トーナメント戦はラウラの騒動で中止となりいったん解散となったわけだが、俺とシャルル、それに一夏は現場検証やら、事実確認やらで色々と調査されたり聞かれたりして、結局解放されたのは晩飯前、漸く自由になれるという事で、食堂、ではなくセシリアの自室にいたりする。
「疲れた…」
「お疲れですわね」
「まあな、色々とたらい回しにされた上にボロボロだったから余計にな」
「私に優勝を持って帰ってこれませんでしたものね」
そういじってくるセシリア、セシリアの部屋にいる理由は彼女の体が原因だ。
セシリアは本来ならまだ保健室か自室で安静をするべきの体なので、俺がこうして飯を持って来ていたりする。
でも飯食べる時は流石にテーブルに移動する、セシリア曰くベッドの上でご飯を食べるのははしたないんだとか、病人なら無茶するなよとは思うが、そういう所に拘るのは彼女らしい。
「それを言うな、一回戦以外中止になったんだからしょうがないだろ」
「まぁ今回は許して差し上げますわ、その代わり、何か別の事要求しますからね」
こいつ…それが飯持ってきて貰ったやつの態度かよ、まぁ何だかんだ言われながらちゃんと持ってきているあたり、俺もこいつの事が嫌いじゃないんだよな。
「わかったよ、それより食おうぜ」
「そうですわね、本日は何ですの?」
「お前はハンバーグ、俺は鯖の塩焼き」
「毎回それですわよね…」
良いんだよ美味しいんだから、鯖は全ての魚の中で一番うまいんだぞ。
「いいだろ別にそれよりも、ほら」
「そうですわね、では」
「「いただきます」」
そう言いながら飯を食べる、普段より遅く、尚且つ俺にとっては戦闘があった後なので空腹も空腹だった、鯖のパリッとし皮に香ばしいにおい、肉厚な身を切ると中から脂が飛び出してきて、咀嚼すれば確かな甘みと塩の味が口の中に広がる。この食堂の鯖料理はどれもうまいからな、正直毎日食べても飽きない。
そう考えながら食べているとセシリアが俺の方をじっと見つめてきている事に気づく。
最初は気にしていなかったが、流石に食べてる最中ずっと見られていると気になって仕方がないため、鯖を半分食べた辺りで声をかける。
「何だよ、さっきから」
「い、いえ、何でもありませんわ」
「何でもないって、お前…」
それは無理がある、明らかに何かを求めて俺を見ていた、一体なんだ?この場に俺しか持ってないもの…あ
「もしかして食いたいのか?鯖」
「そ、そんな事!貴族たるこのセシリア・オルコットが他の方の食事を欲しいだなんてそんな浅ましい事!」
「え、じゃあいらないの?」
「え、べ、別に欲しくなどありませんわ!」
そう言いながらそっぽを向くセシリアだったが、目がちらちらとこちらの鯖を見ている。
今までのそんな事なかったけど、俺が一週間連日朝昼晩と鯖を食ってるから気になったのだろう。
最初は魚なんてって言ってたくせに。
「じゃあ、欲しくないなら俺が全部食うかー」
「そんな…!ま、まぁどうしてもというなら、食べて差し上げなくてもないですわよ」
「別に?そもそもこれ俺の晩飯だし、セシリアは自分のあるだろ」
「そ、それはそうですが…」
そこまで言うと少し泣きそうになるセシリア、どこまで食いたいんだお前は、お前そんな腹ペコキャラじゃないだろ。
まぁそろそろ折れてやらないと本当に泣きそうだしな、でもただでは渡してやらん。
「しょうがないな、ほれセシリア」
「え…え!?」
「どうしたセシリア、お前にどうしても食べて欲しいと思ったから、こうやって切り分けて尚且つ食べやすいサイズにしたのに」
「で、でもこれって」
そう、俺が今セシリアにしてる事は、あーんだ、箸に小さく鯖を載せてセシリアに食わせようとしてるのだ、これならば貴族であるセシリアなら、「そんなはしたない食べ方出来ませんわ!」とか言って諦めるだろう。
これにより俺が全ての鯖を独占する、というか腹減ってるから意地悪とかでもなく上げるのちょっとやだし、無下に断るのはセシリアに悪いからな、セシリアから諦めさせるにはこういう手が一番だ。
「どうしたセシリア?ほれあーん」
「っ!…あーんっ…」
そうそう、そうやって拒んで…あれ?
