邪龍ノ終着   作:超ローマ人

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邪悪な魔術師─前編─

「ちっ!侵入を許したか。だが、私の願いはそう簡単には打ち砕けれないぞ…?」

「あぁ、ここまで俺たちに足を運ばせやがって。」

黒い影が愚痴と決意を混ぜた言葉を発すると、それを挑発する男がいた。

男は抑止の力を纏いながら矢を射る。

「貴様がカルデアのマスターかっ!人の身を纏った化け物め」

「すばしっこい魔術師様だっ!」

「そこだっ!」

暗闇を照らす電撃の鍵爪が魔術師に迫る。

「貴様は…っ!」

「!!」

魔術師は鍵爪をかわすと鍵爪の持ち主を背を蹴り飛ばした。

「図に乗るなっ!!」

仲間を傷つけられて堪忍袋の緒が切れたカルデアのマスターは白と黒の夫婦剣をブーメランのように投げつけた。

「リツカ、そいつにそんな小手調べは通用しないぞっ!」

「そこのホムンクルスの言う通りだ!」

剣は魔術師の後ろへ飛んだかのように思われたが、直ぐに戻るような軌道を表した。

「その程度か?」

魔術師が抑止の男を挑発するが

「貴様の力量を見誤るとでも?」

男の姿は魔術師の目の前から消えた

「!?」

魔術師は後方からの剣をかわしたが、それには魔術式が組まれていた。

白と黒の鎖が魔術師を捕らえる。

四肢と首そして胴体をも縛り上げ男とホムンクルスは漸く敵の顔を拝めることが出来る。

「お前は……!」

 

 

「クソがぁぁぁ!!」

赤い騎士が黒い衣を纏った女王に向かって真っ直ぐ突進した。

しかし、魔術式から現れた巨大な蛇の頭から吐かれた毒の海が騎士・モードレッドを襲う。

「チィッ!!」

「うーあーっ!!」

蛇の頭目掛けて雷を宿した鉄槌が命中し、毒の海をなんとかかわしたモードレッドは赤い電気を剣に纏わせながら女王目掛けて再び斬りかかった。

「クラレント……っ!!」

女王は結界を張りながら何かを唱えた。

すると、モードレッドは吐き気を催し始めた。どうにかそれを飲み込んだが、炎の熱線が彼女の鎧を貫通し体を吹き飛ばした。

鉄槌の持ち主であるフランは叫びながら黒い液を嘔吐してしまった。

「赤のセイバーっ!黒のバーサーカーっ!!」

熱線の持ち主でやある金色の槍使いは対峙する黒のセイバーことジークフリートの一瞬の隙を見逃すことなくかつ女王を援護するために目から熱線を放ったのだ。

「どう見てもヤバいよね?今の状況!」と黒のライダーことアストルフォが槍で応戦しながら言う。

「あぁ、想像以上に手強いぞ!」

一方で黒い君主は長物の槍や地面から生える赤い串で黒い獣戦士とゴーレムの軍団そして灰色の巨体を持つ兵士を抑える。

「ぬぅ!なんたる圧政!」

「当たれば即死する危険性があるぞ!」

「あぁ、僕のゴーレムが次々と破壊されている。マスターからの魔力があってもこのままではじり貧は免れない。」

 

 

一方で韋駄天とその師匠たる賢者は敵にコピーされた自分たちに苦戦を強いられていた。

「先生っ!こいつらっ!!」

「えぇ……これは中々に厄介でしょう」

コピーとしての敵は同じ動きしかしないために、闘っても相手に明確なダメージを与えられずにいた。

「長引くぜ……コレはよっ!!」

「その件なんですが……私に良い考えがあります。動きながら説明します。」

賢者・ケイローンの提案は一見とんでもなく無茶だが状況的には間違っていない。

敵を目の前にしてゆっくりしている暇など無いからだ。

「ったく、また無茶な要求しやがるよ…なぁっ!!」

韋駄天・アキレウスは承諾を意味する親指を挙げるとそれが合図かのように両者は激突した。

 

 

