今日は文化祭の後の休日。龍悟はいつものように起きて朝食をとり、朝からパソコンで曲を書いていた。
文化祭以来、卓とよく演奏するようになってから、作曲が日課となっていた。
龍悟「さて、このコードはと。」カタカタ、カタカタ
部屋にキーボードの音だけが響いている。すると、
龍悟母「龍悟、越ヶ谷さんのお母さんから電話よ。」
龍悟「ああ、今行くぜ。(雪子さんから電話か、珍しいな。)」
階段を下り、受話器を取る。
龍悟「はい、龍悟ですが。」
雪子「龍悟君、こんにちは。休日にごめんね、実は頼みがあるの。」
龍悟「と言いますと?」
雪子「実は卓と夏海と小鞠に家の掃除を頼んでるんだけど、あの子達だけじゃ不安だから手伝ってもらえないかしら?」
不安要素が誰かはもはや聞くまでもない。
龍悟「わかりました、これからそちらに向かいますので。」
雪子「本当にごめんね、夕方まで出かけるから手伝えなくて。今日夕飯ご馳走するから。」
龍悟「いえいえ、お構いなく。」
電話を切ると同時に部屋に戻り、着替えてからバイクにまたがった。
龍悟「まあ心配の種は摘んでおかないとな。」
20分後…
龍悟は越ヶ谷家に着く。するとそこには蛍やれんげもいた。
龍悟「あれ、お前らも呼ばれたのか?」
れんげ「にゃんぱす〜。」
蛍「先輩、おはようございます。」
まさか蛍とれんげも呼ばれるとは。まあこの家は平屋で割と広いから大変なんだろうな。
龍悟・蛍・れんげ「おじゃましまーす。(なのん。)」
夏海「いやー悪いねみんな。マジ助かるわ。」
卓「!!!」合掌
小鞠「夏海、あんたが日頃ちゃんと掃除しないから。本当にごめんねみんな。」
蛍「先輩、気にしないでください。」
れんげ「みんなでピカピカにするのん!」
龍悟「どうせ暇だったからな。」
メンバーが揃い、掃除を開始する。
夏海「さーてと、どこからしよっかなー。」
龍悟「とりあえず分担するか。」
分担は、龍悟と卓が玄関と廊下、蛍とれんげが流し周り、夏海と小鞠が部屋の棚や押入れの整理となった。ら
side龍悟・卓
龍悟「さて、まずはザッと玄関の掃き掃除だな。」
卓「!!!」ビシッと敬礼
まずは玄関掃除、下駄箱から靴を全て外に出し、中を箒でサッサと掃いていく。それから床を掃いていった。
龍悟「よし、次は廊下の拭き掃除だな。」
卓「!!!」
この家は平屋とはいえ結構廊下が長い。これを定期的に掃除していることを思うと大変だなと龍悟は思った。
龍悟「とりあえず半分ずつやればすぐに終わるな。」
モップで長い廊下を磨いていく。15分弱で難なくそうじは完了した。
龍悟「さて、あとは他を手伝いに行くか。」
卓「!!」グッ 親指立て
まずは蛍とれんげがいる流しに向かう。まあ大丈夫だとは思うが。
龍悟「よう、そっちはどうだ?」
蛍「先輩、お疲れ様です。」
れんげ「上が届かないのん。」
上を見てみると、食器や調理器具を収納するスペースがある。まあ俺は何とか届くが彼女達では無理だ。
見た所踏み台もないようだ。
龍悟「わかった、俺に任せろ。」
収納スペースに手を伸ばし、布巾で拭いていく。
蛍「背が高いのは便利ですね。」
龍悟「いい事ばかりじゃないけどな。」
収納スペースを拭き終わり、換気扇の掃除をするが、手前までは掃除できるが、さすがに奥までは届かない。
れんげ「龍ごん、肩車するのん!」
龍悟「そうすりゃ届くけど。」
蛍「危なくないですか?」
れんげ「大丈夫なのん!」
かなりやりたがっているので肩車をする事に。ワイパーをれんげに持たせ、肩車する。
れんげ「おぉー、奥まで届くのん!」
