロムちゃんとラムちゃんだな。なんで此処にいるんだ?」

 

俺たちのちょっと前を歩く四人の後ろ姿は間違いなく女神候補生たちのものだった。とりあえず、声をかけるか。

 

「四人とも。何やってんだ?」

 

「え? あ、刀哉さんにお姉ちゃん!」

 

「「「こんばんは!」」」

 

「ヤッホー皆! どうして此処にいるの? ネプギアは留守番してたんじゃ…」

 

「えっとですね…」

 

そこから、ユニが経緯について説明してくれた。

 

 

 

――――――――――

 

「なるほど。偶然皆此処に来る予定だったのか。で? その別行動してる女神たちは何処だ?」

 

「えっと、そろそろ来ると思うんですが…」

 

「あ、来ました!」

 

ネプギアが見てる方に目を向けると、ノワールとブランとベールさんが歩いてきた。

 

「やっ! 三人とも!」

 

「え、ネプテューヌ!?」

 

「…ネプテューヌがいるってことは…!」

 

「こんなところで会うとは奇遇だな。ところでベールさん。そのカメラは?」

 

「「「刀哉(くん)!?」」」

 

なぜか三人とも俺に凄い驚いた。というか、若干怯えてる? 何もしてないぞ俺。

 

「な、なんですか!? このカメラで決して変なものなんて撮ってませんわよ!?」

 

「……オッケー。何を撮ったのか見せてもらいましょうか」

 

「ダ、ダメよ! これは――」

 

「皆、競争しようぜ。あのカメラを俺に渡すことが出来た人には、この後行く予定のレストランで好きなものを奢ってやろう」

 

「「「「「わかった(わかりました)!」」」」」

 

「ひ、卑怯よ刀哉!」

 

「者どもかかれえぇぇぇ!!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

この後、撮った写真を見て三人に拳骨を喰らわせ、こんなものを撮った理由を聞いて追加で拳骨を喰らわせた。

 

その後、皆でレストランに行き、食事をした。ちなみに、カメラは皆が争っている間に自分で回収したので誰にも奢ってない。




はい。見てわかる通りネプテューヌのヒロインを確定させました! え、今更だろ、って? すいません…。

という訳で、確定した訳ではありますが、くっつくのはまだ先の予定です。これからも面白可笑しくて初々しい二人の絡みを書いていきます!

それでは、さようなら!
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