超次元ゲイムネプテューヌ~深紅の剣神~   作:初代凡人

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お久しぶりです! はい、四十一話じゃないです。クリスマス特別編です。本編じゃなくてすいません!

ただ、こういうのを一度投稿してみたかったんです! それに、ギャグオンリーでふざけまくれますからね!

本編をお待ちしている方には申し訳ないですが、もう少々お待ちください。

それでは、特別編! スタートです!


番外編
クリスマス特別編 聖夜の思い出


刀哉side

 

「――諸君。今日はなんの日か、わかっているな?」

 

俺は高台から目の前にいる群衆に向け、真剣な表情でそう言った。

 

「もちろんです、会長!」

 

「クリスマスであります!」

 

群衆の内の二人が、元気よく返事をする。俺はそれに頷いて口を開く。

 

「そうだ。年に一度のクリスマス。それは聖なる一日。普段は仕事で忙しい親御さんたちも、この日はなるべく早めに家へ帰って家族で仲良く過ごそうとする。そんな仲睦まじい光景があちこちの家にあるんだ。大変喜ばしいことじゃないか」

 

俺の意見を聞いて、全員が同意するようにウンウンと頷く。

 

「――ただし、カップル。テメェらはダメだ!!」

 

そう叫んで台を叩くと、皆から殺気が放たれる。と言っても、それは此処にいる奴に向けたものではない。

 

イチャイチャしているであろうカップル共に向けている殺気が、溢れてしまっているだけだ。

 

「クリスマスとは本来、キリストの生誕を祝う日なんじゃあぁぁぁぁ!」

 

「「「「「「「「フォォォォォォ!」」」」」」」」

 

「家族愛ならまだ許容するが、貴様らのは肉欲に溺れた愛だ! そんなもの容認できるかボケがぁぁぁぁ!!」

 

「「「「「「「「フォォォォォォォオオオオオオオオオォ!!」」」」」」」」

 

その場にいる全員による憎しみを込めた呪いの大合唱。第三者が見たらドン引き間違いなしだが、その心配は無用。

 

此処はプラネテューヌから離れたところにある荒れ地に高台をセットしただけなので、誰にも聞こえない。……モンスター? 俺たちの威圧感にビビって全員逃げたぞ。

 

「さて、士気を上げるのもここまでだ。――全員、プレゼントは持ったか?」

 

「「「「「「「「はっ! 抜かりなく!」」」」」」」」

 

今さらだが、俺を含めて此処にいる全員はサンタのコスプレをしている。俺たちはイベントとして、街の人々にプレゼント(そこまで金があるわけでもないので簡単な物)を配ることになっている。

 

だが、それは建前にすぎない。本当の目的は俺たち彼女or彼氏いない歴=年齢の男女軍団によるリア充への報復。

 

「普段場所もわきまえずにイチャイチャして見せつけるリア充共への聖戦だ! ――合言葉は!?」

 

「「「「「「「「幸せな家庭に祝福を!! イチャつくバカップルに報復を!!」」」」」」」」

 

「よし、行くぞぉ!!」

 

「「「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!」」」」」」」」

 

士気は最高潮。全員のテンションが最高にハイになったのを確認して、俺たちは街へと向かう。プレゼント(中身は相手による)を大量に入れた袋を抱えて。

 

 

 

 

 

テッテテテテテ、テテテテテ! テーテー、テーテーテ――

 

 

 

 

 

だが、俺たちの歩みを止めるように、その場にグル○レースの着信音が鳴り響く。まったく誰だ。こんな時に――

 

「はい、もしもし?」

 

「「「「「「「「って、あんたのか!?」」」」」」」」

 

なんか皆驚いてる。いや、もし万が一異常が起きた時にすぐ行けるようにNギアは常に持ち歩いてるんだから驚かなくてもいいだろ。マナーモード? 非常時にそんなことで行けなかったらどうする気だ!?

