今回は遺跡で騒がせてたら文章が多くなってしまったので、強化は次回になります。
それでは、本編へどうぞ。
刀哉side
「いーすんが言っていた通りならもうすぐ遺跡に着くはずよ」
「ああ。いやー、しかしあれだな。改めて空を飛べるということがどれだけ便利か再認識したわ」
あの後、俺とネプテューヌは朝飯を食い終わってから、早めに協会を出た。その時は街中は何かの乗り物で移動して、そこから歩いて行くと思っていたのだが、すぐにネプテューヌが女神化して俺を運んでくれた。ちなみに持ち方がお姫様抱っこなので男としては複雑な気分だ…。
「ん。もしかしなくても、あれのことだよな?」
「ええ。どうやらそのようね」
俺たちの視界にはいかにも遺跡ですという感じの石で出来た大きめの建造物が見えてきた。漫画やゲームで出てくる古代遺跡のようなデザインだった。
「それじゃあ、下りるわよ」
「オッケー」
俺たちは遺跡の前に下り立つ。遠くからでも思ったことだが、改めて見ると本当に大きい。入口だけで五メートルはあった。
「入口だけでこのでかさなら、全体の大きさは直径八百メートルはあるんじゃないか?」
「そうだね。まあこういうのは大きい方が調べがいがあって良いじゃない! 早く入ろう!」
いつの間にか女神化を解除したネプテューヌが遺跡に入ろうとする。
「待てって、ネプテューヌ。此処は仮にも遺跡だぞ。侵入者に対する罠があるかもしれない。慎重に行かなきゃ、えらい目にあうかもしれないぞ」
「もー、刀哉はダメだな。そんな考えじゃいつまでも遺跡の攻略は出来ないよ。ガンガンいこうぜ!」
「命をだいじにで頼む。割とマジで」
だが、ネプテューヌの言う通りでもある。俺はそこら辺にある小石をいくつか拾い、一つは手に持ちそれ以外はポケットに入れる。
「小石拾ってどうするの?」
「まあ、見てろ。おらっ!」
俺は手に持っていた小石を床に投げつける。良し、特に何かある訳じゃないな。
「もしかしてこの先も一回一回そうやるの? 面倒くさいなー」
「文句言うな。完全に安全を確認出来る訳じゃないが、何も考えずに突き進むよりはましだ」
そう言いながら投げた小石を回収する。
「んじゃ、行くか」
刀哉side out
no side
二人が遺跡に入った時、遺跡の内部にいたあのエンシェントドラゴンだったものは二人の侵入を感知した。
最早ドラゴンはこの遺跡を守る怪物に成り果てていた。そんなドラゴンが侵入者を許すはずもなく、
「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ !!!!!」
雄叫びを上げ、侵入者を排除するためにドラゴンはその場から移動を始めた。
刀哉side
「何もないねー」
「ああ、不気味なくらいな」
先程から小石を投げながら歩いているのだが、罠が全く無いためスムーズに進めている。まだ半分も歩いてないとは思うが、ここまで何もないと逆に何かあるのではと考えてしまう。
だが、ここでようやく変わりのなかった道に変化があった。まっすぐ進めなくなった代わりに左右に道が分かれていた。
「分かれ道か。こういう場合どちらに行くかでかなり違いがあるんだよな…」
「こういうのは思い切りが大事なんだよ!それじゃ右に――」
「待てっ」
「何さ刀哉~?」
「お前に決めさせるとロクなことが起こらない気がする。左に行くぞ」
「何それ!? そんな理由で左に行くの!? だったら私は意地でも右に行くよ!」
「生死を分ける選択をお前に託す気はない! 左ったら左だ!」
「右だよ!!」
「左だ!!」
「右!!」
「左!!」
「Right!!」
「Left!!」
「「はー、はー」」
大声を出し続けたせいで息が切れる。お互いに自分の信念を曲げまいと必死だ。(←それっぽく格好つけた表現)
だが、このままでは先に進めない。こうなれば、俺のいた世界の知識を使うしかない!
