バカなフラッグ好きとお嬢様   作:LALU

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第30話

 光希とセシリアが戦線を離れて直ぐ、箒と一夏は互いに連携を取りながら福音を取り囲んでいた。

 

 「箒!二人で挟むぞ!」

 

 「わかった!はあああ!」

 

 箒の紅椿からBT兵器が射出され福音へと迫る、福音はそれをマシンキャノンで迎撃しながら後退するが一夏が後ろから切りかかり足を止めさせる、そうした事で紅椿のBT兵器を回避することが出来なくなり、箒がそこに追撃をかける。

 

 「これで!どうだ!」

 

 「!!」

 

 箒が放った斬撃は福音を捉える、だが福音もゼロシステムを使い間一髪で体を捻り直撃だけは回避する、しかしその天使の翼は確実にちぎれていた、福音の背部にあった副翼が海へと消えていく。

 

 「すまん一夏、落とし損ねた」

 

 「慌てるな箒、もう一度だ!」

 

 そう言うと今度は一夏が先行する、福音は今度はゼロシステムを発動しながら回避行動をとりつつマシンキャノンを一夏に向けて発砲する。

 

 「白式、シールドモード!」

 

 だが一夏はその弾丸を自身のシールドを展開することで受ける、そのシールドは堅牢であり破壊するには骨が折れ厚さであった、福音は一夏目がけてマシンキャノンを発射し続ける。

 

 「…!」

 

 「糞!流石に見ているか」

 

 だがその途中でゼロシステムから警告が発せられる、このまま攻撃を続けると背後からの攻撃でまたしても翼が落ちる未来を見た福音は回避を選択する、その結果は見事成功し、背後から迫ってきていた箒の攻撃の回避に成功する。

 

 しかし、またしてもゼロシステムから未来が見える、今度は謎の砲撃で体制を崩され一夏に斬られる未来。

 

 それを見て、食らう地点を事前に予測を開始して回避行動をとる、レーダーを使用し索敵をかけるとそこには鈴がいたのだ。

 

 完璧な不意打ちだと思っていた鈴は思わず愚痴を漏らす。

 

 「もう、完全に不意打ちだったでしょ!どういう構造してんのよ!」

 

 「鈴!大丈夫なのか!?」

 

 「平気、とは言い難いけど戦えるわよ、私を舐めないでよね一夏!」

 

 一夏の問いにそう返す鈴だったが、その機体はボロボロだった、バスターライフルの直撃を受け、龍砲は片方が完全に潰れており、エネルギーも半分を切っているそう長くは動けない。

 

 だが彼女も代表候補生としてのプライドがある、こんな所でリタイア何て自分が許さない。

 

 残ったエネルギーを全て龍砲へと回し福音へ連続発射、そうしながら一夏と箒へ通信を飛ばす。

 

 「一夏、箒、私が牽制するからアンタ達はさっさとアイツを落としちゃいなさい!」

 

 「わかった、頼むぞ鈴!」

 

 「必ず決める!」

 

 鈴の龍砲を福音はゼロシステムを使用して回避する、だがそちらにリソースを割いてしまった為に一夏と箒の攻撃の回避が徐々に当たり始める。

 

 「あと少し!」

 

 一夏は歯がゆい思いをしながら攻撃を続ける、光希が送ってくれたおかげでエネルギーに余裕はあるが、それでも白式の燃費は非常に悪い、このまま追いかけっこを続ければこちらが先に倒れてしまう。

 

 その時だった、福音の背後が突然爆発する、一夏は何事かと福音の背後を見ると、底にはラウラとシャルロットがそれぞれの武装を構えて攻撃していたのだ。

 

 「一夏行って!」

 

 「応!」

 

 一夏はそのままイグニッションブーストで距離を詰め、福音の腰部にあった二枚の羽を切り落とす。

 

 「私だって!」

 

 それを見た箒も自身の雨月を振るい副翼を叩き落とす。

 

 福音は急激なスラスターの損失に機体バランスを立て直す為に一度一夏達から離れる。

 

 「残りは2枚!押し込め!」

 