 

「ああ、ネプギアか。どうした? ――え? 俺は今イベントの準備を……貸し切りでパーティー!? いや、そんなこと言われても……他の女神も来る? ってことは、ロムちゃんとラムちゃんも来るんだよな?」

 

それを確認した瞬間、俺の中で次の式が浮かぶ。

 

俺がパーティーに行かない+ロムちゃんとラムちゃんが悲しむ(最悪泣く)=ブランがキレる×俺は殺される(慈悲はない)

 

「……わかった。俺もそっちに行く」

 

そんなやり取りをしてると、皆から殺気が放たれていることに気づく。まあ、主催者がそんなリア充っぷりをするとわかればそうなるだろう。

 

だが、そこはしっかり対応する。

 

「あー、ネプギア。そのパーティーに誘いたいんだが、大人数でもオッケーか? ざっと五十人ほどなんだが…」

 

俺がそう言うと皆からの殺気は止まり、むしろ尊敬の目で見られる。ここまで一緒にきたんだ。見捨てたりはしないさ。

 

「え、ヒナもいる? マジか。じゃあ無理か…。いや、ネプギアが謝る必要はないさ。急にこんなことを頼んだ俺が悪いんだから、気にしないでくれ。それじゃあ、あとでな」

 

俺は通話を止める。改めて皆を見ると、さっき以上の殺意を込めた目で見られていた。

 

「会長…?」

 

「まさか、見捨てるなんてことは――ないですよね?」

 

凄いプレッシャーだ。眼紅を使って皆を見たら、間違いなく視界は真っ赤になっているだろう。

 

「いやー、そのだな。……アハハハハハ!」

 

俺はその場の空気を誤魔化そうと笑うが、むしろ重くなった。よし、これ以上は無理だな。

 

「――さらばだ!!」

 

「「「「「「「「裏切り者には死を!!」」」」」」」」

 

全速力のダッシュで逃げるが、それに負けない勢いで皆が追いかけながらプレゼントを投げつけてくる。待て! 爆発してるから危ないって!

 

 

 

――――――――――

 

「――ということがあったんだ」

 

「それに関しては、同情できないわね」

 

なん……だと…!?

 

「アイエフは俺の味方だと思っていたのに、裏切るのか!?」

 

「その人たちを裏切ったあんたに言われたくないわよ。まあ、そんなくだらないイベント中止になった方がいいけど」

 

「くだらなくねぇよ! 人が出会いを求めて必死に頑張ってもうまくいかずにいるのに、周りの目を気にすることもなくイチャつくカップル! ――ムカつくんだよ!! 砂糖じゃなくて血ヘド吐きそうになるんじゃボケェ!」

 

「えぇ!? 血を吐くなんて、皆さんそんなに重い病気にかかってるですか!?」

 

「コンパ、まともに受け止めないの。例えてるだけだから」

 

「いや、上級者になると血涙も出してるな」

 

「なんのホラーよ!?」

 

大勢が熱いカップルに対して、血を吐き血涙を流しながら見ている光景。言われてみたら確かにホラーだわ。

 

――まあ、カップルがイチャイチャしてる空気をぶち壊せるならそれでいいがな!

 

「随分とカップルを恨んでいるんだね。もしかして、前に付き合った彼女と何か――」

 

「ほう、ヒナ。彼女いない歴=年齢の俺にいつ彼女ができたというんだ?」

 

「いや、その…………ごめん」

 

「わかればいいさ」

 

まあ、涙が止まらないんだがな。

 

「さーて! 皆、準備できたよ!」

 

ネプテューヌに呼ばれ、俺たちもそっちに行く。

 

ちなみに、此処はプラネテューヌにある教会の一室で、パーティにはもってこいな広さをしている。何度か利用したことがあるが、今回はいつにも増して装飾が施してある。そんなにクリスマスパーティーは特別なのか?

 

「そうですよ、刀哉さん。いつも行うパーティーとはまた違った楽しみ方ができるじゃないですか」

 

「ああ、そうか。というか、さらりと人の考えてることを読まないでくれないか、ネプギア?」

 

ついにネプギアまでそんな(いらない)技術を……。その内ロムちゃんやラムちゃんにまで読まれるんじゃないかと怖くなるな。

 

「皆、揃ったね? それじゃ、私からのクリスマスプレゼントだよ!」

 

全員がいることを確認すると、ネプテューヌが一人一人に少し大きめの赤い箱を渡してきた。

 

「悪いけど、ネプテューヌ。俺は急に来たからプレゼントは用意してないぞ」

 

「大丈夫よ、刀哉。私たちも持ってきてないから」

 

