「敢えて名乗らせてもらおう、私はグラハム・エーカー、ソレスタルビーイングのガンダムパイロットだ」
完全に俺は目の前の状況に飲まれていた、宇宙?空間みたいなところで目覚めたと思ったら目の前に本物のグラハム・エーカーが立っていたのだ、しかもその姿は顔が半分メタル化しており、服装もソレスタルビーイングのパイロットスーツである。
嫌、最初に軽く辺りを見渡したんだけど、その時には宇宙以外何もなかったんだ、だから声をかけられて、しかもそれが憧れのグラハムエーカーでびっくりしている。
「ほ、本物のグラハム・エーカー?あの第8独立航空戦術飛行隊【オーバーフラッグス】の隊長である?」
「ほう、そこまで知っているのか、オーバーフラッグス、懐かしい名だ」
「勿論!俺、貴方に憧れてフラッグに乗り出したんです!あ、俺神峰光希って言います!貴方の大ファンで!…」
憧れの人と出会えてしかも喋れることに興奮して色々と聞かれていない事も喋りだす、けれどそれもグラハムの顔見てハッとして止める。
そのグラハムの表情はどこか懐かしそうにしながらも、悲しみが伝わってくる顔だったのだ。
そうだった、彼の下にいたオーバーフラッグスのメンバーはもう…
俺はその表情をみて慌てて謝罪する。
「すいません!おれ、いえ私余計なことを」
「気にするな、その様子なら君は私の事をよく知っているようだ、ならば知っていよう、あれは私の我儘からの責だ、それに対して君が謝る事はない」
それを見てグラハムは笑いながらそう言ってくる、やっぱりかっこいいなグラハム・エーカー!実力もありながらこういう謙虚な姿勢もあるおかげで部下からの信頼も厚いんだろうな…!
一人脳内で興奮しながらグラハム・エーカーを見ていると彼は口元に手をつけながら聞いてきた。
「所で少年、君はなぜここに?」
「え、えっと…私にもよく分かってなくて」
「よくわからない?」
そう聞かれ、俺はここに来るまでの経緯を彼に話す、こちらの世界の事、福音との戦い、ウイングガンダムゼロ、そしてフラッグの事、それらを一通り彼に話す、全て話し終えた時流石の彼も驚いた顔をしていたが、すぐに納得した表情に変わる。
「なるほど、にわかに信じがたいが君がそう言うのならそうなのだろう」
「え?そんな簡単に信じるんですか?」
「意外か?」
「ええ、正直こんな話聞いても呆れられるのが関の山ですよ」
それも、さっき会ったガキの話だ、それこそ信じろという方が無理な話のはずだが、彼は何のためらいも無く、俺の話を信じてくれた。
「確かに、私とて誰これ構わず人の話を信じるわけではない、君の瞳が私にそうさせたのだ」
「俺の、瞳?」
「ああ、君の瞳はとある少年によく似ている、世界を変えるために世界と敵対した少年と同じ目だ、だからこそ君の言っていることが本心からだと私は信じている」
「…」
思わず黙ってしまう、彼の言っている少年、恐らくあの人の事だろう、でも俺はあそこまでの人物たるのだろうか、グラハムエーカーの考えすぎではないのか、そういう考えがどうしても出てくる。
俺のその様子に、グラハムは笑いながら口を開く。
「不満か?」
「あ、いえ、そういうわけでは…」
俺の顔に考えが出ていたのだろう、グラハムはそれすらも笑いながら話を続ける。
「気にせずともいい、所で少年、君はどうしたいのだ」
「どうしたい、とは」
「君は、そのセシリアという恋焦がれた存在を守るために戦ったのだろう、そして彼女の無事を見て意識を失った、ならば、君の目的はそれで達成されているのだ、子供に戦争をさせるのは誰とて嫌なものだ、私とてこうして知り合った少年をまた戦地へ赴かせるのは、やはり嫌なものだよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい、また戦地へってどういう事ですか!福音は確かに倒して」
「嫌、考えるべきはその先だ、君の運命はその程度では終わらない、そんな気がするのでね」
無茶苦茶だ、それは何も知らないグラハムエーカーからすればただの予想にすぎない、それでも彼からの発言には確信めいた物を感じる、彼の目がそう言っているのだ。
だけど俺にはもうISがない、スサノオは壊れているし、ウイングガンダムゼロ俺の意志では起動しない、元々持っていた俺のISであるマスラオは基礎データを全てスサノオに移動させたため使えない、残るのは…
「俺にはもうフラッグしか…」
「飛べる翼ならあるさ」
「え?」
「君の機体…ISといったか、それを展開させて見たまえ」
「は、はい」
そう言われて俺はフラッグを展開する、それを見てグラハムは興味深そうに俺を見る。
「ほう、自身に纏う形で起動するのか、それにしても私が乗っていた機体よく似ている」
「ええ、貴方の乗ったフラッグがベースですから、このカスタムフラッグは」
「なるほど、君はハワードと同じく私よりもフラッグを愛しているのだな、なればこそだ」
そう言うとグラハムの周り、嫌、正確に言えば俺たちの周りに何かが集まり始める。