「はあ、わかったよ。ここは公平にじゃんけんで決めよう。このままじゃ時間ばかり食っちまう」
「じゃんけんか…。わかった! それなら公平だね! あっ、でも! 勝った方の道に行くんだからね! 負けた方の道に行く、なんて屁理屈はダメだよ!」
「わかってるよ。そんなくだらんことは言わんさ。ただ、普通のじゃんけんというのも捻りがないからな。心理戦ありのじゃんけんにしようぜ」
「心理戦ありのじゃんけん? それって、自分はグーを出すとか言って、相手が何を出すのか読んでやるやつ?」
「そう、それだ。そんじゃやるぞ。先行はネプテューヌからな」
「オッケー! それじゃ、私はチョキを出すよ!」
「わかった。それじゃ、俺は…」
「うんうん」
「お前がチョキを出さなかったら十回殴る」
「うんうnちょっと待って!」
「じゃあやるぞ。じゃーんけーん」
「うわあああぁぁぁぁぁ!?」
俺はグー。ネプテューヌはチョキを出した。
「良し、決まりだ。左に行k――」
「ストーップ!」
「…なんだよ」
「なんだよ、じゃないでしょ!? あんな心理戦ずるいよ! もう一回! 今度は普通のじゃんけんやるよ!」
「何言ってるんだ? 勝った方の道に行くって、お前が念を押したんだろ?」
「まさかあの時のやり取りはこの勝利への布石だったの!?」
「何を言ってるかわからんな。それより、大分時間を食った。早く行くぞ」
「待って! 私は納得してないよ!」
「大丈夫だ。俺は納得してるから」
「あ、ちょっと! 待ってってば!」
後ろで騒ぐネプテューヌの声を聞きつつ、左の道に進む。ネプテューヌも置いてかれると思ったのかすぐに追いかけてきた。
――――――――――
「…なあ、ネプテューヌ。これを見てどう思う?」
「凄く、怪しいね」
「だよな…」
しばらく進むと、四方の壁全てに不自然な穴がたくさんある道になった。距離自体は十メートルくらいなのだが、明らかに何かある。
俺は小石を一個取り出し、その道の上に軽く投げる。すると、
シュン!ドガッ!パラパラ…
穴から槍が飛び出し、小石を的確に突き刺す。威力が強すぎるのか、小石は粉々になった。
「「………」」
これはダメだ。いくら小石だからって普通槍で砕けるか? しかも、今のが全ての穴にあると考えるとかなりキツイ。
「良し。此処は引き返して逆の道に行くぞ」
「うん、それは良いんだ。でもさ、刀哉」
「なんだ?」
「最初から私の言った通り右に進めば――」
「さーて、時間が惜しいから早く戻るぞ!」
「あ! 逃げるなんてずるいよ! 待てー!」
元の道に戻りながら、俺とネプテューヌの鬼ごっこがスタートした。
――――――――――
「あー、もう。色んな意味で疲れたんだが」
「もう。刀哉は少し運動しなきゃ。若い男が家にこもってちゃダメだよ!」
「うるさい。俺は運動しないだけで引きこもりって訳じゃねぇよ」
だが、疲れ始めているのは本当のことだ。脚が少し重くなってきた。まだ半分も歩いていないのにこれは不味い。これじゃネプテューヌの脚を引っ張ることになってしまう。
「ねぷっ!?」
「っ!? ネプテューヌ! どうした!?」
突然ネプテューヌの悲鳴が聞こえたので振り返る。そこには、
「刀哉助けてー! 脚がはまっちゃったよ!」
床に片脚がはまり、身動きが取れない状態のネプテューヌがいた。どうやら、足元の石が抜けてしまったようだ。しかも、完全にうまり力が入り辛い状態になってる。何やってんだか…。
「びっくりさせるなよ。てっきり、罠が発動したと思ったろ」
「言ってる暇があるなら助けてよ!」
「それは良いけどよ。えっと、だな。脚を掴まなきゃダメか?」
「う、うん。私だってその、脚を掴まれるのは恥ずかしいけど…。でもこの体制じゃ下半身にうまく力入らないし…。腕を引っ張ってもらっても抜けないかもしれないし…。私も我慢するから、刀哉も劣情を抑えて引っ張り上げて!」
さり気なく酷いこと言われた気がする。
「…わかった。それじゃあ、持ち上げるぞ」
「うんっ…!」
ネプテューヌも流石に恥ずかしいのか顔をリンゴのように赤く染め、目を強くつむっていた。俺も女の子の脚を直接持ち上げるという前代未聞の状況に顔が赤くなる。ええい、余計なことは考えるな!ネプテューヌを持ち上げることだけに集中しろ…!
