「士郎、君の事は忘れないよ……」
「切嗣……」
衞宮夫妻はよこたわる衞宮士郎の前で黄昏ていた。
「俺を勝手に殺すな〜!!」
「おや、士郎、起きたのかい。」
「あら〜士郎、生きてたのね。」
「あんた等酷いな!!特に母さん!!」
そう言って起き上がり服の汚れを払った。
「いや〜そう言われても元々の原因は士郎だし。」
「うっ、そう言われると何も言い返せないが、心配ぐらいしてくれてもバチは当たらないんじゃないか?」
「ははは」
「ウフフ」
「そこ!!笑って誤魔化さない。」
「まあまあ、士郎君、落ち着いて。」
俺をボコボコにした人が、俺をなだめた。
「一様、聖堂教会に今回の事を報告書に纏めて送ろうと思います。
追加の戦力には期待出来ないと思いますが……」
そう、シエルが言うとバゼットもトレーニングを止めてこちらに来た。
「そうですか。
私も魔術協会に報告書は出そうと思います。」
そう言うバゼットも戦力が来ない事はわかっているのか暗い顔をしていた。
「そうかい、では両陣営の返答が来てから動くとするか。」
「では私は報告書ができ次第、病院へ行きますね。」
そう言うとシエルは部屋へと向かった。
「じゃあ僕達も解散するとしようか。」
「お疲れ様」
「わかりました」
「はーい♪」
そう言って全員は部屋へと戻った。
俺は先程のトレーニングのせいで服が血で駄目になってしまったので、服を取り出そうとタンスを覗いた。
「やばい、残りの服が少ない。」
思い返せばここ数日流血騒ぎばっかりで服を駄目にしてばっかで洗濯出来る服も無い。
「まずい、親父に相談するか。」
俺は親父に相談しにいった。
ノックをして親父の部屋に入った。
そこには親父と母さんがいた。
「ん?どうしたんだい?士郎。」
「あら〜士郎、どうしたの?」
親父達は俺に質問してきた。
「あー、お邪魔だったか?。」
「いや、そんなことはないよ。」
「そうか、なら良かった。
それで何だけど、実は服を駄目にしてばっかで少なくなってきたんだ。」
「あー、そう言えば士郎は何かあるたびに服を血で汚してしまっているもんね。
わかった。
今から買いに行くには微妙な時間だし明日でもいいかい。」
「ああ、問題ないよ。」
「よし、なら明日買い物に出かけようか。」
切嗣がそう言うとアイリが目を輝かせた。
「ショッピング!?
この前はセイバーと一緒に色々と見て回ったけどまだ全て見れなかったのよね〜ウフフ
そうだ!!桜ちゃんも呼んであげていいかしら?」
「え!?、いや僕は構わないけど……あの子も嫌がるんじゃないかな?
特に僕、怖がられてるし……」
そう、苦い顔で親父は答える。
「まあ、俺も問題ないよ。
と言うかどうやって間桐さんを呼ぶんだ?」
「二人共いいのね。
なら今から電話するわ。」
「え?アイリあの子の家の電話番号を知っているのかい?」
「ええ。切嗣が桜ちゃんを怖がらせてたからお仕……止めたときに聞いといたの♪」
今サラッと不穏な言葉が聞こえかけたので、親父の方を見ると親父は腹をおさえていた。
「ついでに他の二人も呼んじゃいましょう。」
「あー、バゼットさんはともかく……
シエルさんは忙しくて無理なんじゃないかな?」
「とりあえず誘ってみるだけ誘ってみるわ、と言う訳で行ってきま〜す♪」
そう言いながら母さんは部屋から出ていった。
「ただいま〜♪」
「「はやっ!!」」
母さんは出ていって数分で帰ってきたので、俺達は驚いた。
「あら〜二人共いきピッタリね♪」
「ああ、それでどうだったんだい?」
「桜ちゃんとバゼットさんはOKだったわ♪」
「はは、それは良かったよ。
それにしてもアイリ、君が面白いことが好きなのは知っているから他の人を誘うのは予想がついたけど、なぜ?もう家に返した桜ちゃんをわざわざ誘ったんだい?」
親父が母さんに質問すると、母さんは真剣な表情をし答えた。
「切嗣、あの子はね私と合ったばかりの貴方みたいな表情をしていたの。
だからねほっとけなかったの……」
「そうかい……」
しんみりとした空気が流れた。
「もう、切嗣ったらそんな顔して〜」
暗くなった親父の顔をおさえ母さんは笑った。
「はは、君にはかなわないよ。
アイリ……」
「切嗣……」
二人の空間が出来上がってしまい、居心地が悪くなったので、お邪魔虫になる前にこっそりと出ていくことにした。
自室に戻ろうと廊下を歩いているとバゼットと遭遇した。
「おや、衞宮士郎、部屋へ戻るところですか。」
「ああ、そう言うバゼットの方こそこんな所でどうしたんだ?」
「先程アイリスフィールが買い物に誘ってきたのですが、時間を言われていませんので、それの確認に行こうかと思いまして。」
「ああ、そう言えば俺も聞いてなかったな。
あ〜けど今は取り込み中だから後にしたほうがいいよ。」
「そうですか。
では衞宮士郎、今は暇でしょうか?」
「?暇だけど」
「なら私と模擬戦をしましょう。」
そう言いながらバゼットは俺の腕を引っ張り道場へと向かうのだった。