「おい、セシリア?」
「な、何ですの!いいから早く次ですわ!」
そういうとセシリアは口を開けて待っている、何を?え?嘘?食べたの?どうして?
「ちょ、ちょっとセシリア!?」
「何ですの!早くしてしまわないと!食事の時間が終わってしまいますわ!」
「は、はい!」
結局この後全部俺が食べさせた。
「じ、じゃあなセシリア!また明日!」
「え、ええ!また明日!」
そう言って彼は慌ただしく部屋から出て行ってしまった。部屋に残ったのは私一人だけ。
「な、何てはしたない事…!!??」
思い出すのも恥ずかしい、少し、ほんの少しだけ彼の食べているサバという物が気になってしまい、頂こうとしたら、まさかあんな…
余りの恥ずかしさに自身のベッドで悶える、彼に食べさせてもらってからは私も彼も一言も喋らなかったせいで余計に意識してしまっていた。
「あんな、誰かに食べさせてもらうだなんて…」
しかもあーん何て、あれは恋人どうしでやる物と聞いたことがありますし、私は何て破廉恥な事を!!
「でも…」
嫌ではなかった、彼に食べさせて貰った時、味は良く分からなかったが、それでもとても幸せであった。それだけははっきりとしていた。だから子供みたいに何度もせがんで食べさせて貰ったのだ。
「それにどうして彼はあんな事を…」
しかし、それを考えれば考えるほど、先ほどまでの光景が頭の中でフラッシュバックし恥ずかしさの余り病人の身でありながらベッドで暴れだす、それを何度も何度もループしていた。
「また、して下さるでしょうか…」
セシリアはポツリと寂しそうにそうつぶやいたのだ。
「風呂だ!大浴場だ!」
セシリアの部屋を急いで出た後、食堂に変える途中山田先生に男子の大浴場が解禁されたと言われ、ダッシュでやってきた。
「あ~生き返る、やっぱりでかい風呂はいいな~」
別段シャワーでも問題ない人間だけど、でかい風呂があるならそっちに入りたいのが日本人の性だろ。
しかも今は誰もいない、部屋に戻った時シャルルもいなかったので、恐らく皆で一夏の所にでもいるのだろう。
つまりこのデカい風呂を俺一人が独占できる、なんて最高なのか。
ボケーっと風呂に浸かる、今日は色んな事をがあったなって年寄りみたいに物思いにふけり、さっきのセシリアの部屋で起こした事で恥ずかしくなって沈んだり。
そうやって一人百面相してたら誰かが大浴場の扉を開ける音がした。
誰だって考える間もなく一夏しかいないんだけどな、そう思って入り口の方に振り返り声を掛ける。
「おう、一夏!お先に…」
「お、お邪魔します…」
そこにいたのは、シャルルだった。しかもバスタオル一枚前にかけてるだけなのでちょっと色々ヤバい、湯気で見えずらいのが惜しい…じゃなくて!
「え?あれ?今って女子の時間だっけ!?」
「あんまり見ないで、光希のエッチ…」
「そうですね!すんませんでした!」
そう言われて慌ててシャルルとは逆方向を向く、落ち着け、落ち着くんだ光希、訓練なんて受けてないけど、きっとこんな時グラハムなら心頭滅却とか言うはずだ、そうだよ兄さん!シャングリラ魂だ!
「僕と一緒じゃ嫌?」
「違うそういう問題じゃない!ここ男湯だぞ!?何でお前がいるんだよ!シャルルは女の子だろ!?」
「僕も大きいお風呂に入りたくて、それに今は男だから…」
「そういう答えは求めてない!?」
いや確かに、女子としての自分を隠してるから女子の大浴場にいるわけにもいかなと思うけど、どうして今このタイミングでくるんだよ。
「迷惑なら上がるよ?」
「いや出ます俺が出ます!ごゆっくり!」
「あ、ちょっと待って!」
急いで風呂からあがろうとする俺の腕をシャルルは掴んで止めてくる。
「え?何?何ですか!?やっぱり私を犯罪者にするんですね!わかります!」
「違うよ!そうじゃなくて…聞いてほしい事があるんだ」
「それ今じゃないと駄目ですかね!?」
「うん、今聞いてほしいんだ、大事な話だから、誰にも聞かれたくない、君だけに聞いてほしいんだ」
「一夏来るかもしれないだろ!?ほらだから」
「一夏なら、箒に蹴られて今は部屋で寝込んでるよ」
何やってんだ一夏ぁああ!
