バカなフラッグ好きとお嬢様   作:LALU

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終わりが近い。


第26話

 白騎士と天使事件 補遺

 

 白騎士と戦った天使は撃墜後日本海の底深くに沈没したと考えられる、その機体を回収しようと各国がこぞって捜索したが、天使の姿は発見されなかったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天使が構えた大型のライフルをセシリアへと向けそのトリガーを引く。

 

 「障害を発見、直ちに破壊する」

 

 「っ!?シールドティアーズ!」

 

 セシリアは咄嗟の判断で二機のシールドティアーズを前面に展開し天使から放たれるビームを受け止めようとする。

 

 が、それすらも効果があったのは一瞬であった、放たれた大型ビームはシールドティアーズを強引に貫通しながらそのままセシリアへとむかっていく。

 

 しかし、セシリアはその一瞬の隙にそのビームを避ける事に辛うじて成功する、だが自身のISはアラートをけたたましく鳴らす。

 

 「シールドエネルギーが!?なんて威力ですの?」

 

 自身のISにほんの少しカスッた程度、だがその一度の軽傷で通常のビームを直撃したレベルのダメージをISに与えられていた、もしもう一度当たれば危険域に到達してしまう。

 

 セシリアは急いで体制を立て直すが、既にそこにサーベルを構えた天使が迫ってきていた。

 

 それを見てセシリアも咄嗟に自身のサーベルを展開し受け止める、サーベル同士がぶつかり合い激しい火花が散る。

 

 「光希さん、光希さんなんでしょう!?なぜこんな事を!」

 

 「…障害の脅威レベルを再設定、直ちに破壊を開始」

 

 「光希さん…!」

 

 セシリアは攻撃を受け止めながら必死に天使に呼びかけるが、天使は光希の声で機械的に、感情すら見せずセシリアを排除しようと、肩部にあった装甲を展開し、マシンキャノンを稼働させる。

 

 「くっ!このままでは…!」

 

 セシリアは間一髪で退避し、ストライクシルエットの高速移動で回避行動を続けるが少しずつ放たれるマシンキャノンの精度が正確に、より正しく言えば、()()()()()()()()()()()()()()()されるようになってきていた。

 

 さらに、セシリアへと新たな攻撃が加わる、長く沈黙していた福音が攻撃を再開し始めた、その場で大量のビームの嵐を展開、その全ては乱射されているマシンキャノンに当たることなく、的確にセシリアへと向かっていく。

 

 「この弾幕の中では、きゃあ!」

 

 そしてとうとう捕まってしまい、福音の攻撃がヒットしてしまいセシリアの足が止まる、その隙を逃さず福音はサーベルを展開しセシリアへと攻撃を仕掛ける。

 

 セシリアも迎撃しようとするが間に合わないことに気付く。

 

 (ここまでですの…!)

 

 そう思い、覚悟を決めせめて一矢を報いるためにブルーティアーズを展開しようとしたその瞬間だった。

 

 先程まで攻撃してきていた天使がセシリアと福音の間に入り、その攻撃を受け止め軽々と弾き飛ばす、体制を崩した福音に対して逃さず大型のライフルを構え発射、福音へ直撃させる。

 

 「な、どうして…?」

 

 「…に、げろ!セシリア!」

 

 「光希さん!?意識が!」

 

 「近づくな!」

 

 突如自身の名前を呼んだため慌てて近寄るセシリアだったが、光希はそれを拒絶する、それと同時に武装を解除し両手で頭を押さえ苦しみ始めた。

 

 「離れろ…!離れるんだ!俺はお前を撃ちたくない!」

 

 「そんな!どうしてそんな事を!」

 

 「いいから早く!違う、ゼロ!セシリアは敵じゃない!」

 

 そう言いながら光希は必死に頭を振る、だがその間も常に苦悶の声を上げ続け、それに合わせて天使の胸のコアはより一層光り輝いていく。

 

 「ぜろ…?何を言っていますの!」

 

 「いいから!セシリアは早く逃げろ!邪魔するんじゃねぇ!」

 

 セシリアは理由を問い詰めようと近づくが光希はそれを跳ね除ける、普段の彼からは想像のつかない行動にセシリアは本当に不味いのだと理解する。

 

 「光希さん!急いでISを解除してください!」

 

 「い、嫌だ!それだと守れない…!?セシリア!」

 

 セシリアは光希に近づきISの強制解除を促そうとするが、光希はそれを否定し福音がそれを邪魔する、先ほど天使の一撃を食らっていてなお、その姿は汚れた程度、ダメージを食らった様子はない。

