第11話
「行きなさいシン!貴方の力はその程度ですの!?」
「落ち着けセシリア、座って視ろ。」
セシリアとの仲直りもすみ放課後、共にSEEDDestenyを見ているのだが、セシリアが興奮してみているのは、シンがザムザザーに苦戦して初めて種割れを起こすあのシーンだ、このシーンって確かにシンも凄いけど何度も見ると、シンからの要望に即座に対応しているメイリンも凄いんだよな。
そうこう考えているとシンも危機を乗り越え、ソードシルエットに変更、悪役切りで敵の船を沈めていくシーンだ。
どう見ても主人公の顔ではないです。本当にありがとうございます。流石のセシリアもこのシーンは…
「やりますわねシン!さすがは私の認めたパイロットですわ!その調子ですわよ!」
「…さよで」
どうやら彼女には受けがいいようだ。
「ふぅ、本日も良い内容でしたわ」
「ご満足いただけて何より」
取り敢えず一区切りつき、持ってきたDestenyのブルーレイを片付け始める。
「そう言えば傷の方はどうですの?」
「あの傷か、見た目はデカかったけど、幸い深く切ってなかったから包帯を軽く巻いて終わりだよ。」
ほれ、と言いながら負傷した部分を見せる、負傷した箇所を見るとセシリアは申し訳なさそうに呟く。
「本当にごめんなさい、私のせいで」
「もういいって、申し訳ないと思うなら普通にしててくれ」
このやり取りをするのも今日で何度目だろう、怪我をしたあの授業以来度々こんなやり取りをしている。
セシリアとしては、やはり何処か気にかかる部分があるのだろう。
「でしたら、お詫びとして何かしますわ、またお昼ご飯でも作って」
「やめろ」
妙案が思いついたように、セシリアが沈んだ顔を明るくさせながらそんな提案をするが、今度は光希の方が顔を沈める、というか青ざめさせる。
「何ですの!私の手料理が食べれないといいますの!」
「あれは料理ではない、人の食べ物じゃありませんよ!」
「まぁ!何ですのその言い草は!流石に傷つきますわよ!この前だって気絶するほど美味しかったのでしょう!」
「料理で気絶してるって事は、料理が劇物なんだよ!というかお前あれ味見してないのか!」
「してませんわ」
「してませんわ、じゃない!いいか、料理を振る舞うならせめて完成品の味見をしろ、それがお前の料理を食う条件だ!」
両者共に譲れないものがある、光希に関しては命に関わる問題である。しかし、年頃の、しかも女子が厚意で作ってきた手料理である。
そんなものを料理と扱わず劇物扱いしたのである、当然。
「そんなに、私の料理を食べたくありませんの…」
あまりにもな反応をされたせいで、セシリアは涙目になり俯いてしまう。
流石にその反応をされると光希も強くは言えないし、折れざるおえない。
「わかった!俺の負けだ、食べる、食べます!」
「本当ですのね!男に二言はありませんのよ!」
結局根負けし、光希が折れる形になる、セシリアはいつも以上に嬉しそうな顔で答える。
(あんな顔されたら誰だって折れるだろ)
「その代わり条件がある。」
「何ですの?この期に及んで食べないなんて言いませんわよね」
「違う、料理を作る時俺も呼べ、一緒に作るぞ」
こうでもしないと俺の命が危ない、せめて俺がフォローすれば何とかなるはずだ。というか何とかしないと死ぬ!