それは銀色の金属の様な物が集まり始めている。
「こ、これは!?」
「驚くのは無理はない、これはELSという存在だ」
「これが、ELS…!」
俺が驚愕しているとELSは俺の周りに集中して集まり始め、俺のISに付着して形を変化させていく、それをみて俺は慌てて腕を体を動かし、付着したELSを振り払おうとする。
「うわわわ!?」
「落ち着け、そして受け入れ分かり合え、そうする事で君の形は具現化する」
「受け入れ、分かり合う…!」
そう言われて、無理矢理心を落ち着け、目を閉じる。
何かを感じるわけではない、ただ、抵抗するのを辞めただけだ、けれど先ほどより不快感はない。
「これは君の物だ、この機体はもはや君の方が適任だろう」
「こ、これは」
グラハムにそう言われて目を開くと、俺のカスタムフラッグは全く別の機体になっていた。
武装も全く変わっていて、名前も変化している。
それを確認していると、誰かに呼ばれる声がし始めた、それはグラハムにも聞こえたのか残念そうな顔をする。
「そろそろ時間のようだ、君もあるべき場所へと帰るのだろう」
「そんな、私まだ話したい事が!」
そうは言うが、俺の視界は少しずつぼやけ始めた、世界が崩れ始めている。
「君には君の世界がある、ならばここに多く留まるべきでない」
「でも!」
グラハムは背中を向けて俺とは反対側へと歩いて行く、俺はそれに手を伸ばして走るが、走れば走るほど距離が開いていく。
俺が必死に追いかけていると、グラハムは俺に振り返り口を開く、それは俺たちの最後の会話だった。
「少年、これは私からの最後の言葉だ、未来ある少年よ、生きろ、生きて明日を掴め、それが君たちの【オーバーフラッグス】への最後の任務だ」
「俺が【オーバーフラッグス】…!?」
「ああ、君は最後の【オーバーフラッグス】、私たちの中で最後のフラッグファイターだ、生きろよ少年」
そういうとグラハムはまた俺に背を向けて歩き始める、新たな未来へ向かって。
その背中に俺は大声で答える、もう追いかけたりしない。
「グラハム隊長!俺、俺頑張ります!セシリアを守る為にも!明日を掴むためにも!最後のオーバーフラッグスとして!」
そう答えると視界が暗転する、そこで俺の視界は完全にシャットアウトする。
「頼んだぞ、
意識が消える瞬間、そんなグラハムからの声が聞こえた気がした。
「光希、起きろ光希!」
「…あれ?一夏?」
俺は一夏に起こされ目を覚ますと、そこは和室だった、先ほどまでのとんでも空間ではなく、俺にとっての現実がそこにあったのだ。
「目が覚めたか、悪いけど準備してくれ、箒達が危ない」
一夏はそう言うと自分の服装を着替え始める、俺はまだ意識が覚醒していなかったので、ふらふらしながら立ち上がる。
「…箒達が危ないって何があったんだよ」
「福音がまだ生きてる、箒達がそれの撃破に行ってるんだ」
「…は!?俺の攻撃を食らってまだ!?」
それを聞いて要約意識が覚醒する、福音がまだ生きている、しかも箒達がそれを撃破しに出撃しているとのことだった。
それを聞いて急いで俺も着替え、二人で旅館から飛び出す、外はもう明るくなり始めていて、時間を確認すると早朝に近い時間だった。
目指すは昼に出撃した海岸、そこに目掛けて走りながら俺は一夏に話しかける。
「一夏、行くのはいいけど勝算はあるのか!?」
「わからない、けど箒達が戦ってるのに俺だけ座って見てられるかよ!」
「立派な考えだな!だが、確かにそうだ!」
そう言って走っていると目的の海岸に到着すると一夏は即座にISを展開した、その見た目は今までの白式ではなかった、大規模なスラスターや様々な物が追加されていた。
それで飛び出そうとする一夏を俺は無理矢理止める。
「待て待て!お前目標の位置分かってるのか!?」
「ああ、ここだ、早く行かないと!」
そう言われて一夏の出したデータを見るとここから30㎞は離れた位置だった。
それを見て思わずため息を吐いてしまう。
「お前、この距離をその機体で突っ込んで行って間に合うのか?」
「間に合うかどうかじゃない、間に合わせるんだ」
「脳筋すぎだって、最速で移動したらただでさえエネルギー無いのに戦う時にエネルギー切れなんてなったらそれこそ駄目だろ」
「それはそうだけど、ならどうすんだよ!」
俺がそう言うと一夏は怒った表情で俺に詰め寄ってくる。
俺はそれをみて、自身のISを起動する。
新たな俺のISを見て一夏の顔は驚きの表情へと変わる。
「光希、その機体…」
「ああ、俺の新たな機体だ、乗れ俺が送ってやる」
そう言って俺はその場で人型から飛行形態へ変形する、一夏もそれに同意し俺の機体の上に乗る。
「光希!頼んだ」
「ああ、行くぞ一夏!」
それを確認すると俺はGNドライブの出力を上げ起動させる。目指すはみんなの場所だ。
「ブレイヴ!発進する!」
そう言うと大空へと俺のISが飛び出す。
後に旅館の人は、空に青色の流星が見えたという。
書いては消してを繰り返して3回ほど一から全部書き直してたら遅れました。ごめんなさい。