「おい、これクリスマスパーティーか?」

 

ノワールがさらりと言ったが、それは全員プレゼントを持ってきていないことを意味する。恒例のプレゼント交換はどうした。

 

「あまり普通すぎるのも面白くないかなと思ってね。私なりに考えて少し変わったものにしたんだよ! ――というわけで、皆円になってー!」

 

この状態で円に? ってことは……。

 

「…ネプテューヌ。まさか、これでプレゼント交換をするつもり?」

 

「自分だけ中身を知ってるプレゼント交換なんて、反則もいいところですわね」

 

「さすがにどうかと思います」

 

「ネプテューヌ、アウト」

 

「皆辛辣だね!? というか、大丈夫だよ! これはこのパーティー中に着てもらう衣装だから!」

 

衣装? この箱の中身全部が?

 

「つまり、コスプレクリスマスパーティーをしたいってこと?」

 

「そのとーり! さすがアイちゃん! 理解が早いね!」

 

「でも、ねぷねぷ。これじゃあどちらかというと、ハロウィンの仮装パーティーみたいになるんじゃないですか?」

 

「大丈夫大丈夫。作者がハロウィンとかの特別編をやり忘れてたの後悔してたからむしろちょうどいいと思って書いてるし」

 

「おいやめろ、ネプテューヌ」

 

本当に申し訳ない(by初代凡人)

 

「と、とにかく、お前の考えはわかった。コスプレとかはしたことないんだが、せっかくだしつき合ってやるよ」

 

「いいね、刀哉! そうこなくちゃ!」

 

俺が参加を決めると、皆もネプテューヌの考えを理解したようで、円状の囲いを作る。

 

「じゃあ、いーすん! 音楽よろしくね!」

 

「はい、ネプテューヌさん。では――ミュージックスタートです!」

 

イストワールさんが機械のスイッチを入れると、陽気な音楽が流れ始める。それと同時に、俺たちはプレゼントを隣に回していく。

 

 

 

 

 

しばらく台詞のみでお楽しみください(by初代凡人)

 

 

 

 

 

 

「テンポが早くなったよ! 皆ペース上げて!」

 

「待て! 早くなるの何回目だと思ってんだ!? 五回目だぞ! そろそろ限界がくるわ!」

 

「大丈夫! そろそろ――来た! 逆再生だよ!」

 

「逆再生!? まさか――」

 

「ほら、刀哉! 早く逆方向に回して!」

 

「だと思ったよ、畜生め!!」

 

「ねぷ子! なんか曲が変わったわよ!?」

 

「合戦タイムだよ! 誰でもいいから、一人に向けて今持ってるプレゼントを投げつけて!」

 

「投げつけて!? でも、この箱大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だよ! 象が踏んでも耐えられる強度だからね!」

 

「なんだよその無駄な頑丈さ、痛っ、ちょ――!? なんで皆俺に投げるんだよ!? 受け止めきれるか!」

 

「まだ僕の分が残ってるよ」

 

「ちょ、ヒナまt――ごふっ!? ……オッケー。一人一人丁寧に返却してやるからそこ動くな!!」

 

「刀哉お兄ちゃんが怒ったー!」

 

「怒った…」

 

「皆、逃げろー! あ、刀哉! 曲が終わるまでに二個以上持ってたら、その衣装全部着てもらうからねー!」

 

「厚着ってレベルじゃねぇだろ!? 絶対返してやる! 待てやおどれらぁぁぁああ!!」

 

 

 

――――――――――

 

「あー………。なんでプレゼント交換でこんなに疲れなきゃいけないんだ……」

 

あのあと、短いようで長く感じた鬼ごっこのすえ、なんとか全員にプレゼントを一つずつ持たせることができた。そして今、皆自分に渡された衣装に着替えている最中だ。

 

ちなみに俺は既に着替え終わっており、頭に角をつけ、全身を茶色の服で統一したトナカイのコスプレをしている。変なのが来たらどうしようかと思ってたが、その心配はなかったようだ。

 

「――お待たせー!」

 

ネプテューヌの声が聞こえてくる。どうやら着替え終わったようだな。さて、皆はどんな衣装を着てるのか……。

 

「じゃーん! どう、刀哉」

 

「これはまた…………俺なんかが見れるのがおかしいレベルだな」

 