 ラウラの号令が飛ぶ、それを聞いて全員が福音へと詰め寄るが、福音とてそれは理解している、背中にあった最後のライフルを構え新たな弾倉をセットする。

 

 それを見てシャルロットが叫ぶ。

 

 「七つの矮星・【黒】(ジーベンツバーク・シュバルツ)ターゲットロック」

 

 「あれを撃たせちゃだめだ!急いで!」

 

 狙いは一夏、箒達はあれの威力を理解しているので急いで詰め寄るが間に合わない。

 

 しかしその背後から二機の機体が現れる。

 

 「「させるか(させませんわ!)!」」

 

 「!?」

 

 福音が発射しようとした瞬間、背後から現れたセシリアと光希がその主翼を破壊する、スラスターを失った福音はそのまま海へと落下する。

 

 「全機!火力を集中させろ!ここで奴を落とす!」

 

 落下していく福音に対して、光希は追撃のドレイクハウリングを最大出力で放ちながら全員にそう呼びかける、それを聞いて一夏は達も各々が持ちうる火力を最大限に叩き込む、ここでこの戦いを終わらせるために。

 

「「「「「「「いっけええええええええええ!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 どれくらいそうしていただろうか、程なくして戦場は静かになり、光希がポツリとつぶやく。

 

 「…誰か、福音の反応を拾えるか?」

 

 「いえ、福音、反応ロスト、撃破した…かと。」

 

 セシリアからのその答えに、光希は警戒を解く、ようやく終わったのだ。

 

 それを見て他の皆も警戒を解き、誰が笑い出したか、皆の顔に笑顔が戻り思い思いはしゃぎ始める。

 

 「やったああああ!」

 

 「ええ、私たちの勝利ですわ!」

 

 「本当、一時はどうなるかと思ったわ」

 

 「でもこうして皆無事に勝ったんだしいいじゃん、ね、ラウラ」

 

 「ああ、我々の完全勝利だ。」

 

 「そうだな、な、一夏…一夏?」

 

 光希達がはしゃいでいる最中、一夏だけは警戒を解いてい無かった、今もまだ雪片弐型を構えてずっと海を見つめていたのだ。

 

 その様子を見て、箒は心配そうに声をかける。

 

 「おい、一夏?どうしたのだ?」

 

 「箒か、何だろ、凄く嫌な感じがする」

 

 「嫌な感じ?」

 

 一夏は難しそうな顔をしながらそう説明するが、箒いまいちそれを理解できなかった、福音の反応はもうなく、仮に生きていたとしてもスラスターは破壊し、武装も殆ど残っていないのだ、海底から上がってきても福音に勝ち目はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが一夏何かを悟ったのか、血相を変えて叫ぶ。

 

 「皆!逃げろ!」

 

 それを聞いて全員が固まってしまう、その瞬間海の中から黄金のビームが放たれてきたのだ。

 

 「下がって皆!」

 

 「私たちが止める!」

 

 そう言ってラウラはAICをシャルはガーデンカーテンによる多重防御を起動して全員の前に立つ、だが、その二つの防壁はビームが当たった瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、更には受け止めた二人は()()()I()S()()()()()()海へと落下していく。

 

 「シャル!」

 

 「ラウラ!」

 

 落下していく二人を光希と一夏がそれぞれ空中で受け止める、幸いにも二人にはダメージはなさそうではあったが、待機形態にある二人のISは微小な火花を散らしていた。

 

 「どうしたんだよシャル」

 

 「わかんない、けどISが起動しないんだ!」

 

 「ISが起動しない!?」

 

 「こちらもだ、先ほどのビームの影響か、我がシュヴァルツェア・レーゲンも起動しない」

 

 「そんな!?」

 

 一夏は驚く、そんな時セシリアから更なる情報が飛び込んでくる。

 

 「光希さん!下から高エネルギー反応!福音ですわ!」

 

 「何だと!?」

 

 そちらの方を確認すると確かに海が盛り上がってきている、そしてその姿を現した。

 

