あるゲイクイーンの話 withスプラトゥーン2 作:カトラス@リトルジャックP
数日前に襲撃された時にデコレーションが剥がれてしまって修理に出したバレデコが帰ってきた!
しかも全部の部分がツヤツヤになって帰ってきた!!
これは凄まじいスピナーなんだ!
まずサブが良い!スプラッシュシールドを展開しての射撃戦は実に愉悦!
スペシャルのバブルランチャーも驚異的だ!邪魔くさい障害物であり、かつ強力な武器でもある、スピナーならば起爆も容易い。
メインの性能はまさに絶品!メイン・サブ・スペシャルの調和は芸術的だ!!
見た目も美しい、デコレーションされたスピナーから放たれる激しい制圧射。
その振動はスプラスピナーがオモチャに思える、タバコの陶酔の覚めぬ内にその激しすぎる連射を全身で抑え込んで敵を射抜いた瞬間など絶頂すら感じる!!
その分チャージ時間も長いがそれもまた素晴らしい!チャージタイムがこんなにも息吹を、私のチャージは!サイケデリックだ!!
そんな最高すぎて目眩のするバレルスピナーデコが、私に最高のハイを与えてくれたのさ!
―とあるゲイクイーン
―――
狂う程の化楽に震える、鋭い連射、やはりスピナーは最高だ。
そんな快楽に身を任せた十日余り…油断しきって居たのかな…
…何でもない朝だった、
いつもみたいに水タバコを抱いてカフェ睡蓮に向かっていた時、
突然に彼らの軍用車で跳ね飛ばされて、そのまま数匹に拘束され…攫われた様だ。
タコ達の中には私に乱暴しようと言う者達も居たが上官に止められていた…”ヒト質”だからだと言っていた…
…ともかく脱出は不可能だろう、意図的に狙ったのだろうが轢かれたダメージが大きすぎる…拘束を解くのも困難だ…
…参ったね…タバコが吸いたいな、と現実逃避するしかないよ。
―四号サイド―
「…あれは…」
二号さんが呟く、目線の先にはタコの集団が居た。
『…あの集団に挑むのはさすがに無謀っすね、やり過ごしましょう』
「…ええ、そうやね」
…何か含みがある?
敵部隊を観察…イカが縛られている?…
…ッ!!!!
「四号ッ!!」
オレは走る、その集団に、
マニューバーを抜き、射程に入る先からぶち抜きながら、
なんで…なんで…
『なんでラッちゃんをーッ!!貴様らぁあああッ!!』
「四号!冷静になり!れっ…」
オレは迷わずレシーバーを左腕で弾き飛ばした、今のオレにはどうでも良い!
ぶち抜く!ぶち抜くぅうぅううッー!!!
「突っ込んで来ました!!」
「よし、ここまで深入りさせれば大丈夫だ、トルーパー隊後退!タコゾネス部隊、前へ!!」
タコ達が取り囲んでくる、手練のタコゾネス共だ、後ろから横まで!