目を向けると、そこには少し露出が多いサンタのコスプレをした面々がいた。本当、レベルが高すぎてこっちに来たばかりの俺だったら、まともに直視もできなかっただろうな。

 

そう思っていたが、見ている内にあることに気づく。

 

「なあ、ネプテューヌ。俺が見た感じ、皆が着てるのって()()ミニスカサンタの衣装だよな?」

 

「うん。そうだけど、どうかしたの?」

 

「女性陣は別にいいさ。サイズが合わなきゃ交換すりゃいいしな。けど、もし俺にミニスカサンタの衣装が来てたらどうする気だったんだ?」

 

「え? もちろん着てもらってたけど?」

 

ほうほう。そうかそうか。

 

「…………唸れ、怒りのホーンドライバー……!!」

 

「ちょ、ちょっと待って!? 角にオーラ纏わせないで!」

 

「止めないでくれ。この闘牛の如き想い。お前にぶつけたいんだ…!」

 

「それ例えじゃないよね!? 本当に闘牛みたいにぶつかりに来るよね!?」

 

「当たり前だろ? というわけで――」

 

「突進しようとしない!」

 

いざ突進しようとしたところに、ノワールがチョップを入れてきた。

 

「あんたたちのコントを見てるだけで日が暮れるわよ。ネプテューヌ。早く進めてちょうだい」

 

「了解だよ、ノワール! それじゃあ――」

 

ネプテューヌはそう言って、よくくじ引きに使われるような感じの箱を取り出した。どうでもいいが、そのサイズの物をどこにしまっていたんだ?

 

「ちゅうも~く! 本日のメインイベント! 〈サンタさんは誰だ!? 子どものお願い叶えてね!〉を始めるよー!!」

 

「なんですか、それ?」

 

「微妙に長いです」

 

「え、長い? じゃあ、略して〈サダコ〉! 始めるよー!」

 

「よりによってその略し方はなんなんだ…」

 

というか、聞いた感じだとネプテューヌが自分で考えた遊びだなこれ。

 

「とにかく、ルール説明だよ! といっても、そんなに難しくないから安心してね。まずは、此処にいる人数分のくじがこの箱の中に入ってるよ」

 

ネプテューヌが箱の中に入っていた紙のくじを人数分である12枚取り出す。紙は正方形の物を二回折っただけのいたって普通の紙のようだ。

 

「それで、この紙にはそれぞれ違うことが書かれてるんだよ。例えばこれは…………4番だね」

 

ネプテューヌが手元の紙を一枚開くと、そこには4と書かれていた。

 

「それで、この中には数字とは別に〈サンタ〉って書かれてるくじがあるんだよ。それで、それを引いた人が他の人が持ってる番号を言って――」

 

ああ、今までの説明を聞いて大体わかった。ようは、王様ゲームのサンタバージョンってことか。

 

「その番号の人のお願いを一つだけ聞くんだよ!」

 

「当たりくじが外れくじになった件について一言プリーズ」

 

「だって、サンタさんは子どもの願いを叶えるものでしょ?」

 

正論なんだが違うそうじゃない。

 

「まあまあ、刀哉。こういう少し変わった行事もたまにはいいんじゃないかい?」

 

「そうそう! ひと工夫加えた方が面白いじゃん!」

 

「あー、わかったわかった。もう何も言わんよ」

 

まあ、皆が文句ないならそれでいいし。

 

「時間ももったいないし、早速始めるよ! せっくだから、このくじの数字で座る順番を決めよっか!」

 

「お、いいな。軽い運試しにもなるし――」

 

「はい、刀哉。皆で引くから持ってて」

 

「おい待て。俺の引く権利がなくなるだろ」

 

あまり物で席が決まるなんて嫌だぞ。

 

「大丈夫! 刀哉の隣を1と11として引くんだから、引く必要はないよ」

 

「運試しはさせない気か?」

 

「したところで目に見えてるでしょ?」

 

「それについては同感ね」

 

「「「「「「「「うんうん」」」」」」」」

 

ははは。全員一致とはな。

 

「……………ちょっとトイレ行ってくる」

 

「目元を光らせながら言ってたらバレバレですわよ?」

 

「それに、トイレに行ってる姿なら着替える前に確認したわ。嘘をついて泣こうとしても無駄よ」

 

「え? 刀哉お兄ちゃん泣いちゃうの?」

 

「お兄ちゃんが悲しむのは、嫌……」

 

はっ!? ロムちゃんが俺よりも泣きそうになっている!