そして、俺はネプテューヌの脚を掴む。
「…んっ!」
おい!? やけに艶っぽい声を上げるなネプテューヌ!
にしても、いくら身体が小さいとは言え、やはり女の子ということか。掴んだ脚(というより太もも)からは男の肌とは全く違う柔らかさと心地よい温もりが伝わってくる。って、落ち着け俺! 相手はあのネプテューヌだぞ! 煩悩を振り払え! 何も考えるな!
「ひやぁ!? と、刀哉! そんなに強く掴まないで!」
「あっ! す、すまん!」
いかん。頭の中がごっちゃになっていたせいで力が入り過ぎてしまってたようだ。いい加減この状態をどうにかしないとおかしくなりそうだ。早く持ち上げよう。
「よっ…と!」
力を入れて一気に持ち上げる。だがその際、ネプテューヌのスカートの中が見えてしまった。
「……っ!」
一瞬だがしっかりと見えた縞模様に顔が赤くなる。やべぇ、ネプテューヌは気付いてないみたいだが、まともに顔が見れない。
「ふ~。助かった。ありがとう、刀哉! …刀哉?」
「えっ!? あ、ああ! いやー、綺麗な青空だよな!」
「天気の話なんてしてないよ? まず空見えないし。というかこっち向いてよ」
「いやー、それはちょっと…」
俺は何とか誤魔化そうと視線を泳がせる。すると、
「って、あれ?」
「ん? どうしたの?」
さっきまで俺がいたところの石がいつの間にか抜けていた。だが、俺がいた時は普通にあったはず。離れるのと同時に沈んだのか?その時、
ドゴーン!
「「!?」」
とてつもなく大きな音と揺れが起きた。気のせいでなければ俺たちの進もうとしていた方向から聞こえた気がする。遺跡の広い道の中、巨大な音。このことから俺の頭の中には一つのトラップが思い浮かんだ。音はどんどんこちらに近づいてくる。
恐る恐る後ろを向く。遠くには道全体を覆うほどの巨大な影が見えていた。それは確実にこちらに近づいてくる。あれは…やっぱり岩かよ!
「走るぞ!」
「了解!」
俺たちは全力で走り出す。しかし、後ろの岩はどんどん近づいてくる。やっぱり走るだけじゃ無理か! それに、
「はあ、はあ、っはあ!」
流石にここまで歩いてきた距離も長い上に、特に運動をしてる訳でもなかったので全力で走ったせいでもう息切れを起こしてしまう。
「刀哉っ! 大丈夫!?」
「ああ、まだ走れる! この先行ったら右に曲がるぞ!」
「言われなくてもわかってるよ!」
幸い、本当にただの岩のようなので曲がってくるなんてことは無いだろう。しばらく走ると道が見えてきた。だが、
「な、嘘だろ!?」
「そんな!?」
あろうことか、下から石の壁が出て出口へ通じる道を塞いでしまった。これで、俺たちにはまっすぐ走ることしか出来なくなった。
「どうするの刀哉!? この先にはさっきの槍トラップがあるんだよ!?」
「わかってる! 今考えてるんだ!」
ネプテューヌの言う通り、この先には先程の槍トラップが待っている。その上を通れば容赦なく串刺しになるだろう。かといって、後ろからは巨大な岩が猛スピードで迫って来ているから、立ち止まる訳にもいかない。触れた瞬間ミンチになるのは目に見えている。
まさに絶体絶命。走ろうが、止まろうが、死という文字しか用意されていないとは。何とも理不尽である。
せめて、後ろの岩を砕くか、槍トラップを無効化できれば…!