「いいですわよ!それでは日程の方は改めて連絡しますわ!」
「おう、じゃあ今日はお疲れ、また後でな」
「ええ、また後で、光希さん」
その声を後ろに、セシリアの部屋を出る。何とか当面の命の危機は回避できた。後は本番で上手く立ち回れるようにしなくては。
「料理の勉強しとこ…」
ふとそんな事を考えながら自身の部屋に戻っていく光希だった。
「ただいま~って、シャルルいないじゃん」
自室に戻るとそこにシャルルの姿はなかった、シャルルにはセシリアの部屋でガンダムを見るから帰りは遅くなるといっているのだが、鍵はかかっていなかったので恐らく部屋のどこかにいるはず。
「というかここにいなければトイレか、風呂場しかないんだけどな」
恐らくどちらかなので、探したりはしない、むしろ探しに行ってラッキースケベ何て起こったら目も当てられない。しかし、それはそれとして夕食の時間までまだ時間はあるので暇である。
「エクバでもしよ、コアガンダムⅡのコンボ練習でもするか」
そういってセシリアの部屋に持って行っていた、Destenyのブルーレイを片付け、PS6を付けてガンダムをプレイしだした。
どれほど練習していたかは定かではないが、ふと練習中にガチャリと音がした、音の発生源は風呂場の方、時間を見ると夕食に行くには少し早いので、俺も風呂に入ろうかな?何て考えていた時。
「はぁ~いいお湯だった…」
「お、シャルルただい…ま…」
風呂場から出てきたのは間違いなくシャルルだった、それに間違いはない、あんな容姿の人間そうそう間違えることはない、ただ一つ問題なのは…
「何でバスタオル一枚で出てきてんだよお前は!!!!???」
「うわぁああああ!何で光希がここに!?」
「バカ!取り敢えず服着てこい!アホ!!」
「うわわわごめんなさーーーーい!!!」
どうしてここまで警戒していたのに、ここでこんな大ポカやらかしたんだ俺…、確かに遅くなるとは言ったんだからシャルルも警戒せずに少しくつろごうとしたんだろう、しかも俺いつも入る時にノックしてたし、気づいてなかったのもあるんだろな、セシリアとの交渉で死の危険を感じてたから完全に気が抜けていた。
しまった、どうする、本来ならこれは一夏がする事のはずだ、俺の管轄じゃない、今から一夏を呼ぶか?いや、そんな事をしたらシャルルの方が気にする可能性がある、あいつは一応まだ自分の事を男だと隠している身だ、そんな状態でむやみにやたらに情報の拡散をしては…
頭を悩ませ考えているとシャルルがバスルームから戻ってきた、ジャージ姿で、もうバレたからか男性姿ではない、なぜわかるって?でかいんだよ分かれよ!
お互い距離をとり、無言でどう会話を切り出していいかよくわからなくなっている、部屋に響く音は先ほど俺がつけたエクバの音だけが響いている。
エクストリームバーサス! うるせぇ!取り敢えず消しとこ。
エクバを消すために動くとシャルルはビクリと動く、やはり警戒してるよな、秘密にしてた事を見られたんだし。
ここは、俺から動くべきだよな…
「シャルル」
「は、はい!」
「すいませんでしたああああああああ!」
「えぇ!?」
俺はシャルルの前で土下座をする、ただの土下座ではない、空高くジャンプし、着地と同時に綺麗なフォームをしつつ相手に近づくスライディングジャンピング土下座、加えて頭をこれでもかと地面に擦り付ける。
「この度は、私の不用意な行動の結果、シャルルに不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございません!ですので何卒、何卒他の人には…!!」
「えぇ!?何で他の人が出てくるの!?」
「お前わかってないな!?女子がこれ痴漢ですって言ったら疑惑が立つのが今の日本社会何だよ!お前がもし明日織斑先生とか、クラスの女子一人にでもこの件言ってみろ!たちまち俺はクラスどころか学園中の女子が敵になり、責められ!糾弾され!最終的には学園を追放!どこに行ってもあのIS学園で問題を起こした生徒だと言われて仕事も貰えず、周りの目にビクビクしながら生きていくしかなくなるんだ!」
「そ、そんな事しないよ…」
「わかんないだろ!?ここから先の言動しだいでいつそうなるかわかんないの!?」
「お、落ち着いて!落ち着かなきゃ本当にそうするよ!」
「すいませんでした」
「すぐそうやって落ち着かれるとそれはそれで…」
落ち着いた、ベリー凄い落ち着いた、というか脅された、取り敢えず当面の危機は去ったようなので何とかなりそうではある、しかし一度でも選択肢間違えると死にそう。
外面は平然としてるが、内面は常に精神崩壊したカミーユ状態でシャルルと向き合ってるとシャルルはポツリポツリとここに来た意味、そして何故男装をしていたのかを話し出した。
長いので要約すると、お父さんに男装してIS学園行ってこい、ついでに日本の男子のISデータも取ってきてね!だって。