 形は先ほどとあまり変わりはないが、白かった機体は黒く染まり血のような赤色が細部に施されている、背中にあった白い天使のような羽は4枚の真っ赤なエネルギーウイングへと変わっており、胸のコアは限界まで光り続けていた、その姿はもはや福音とは到底呼べる物ではなかった。

 

 福音はそのままゆっくりと上昇しその場で停止する。

 

 その姿をみて一夏は愕然とする、そのおどろおどろしい姿から途轍もないプレッシャーを感じて押しつぶされていた。

 

 「あんなの、勝てるのかよ…」

 

 「落ち着け一夏!ともかくシャル達を安全な所に」

 

 「光希避けて!!」

 

 突然シャルが叫ぶ、それを聞いて光希はなるべくシャルに負担にならないように回避行動をとる、見れば福音から白色の拡散ビームが放たれてきていたのだ。

 

 間一髪でそれを回避する一夏と光希、だがそのビームはそのまま彼らの真下に着弾したと思えば、巨大な雷撃がそこから放たれる。

 

 その雷撃を回避しながら一夏は怒りを露にする。

 

 「何て滅茶苦茶な!」

 

 「急げ一夏!シャル達の安全が先だ!セシリア、俺たちが行くまで持ちこたえれるか?」

 

 「持たせて見せます!今は急いで!」

 

 「よし、シャルしっかり捕まってろよ」

 

 「う、うん!」

 

 その通信を聞くと一夏と光希は先ほどセシリアを下した岩場へと着陸する、シャルとラウラを降ろすと福音を見る。

 

 セシリアと箒と鈴が何とか奮戦しながら戦っていた、だが福音のエネルギーウイングから大量の誘導ビームが飛んでおり近づけていない、鈴の機体は限界が近い、それにこのままでは箒とセシリアも危ない。

 

 (けど、このまま生身の二人を置いていくことの方が危険だ、シャル達はISを起動できない、絶対防御が使えないんだ、流れ弾でも当たればそれこそ…)

 

 光希は悩む、セシリア達を助けようとすればシャル達が危ない、けどこのままじゃ。

 

 そんな光希にシャルがそっと触れる。

 

 その感触に光希はシャルへと振り返ると、シャルは口を開いた。

 

 「行って、光希」

 

 「でも、シャル達に何かあったら」

 

 「大丈夫、僕たちの身は僕たちで守るよ、だからさ、セシリアを助けてあげて!」

 

 光希の反論をシャルは真っ直ぐはねのける、光希はその姿をみて思わずため息を吐く。

 

 「俺はお前に助けてもらってばっかりだな」

 

 「そう思うなら、これが終わったらセシリアと3人で出かけようよ、光希の奢りでさ!」

 

 「…お手柔らかに頼むよ、それじゃあ行ってくる」

 

 「いってらっしゃい!」

 

 シャルに背中を押されてセシリア達の元へ向かう、その途中一夏も後ろから後を追ってきた。

 

 その姿をみて声をかける。

 

 「そっちも?」

 

 「ああ、さっさとあんな奴倒して来いってさ」

 

 「ハハ、ラウラらしい」

 

 「シャルロットは何て?」

 

 「似たような感じさ」

 

 そう言うと一夏も笑う、先ほどまでの福音のプレッシャーに飲まれていた一夏は何処にもいなかった。

 

 そのままセシリア達と合流する、福音も俺たちを確認すると一旦動きを止める。

 

 俺たちはその間に皆に声をかける。

 

 「セシリア、無事か?」

 

 「ええ、でも…」

 

 そう言うとセシリアは鈴の方を見る。

 

 「箒!鈴!無事か!?」

 

 「私は大丈夫だ、だが鈴が…」

 

 「は、まだいけるって言いたいんだけどね…」

 

 「鈴!お前!?」

 

 一夏はその姿を見て驚く、鈴の機体である甲龍はボロボロだった、龍砲の発射される部分は破壊されており、機体各部からアラートが鳴り響いている。

 

 どう頑張っても戦える状態じゃなかった。

 

 「下がれ鈴、その機体じゃ危険だ、シャル達が待機してる場所まで行けるか?」

 

