「はー」
シエルがため息を吐いて落ちこんだ。
「あー、とりあえず士郎の力量を確認しようか。
ここじゃ近所に聞こえてしまうからアインツベルン城に移動しようか。」
切嗣はシエルから目をそらしながら言った。
「いえ、待ってください。
それなら私が人よけと防音のルーンを展開しときます。
周りを気にせず存分にやってもらって構いません。」
そうバゼットが言い、魔術を展開した。
「おや、それは助かるよ。
よし、じゃあ庭に出るよ、士郎。」
切嗣はそう言うと庭へ出ていった。
それに全員がついていくのだった。
「おや?みんな来たのかい。」
「ええ、一緒に戦うのです。
味方の戦力は知っておきたいです。」
そうバゼットが答えシエルも意見が同じなのか首をたてにふる。
「私はみんなが行くからなんとなく〜」
アイリはおっとりとした態度で答えた。
「そ、そうかい。
まあ、いいか……
士郎、攻撃に使える魔術を見せてくれ。」
切嗣はアイリの態度に呆れていたが、すぐに気持ちを切り替え指示を出す。
俺は干将、莫耶を投影し、英霊エミヤの憑依経験を投影した。
「いつもの剣かい?
けどね、士郎、今回君には後衛としての力を見せてもらいたいんだが……」
そう切嗣が困った顔で言ってくる。
「まあ、待ってくれ親父。
工程完了。全投影、待機。」
俺が干将、莫耶から読み取った英霊エミヤの憑依経験を元に魔術を展開した。
「空中に一気に沢山の武器を投影か……
それでどうするつもりだい?」
「一気にって言うのは少し間違えだけど……まあいいか。
親父これを撃ち出せるんだが、どこか撃っていい方向はあるか?」
俺は親父に質問すると……
横からシエルが答えた。
「では私に向かって打ち出してください。」
「「え!?」」
俺と親父は二人揃って驚いた。
「埋葬機関七位の名、伊達ではない事を教えてあげます。」
そう言いながら黒鍵を取り出すシエル。
その姿に俺達は困惑するが……
「どうしました?
遠慮はいりませんよ?」
撃って来いと言うシエルに俺はどうしたらいいかわからず、切嗣の方を見る。
「まあ……言峰綺礼も銃弾を近距離で弾いてたし問題ないのかな?」
首を傾げながらも切嗣はそう言った。
「えぇー、と、とりあえず撃ちますけどまずは、一発だけいきますね。
停止解凍、投影層写!!」
そう言って俺はシエルに武器を撃ちだした。
「ふん!!」
シエルは片手であっさりと、打ち出された武器を壊した。
「おや?地下で投影した物より脆いですね。
もっと撃って来ても問題ないですよ。」
俺は驚きのあまりに口をポカンと開けていたが、シエルの言葉にわれのかえり、待機している武器を撃ちだした。
「停止解凍、全投影連続層写!!」
シエルは両手を使い俺が撃ちだした剣を全てへし折っていく。
俺は剣を打ち出すのをやめ、弓を投影した。
「ほう?今度は弓ですか……」
俺は棒立ちのシエルに、様子を見ながら弓を憑依経験通りに撃ちだした。
「ふむ。さっきより連射力は上がっていましが……一発一発はさっきよりも脆くなっていますね。」
そう言いながらシエルは弓を弾く。
「これくらいなら!!」
そう言ってシエルが走り出した。
俺は様子見を止めて全力で撃ち出す。
その連射力はマシンガンをも超えるが、シエルは気にせず弓を弾きながら近づいていき、最後には俺の持っている弓を壊した。
「ふぅー、弓の連射ですが、一発一発が軽すぎますね。
あれなら、最初の剣を撃ち出すほうが実力が上の相手にはいいでしょう。」
空いた口が塞がらないとはこの事を言うのだろう。
俺、親父、母さんは口が開いたまま固まっていた。
「流石、埋葬機関の者ですね。
私では全て弾きながら近づくなど出来ませんね。