 

「…刀哉?」

 

それを見たブランがこっちが泣きたくなるくらいのプレッシャーを放っている!? マズい! このままだと俺の命はない……!

 

「な、泣く!? なんのことを言ってるんだ、皆は!? 安心しろ、ロムちゃん。俺がこんなことで泣くはずないからな」

 

「本当…?」

 

「本当だとも! だから泣くな。な?」

 

「うん…」

 

ふぅ……。なんとか危機は去ったな。

 

「…終わったなら、早くくじを持って」

 

「………はい」

 

理解しました。この面子の前じゃ、俺に拒否権などないということを。

 

 

 

――――――――――

 

「――で、よりによってこの二人か」

 

「あら、何か不満でもあるんですの?」

 

「こんな美女二人に挟まれるなんて、幸せ者じゃないか。それこそ、今この瞬間を一人で過ごす男たちからしてみれば、死んでしまえと言われるくらいにはね」

 

「そうだな。不満はないし、幸せ者だとは思うさ。相手によるがな……!」

 

そこまで時間もかからずにくじ引きは終了して席が決まったわけだが、俺の隣にはヒナとベールさんが座ることになった。

 

………正直、このメンバーの中では一番嫌な組み合わせだった。ベールさんは年上だから扱いにくいし、ヒナは男友達感覚で楽っちゃ楽だが、その分向こうも遠慮がないからな。そして、なによりも……!!

 

「二人とも……! なんか近すぎませんかね…!」

 

「あら、そうでしょうか?」

 

「別にいつもと変わらない距離だと思うけど?」

 

なら、なぜ俺の両腕に当たりそうな距離まで近づいてるのか聞かせてもらいたい。

 

「「………(ムスッ)」」

 

それと、なぜネプテューヌとノワールがこっちを怖い顔で見てきてるのかも聞かせてもらいたい。

 

ちなみにだが、今回の席順を俺の右隣の1から順にいくと、ヒナ、ブラン、ネプテューヌ、ユニ、ラムちゃん、コンパ、ネプギア、ロムちゃん、ノワール、アイエフ、ベールさん、という感じで丸いテーブルを囲う形で座っている。イストワールさんもやらないのかと思ったが、こういうのは苦手だそうだ。

 

「……ねぷ子。とりあえず、準備もできてるんだし、早く始めましょう」

 

「そ、そうだね! それじゃあ、いーすん! くじを引いてもらって!」

 

ネプテューヌのその言葉と同時に、イストワールさんがくじ引きの箱を持って皆に順に引いてもらう。なお、俺の隣にいるヒナから左回りなため、俺が引くのはあまりものとなった。

 

「皆引いたね? それじゃあ、お約束の台詞いくよ! せーの――」

 

「「「「「「「サンタさんだーれだ!?」」」」」」」

 

「……出オチもいいところだな」

 

俺の手元にある紙に書いてあったのは〈サンタ〉の3文字。普通の王様ゲームをやっても絶対引かない癖に、こういう時だけ引き当てるんだから嫌になるな。

 

「おお! 記念すべきサンタ一号だね! では、サンタさん! 誰にプレゼントをあげるか決めて!」

 

プレゼントって…。お願いを聞くんじゃなかったのか? まあ、細かいことはこの際いいか。

 

「わかったよ。無駄に考えても仕方ないし、ここは1番にしよう」

 

「あ、僕だね」

 

「変わってねぇじゃねぇか!」

 

思わずその場に膝をつく。適当だったとはいえ、席の番号と一緒だなんて酷いぞ!

 

「じゃあ、サンタさん。僕のお願いを聞いてくれるかな?」

 

「嫌な予感しかしないからお断りしたいんだが」

 

「一応言っておくけど、サンタ側に拒否権はないよ。子どもの願いを叶えないなんて、サンタさんじゃないからね!」

 

ですよね~。クソッタレ!

 

「よし。それじゃあサンタさん。このゲームの最中は、僕と手を繋いでいてほしいな」

 

…………へ?