龍悟「フラつかないようにな。」
れんげは嬉しそうに換気扇の中を磨く。
この後、天井の掃除もやりたいとれんげは言い、そのときは肩車ではなく、両手でれんげを上に持ち上げた。それがたかいたかいに見えたのか、蛍は
蛍「なんだか本当に親子に見えますね。」
龍悟「そうか?」
まあ歳と体格の差があまりにも違うしな。
龍悟「さて、そろそろ夏海と小鞠の様子を見に行くか。」
蛍「そうですね。」
四人は夏海と小鞠の部屋へと向かう。すると、
夏海「うわー、このおもちゃ懐かし〜。」
小鞠「懐かしむのは後にしなさいよ。」
案の定、あまり進んでいなかった。
龍悟「よう、進んでるか?」
小鞠「あっ、龍ごん。」
夏海「いやー、掃除してる間に色々懐かしいもんが出てきてさ〜。」
小鞠「散らかしたら余計疲れるでしょうが!文化祭準備のあとからずっとこのままだし!」
蛍「まあまあ先輩、今お手伝いしますから。」
龍悟「とりあえず物のしまい方どうにかしような。」
れんげ「うち、おもちゃ片付けるのん!」
とりあえず散らかったものを分別していく。
れんげ「!、謎の紙切れ発見なのん!」
昔の絵でもあったのか?
小鞠「あっ、れんげ、それは!」
小鞠は思わずその紙切れを取ろうとしたが、
夏海「どれどれ〜。おっ、これ姉ちゃんの小1のときの作文じゃん。」
夏海が取ってしまった。そして夏海はおもむろにそれを読み上げた。
夏海「何々?わたしはウサギさんが大好きです。わたしもいつか、ウサギさんみたいに可愛くなりたいです。なぜなら...」
小鞠「こらー!読むなー!返しなさいよバカ!」
蛍「(先輩、可愛い過ぎます!!)」
龍悟「夏海、その辺にしとけよ。」
夏海「へーい!」
まったく、デリカシーのかけらもねえな。しばらく縮こまっていた小鞠をよそに掃除を進めると、何やら夏海は一本のビデオテープを見つけた。それも、今では懐かしいVHSだ。
夏海「ねえねえ、休憩がてらこのビデオ見てみない?」
龍悟「それ、大丈夫なのか?」
小鞠「またあたしの恥ずかしいものだったら困るんだけど。」
夏海「まあまあ折角だし、見てみよ。」
蛍「それじゃ、休憩しましょうか。」
ビデオテープを再生する。すると、そこはこの家の庭で、そこには幼い少女がいた。
小鞠「あっ、これ夏海だ。」
龍悟「へー、夏海すげー可愛らしいな。」
夏海「えへへ、そーお?」
蛍「思い出のビデオがあるのはいいですね。」
しばらくすると、幼き夏海は幼き卓のもとに駆け寄った。
夏海「えへへ〜、兄ちゃん大好き❤︎夏海、大きくなったら兄ちゃんのお嫁さんになる!」
この瞬間、しばし皆固まった。普段の夏海をかんがえればあまりにも衝撃的だったからだ。
蛍・小鞠・れんげ「・・・」
卓「…」ポッ(赤面)
夏海「だーっ!?」
ブチッとテレビを消す夏海だが、時すでに遅し。
龍悟「・・・まあ、見なかった事にするか。」
夏海「うわああああ〜!」
夏海、今度からはプライバシーについて考えような。
休憩後、掃除を再開し、終わった時には16時を過ぎていた。
夏海「何とか母ちゃんが帰る前に終わってよかった〜。」
小鞠「途中色々あったけどね。」
蛍「お疲れ様でした。」
れんげ「終わったのん。」
龍悟「やれやれだぜ。」
卓「…」
ほっと一息着いた。
雪子さんは帰ってくるなり、部屋へと駆け込んだが、綺麗になっているのを見て俺たちに凄く感謝していた。
夕飯をご馳走になり、越ヶ谷家を後にする。この調子じゃ年末の大掃除にも呼ばれそうだな、きっと。
これからまた暑くなりますが、へこたれずに頑張ります。