邪龍ノ終着   作:超ローマ人

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夢の終わりと始まり(前編)

黒い君主は無数の赤い槍でサーヴァントを食い尽くそうとする。

灰色の巨人・スパルタクスは赤い槍をゴーレムを踏み台にすることによる跳躍でかわし、

飛びかかる。

槍と剣がぶつかり、火花を散らせた。

「今のうちに畳み掛けるぞ!」

「あぁ。」

アヴィケブロンとアタランテがゴーレムと弓矢を以て攻撃を仕掛ける。

「自爆しろ!」

「うぉおおおっ!!」

黒い炎の矢がゴーレムの炉心に引火し、爆発を生んだ。

黒い君主は炎に包まれたが、霧となってアタランテとアヴィケブロンに斬りかかった。

しかし、彼の槍が刺さったのは両者とは異なるスパルタクスであった。

「痛みこそ快感っ!汝を抱擁するぅっ!!」

それを合図に両者は離れた。するとスパルタクスの体は光り数体のサーヴァントの霊基を壊すほどの爆発を挙げた。

「魔力が消えた……どうやら片付いたようだ。」

「そのようだ。」

「一つの圧政を滅ぼしたぁ……次だ!」

 

 

「しっかりしろ、黒のバーサーカー!赤のセイバーっ!」

「くそっ!」

「うぅああーっ!!」

毒に冒され、モードレッドとフランが敵の毒に苦しんでいた

「あの女王・セミラミスが出したのは神を苦しめる毒だっ!それよりこのランサーに集中っ!」

「済まないな、ライダー。だが、俺たちとあのランサーとじゃ実力は天と地の差だっ!悠長に構えてはいられないぞ!」

 

 

一方──

「なんだ?この偽物聖杯たち、クラスが別れているじゃないか……?さては……」

藤丸はそのうちの一つの聖杯を切り落とし、後を分身に託した。

また、分身も偽物の聖杯を素早く処理した。

何体かは鎖に縛られその魔力を全て吸われることで消滅し、また別の何体かは白い剣を使った雷の地獄突きや赤い剣によって切り落としによって倒された。

「さて、後はジークのところへ行くとするか……やはり、敵の魔力が落ち込んでいるな。

藤丸は走りながらその気配を察知し味方サーヴァントが助かることに安堵した。

 

 

「流石は赤のランサー……相変わらずの強さだ。」

「どうすんのさ?!」

「むっ、待て。様子がおかしいぞ?」

ランサーがその体を浮かばせて槍を展開していたその時。

途端にランサーの体が蒸発しかけのように粒子を放出していた。

体から力が抜けていっているのが明確だ。

一方で女王も同じように力を失っていた。

「今だっ!!!」

青い光が剣を包み、ピポグリフが風を纏って現れる。

「邪悪なる竜は失墜し、世界は今、落陽に至る。撃ち落とす!『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」

「『この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)』!!」

さらに文豪が立ち上がった彼らに魔力を分け与える。

「さぁ、進みなさい!」

ランサーは強化された両者が挙げた光によって倒された。

 

「ここが動きの隙間かっ!」

「そうです!さっきよりも動きが鈍りましたねっ!今だ!!」

 

 

