ピリリリッ、 ピリリリッ、
龍悟「ん、朝か。」
午前7時、スマートフォンのアラームと同時に俺は目をさました。今日から旭丘分校での新たな学校生活が始まる。家から学校までは歩いて30分ほどなのだが、今日は転校初日なので、遅刻はしたくない。俺は基本、指定時間の
30分から1時間前行動を心がけている。
リビングに降りると、母さんが朝食を用意していた。
ちなみに親父は朝早くから神奈川の職場に行っている。
龍悟母「あら龍悟、早起きね。」
龍悟「転校初日だしな。そう言えば何時までに行けばいいんだっけ?」
龍悟母「昨日学校に電話したんだけど、9時前後でいいって。」
何だそりゃ?随分適当な返事だな。それじゃ朝8時に起きてもまず間に合うぞ。
龍悟母「とりあえずそういうことだから、じゃあパートに行ってくるね。」
龍悟「あ、ああ。」
とにもかくにも朝食を早く済ませよう。そう考えると同時に俺は朝食に入った。
朝食を済ませ、いざ出発。草木に囲まれた通学路を歩いていく。前の学校は家からかなり遠く、電車も都合のいいルートがなかったので、バイク通学が基本だったが、今回は近い方なのでなくてもいい。
龍悟「一年ぶりの徒歩通学だなー。」
俺は呑気に独り言を呟きながら歩く。 しかしいざ歩いてみると、本当に田舎に来たという実感が沸く。道の周りは見渡す限り田畑や山地だし、ときどき「牛横断注意」といった標識まである。おまけに途中で見かけたバス停の時刻表は、1時間から2時間おきに1本ときた。それを考えると、近くに越してきたのは幸いだった。
色々感じているうちに学校の前に着いた。
校門には「旭丘分校 」と書かれていた。
龍悟「よし、ここで間違いないな。」
校門をくぐり、校舎を見てみると、そこには一見学校に見えない建物があった。強いて言えば、学校と言うよりは一種の宿泊施設にみえる。しかし、毎年綺麗にされてるだけあって見た目は綺麗だ。
とりあえず中に入り、職員室に行こうとすると、廊下に妙な案内があった。
「神童龍悟くんへ、とりあえず教室に来ればいいよー。先生より。」
龍悟「何か適当に扱われてる気がするな。」
そう感じながらも、その案内通り教室に向かった。
そうして教室の前に来たが、さすがに初日とあって緊張する。前の学校では普段からビビられていたからなおさらだ。第一印象に気をつけねば。意を決して教室のドアをノックする。
コンコン、
「入ってきていいよー。」
おそらく先生であろう声を聞き、入室して生徒の前に立つ。すると、
あれ? 教室を見渡すと、教卓にいる先生らしき人を含め、そこには数人しかいなかった。しかも生徒の方を見ると、わりと大きい子や小さい子もいる。
意外なクラスに拍子抜けした俺は、思わず先生に質問した。
龍悟「あのー、」
先生「とりあえず自己紹介したら?」
龍悟「は、はい。」
何気に遮られた。この適当ぶり、本当にこの人先生か?まあいいや、さっさと自己紹介してしまおう。
とりあえず黒板からチョークを取り、名前を書く。
龍悟「えっと、神童 龍悟です。北海道札幌市から来ました。」
すると、すぐに反応がきた。
「すごい、北海道から!?」
「またすごい遠くから都会人が来たなー。」
茶髪の小柄な少女とオレンジの髪の少女が驚きながら言った。やっぱ珍しいんだろうな。すると、
「にゃんぱすー」薄紫のツインテールの少女が妙な挨拶をしてきた。恐らくこの中で最年少だろう。
龍悟「えっと、よろしく。」とりあえずそう返す。
先生「とりあえず座ろうか。」 龍悟「...はい。」