 俺がシャル達が待機している場所を指さすと、鈴は残念そうに笑う。

 

 「しょうがないわよね、けどアタシの分もアイツをちゃんとぶっ飛ばしてきてよ!」

 

 そう言うと鈴は戦場から離れていく、それを確認して俺たちは福音へと向き直る。

 

 福音も待っていてくれたのか、こちらを見据えて動こうとしない。

 

 「皆、これを最後にする、確実にアイツを倒すぞ!」

 

 「「「了解!」」」

 

 そう言うと全員が福音へと向かっていく、それを見て福音も胸のコアを輝かせライフルを天へと向ける。

 

 「七つの矮星・【緑】(ジーベンツバーク・グリユーン)

 

 天へと放たれた緑色のビームはオーロラとなって俺たちを包むように広がる、そしてそのオーロラの中から大量の蔦が伸びてくる、その数は一瞬にして空を埋め尽くし俺達へと向かってくる。

 

 「何ですのこれ!?」

 

 「各機!捕まったら終わりだ!焼き切れ!」

 

 そう言うと、各自各々の武装で蔦を破壊していく、ブルーティアーズ、雪片弐型、雨月、ビームサーベル、だが、切っても切っても蔦はどんどんと数を増していく、まるでELSのように全てが俺たちに向かって迫ってくる。

 

 「何て数だ!間に合わない!」

 

 「箒!固まるんだ!」

 

 一夏と箒は背中を合わせお互いの背中をカバーし合う。

 

 光希もセシリアとお互いをカバーし合うが、光希がある行動に出る。

 

 「セシリア!俺はこのオーロラを飛ばす、耐えれるか!」

 

 「イギリス代表候補生を舐めないでくださいます!」

 

 セシリアはそう言うとブルーティアーズを展開、弾道型も全て打ちながら蔦を消し飛ばしていく。

 

 それを見て光希は巡航形態へと変形し蔦の中をその圧倒的速度で強引に突破していく、だがそれに合わせて蔦も光希を追いかける。

 

 それを見て一夏が叫ぶ。

 

 「光希!」

 

 「問題ない!スタンドマニューバ!」

 

 光希はある程度距離を離すと人型形態に戻り強引に機体にブレーキをかける、そのまま蔦が迫って来る前にイグニッションブーストで後方へと即時に移動しドレイクハウリングを最大出力で放つ。

 

 「ぬおおおおお!薙ぎ払え!」

 

 その火力のまま、自身を追っていた蔦を破壊しオーロラを真っ二つに割る。

 

 そうすることで周りに生い茂っていた蔦が少しずつではあるが動きを止めていく、その様子を見て光希はガッツポーズをする。

 

 「良し!」

 

 「光希!まだだ!」

 

 「七つの矮星・【赤】(ジーベンツバーク・ロート)」 

 

 一夏がそう言うとまたしても福音はあのライフルを構えて発射いたのだ、今度はオーロラ目がけて赤いビームが発射される。

 

 「何だよこれ!」

 

 「オーロラが、燃えている!?」

 

 「気を付けろ!あれはISの装甲すら溶かすぞ!」

 

 放たれた赤いビームに触れたオーロラは炎を纏い燃え上がり、その下に続いていた蔦も激しく燃え上がる。

 

 その飛んできた炎は光希のISの装甲に触れると嫌な音を立てながら融解していっているのだ、焦った光希はドレイクハウリングで周りの蔦を破壊しながらその事を全員に伝える。

 

 「急いで全員にオーロラの外に飛び出せ!焼け死ぬぞ!」

 

 「そんなこと言ったって!」

 

 「一夏こっちだ!私に続け!」

 

 箒は自身のBT兵器を高速で動かし活路を作りだす事で何とかオーロラの外へと脱出する、だが無事に出た時には箒のBT兵器は見るも無残な形に溶けていた。

 

 「何とかなった、ってまたかよ!」

 

 一夏は福音を見て悲鳴を上げる、福音はまたしてもライフルを構えて発射体制に入っていたのだ、だがその照準は光希達の方を向かず燃え崩れていく蔦の中へと向けられていた。

 

 (何処を狙って…まさか!?)