「ジーク!」

「リツカ!ダーニックは封じたぞ!」

藤丸はジークの報告を聞くとダーニックの顔を拝見しに行き彼の頭上から蔑むように話す。

「なぁ、今どんな気持ちだ?『化け物』さんよ……」

「ぐががが……」

ダーニックは頭部に刺さった剣に苦しんでいるようだったが…

「……おい、貴様。何魔力を貯めている。」

「カルデアのマスターにはバレたが、もう遅いっ!貴様らと対峙したほうの14体の魔力が今溜まったのだっ!!!」

電気に対する耐性を持った『化け物』は脳天に刺さった剣を引き抜く。

「サーヴァント14騎分だと!?」

「いや……それ以上の魔力を感じる!!マスターっ!この魔力は放っておくとあの快楽尼級に到達するぞっ!!」

藤丸の首にぶら下がった魔導書・アークミネルバがダーニックの危険度をマスターに知らせる

「覚悟は決まったか、ジーク?」

「勿論だっ!!」

ジークはそのままの姿で空かさず床に落ちた剣を拾い、魔力を高め銀色の騎士となった。

藤丸は赤い龍の戦士となって体色と同じ色彩の剣を構えた。

「はぁっ!!」

銀色の騎士・ジークフリートとなったジークは青い炎の光線を剣から放った。

「クックックッ!今の私からすれば温い火だっ!」

「そうかよ……」

赤い邪龍・アワリティアの力を纏った藤丸は赤い剣で何も無いところからかまいたちを発生させた。

炎が一瞬消えたように見えたが、それは間違いである。青い炎はかまいたちと同化し吸血鬼・ダーニックの体を内部から侵食させたのだ。

「リツカとの初のコンビネーションだが上手く……」

「いや、まだアイツは余力を残しているっ!」

ダーニックは傷を瞬時に回復させて炎をかきけしたのだ。

「カルデアのマスター。貴様は沢山の旅をし、戦闘経験を積んでいるのであろうな……。だが、貴様の旅もここで終わりだ。」

ダーニックは巨大な槍を地面に突き刺した。

「ジーク!上へ飛べっ!!」

「無駄だっ!」

ダーニックは魔術のドームで二人を囲った。

「まずいっ!!」

「耐えるしかねぇのか!?……いや、攻めるのみっ!!」

ジークのほうへ赤い槍が地面から走る。

「うおおぉっ!!」

藤丸はその槍に対して地面を伝うような巨大な炎の波を発生させる。

拳が叩き付けられた地面から溶岩がその姿を現し、ダーニックが発生させたドームを焼き尽くした。

しかし、この技は藤丸にとっては大技であるため連発は不可能である。

「くっ……!」

「勝算が見えないまま時間切れか…っ!」

藤丸はなんとか赤い戦士としての姿を保てたがジークは元の制服姿に戻ってしまった。

「動けないようだな?終わりだっ!!」

ダーニックは魔術式から空間をも焼き尽くすと思われるほどの巨大な光を藤丸とジークに向けて放った。

 

 

「くそっ!!」

「ここでっ!!こんなところでっ!!!諦めるかぁぁぁっ!!!」

藤丸は白い剣でダーニックの魔術攻撃を無効化しようと前に出る。

その様子を敵は嘲笑う。

「無駄だ無駄だっ!藤丸リツカ!!貴様はもう動けないし、その姿を保つので精一杯の筈だっ!!貴様にこれ以上何が出来よう!?えぇっ!!?」

狂った笑いで戦場の軍配を掴み取ろうととするダーニックだが、藤丸の怒声がそれを遮る。

「ふざけやがってっ!!!根源に至るためなら周りの人間を駒のように使う自分に酔いしれてる貴様にっ!負けて溜まるかよぉお!!」

「他人のために頑張るというのか!?それは弱者の戯れ言だぁぁ!!!」 

そう言われた瞬間、藤丸の中の琴が切れた。

「うおおぉっ!!アァァアアァァア!!!」

白い短剣が銀色に輝いた。その瞬間、ダーニックの光線はその光を乱射させ消滅したのだ。

「なっ!?」

それだけでは無かった。藤丸の目の前には一本の白い長剣があったのだ。その剣は藤丸が先程その手に握っていたものとは違い、曲線を描きながらも美しく地面に突き刺さっていた。

そして藤丸〈岸波〉にとってその剣は見覚えしかなかった。

「ありがとう、ネロ……いや、セイバー。」

さらにジークの目の前にも。

「これは……そうか……俺に貴女との約束を守れと言うんだな?」

持ち手が十字架であしらわれている細剣をジークは右手に握り、過去の聖杯大戦で自身のサーヴァントが所持していた剣をもう片方の手に握り締めた。

「なんだ…?その剣は!?そして、何処からその魔力を引き出した??!」

「ハッキリ言ってやろう、ダーニック」

藤丸に続いてジークが言う。

「これは……貴様が捨てた『人としての思い』の力だっ!」

藤丸が赤い剣と白い剣を両手に携えたのを合図に二人の男は魔物と化した魔術師に立ち向かった。

 




「藤丸<岸波>」となってるのは何故か?
ハーメルンで掲載している「SERAPH Memory」をご参照ください
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