 

 光希はそれを見て自身の4枚羽でセシリアを包みガードする、全ての攻撃が光希のISへと着弾するが多少傷がついた程度であり、攻撃が止んだ瞬間光希は福音へと向かっていく、先ほどのスサノオとは違い、紅椿すら超える加速で福音へ近づきサーベルで切りつけようとする。

 

 その音速を超えた切り合いにセシリアはただ見ているしかなかった。

 

 「ゼロそうじゃない、撃つなら、この後だ!」

 

 「…!」

 

 そして光希が福音を弾き飛ばし、福音が回避行動をとる前に二本の連結させたバスターライフル、更に先ほどまで無かった3基の子機がバスターライフルのサイドより展開される、合計5門のライフルのはしっかりと福音を捉えていた。

 

 「ドライツバークバスター、最大出力!」

 

 「…!?」

 

 光希が発射した5門の超大型ライフルからなる一本の極太ビーム、その絶大な威力をもった攻撃は見事に福音へと直撃し巨大な煙が発生、近くにいたセシリアすらも吞み込んでしまう巨大な爆発を発生させた。

 

 

 「い、一体何が福音は!?」

 

 セシリアが慌てて、煙を抜け、周囲を確認するとそこには機能を停止した福音と全身の関節部から火花を散らしている天使がいた。

 

 それを見てセシリアは光希に近寄る。

 

 「光希さん!大丈夫ですの!」

 

 「セ、セシリアか、無事か?」

 

 「私は無事です、でも光希さんが!」

 

 「そっか、お前を守れたなら、それ…で…」

 

 「光希さん!?」

 

 そう言うと光希はISを解除してそのまま海へと落ちていってしまう、それを慌ててセシリアが拾い上げて何とか落下を免れる。

 

 そしてそのままセシリアはストライクシルエットを最大出力にし撤退する、それをどこかの兎は残念そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、光希と一夏はそれぞれ別室にて寝かされていた、一夏はシールドエネルギーのない状態で攻撃を受け止めたため、肉体的ダメージによる意識不明、そして光希は肉体のダメージに加えて…

 

 「脳にダメージ?」

 

 「はい、恐らく大量の情報データを受け止め続けた事により、脳が処理の限界を超えた物だと思われます」

 

 山田真耶の報告に、織斑千冬はとある疑問を呈する。

 

 「なるほど、オルコットからは何か聞いているか?」

 

 「そう言えば、神峰君がゼロという名を口にしていたと」

 

 その名を聞くと織斑千冬は苦虫を嚙み潰したような顔をする。

 

 「…織斑先生?」

 

 「…ゼロか、少し離れる、留守を頼むぞ」

 

 そう言うと織斑千冬はまた作戦指令室を離れていってしまった、程なく離れた人目のつかない場所で近くにあった木を自身の怒りをぶつける様に殴る。

 

 木は殴られた部分が大きくへこみ揺れ動く。

 

 「ゼロシステム、またこの名を聞くことになるとは…!」

 

 その顔は親の仇を見る顔であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「光希さん…」

 

 とある一室、眠っている光希の傍にセシリアは帰ってからずっとついていた、山田先生や医療班の報告によれば肉体的なダメージは軽微に近い、手の部分に大きな火傷が目立つがそれ以外にも目立った傷はあまりない、だが。

 

 「脳への負荷、それによる記憶障害の可能性あり…」

 

 戦闘中の多大な脳へのダメージが発見されており、目覚めたとしても記憶障害がある可能性が高く、そして最悪の場合は。

 

 「目を、覚ますことすらない…」

 

 それを聞いた時、彼女は現実を受け止める事が出来ず先生に食って掛かった、いつも理路整然とし優等生を体現した彼女が、声を荒げ、なりふり構わず先生に詰め寄ったのだ、「彼を助けて」と、だが現実は残酷で先生達も彼女に対して言えることはただ、最善を尽くすというありきたりな言葉だけであった。

 

 セシリアは、そっと彼の顔を触る、確かな温かさを持っておりただ眠っているだけだと言われれば信じてしまうほど穏やかな顔をしていた。

 

 「ねえ光希さん、私、貴方と出会う事が出来て良かったと思っていますの」

 

 ポツリとセシリアは光希に語りかける。

 

 「最初は、何て常識の無い方だと思いましたわ、いつも面倒くさそうで、言葉遣いも乱暴ですし、一夏さんの様に愛想も良くない」

 