せいぜい回避しながら近づくぐらいしかできません。」
バゼットがそう言ってシエルを褒めていた。
「親父はできるか?」
俺は親父に質問した。
「バカを言うんじゃない。
タイムアルター、ダブルアクセルを使って逃げるのがやっとだよ。」
切嗣はそう言いながら首をふった。
「士郎君、あれ以外に遠距離攻撃はないのかな?」
そうシエルは聞いてくる。
「後は宝具を爆発させるのは間桐邸で見てますし……
あ、そうだ!!」
シエルに他にないのか聞かれたので実演することにした。
「これは壊れない限り追いかけてくるんで注意してくださいね。
喰らいつけ、赤原猟犬!!」
そう言って俺はためずに放った。
シエルは俺が放った赤原猟犬を様子を見るように弾く。
弾かれた赤原猟犬はもう一度シエルに向かって飛んでいくが、今度は様子見で放った一撃より強い力でたたきつぶされた。
「これで終わりですか?」
「後は遠距離狙撃と宝具の爆破ぐらいだよ。」
「そうですか……ありがとうございます。
では次に近接戦の方も一様見ときましょう。」
そう言ってニッコリ笑うシエル
「先手は譲ります。
どこからでもどうぞ。」
俺は弓を消して干将、莫耶を投影して斬りかかった。
何度か斬りかかるが、シエルに全て片手で弾かれる。
元々英霊エミヤは自分からいくより守りながらカウンターを狙う動きのせいか、攻めてこないシエルを相手には攻めづらかったので、俺は武器を村正に変えることにした。
「おや?武器を変えましたか。」
武器を変え再び斬りかかった。
「さっきと動きが違いますが……」
そう言いながらシエルはカウンターで蹴りを入れてきた。
「グハァ」
俺はシエルの蹴りになすすべもなく、吹き飛ばされた。
「ある程度の力の差ならいいですが、自分を顧みないその動きは相手との力量差が離れ過ぎている場合しないほうがいいですよ。
ただの的です。」
「グゥ」
俺は立ち上がり、干将、莫耶に持ち替えた。
「では今度はこちらからいきます。」
そう言ってシエルは黒鍵を3本投げ、それに追従する様にこちらに向かってきた。
「クッ」
俺は黒鍵を防ごうとするが、あまりの威力に吹き飛ばされる。
「うーん、動き自体は悪くないんですけど……
身体能力が低いですね。」
そう言いながら動きを止めるシエル
「はは、それは仕方が無いよ。
士郎はまだ子供だからね。」
切嗣は笑いながら答えた。
「ハァハァ、もう、終わりでいいですか?」
俺は立ち上がりながら終わっていいか聞いた。
「うん、じゃあ実力を見るのは終わりにしましょうか。」
「ホッ……うん?実力を見るのは?」
俺は一瞬安心したが、シエルの発言に違和感を覚える。
「ええ、このままじゃあれだし、ちょっと特訓をつけてあげるよ。」
シエルはニコニコ笑っているがその顔は怖かった。
「あのー、シエルさん?俺なんか悪いことしましたか?」
「ん〜?どうしたの?士郎君急にそんなこと聞いて……」
シエルはそう言いながら新しく黒鍵を取り出しながら近づいてくる。
俺は逃げようとしたが、一瞬で回り込まれた。
「もしかして……朝の事ですか?
すみません、土下座でも何でもしますから……
いや、ホントすみません。
お願いします命だけは……」
そう言いながら周りに助けてと視線をおくる。
「しろ〜う頑張って〜」
母さんは笑顔で手をふっていた。
慌てて別の二人に視線をうつす。
親父は目をそらし、バゼットは先程のやり取りに触発されたのか、トレーニングをしていた。
「あら?士郎君、相手から目を離すなんて駄目じゃない……かくご!!」
「ぎゃ〜」
青空の下、俺の悲鳴が響き渡る。
もう二度とシエルの事をカレー先輩と呼ぶのはやめようと心に誓うのだった。