 

 慌てて光希が周りを見る、そしてその嫌な予感は当たってしまった。

 

 「糞!間に合え!」

 

 「光希!?」

 

 光希はブレイヴを巡航形態へと変形させ、燃え盛る蔦の中へと突っこんでいく、それを見て一夏は止めようとするがその道を遮るように福音はライフルを放つ。

 

 「七つの矮星・【黒】(ジーベンツバーク・シュバルツ)

 

 そこから放たれたのは黒いビーム、それが通った道には巨大な竜巻が発生し、燃え盛る蔦を巻き込みながら進んでいく、そのまま竜巻は巨大な炎の竜巻に変わりそのまま進んでいく。

 

 その惨状を見て一夏もその中へ進んでいこうとするが、それを箒が制止する。

 

 「光希!?糞!」

 

 「やめろ一夏!お前まで行ってどうする!」

 

 「でも!このままじゃ光希が!」

 

 だが、そこに燃え盛る竜巻が通り過ぎるため一夏達は更に光希達から離されてしまう。

 

 一夏と箒は2人が無事に出てくることを見ているしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「セシリア!セシリアどこだ!」

 

 巡航形態で燃え盛る蔦の中を突っ込んでいる光希は崩れ落ちる蔦を回避しながら奥へと進んでいく。だがその炎は収まるどころかどんどんと燃え広がっている。

 

 急いで探さねばならないのだが、探せどセシリアの姿見えず焦りばかりが募る。

 

 「このままじゃ!…今のビーム!」

 

 その時だった、見知ったビームの線が近くから見えたのだ、急いでそちらへと向かうとセシリアがブルーティアーズをフル稼働させながらサーベルで落ちてくる蔦を処理していた、だが無傷とはいかずストライクシルエットの半分は炎の熱さによって溶けていたのだ。

 

 光希は近くにあった蔦を全て薙ぎ払い、セシリアの腕を掴む。

 

 「セシリア!」

 

 「光希さん!?どうしてここに!」

 

 「説明は後だ!急いで逃げるぞ!」

 

 そうして今まで来た道を戻ろうとしたその瞬間だった、巨大な竜巻が目の前に現れ、周りにあるを蔦巻き込みながら迫ってくる。

 

 「ヤバい!セシリア、こっちに来い!」

 

 「光希さん!?」

 

 「GNフィールド!」

 

 光希は咄嗟に飛来物からセシリアを守るように抱きしめ赤いGNフィールドを展開する、その二人を竜巻が飲み込む。

 

 「うわああああ!」

 

 「きゃああああ!」

 

 GNフィールドがあるとはいえその衝撃と熱波までは殺しきれない、上も下もわからない程体が回転し、目すら開けていられなくなる。

 

 ただひたすらに耐えるしかなかった、だが現実は甘くはない、光希のブレイヴが悲鳴を上げる、それはエネルギー残量低下を知らせる合図だった。

 

 この状態でGNフィールドがなくなれば二人共竜巻による風圧と高熱の炎により骨すら残らない。

 

 (糞!このまま死ぬのかよ!)

 

 光希は死を覚悟した、せめてセシリアだけでもと体を動かそうとしたその時。

 

 「光希!!」

 

 「!?」

 

 突如として、何も見えなかった竜巻の中に大きな穴が開く、それにより勢いが止まり、光希はその声のした方を見れば、一夏は荷電粒子砲を箒は二本の刀を構えてこちらを見ていた。

 

 「一夏!」

 

 「一夏さん!」

 

 「急げ光希!セシリア!」

 

 「ああ、行くぞセシリア」

 

 「ええ!」

 

 光希はGNフィールドを解除し、そのまま竜巻と蔦の中をぬける事に成功し一夏達と合流する。

 

 「助かった、一夏」

 

 「いいって、それよりもアイツを見てみろ」

 

 一夏はそう言って福音を指さす、福音をよく見れば、関節部からは常に火花が散っており、どことなく動きもぎこちない、ただ胸のコアをだけがその光を弱めること無く輝いている。

