邪龍ノ終着   作:超ローマ人

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予定してたタイトルから変更


荒野に吠えろ

「うぉぉぉ!!」

朱い邪龍=アワリティアの力を身に纏う藤丸は獣のように吼え、灰色の巨漢を地面に叩きつけるように飛び付いた。

そして男の顔を何度も殴り付けた。しかし、男の一蹴により朱い龍戦士は再び地面に放り出された。

「お前が俺を満たしてくれるのかぁぁ!!?上等だぁぁぁ!!!」

 

 

「ッ!バーサーカー相手にただの力押しでは流石にキツいか……!」

銀の騎士=ジークフリートに変身したジークは鉄槌を振るう花嫁と対峙していた。

彼は鉄槌から流れる電撃に見覚えを感じた。

「………ッ!そういうことか。貴女があの時……。」

銀の騎士は対峙する花嫁を真っ直ぐ見据えた。

 

 

「矢か……嫌なことを思い出させるが……。アンタのはそうでもねぇ。」

槍を携えた大英雄=アキレウスは森に生い茂った木を背にしながら敵の様子を伺った。

女狩人の眼は鷹のように鋭く、アキレウスの足でも避けるのが難しい。

「さて、どうするかな?」

 

 

一方で、土塊の巨人を操る魔術師=アヴィケブロンは体に虫が走るような肌触りを感じていた。

「僕はゴーレムで支援しているが……それに似て非なる物を感じる……。……!アレは!?」

彼は自身が召喚した覚えの無い土塊の巨人が丘のほうから走ってくるのを目撃したのだ。

「マスター!聞こえるか?」

彼は藤丸に連絡を入れた

「どうした?!」

「ゴーレムには僕が召喚したヤツ以外のもいる!」

「それはつまり……」

すると人馬の賢者=ケイローンが口を挟む。

「ジャックザリッパーが闘っているところ以外で霧が発生!これは敵側の数が減ってはいないということ!」

「シェイクスピア!無事か!?」

藤丸は昨日倒した敵の顔を思いだし、呼び掛けていると対峙している巨漢の力が増すのを悟った。

「今もう一人の自分と対峙しているところであります!」

「一足遅かったか!リツカ!一気に決着を着けたほうが良さそうだ!!」

「あぁ、じり貧になりかねんっ!!」

 

 

黒い体に炎の鱗を持つ龍戦士は赤い剣を手に取り龍殺しの騎士は銀色に煌めく剣を避雷針のように天に掲げる。

灰色の巨人が龍戦士に覆い被さった。敵を抱き締めて光を発しようとしたその時。

巨人の視界は星空を見た。

「アワリティア・ディスメンバー……!」

頭部だけでなく、腕や足も星空に舞い、カルデアのマスターのみに赤い雨を降らせた。

「さて、偽のシェイクスピアを撃つとするか。」

さらにカルデアのマスターは赤い外套を纏い、城のほうに走った敵を矢を放った。

敵の頭部に矢が刺さり、一つの剥製が出来上がった。

 

 

一方で、花嫁衣装の怪物のところで雷の樹がそびえた。

そこに龍殺しの騎士の姿は無く、立ち込めた煙の中からスーツ姿のホムンクルスが花嫁のところへ突進した。その右手を龍の鍵爪へ変え、青い炎の塊を花嫁の怪物の顔にぶつけた。

 

 

狩人は韋駄天の動きを止めるように無数矢を天から放つ。しかし、鎧を来たはずの韋駄天はそれを馬並みの鋭い感覚とそれ以上の素早さでかわした。それを見た狩人は黒い獣皮を取り出そうとする。

「させねぇよぉぉぉ!!!」

韋駄天はその足の速さをさらに加速させ、矛で狩人を突いた。そして、狩人は黒い砂の城となり崩れた。

「…………」

 

 

漸く朝が明け、影たちは退いた。

「やっと終わったな」

「えぇ、皆さんよくぞ耐えました」

「俺は寝る。中々に激戦だったのでな」

「あぁ、お疲れなら休むと良い」

藤丸はそのまま寝床に倒れた。彼には膨大な魔力と鍛えられた身体があるとはいえ、サーヴァントたち、自身の強化そして敵への攻撃と様々な手段で使えば疲労が溜まるのは必然的である。

だが彼の魔力回復速度は速く、僅か10分で起き上がった。

「目覚めたか、マスター」

「あぁ、どうにかな」

藤丸は珈琲を部屋の棚から取り出しながら首に下げた魔導書に話しかける。

「随分寝てたようで悪いが、また新しい気配がしたぜ?あのホムンクルスもこちらに来るはずだ。」

すると、預言通りにドアを勢い良くジークが開ける。

「大変だ!」

「あぁ、落ち着け。もう行く」

藤丸はコップに淹れた珈琲を一気に飲み干し、庭園まで急行した。

そして庭園まで着くと、大きな龍に向かって唸る人型がいた。

「………なんか猫がいるな」

「……アレに警戒するのも無理は無い、端のところに退けて置こう」

藤丸とジークは黒い邪龍が敵でないことを唸っていた猫……いやフランケンシュタインの名を冠する英霊を説得した。

 

 

「圧政の臭いがするぅ」

「確かに、この特異点は胡散臭いな」

反逆の巨漢・スパルタクスが青空を睨む。藤丸も相手に同調するように空を見上げた。

すると、スパルタクスは庭園の一部を寝床にした。

「おやすみ」

「なんで!?」

家宝は寝て待てと言うが、バーサーカークラスの彼に藤丸は軽く振り回されてしまった。

「マスター、こいつに関わるよりもう一人……いや、一匹?の気配を探れ。そうじゃねぇと落ち着かねぇ」

「分かってる。」

 

 

「…………」

「…………何だ、アキレウス。私の顔に何か付いているのか?」

藤丸はもう一騎のサーヴァントの気配を探り部屋に入ろうとしたが、二人の間に入ってはいけない気がした。

「………何を為さってるんですか、マスター?」

「ケイローン先生、少しここを離れましょう」

「あの、作戦の話が……」

「それはもう少し待って頂けると助かるのですが。」

藤丸はこの状況を打開しようと対策を練った。そして、ある案が浮かんだ。

「そうだ、ケイローン先生。少し身体を動かしたいので、修行相手お願い出来ますかね?」

ケイローンは少し考えたが教師としての精神を刺激されたかのように承諾した。

 

 

次回予告

「この特異点を造っている魔力の元は、天空に聳え立つあの城か」

「セイバー2体だと!?」

「!!!」

 


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