「動くな!それ以上戦えばお前の色であるこいつがどうなるか分からんぞ!」
『ッ!!』
スピーカーから響く声に動きを止めたオレにタコゾネスがゆっくり迫ってくる、四方を銃口が囲む…
「マニューバーを捨てろ、ゆっくりとな」
最早他に道はない、オレは大人しく投降した。
―――
==ジンタサイド==
とっ捕まってオレはラッちゃんと同じ檻に放り込まれた。
『…やあ、少しは気が休まったかい?』
ラッちゃんは意外にも冷静だが身体には傷が見受けられた。
『ラッちゃん…ごめん…オレがこんな事やってるから…ッ…』
ラッちゃんは傷を庇いながら壁に寄りかかって座ると一息して語り出す。
『別に良いさ、君がこういう活動をしてるのは漏れ聞こえてきてたしさ』
と微笑んだ。
『…なんで…なんで笑えるんすか!?こんな状況で?…』
ラッちゃんは楽しげに続けた。
『まあまあ…こうして捕虜をやって割といろいろ情報が得られてるよ?』
『情報?』
『ああ…』
そう言ってラッちゃんは語り始めた。
『まずここに居るのは所謂過激派の派閥だ、総じてタコはイカを憎んでるらしいが特に憎んでるそうだ…幾匹か例外も居るみたいだがね』
オレは幾分冷静に聞く。
『その例外と言うのは?』
『拉致実行タコゾネス部隊下士官の子だ、彼ら部隊はあまり良く思ってないみたいでこっそり鎮痛剤を恵んでくれたよ…戦争ってのはやだね、意思のある立派なヒトの一人一人を道具扱いするから…』
ラッちゃんは悲しそうに鎮痛剤の注射器を二本見せてきた、オレからは非常にコメントに困った…そんなに考えてなかったんだ。
==カトラスサイド==
ふむあまり考えて居ないか…まあイカらしいね、良い事だ。
『次に連中は君を捕まえた後の事はあまり考えていない…と言うかどうも過激派の偉いタコが独断でやってる非正規作戦らしい、そのタコは君を捕まえた手柄を報告しに行ってしまったらしい。そいつが戻るまでは動きはない』
『つまり?』
私は自信満々な笑みを見せる、それが彼を勇気付けるだろう。
『つまり”あの子が現場指揮官である限りは、次の命令があるまで安全”だ…さっき見せた片方は君が捕まって身ぐるみ剥がされてる間に貰ったんだ』
『…けど…これからどうするんすか?二号が助けてくれるのはあまり期待出来ませんよ…』
まだ不安そうだな、けど大分普段の彼らしい声質になってきた。
『ナハハ、実を言うとね…君はそういうの嫌がるだろうが私のセフレの中には私の水タバコと靴に発信機を仕込んでる子が居てね』
『…それが何すか!?』
ナハハ、怒ってる怒ってる。
『まあ聞きたまえ、例えば路上で唐突に”水タバコの発信位置の動きが止まり、一方で明らかに乗り物の速度で私の発信位置が遠くに行った”…どう思うかい?』
『ッ!!つまり!』
ああ、やっと笑ってくれた。
可愛い子だ。
『彼は割と親衛隊中枢メンバーでね、発信機も実益を兼ねた趣味…靴の発信機は没収されてないし今頃はワプスタ氏や皆が大急ぎで武装を整えているだろうさ』
しかしオーモリの趣味がこんなところで役に立つとはね。
==ワプスタサイド==
しかし驚いた…まさかシオカラーズのホタルとこんなとこで会えるとは。
本人にはイカ違いだと言われたがな。
ともかくブキチの野郎から貰った武器と俺が選りすぐった精鋭十六匹が構えてる、敵基地に間もなく突入する。
この装甲トラックでまずは突っ込むぞ!!
ブゥウウン!!ドガッシャーン!!!
『ゴーゴーゴー!!スピナー隊は車両から掃射!チャージャー隊は高所を取れ!!』
ブゥウーンッ!!
またトラックが走り出す中で俺は二体のタコを容易く撃ち倒す、後ろからもローラーとパラシェルターが続く。
楽しいゲームの時間だぁ!!!
==ジンタサイド==
ドドドドドドッ!!
ワーワー!!
ドビュン…ドビュン…
バンバン!!
『どうやら来たみたいっすね、ラッちゃん、歩けますか?』
ラッちゃんは無理矢理に立ち上がってから助けを求めてくる。
『すまないが…この状態で歩くのは危険だろう、守ってくれるかい?』
『もちろんです!!さあ』
ラッちゃんは力なく両腕を上げてオレに抱きつく。
『ありがとう、ヤツの選んだ手練…時期に檻を壊しに来るだろう…』
ドビュン!
するとチャージャーの直撃で鍵が破損した檻が静かに開いた。
『さすがワプスタさんが選んだ戦士は確かですね!行きますよ!!』
そうしてオレはラッちゃんをおぶって歩み出した。
==ワプスタサイド==
ドドドッ!!
楽しいね!!雑魚狩りも!骨のある奴とのやり合いも!!
しかし…大した事ないな、タコってのは…
『ワプスタさん!』
おっと、囚われの姫達が来やがった!