大事な話、そして誰にも聞かれたくない話、恐らくシャルルのこれから先の身の上の話だろう、確かに一夏が寝込んでるならここに来る人なんか殆どのいない、つかいるわけがない、秘密保持にはぴったりだろう。
「ね、駄目…かな?」
「うっ…」
シャルルが俺の腕にしがみついてくる、止めて欲しい、そうなってしまっては逃げれる男などいない。
「わかった!わかったから取り敢えず離れてくれ!」
結局ここでも折れた。
シャルルと背中合わせかつ、ある程度距離をとる、と言っても腕を伸ばせば届く距離。出来れば限界まで離れたかったが、声が聞こえないかもしれないなんて言われたら何も言えない。
そうして少しの沈黙の後、シャルルが話してくる。
「その、前に言ってた事なんだけど」
「俺のISデータをどうするかの話?」
「そう、それ、僕ねここに残って皆と一緒に考えてみようと思う」
「ていう事は、後2年は一緒に入れるのか」
「うん、光希がいるから、僕はここに残るっていう決心がついたんだよ?」
そう言いながらシャルルは俺の手を握ってくる。止めて!
「そ、そうか、うん!力になれたなら何よりだよ!」
「それにね、もう一つ決めたんだ、僕の在り方を…」
「あ、在り方ってえ!?」
そしてシャルルは、俺に抱き着いてくる、色々当てながら。
あ、これ死んだ奴だ、俺の学園人生ここで詰んだは、父さん母さん、今までありがとう、ごめんよこんな糞変態野郎で。
そうやってこれからの身の振りを考え絶望していながらも、シャルルは話を続ける。
「僕の事はこれからシャルロットって呼んでくれる?二人きりの時だけでいいから」
そこまで来て俺の限界が来た。
「わかった!呼ぶ呼ぶ!けどあれな!シャルロットは長いからシャルって呼ぶな!二人だけの名前だしいいよな!ハハハ!俺そろそろのぼせそうだから出るは!じゃあね!シャル!」
急いで風呂を飛び出して走って逃げていく光希。
それをポカンと見ているシャルだったが。
「へへ、シャルか、君と僕だけの二人だけの名前か…フフっ」
そこには嬉しそうに笑う一人の女の子だけが残っていた。
先日は地獄でしたね!あの後ですか?急いで寝て、今日も顔合わせるのが恥ずかしかったからシャルが起きる前に教室に来て寝てました!HAHA!
セシリアとも気まずいし、シャルとも気まずい、助けて一夏エモン。
そしてそんな阿保な事を考えていると山田先生がやってきた。HRだ。
「え~今日は転校生を紹介します」
またかよって思いながら見ていると、やってきたのは見たことある…女の子だった
「シャルロット・デュノアです、皆さん改めてよろしくお願いします!」
「えっとデュノア君はデュノアさんという事でした…」
アイエエエエエエエエ!?デュノアさん!?デュノアさん何で!?どうして今更女の子に!?あ、昨日の奴ってそういう事でしたか!?
「ちょっと光希さん!これはどういう事ですの!」
「待て待て!落ち着けセシリア!俺にも何が何だか!」
一番最初に反応したのはセシリアだった、席を立ち上がり詰め寄ってくる。
「シャルルさんが女子だったという事は、光希さんはし、シャルルさんと!?」
「待って本当にまって!」
「そう言えば男子って昨日大浴場つかったわよね?」
その発言にセシリアが固まる。そしてブルーティアーズを展開しだしてスターライトMk3を俺に向けてくる。
「遺言はありません事…?」
「はっはっは」
それを見て、俺も仮面をつけてISを起動する。そして。
「やむを得ん、一時撤退する!」
「待ちなさい!光希さん!」
教室からイグニッションブーストとTRANS-AMを使用して猛ダッシュで逃げるが、それすらもセシリアは追いかけてくる。
「ちゃんと説明なさい!光希さーん!!」
「あえて言う、覚えておくがいい!」
今日も俺とセシリアは元気です。
この後織斑先生に俺もセシリアも物理的指導をされました。
主人公め、なんてうらやまけしからん事を。
あ、次の話でシャル√書くか決定するので、投票してくれると嬉しいです。
シャルルートっていりますか?
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いるに決まってんだろ早くかけ作者
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要らないから本編書け糞作者