窓際の空いた机が恐らく俺の席だろう。そこに座った。
先生「じゃあ、授業始まるまで待ってて。」
そう言い残した先生は、教室を出た。
うーん、どうやって打ち解けていこうか。頭の中でそう考えていると、先程にゃんぱすーと言ってきた少女が声をかけてきた。
「うち、宮内れんげっていうのん。小1なのん。よろしくなのん、龍ごん。」
龍悟「龍ごん?」
れんげ「うん、龍ごん。」
いきなりニックネームか。まあそれもありだな。空想の怪獣みたいな響きなのが少し気になるが。
「よろしく龍ごん。あたしは越ヶ谷夏海、中1だよ。」
「私は中2で夏海の姉の小鞠。ドア近くに座ってんのが中3の兄の卓だから。」
どうやら茶髪の小柄な子とオレンジ髪の子は姉妹らしい。
にしても、姉が妹より背が低いのは見たことがないな。
兄貴のほうは見るからに無口だな。
小鞠「呼び方は普通に夏海、小鞠でいいよ。」
夏海「姉ちゃんはこまちゃんって呼べばいいよ。」
小鞠「こらっ、こまちゃん言うな!」
どうやら小鞠は背の低さから、こまちゃんと言われるのが嫌みたいだ。まあ俺は人をニックネームで呼ばない主義だが。
「あの~」 龍悟「ん?」黒髪の背が高めの少女が少し怯えながら声をかけてきた。
「神童先輩は何年生ですか?」
龍悟「高2だ、よろしくな。呼び方は龍悟でいいぜ。」少し笑いながら答えると、その子は安心したようだ。
「わかりました、龍悟先輩。私は一条 蛍って言います。東京から来ました。小5です。」
龍悟「東京か。俺何回か行ったな。都会出身同士仲良くしようぜ。それにしても君、小5にしちゃあ大きいな。」
蛍「よく言われるんです。どうしても疑われて。」
龍悟「まあ俺もその時身長170㎝だったから気持ちはわかるけどな。」
蛍「そうなんですか!?今はどれくらいですか?」
龍悟「188㎝」
れんげ「龍ごんクラスで一番でっかいのん!」
夏海「ちょっとみんな龍ごんと並んでみない?」
みんなとの背比べが始まった。何故か卓は声をかけられてないが。
まずは蛍と並ぶ。
夏海 「うわー、ほたるんがちっちゃく見えるな~。」
小鞠「これならほたるん小学生にみえるね。」
ちなみに蛍は164㎝。俺とは24㎝差だ。
次に夏海と並ぶ。
小鞠「夏海は158だから30㎝差かー。」
蛍「何だか年の離れた兄弟に見えますね。」
次に、140㎝の小鞠と並ぶ。
夏海「うわー、約50㎝差ってすげー。」
蛍「(ああ、小鞠先輩小ささが際立って可愛い!!)」
れんげ「こまちゃんやっぱりちっちゃいのん。」
小鞠「うるさい!」
最後は118㎝のれんげと並ぶ。
蛍「70㎝の差ってこんなに違うんですね!」
夏海「下手したら親子に見られるかも。」
小鞠「親子って。」
ふと、れんげをみると、れんげは俺に目を輝かせていた。
れんげ「龍ごん、肩車して。」
はい? 不意な要求に一瞬戸惑った。
れんげ「早くするのん。」
龍悟「わ、わかった。」
幸いれんげはスカートではなく半ズボンだった。
望み通り肩車してあげると、
れんげ「おぉー、高いのん! うち今空飛んでるのん!」
ものすごいはしゃいでる。とそのとき、先生が帰ってきた。
先生「れんげ、肩車かー。良かったね。龍悟くんもすっかり打ち解けたみたいだねー。
そう言えば自己紹介忘れてた。私は担任でれんげの姉の
宮内 一穂だから、よろしく。」
そんなこんなで、俺は何とかクラスのみんなと打ち解けられた。
変な初日を迎えた感じですが、これからもよろしくお願いいたします。