『おう、トラック部隊!二人と合流した!回収してくれ!!』
通信を入れて、ブキを構え直す。
大した敵もなく、俺はジンタ達に近付く。
『こんな雑魚共とこっそり戦ってたのかよ、ジンタ』
『まあワプスタさんからしたらそうっすよね!』
『…ハァ…ハァ、どうだろうな…私を攫った精鋭は早々と離脱した様だ…』
ちきしょう、こいつ怪我してやがる。
『何だよ!そいつらと戦いたかった!!』
『まあまあ…しっかり護ってくれよ、親友』
『おう!俺様に掛かれば楽勝だ』
しかし勝負は決している、もう場は完全に制圧されてやる事もない…
程々に帰るとしようか。
『各自各々の判断で後退!合流地点を目指せ!!』
==カトラスサイド==
無事に離脱に成功し、病院へ移送する為の準備をしている最中。
現れた和装の女は私と自分を隠す様に傘を持っていた。
「なあ、あんたがカトラスちゃん?」
『…シオカラーズ?』
声を掛けられた相手はあのアイドルのシオカラーズの片割れだった。
「面倒事に巻き込んでごめんね…」
言い淀む姿に察する。
『…あまり多くを語れない感じか…それでもそう言っておきたかったんだな、すまないね、大丈夫だ』
「それだけじゃないんよ…ジンタくんの事、嫌いにならんでね…彼はいつも貴方の為に戦ってるんよ」
『…もちろんさ、彼は良い男だ…私の様な淫売には過ぎたるぐらいにね』
「そうね、良かった…お達者で」
そう残して和装の女は去っていった。
当たり前だろうさ、それに…
『こんな事はもう何度も体験してるんだよ、今更何だと言うんだ…ナハッ!、あぁ痛い…』
『ああ、だが今回程酷いのはそうないな…』
親友が隣に座る、その手には水タバコがあった。
『そうだな…ここまで軍事的な計画性のある犯行は初めてだったね』
『まあ俺様に掛かればタコなんぞちょちょいのちょいだったがな!!…ほら吸えよ、病院じゃ吸えねえぞ』
そう言って吸口を彼は私の口に渡す。
『…ああ、ありがとう…良い鎮痛剤だね』
…ああ、やはり水タバコは最高だ……
やっと気が休まった私は、事が終わったのだと安堵した。
―――
==ジンタサイド==
オレは助け出されて最初に二号さんの元へ行った、
当然の事だ…どんな処罰があっても仕方ない…
『…二号…さん…』
「無茶したね、四号」
『…面目次第もございません…』
「…強いね、四号の友達は」
『…はい』
「最初から冷静になって徒党を組むか不意を突ければもっと早く安全にあの子を助けられたかもしれない、そこは反省しね」
『…はい!』
「二号から言う事はもうないよ、みんなにお礼してきなさい」
『はい!!あの…これからもよろしくお願いします!!』
オレはそれだけ叫んで走って行った。
”「アタシも…似た様なもんやしね」”
==タコゾネスサイド==
「…良かったんですか?襲撃が分かってるのに撤退して」
「良いんだ、上層部の命令だったからな」
「とんだ事に巻き込まれましたねぇ…」
「ああ、どうやら作戦を指揮したクソ野郎は幽閉処分になったらしい…私らも処分されるかもしれん」
「けどまあ、精々が最前線送りだろ!」
「少なくとも私はこれでよかったと思う…最低の作戦だったからな」
「…ボスは最初から最後まで嫌がってましたもんね」
「そりゃ嫌さ、こんな誰も幸せにならない計画」
「この前はああ言ったけど…、確かに嫌な作戦だった」
「正々堂々で死んじゃ浮かばれねえのは私も分かる、お前が気に病んでどうする」
「軍人が無抵抗の一般人を襲うなど恥だ、命令だとしても…良い気がするはずもない」
「…それでも上からの命令には逆らえない…軍人とはままならん」
「ああ、だが子供達が笑って暮らせる時代の為だ、そう言い聞かせてるよ」
「お前はいつもそれだ、上司としては誇らしいよ」
「「「「ハッハッハ!」」」」
―移動中の車内にて