 

「手を繋ぐ?」

 

「そう。手を繋ぐ」

 

「…………それだけ?」

 

「なんだい? もっとお願いを聞きたいっていうのかい?」

 

「喜んで手を繋がせてもらう!」

 

俺は即座にヒナの左手を握る。これ以上お願いを聞けば、何を言ってくるかわかったもんじゃない。

 

そう思ってすぐ行動したのだが、なぜかヒナが顔を赤くする。え? お前が繋げと言ったんだろ? なんだよそのリアクション。

 

「む、むぅ……。積極的というか大胆というか、油断ならないね、まったく…」

 

お前は何を言っているんだ?

 

「嫌だったのか? それなら今すぐ放すが――」

 

「ああいや、大丈夫。このまま…………うん。このままでいてほしいな」

 

「あ、ああ。わかった」

 

いつもと少し違う様子のヒナを見て、俺も戸惑ってしまうが、そのまま二人一緒に座る。

 

……手を握った辺りから、ネプテューヌとノワールの視線が更にキツくなったのは気のせいではないだろう。

 

「イ、イストワールさん。次のくじをお願いします」

 

「はい。それでは、次はヒナさんの隣のブランさんから引いてもらいますね」

 

ああ、なるほど。そのやり方なら皆平等になるな。俺も選択肢が増えていくのでありがたい。

 

「それじゃ、ネプテューヌがずっと言うのも大変だし、次の掛け声はサンタになった人がやるって風にしないか?」

 

「それ、自分が掛け声やりたいだけじゃないの?」

 

「いや、そんなことないんだが……」

 

「まあ、いいんじゃない? そうすれば、外れくじにも多少の意義は出るわ。引いた人が落ち込まずに済むし」

 

「ノワールよ。それは誰のことを言ってるのかな?」

 

俺なわけないよな?

 

「いいから、刀哉。早く言ってちょうだい」

 

「わかったよ、アイエフ。じゃあ、いくぞ。せーの――」

 

「「「「「「「サンタさんだーれだ!?」」」」」」」

 

「……デジャヴ」

 

またしても〈サンタ〉の3文字が書いてあった。

 

「また刀哉さんですか?」

 

「不思議そうな顔でこっちを見ないでくれコンパ。俺が一番不思議なんだから」

 

悪意がないから余計にキツい。

 

「とりあえず、とっとと数を言うよ。じゃあ、4番で」

 

「あ、私ですわね」

 

「マイガッ!!」

 

ベールさんかよ! 二回連続サンタを引いたのもあれだが、また隣の人を当てるなんてどういうことだ!?

 

「さて……。どんなお願いをいたしましょうか…」

 

「お手柔らかにお願いします」

 

「え? 僕の手が柔らかくて気持ちいいって? 照れるなぁ…」

 

「ツッコまんぞ」

 

「――それでは、こう致しましょう」

 

そう言うと、ベールさんが俺の左腕に抱きついてててててててて!?

 

「ベ、ベール! 流石にやりすぎだよ!」

 

「それは見逃すことはできないわ!」

 

ネプテューヌとノワールが立ち上がる。いいぞ! もっと言ってやって!

 

「あら? こういうお願いはダメと言われた覚えはないですわよ」

 

「うっ……! そうだけど…」

 

「………ネプテューヌ。ここはおとなしく引き下がりましょ。(それに、逆に言えば私たちが当たった時にああいうお願いができるってことだし)」

 

「(あ、そっか! なら、問題ないね!)わかったよ。でも、刀哉! 鼻の下伸ばさないでよ!」

 

「伸ばすか!」

 

いや、実際我慢するのキツいんだがな……。

 

「とりあえず、掛け声する人はサンタに当てられた人に変更しないか?」

 

「…どうして? また刀哉が言えばいいじゃない」

 

「嫌な予感しかしないんだよ……」

 

「その発言がフラグだと思うのですが……………まあ、いいですわ。それでは、いきますわよ。せーの――」

 

「「「「「「「サンタさんだーれだ!?」」」」」」」

 

「ほらな!!」

 

机に紙を叩きつける。そこにはしっかりとあの3文字が書いてある。

 

「刀哉さん……」

 

やめろ、ネプギア。そんな哀れんだ目で俺を見るな。

 

「10番! 10番の人!」

 

「あ、私だ! はいはーい!」

 

お、ラムちゃんか。まあ、ラムちゃんならまともなお願いだろう。

 

そう思っていると、ラムちゃんはこっちに走ってくると、なぜか俺の背後に立った。

 

「刀哉お兄ちゃん! しゃがんで!」

 

「? 別にいいけど。二人とも、一旦放してくれ」

 

ヒナとベールさんに解放してもらい、その場でしゃがみこむ。おんぶか?