 

 それを見てセシリアが疑問を口にする。

 

 「弱っていますの?」

 

 「多分、アイツ自身も今までの戦いのおかげでバスターライフルを撃つ反動に耐えれてないんだ」

 

 「という事は相手もギリギリという事か」

 

 「ああ、行けるか皆?」

 

 そう一夏が言うと皆も無言で頷く。

 

 それを見て一夏は雪片弐型を構える。

 

 「良し、なら俺が先陣を切るからセシリアと箒は後ろからあいつの攻撃を防いでくれ、そうしたら光希、後は任せるから」

 

 「嫌、俺が先に行く」

 

 一夏が先陣を切ろうとするとそれを光希が制止する。

 

 だがそれを見たセシリアが怒る。

 

 「光希さん!貴方のエネルギーはもう殆ど残っていませんのよ!そんな機体でどうしますの!」

 

 「そ、それは」

 

 「エネルギーならあるさ、光希、一夏、手を出せ」

 

 箒が横から2人に手を伸ばす、2人も黙ってその手を取ると二人のISのエネルギーが最大まで回復する。

 

 「これは!?」

 

 「紅椿のワンオフ・アビリティー【絢爛舞踏(けんらんぶとう)】、これなら行けるか?」

 

 「ああ、ありがとう箒、一夏!一撃で決めるぞ」

 

 「もちろん、任せるぞ光希!」

 

 「箒さん、それに一夏さんまで!ああもう、分かりましたわ、その代わり必ず帰ってきてくださいね!」

 

 「無論だ」

 

 そう言うと、各自持ち場につく、光希の後ろに一夏が付き、その後ろに箒とセシリアが射撃体勢で待機する。

 

 「行くぞ一夏!TRANS-AM!」

 

 「ああ光希!零落白夜、起動!」

 

 二機のISが赤色と金色を纏い福音へと突撃する、福音もそれに反応して赤色のエナジーウイングから大量のビームを乱射する。

 

 「二人の邪魔は!」

 

 「させませんわ!」

 

 それを箒とセシリアが持てる全ての射撃兵装を駆使して相殺していく、だがそれでも数が多すぎる。

 

 うち漏らした大部分が光希のブレイヴを襲う、光希も負けじとドレイクハウリングで迎撃をするがそれでも被弾は免れない、福音へ近づくにつれて機体がどんどんと破損していく。

 

 「光希!」

 

 「構うな!突っ込め一夏!」

 

 一夏はそんな光希を心配するが光希は足を止めるどころか、GNドライブの出力をさらに上げ加速する。

 

 加速した事によりダメージが増えるもう既に右足や肩部は破損しており、インターフェースはエネルギー危険域のアラートをけたたましく鳴らす。

 

 「光希!もうよせ!それ以上は!」

 

 「まだだ!福音への水先案内人はこの神峰光希だ!」

 

 そして遂に、ビームの嵐をぬける、光希はそこで残ったエネルギーを持ってドレイクハウリングを槍代わりに福音へ突撃する。

 

 「これでええええ!」

 

 「!」

 

 だがそれを福音は肩部にあったマシンキャノンで迎撃する、その攻撃はもはやボロボロであったブレイヴには致命傷であった。

 

 「ぐあああああああ!」

 

 「光希!!」

 

 「そんな!?嫌!!光希さん!!」

 

 通信に響く光希の断末魔、一夏の目の前では爆発した友の名を叫び、セシリアは彼の声に悲鳴を上げる。

 

 だが、神峰光希(バカなフラッグ好き)は止まらなかった。

 

 「まだだ!俺はIS学園の!最後のフラッグファイターだああああああああ!!」

 

 爆発の中から光希は飛び出す、その姿は先ほどまでの赤に染まったブレイヴではなく、黒いボディーの見慣れたフラッグの姿だった。

 

 そのまま両腕に二本のビームサーベルを構え、福音へと振り下ろす、その攻撃は絶対防御のシールドに阻まれるが福音を止める事に成功した。

 