 「よく喧嘩もしましたわね、そう言えば一緒にガンダムで対戦した時なんて消灯時間ぎりぎりまでやってましたわ、いつも貴方はやる時口汚く罵ってきましたわよね」

 

 一度開いた口は止まらなかった。

 

 「でも、一緒にいればいる程、貴方と一緒にいる事が当たり前になればなるほど、もっと、もっと一緒にいたいと思いましたの」

 

 「ずっと隣にいて欲しい、食事をする時も、ゲームをする時も、買い物をする時も、私の隣にいて欲しい」

 

 セシリアは止まらない、話せば話すほど、目が熱くなる、喉が痛い、けれど。

 

 「貴方がいないと、私はもう一人で歩けませんの、だからお願い…目を覚まして、私を一人にしないで!」

 

 セシリアは寝ている光希の手を握りそう呟く、光希の手には彼女の涙が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どれほどの時間がたったのだろう、いや実際にはそんなに時間はたっていないのかもしれない、光希が眠っている間、セシリアはずっと隣にいた、夕食すら取らず、ずっと彼の隣にいた。

 

 そんな時だった、後ろから襖を開ける音がする、その音にセシリアが振り返るとそこにはシャルロットがいた。

 

 「セシリア、ちょっといいかな」

 

 「シャルロット…?どうしましたの?光希さんならまだ目を覚ましていませんわよ…」

 

 「ううん、違うの、ねえセシリアこのままでいいの?」

 

 「え?」

 

 シャルロットは不意にそんな質問をする、セシリアは意味が分からず答えに戸惑う。

 

 「このまま、負けたままでいいの?」

 

 「…いいわけありませんわ、でも私にはもう、何も」

 

 「…もう、この二人は」

 

 落ちこんで顔を下に向けてしまうセシリア、その様子をみてシャルロットは無理矢理セシリアの顔を上げて、目を見て話す。

 

 「いーい?セシリアは弱くない、君に僕はもうずっと負けてるんだよ、ISでも、この前模擬戦した時僕に勝ってたでしょ?それに、恋愛でも光希が選んだのは僕じゃなくって君だった、なのにそれでも君は自分には何もできないって言うの?」

 

 「でも…」

 

 「でもじゃない、それに負けたまま終わるなんてそれこそセシリアらしくないよ、セシリアはいつも誰かに負けないように努力してきた、もし負けても、負けから学んで今度は勝つ、それが僕の見てきたセシリア・オルコットだった、違う?」

 

 「…私は」

 

 「それにさ、僕たちをこんな風に心配させてくれてるこいつが目を覚ました時に、一発ぶん殴ってやらないと気が済まないじゃん?」

 

 そういうとシャルロットは笑いながら光希を指さす、それを見てセシリアもつられて笑ってしまう。

 

 「…ふふ、そうですわね、ここまで心配をかけさせたのですから、それだけではなく色々と償ってもらいませんと」

 

 「その意気その意気!それなら今度、光希のお金で買い物に行こうよ、また三人で一緒に」

 

 「いいですわね、行きましょう!それなら先ずは目の前の問題を片付けませんとね」

 

 そういうとセシリアは立ち上がる、先ほどまでの沈んだ様子はそこには無く、前だけを見つめて。

 

 それを見てシャルロットも立ち上がり、ラウラから預かっていたデータを展開する。

 

 「ラウラが福音の位置を捕捉してる、準備が出来次第出撃するって」

 

 「わかりましたわ、ありがとうございますシャルロット」

 

 そう言うとシャルロットは部屋から先に出ていこうとする、だが部屋の襖を開ける前に立ち止まりセシリアに振り返り声をかける。

 

 「あ、そうだセシリア」

 

 「何ですの?」

 

 「僕の事、シャルロットじゃなくてシャルって呼んでよ」

 

 「え、それは」

 

 「うん、光希が呼んでくれてた僕の名前、けどセシリア、君にもそう呼んで欲しいんだ、誰よりも大切友人の君にも」

 

 そう、シャルはセシリアにお願いする、セシリアもそれを笑って受け入れた。

 

 「それでしたら、こちらこそよろしくお願いしますわ、シャル」

 

 「えへへ、よろしくねセシリア」

 

 そこには夕焼け写される二人のお嬢様の笑顔があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして生徒が寝静まりった夜中、5機の専用機が大空へ舞う。

 

 その中で指揮を取るのはセシリアだった。

 

 「全機に通達、これで最後にしますわ、一夏さんや光希さん達がいなくても私たちで福音を落としますわ!」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 

 ここに最後の決戦が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セシリア、頑張れ。
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