「本当の事話したら楽になったよ、聞いてくれてありがとう、それと噓をついていてごめん」
そう言いながら頭を下げるシャルル。それを横目に俺はある事を考えていた。
なるほど、つまりISのデータが必要だと。
「じゃあはい、俺のISデータあげるよ」
「えぇ!?何でそうなるの!?」
「え?いらない?やっぱり第二世代だからなぁ、一応可変機だから特異性はあるけど性能的にはあれだし」
「じゃなくて、自分の専用機のデータをそんな簡単に…」
「でもそうしないとお前がどうなるかわかんないんだろ?」
「そ、それは」
なら渡す一択だろ、幸い俺のフラッグのデータは見られた所で問題はないはず、もしかしたら後日俺が束さんにシバか…いや殺されるかな?まぁ、大丈夫だって多分。
出てきた冷や汗をぬぐいながら、データを渡す準備をしつつ更にシャルルに説明をする。
「取り敢えず当面はそれで誤魔化しといて、具体的な改善案は後3年あるしその間に考えるればいいでしょ」
「え、そんな時間どこに」
「IS学園の特記事項に書いてるぞ、確か、この学園は在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しないみたいなのが」
そう言いながら片手間に自分のIS学園の生徒手帳をシャルルに渡す。
「あ、本当だ、よく覚えてたねこんなの、特記事項って55項もあるのに」
「男子がこの女子まみれの所で生活するにはこれぐらい気をつけてないと駄目なんだって」
「け、警戒しすぎじゃないかな?」
「警戒しなきゃダメなの!俺は一夏みたいにイケメンじゃないんだから!難癖付けられたら生きていけなくなる!」
「…そんな事ないと思うけどな」
「そんな事あるの!…はいこれ」
そう言いながらシャルルにデータ媒体を渡す。
「この中に俺の身体データや俺の専用機のデータがある。取り敢えず持っておいて、何かあったらそれを使えばいい、そうしたら国になんか言われてもどうにかなるだろ、あ、勿論女子だったって事は黙ってるし」
シャルルにデータを渡しながらそう説明をするが、それでもシャルルはまだ顔が沈んでいる上に、データを受け取ろうとしない。
「でも本当にいいの?僕のせいで君が危険な目にあう可能性だって」
「もしそうなったら俺の性であって、シャルルのせいじゃないだろ、大丈夫だって俺だってそこそこ強いんだし」
一夏みたいなチートではないとはいえ、束さんの下で訓練してたんだ、そんじょそこらのISに負けるつもりもない。
「だからさ、受け取ってくれよ、シャルル」
そういうとシャルルはやっと顔を上げてくれた。
「…うん、ありがとう、光希」
そしてシャルルは俺のデータを受け取ってくれた、これで当面は大丈夫だ、後はどうするか…そんな事を考えていると、ノックの音が俺達の部屋に響いてきた。
「光希さん?夕食の時間が過ぎてしまいますわよ?」
「セシリア!?何でここに!?」
「ど、どうしよう光希!」
「取り敢えずシャルルは布団かぶってろ、俺が何とかする!」
そういうとシャルルは自身のベッドで布団を被り、俺は急いで入口の扉を開ける。
「わ、悪いセシリア、シャルルが体調崩しててな、え、えっと今日は悪いんだが一人で食っててくれ」
「まぁ、大丈夫ですの?確かにそんな状態では一緒に行けませんわね、しっかりと面倒を見てあげてくださいね」
「お、おう悪いなセシリア」
そういうとセシリアは一人で食堂へと向かっていった。
あっぶねえ、そう言えばいつも一緒に行ってるんだから連絡もしてなかったらそうなるよな、ごめんなセシリア。
「悪いなシャルル、何とかなったよ」
「よ、良かったー心臓が止まるかと思ったよ」
「本当ごめん、お詫びに飯貰ってくるよ、今の状態で行くのはあれだろ?」
「え、いいよそんなの、急いで準備すれば何とかなるから」
「俺が体調崩したって言っちゃったから外には出れないよ、ほら大人しくしてろ、希望があれば聞くけど」
起き上がろうとするシャルルを無理やり寝かせる、適当な出まかせとはいえ、直ぐにシャルルが出てきてしまってはセシリアに疑われてしまう。
「そっか、なら何でもいいよ、光希に任せる」
「了解」
そう言ってシャルルと俺の分の飯を食堂に取りに行った。
「持ってきたぞ、鯖煮込み定食だ」
そう言って二人分の定食を並べる。
「え!」
「あれ?苦手な物あったか?」
シャルルは持ってきた定食を見ると、凄い顔をした、どう頑張っても苦手な物があった時の顔だ。
「いや、大丈夫!」
そう言いながら箸を割るシャルル…箸を…割れない、いや割れたが凄いいびつ!
「そうか、箸が苦手なのか」
「練習してるんだけどね」
「ちょっとまってな、確かここに、あった」
そう言いながら自分の棚からフォークとナイフを取り出す。
「何で用意してるの?」
「あると便利だろ?」
「…ありがとう光希」
こうして和やかに夕食は進んでいった。
正直セシリアよりシャルの方が書きやすい、お嬢様言葉を難しいナリ。