「お前は……!ダーニック・ユグドミレニア!!」

「知ってるのか?」

抑止の力を纏ったカルデアのマスター・藤丸はホムンクルスであるジークが魔術師の名を口にした途端に驚いた。

「ユグドミレニア」。その名はゴルドルフ・ムジーク所長の名前にも付いていたからだ。

「ユグドミレニアの生き残りか…?」と藤丸が問うとジークは「そうじゃない」と答えた。

「この男は聖杯大戦の時に戦死した。そして明確な理由は分からないが、復活したのだ。推測としてはこの聖杯の中に侵入することで。」

「ふんっ、ホムンクルスにしては察しが良いな。」

「……で、ダーニックとやら。何が目的だ?」

藤丸はいつでも魔術師を痛め付けれるように剣を向けながら質問する。

「ハハ……ハハハハッ!!目的が何か?魔術師ならば決まっておろう!!根元に達することだよっ!!!」

狂った笑いを浮かべるダーニックを見た藤丸はある意思を固めた。

「そうか……じゃあ、根源に至るまで好き勝手にしろ。………無限の輪廻の中でなっ!!」

そう言うと彼は剣を脳天に目掛けて振り下ろした。

すると、ダーニックの周りが黒い魔力で溢れていった。

さらに赤い霧のような物までもダーニックを包み混んだ。

「この魔力はっ!!」

「リツカ!離れろ!!」

赤い霧が藤丸の首に飛び掛かろうとしたが、藤丸はこれをかわした。

「サンキューな、ジーク。今のでアイツの正体は分かった。」

「なんだ?話してみろ。」

「それはな……吸血鬼だ。」

 

 

藤丸が答えると、赤い霧の中からドラキュラを思わせる怪物が現れた。

「我が悲願っ!今度こそ叶えてやろうぞっ!!大聖杯は我の物だぁぁ!!!」

「なんて魔術師だ……」

「ジーク!後ろだっ!!」

後ろから黄色いレーザーがジーク目掛けて飛んだが藤丸は七識の花弁でこれを防いだ。

「ならこちらもだ!」

ジークは黒のセイバー・ジークフリートへ変身し、吸血鬼となったダーニックへ立ち向かった。

「おいおい、君たちは後ろを見なくて良いのか?」

「お前の後ろに何があるか教えてやるからっ!ほんの少しの間だけダーニックを頼むぞ!ホムンクルス……いや、『一人の人間』・ジーク!!!」

藤丸はダーニックではなく大聖杯と似たような球体と対峙した。

「信念無き偽物が……俺の前に立つなっ!!」

藤丸は赤い剣を振り、聖杯の偽物に赤い太刀筋を浮かび上がらせた。

偽聖杯は波に拐われた砂の城のように崩れ落ちた。

「アワリティアデイスメンバー…!」

「偽物でも聖杯の魔力は旨いな。」

「そんなお前に朗報だ……あと13個あるみたいだな。」

「マスター、イケるのか?」

「一人じゃキツいな……」

そう言うと藤丸は魔力を高め自らの分身を4体も作った。

「ここは分身に任せたいが…その前に一体だけ斬るか。」

 

 

「紛い物風情がっ!」

「この大聖杯を守ることを誓った身として!貴様を倒す!!」

姿は黒のセイバーの偽物であっても、信念は本物の一人の人間そのものだ。

「私は貴様とは違って!完全なる融合なのだっ!!」

竜殺しの剣が心臓に刺さってもなお吸血鬼はその動きを止めないどころか、爪と牙でセイバーとしての身を傷付けた。

「くっ!」

「喰らえ!!」

赤い霧でジークの体を包むと霧から無数の槍を出し串刺しにした。

「ホムンクルスが魔術師に勝てるとでも!?」

不敵な笑みを浮かべていると竜殺しの姿が無くなっていた。

「なに!?どこだ!?」

すると、上から緑色の電撃が落ちてくる。そしてその電撃を纏った白い剣が吸血鬼の脳天を刺し、吸血鬼の体を地に伏させた。

「ぐ、おぉぉぉ!?」

「…よし!」

竜殺しから元の姿に戻ったジークはそのまま吸血鬼の動きを封じたのだ。

 

 

 




再来週で最終回
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