「…ん?」
俺はふと、あることを思い出す。あの槍トラップは小石を砕くほどの威力を持っている。仮に岩をあのトラップの上に持っていけば、もしかしたら砕いてくれるかもしれない。だが、そのためにはトラップの上を通らなければならない。
…一応、一つだけ可能性があるのはあるが、ミスした瞬間俺たちは串刺しになりジ・エンドだ。いや、んなこと言ってらんないか! どうせ、このままじゃ死ぬんだ。だったらできることはなんでもしてやる!
「ネプテューヌ! 一つだけ作戦が出来た! だけど、少しでもミスしたら俺たちは死ぬ! 博打みたいな作戦だ! それでもやるか!?」
「当然! このままでも死んじゃうんだから、その作戦に賭けよう!」
「サンキュー! それじゃ、今から伝えるぞ!」
「うん!」
「やることは単純だ! お前が女神化して俺を持って全速力でトラップの上を飛ぶ! それだけだ!」
「それだけだ、ってさっきの見てなかったの!? 通った瞬間串刺しだよ!」
「それなんだが、あれはあくまで上を通るのをものを感知して発動するだけだ! 予測して発動する訳じゃない! だったら、一瞬で通り抜ければ発動が間に合わないで、串刺しにならないかもしれない!」
「確証は有るの!?」
「無いよ! お前のスピードと槍の出るスピードに全てかかってる! 言ったろ! 博打みたいな作戦だって!」
「………」
「おい! ネプテューヌ!?」
突然黙り込んだので、ネプテューヌの方を見る。すると、
「わかったわ。それ以外に私たちが助かる術はないものね」
いつの間にか女神化していたネプテューヌが決意を固めた目でこっちを見て微笑む。いつもだったら見惚れていたが、状況が状況だからか俺も釣られて笑ってしまう。
「良し! じゃあ頼むぜ!」
「ええ!」
そして、ネプテューヌは俺を抱き上げ、ユニットを展開し走った勢いのまま飛ぶ。
しばらくすると、例のトラップが見えてきた。
「舌噛むから、口を閉じて!」
「了解!」
「…フルスピード!」
ネプテューヌが一気に加速し、もの凄い風が叩き付けられる。そして、運命の時が来た。頼む…!
槍が出る音が聞こえるが、刺さった音は聞こえない。つまり、
「いよっしゃー!!」
俺たちはトラップの上を無事に通り抜けることが出来た。
「まだよ! 岩が残ってるわ!」
「大丈夫だよ。今のに反応したんだ。あんなデカブツに反応しない訳がねぇ」
岩がトラップの上を通る。
何回も槍の出る音と岩が砕かれる音が聞こえ、あまりにでかすぎるせいで、大量の土煙が起きて見えなくなってしまう。しばらくすると土煙が晴れる。そこには、先程よりもずっと小さくなった岩の残骸があった。
「ほらな?」
「ふう…」
ネプテューヌはため息を出しながら俺を下ろし、女神化を解く。
「いやー、にしても大変だったねー。一気に疲れたよ」
「ああ。今まで何も起こらなかったつけが来たって感じだな」
実際、今の数分で数十分ぶんの疲れが溜まった。かなりキツイ。
「とにかく、先を急ごう。休んでる暇はねぇよ」
「えー? 大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないから急ぐんだよ。とっとと終わらせて教会に帰って休もうぜ」
「それもそうだね。それじゃあ行こうか!」
俺たちはその場を離れようと立ち上がった。だが、
「■ ■ ■ ■ ■ ■ !!!!」
「「っ!?」」
突然聞こえてきた雄叫びで俺たちはその場で固まってしまう。今まで聞いたことのない恐ろしい声に、俺は体の奥底から震え上がった。
ドガアァァァァン!
俺たちの後ろにあった壁がいきなり吹き飛ぶ。振り返るとそこには、全身が赤よりも赤い深紅の色をした巨大なドラゴンがいた。
「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ !!!!!!」
狂気の雄叫びを上げるドラゴンは俺たちの前に立ちはだかった。
何気に最大文字数の記録を更新してしまっていました…。
読みづらいかもしれませんが、ただでさえ文才が無いので短くするなんてことは無理だと思います。すいません…。
前書きでも書きましたが、次回こそは主人公の強化をするのでお待ちください。
それでは、さようなら。