 

「えいっ!」

 

「おぐっ!?」

 

そう思っていたが、ラムちゃんは俺の肩に跨がってきた。ああ、肩車か。

 

「特等席よ!」

 

「やれやれ……。了解だよ、お姫様。ただし、このゲーム中だけだぞ? あと、危ないから頭に掴まっていてくれよ」

 

「うん!」

 

まあ、楽しそうだからいいか。

 

「いいなぁ、ラムちゃん…」

 

お? ロムちゃんが羨ましそうにこっちを見てきている。珍しいな。

 

「じゃあ、ラムちゃん。掛け声よろしく」

 

「うん! せーの――」

 

「「「「「「「サンタさんだーれだ!?」」」」」」」

 

「知ってた」

 

またしても〈サンタ〉が。引きちぎりたくなってきた。

 

「また刀哉お兄ちゃんがサンタさんなの? トナカイさんじゃないの?」

 

「そうだね。俺もトナカイでいたかったよ……。とりあえず、5番で」

 

「あ…。わ、私…!」

 

お、ラムちゃんに続いてロムちゃんか。ロムちゃんもこっちに走ってきた。

 

「ロムちゃん。君のお願いは何かな?」

 

「わ、私にも、特等席…!」

 

ああ、さっき羨ましそうに見てたもんな。しかし、両腕は塞がってるし、肩車はもうラムちゃんにしてるし、空いてるところといえば……。

 

「……じゃあ、ここに座るか?」

 

唯一空いてる膝上を叩く。あぐらをかけば座れるだろう。

 

「うん…!」

 

ロムちゃんは嬉しそうに俺の上に座る。見ていて微笑ましいな。

 

「さて、それじゃあ次のくじ引きだ。ロムちゃん、頼んだよ」

 

「あ、うん…! せ、せーの――」

 

「「「「「「「サンタさんだーれ――」」」」」」」

 

「俺だ!」

 

「自己申告早いよ!?」

 

「早くもなるわ! これで5回目だぞ! もう〈サンタ〉の3文字は見飽きたんじゃあ!!」

 

相変わらずすぎる運に泣きたくなってくる。

 

「えーとだな……。それじゃあ――」

 

なお、このあともずっとサンタ役をやり続けることになった。……本当、俺の運は(悪い意味で)どうかしてるな。

 

 

 

――――――――――

 

「――ったく。ただのクリスマスパーティーだってのに、皆眠っちまって……」

 

あのゲームが終わったあと、いつもより豪華な夕飯を食べ、クリスマスケーキをいただいたわけだが、皆はしゃぎすぎたのか俺以外は熟睡してしまっている。

 

一人起きている俺は、皆が風邪を引かないように一人一人に毛布をかけている。……その際に、皆が薄着すぎるせいで色々見えそうでドキドキしていたのは秘密だ。

 

さて、最後はネプテューヌだな。ネプテューヌの近くまで行き、毛布をかけようとする。……そういや、ネプテューヌとノワールは当たった時、何か言いたそうにしてたのに特にお願いはないとか言ってたな。今度暇な時にでも聞いて、できるお願いならやってやるか。

 

そう思いつつ、ネプテューヌに毛布をかける。かけ終わると同時に、外に何かの気配を感じた。気になって出てみると、そこには首に鈴をつけた数匹のトナカイと大きめのソリ。そして――

 

「――メリークリスマ――」

 

「うっさい!」

 

「おぶふっ!?」

 

サンタの服装をした老人がいたが、大声を出しそうになったため、すぐさま口を塞ぎに飛びかかる。というか、本当にサンタみたいな雰囲気のお爺さんだな。でかい袋も担いでるし。まあ、それとこれとは話が別だ。

 

「皆、中で気持ちよく寝てるんです。大声は出さないでください」

 

「そ、そうか。すまないのう……。――それはともかく、メリークリスマス。いい子にしてたかな、少年よ?」

 

「さあ、どうでしょうか? 見方によりますね。ところで、あなたはサンタさんなんですか?」

 

「いかにも! いい子の皆にプレゼントを届けにきたんじゃが…………もう皆寝てしまっているとは驚いたのう」

 

ん~。ネプテューヌがしかけたドッキリか何かか? それで、依頼人も寝てるからスケジュールが狂ったのか?

