衞宮士郎に憑依したけど平穏に暮らしたい   作:幸1511

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第12話

ガチャン

 

部屋外で食器が割れる音がして全員が振り返った。

 

「どうやら聞かれていたみたいだね。」

 

そう言いながら切嗣は扉へと向かい、扉を開いた。

 

そこにはへたりこんだ桜がただ震えながらこちらを見ていた。

 

「待ってください!!切嗣さん!!」

 

俺は切嗣と桜の間に割り込んで切嗣を止めた。

 

「士郎、君の気持ちもわかる、だが、そこをどいてくれ。」

 

「まだ桜の聖杯が危険な物とわかってないでしょ!!

それに大聖杯を解体出来れば本体のアンリマユも消えるだろうし、この子を殺す必要はないでしょう!!」

 

「士郎、大聖杯の解体が終わるのにどれくらいの時間がかかると思っているんだい?

それにね、その子の聖杯が危険じゃないとして、その子を狙う魔術師達はどうするつもりだい?」

 

「それは……」

 

「僕もね殺したくて殺すわけじゃないんだよ。

この子が他の魔術師に引き取られたら、この子は今殺されなかった事を後悔する目に会うだろう。」

 

「なら、他の魔術師に引き取られる前に聖杯を取り除くというのは?」

 

「間桐蔵硯の資料を見たところ、聖杯はその子の体に溶け込んでいる。

シエルさんも見つけれなかった事から無理だろう。」

 

「俺の解析なら、見つけれるかもしれません。」

 

「見つけたところで、どうするんだい?

どういう形で溶け込んでいるかはわからないが、シエルさんが見つけれなかった事から見て、恐らくだが形ある状態じゃないだろう。

見つけて体から抜き取ると言うのも無理だろう。

士郎、もういいだろう、そこをどいてくれ。」

 

切嗣は顔をうつむかせ、ただ呆然と立ちすくんでいる俺を横に押しのけ桜に近づいた。

 

「いや……」

 

桜は腰を抜かしているのだろう、ただ震える腕で後ろに逃げようとした。

 

「桜ちゃん、君もわかっているだろう?

他の魔術師に捕まってしまえば、間桐蔵硯にされていた事より酷い目会うだろう。

今死んだほうが君のためだ。」

 

切嗣はそう言いながら懐から銃を取り出し、桜に向けた。

 

「いや……なんで?……

いい子にもしてました……

お祖父様に酷いことをされても耐えました……

なのに……なんで!? なんでなんですか?……

助けて……助けて…姉さん……」

 

「君が悪い訳じゃない、君の周りが悪いんだ。

すまない、許してくれとは言わない。

僕を恨んでくれて構わないよ。」

 

銃の引き金に切嗣が指を掛けた時

 

「待ってくれ!!」

 

「またかい、士郎」

 

切嗣は死んだ目をしながらこちらを見た。

 

「さっき切嗣さんは溶け込んでいて形が無いから取り出せないって、言いましたよね。」

 

「そうだね」

 

「なら、形があれば取り出せるんですよね?」

 

「何が言いたいんだい? 士郎。」

 

「俺が聖杯を解析して、聖杯の足りない部分を補うように投影して、正しい形にしてやれば取り出せませんか?」

 

「士郎、アイリを投影で、作るつもりかい?」

 

「できませんか?」

 

「士郎、もしだ、アイリを投影出来たとして、どこに投影されるんだい?

その子の中に投影されてでもみろ、その子が破裂するぞ」

 

「それは……」

俺が言葉言いよどんでいると、後ろからバゼットが答えた。

 

「それなら、なんとかなるかもしれません」

 

「なんだって?それは本当かい?」

「なんだって?それは本当か?」

 

俺と切嗣は二人同時にバゼットに問いかけた。

 

「ええ、私が間桐桜に蘇生のルーンをかけた後なら、間桐桜が破裂しようが問題ないはずです。」

 

「切嗣さん!!」

 

俺は嬉々とした表情で切嗣に声をかけた。

 

「わかったよ士郎、僕もこの子を殺したいわけじゃない。」

 

俺は桜の元へ駆け寄り声をかけた。

 

「やったぞ桜、殺されなくてすむぞ!!」

 

「いや、士郎、ちょっとその言い方は……

僕もやりたくてやってるわけじゃって……

聞いてないか」

 

切嗣がなにか言っているようだが俺の耳には入らず、俺は桜の手を取り喜んだ。

 

俺達が落ち着いた頃を見計らって、切嗣が声をかけた。

 

「さて、やっと落ち着いたかい。」

 

「すみません。お見苦しいところを見せました。」

 

「いや別に構わないよ。

それよりも士郎、本当にアイリを投影できるのかい?」

 

「いや、正直解らないですがアイリさんも魔術で作られたホムンクルスですし、魔術で作れるんじゃないかって……」

 

「ハァー、試して見ないとわからないってことかい。

試さないと解らないっていうのに君はあんなに喜んでたのか……」

 

切嗣は呆れた調子で俺を見つめた。

 

「いやー、アハハ……すみません」

 

「とりあえずやって見るしかないか。

バゼットさん蘇生のルーンの用意にどれぐらい時間がかかるかな?」

 

「そうですね……半日といったところですか。」

 

「そうかい、なら明日の昼前から準備して士郎の投影は夜にするいいね?」

 

切嗣が全員に聞くとシエルが答えた。

 

「ちょっと待って」

 

「?どうしたんだいシエルさん」

 

「桜ちゃん何だけど、さっきも言ったとおり体の中に蟲が埋め込まれているから、それを取り除かないと士郎君達の魔術の邪魔になるかもしれないから、今日中に取り除きたいんですけど、何処か立地のいい場所はありませんか?」

 

「それなら僕の家の蔵を使うといい。

明日もそこでおこなうつもりだ。」

 

「わかりました。」

 

「というわけで桜ちゃん、今日は家に泊まっていってくれないかな?」

 

「わかりました。」

 

「よし、なら家に帰るか。」

 

こうして俺達は帰路についた。 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
桜ちゃんが酷い目に合うと作中で言ってましたが作者が考えつく酷いことの内容をここに書いときます。

①ホムンクルスの大量生産ができる家に引き取られ、男性ホムンクルスによる交代での休みなしでの魔力供給【意味深】後に魔力炉として日の目を見ることのない生活

②切嗣が住んでいたような辺境の島で島民を操って魔力供給【意味深】後に召喚魔術等の生贄

③魔術協会に引き取られ適当な人間を集め魔力供給【意味深】後に召喚魔術等の生贄

④人肉など魔力の多いものを食べさせ魔力を貯め後に召喚魔術等の生贄
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