 「一夏ああああああああ!」

 

 「お前だけは!落とす!」

 

 一夏も後ろから零落白夜を全開にして雪片弐型を福音の頭に向かって攻撃を入れる。

 

 福音はその二人の勢いに押されて海を滑走しながら近くの島の砂浜まで打ち上げられる。

 

 「「落ちろおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

 「…!」

 

 福音が最後の抵抗をしようと手を上げるが、それが光希へと届く前に。

 

 

 

 

 福音の絶対防御は破られ、一夏雪片弐型を頭へ、そして光希のサーベルがコアを貫き沈黙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やった、のか?」

 

 「ああ、これで終わりだ」

 

 

 

 それを確認して、俺はどっと腰を降ろしてISを解除する。

 

 それを見て一夏心配そうな顔をする。

 

 「お、おい!大丈夫か?」

 

 「あはは、終わったと思ったら気が抜けて」

 

 勝ったのだ、あの強大な存在に勝てた、誰も失わずに勝てたそう考えると疲れが溢れてきた、時間を見るともう早朝どころか朝が近い、早いうち帰らないとな。

 

 そんな事を考えていると後を追ってきたセシリアと箒がやってきた。

 

 セシリアはISを解除してこちらへ走ってくる、そう言えば彼女には心配させてばかりだ謝っておかないと。

 

 「来たかセシリア、お疲れ、心配かけ…!?」

 

 心配かけてごめん、そう言おうとした時、セシリアはそのまま俺の上に乗り唇を重ねてそのまま押し倒してきた。

 

 

 

 「!?!?」

 

 「セ、セシリア!?」

 

 その様子見て一夏は驚き、箒は顔を抑えて指の間からはチラチラ見てくる。

 

 

 

 

 

 どれくらいそうしていたのか、気づけばセシリアは泣きながら俺を睨んで馬乗り状態になっていた。

 

 「私が、どれだけ心配したと思いますの?」

 

 そんな事を泣きながら言ってくる。

 

 「ご、ごめんって無茶したのは悪かったから取り敢えずどいてく」

 

 「死んだと思いましたのよ!」

 

 セシリアはそう言って涙ながらに訴える。

 

 この状況に覚えがあった、過去の模擬戦の時、セシリアに対して俺が言った事と同じだった。

 

 「…悪かった」

 

 「どうして、貴方はそんなにも無茶をしますの…!どうしてそんなにも命を軽く考えますの!さっきだって、貴方が爆発した時、貴方の叫び声が聞こえた時、私は…!」

 

 そう言って胸を抑えながらセシリアは顔を下に向けてしまう。

 

 

 

 

 彼女はこんな馬鹿野郎をこんなに心配してくれるんだな、それを泣かせる何て俺は何て大馬鹿なのか。

 

 そう思い、上半身だけ体を起こす。

 

 そして、下に向いてしまった彼女の顔を前に向ける。

 

 その顔は涙でぐしゃぐしゃだったけど、俺が顔を向けさせると何だアホみたいな顔をしてこちらを見ている。

 

 

 

 こんな所も凄く可愛らしいと思う。

 

 そんな事を考えながら彼女のキスをした。

 

 触れるだけの短いキス、だが彼女は驚いたのか先ほどよりも間抜けな顔だった、その顔見てふと笑ってしまう。

 

 「な、どうして笑いますの!私は真剣に!」

 

 「ごめんって、余りにも可愛くて」

 

 「かわ、可愛いだなんて!そんな言葉では誤魔化されませんわよ!」

 

 そんな事を言いながらも、耳まで真っ赤だし顔がにやけているのが丸わかりだ、そんな姿が愛おしくて堪らなかった。

 

 「なあセシリア」

 

 「何ですの?光希さん」

 

 「ただいま」

 

 「…ええ、おかえりなさい」

 

 

 

 

 こうして神峰光希とセシリア・オルコット(馬鹿なフラッグ好きとお嬢様)はどちらかともなく、またキスをしたのだ。

 

 

 




最終回といったな、もうちょっとだけ続くんじゃ
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