 

まあ、ここはこの人のためにも、気づいてないフリをしよう。

 

「そうですか。ただ、俺はあなたを完全に信用してません。少しでも変な動きを見せたら、容赦なくぶっ飛ばしますからご注意を」

 

「怖いの~。まあ、大丈夫じゃよ。全員の横にプレゼントを置くだけじゃからな」

 

そう言うと、自称サンタは袋を片手に皆のところへ行き、一個一個プレゼントを置いていった。眼紅で見張っていたが、悪意は一切見えなかった。本当にプレゼントを置きにきただけのようだな。その間、俺はトナカイを愛でていた。うん、かわいい。

 

「ほれ。君にもじゃ」

 

自称サンタは皆に配り終わって戻ってくると、俺にも一つのプレゼントを渡してきた。この歳になってもクリスマスプレゼントをもらえるなんて思わなかったな。だが――

 

「いえ。お気持ちはありがたいですが、遠慮しておきます」

 

俺はプレゼントを受け取るのを拒否した。それを聞いて、自称サンタは不思議そうに首を傾げる。

 

「なぜじゃ? 儂から見れば、君もまだまだ子どもじゃ。遠慮せずに受け取りなさい」

 

「いえ、そうじゃなくて。――クリスマスプレゼントなら、もう貰いましたから」

 

「………そのトナカイの衣装かの?」

 

「違いますって! ……俺は、今までクリスマスパーティーというものを、プライベートで経験したことがないんですよ」

 

学校でのイベントとか、交流会みたいなのではもちろんあった。だが、言ってしまえばそれだけで、完全に自由気ままにやれるクリスマスパーティーは、一度も経験できていなかった。

 

「だから、今日のこのパーティーを開いてくれたネプテューヌや、参加して一緒に楽しんでくれた皆。それら全てが、俺にとっては最高のクリスマスプレゼントなんです。だから、これ以上のプレゼントは必要ないというわけです」

 

「ふむふむ。なるほどのう……。――ならば仕方ない。このプレゼントは、来年までとっておこう。来年こそは、渡せるように願っておるぞ?」

 

「サンタさんが子どもに願うんですか? おかしな話ですね」

 

「ほほほ。それもそうじゃのう。――では、また来年会おう、少年よ。メリークリスマス!」

 

自称サンタはそう言ってソリに乗り、トナカイを走らせ、鈴の音を響かせながら空へと昇って行った。どういう仕組みなんだあれ? 再現率半端ないな。

 

その姿を見送り、部屋の中に入ってネプテューヌの元に行く。

 

「えへへ……。大きなケーキだ~」

 

随分と幸せそうな寝顔だな。……ずっと笑っていたが、今日の企画を考えるのは大変だったろうな。でも、皆を楽しませたいという一心で、こいつなりに頑張ったんだ。

 

「ありがとな、ネプテューヌ。――メリークリスマス」

 

そう言い残して、俺も目を閉じる。薄れいく意識の中、遠くなっていた鈴の音が再び聞こえた気がした。

 

 

 

次の日、皆が起きて横に置いてあるプレゼントに驚いてたため事象を話したが、誰もそんなドッキリをしかけた覚えはないらしい。………本物のサンタだったのかよ。




はい、なんか凄く長くなってしまいました。ここまで読んできた方はお疲れ様でした。

時系列的には、アニメの全話が終了した完全に平和な一時といった感じです。そのため、プルルートやピーシェは今回欠席していたというわけです。二人が好きな方々には申し訳ありませんでした。

他にも投稿しているわけですが、こういった特別編で完全にふざけれそうなのはこれだけですので、これからもこういった感じのものを投稿するかもしれません。間に合えば、ですが。

これからもダラダラとした投稿になりますが、これからも読んでいただけると嬉しいです。

それでは、この辺で。メリーソロスマス!
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