龍悟「あ~、あちぃ~。今日何度あるんだ?。」
午前中を宿題に費やし、昼食後に部屋でアイスを食いながら休憩していた。
ピリリリッ、ピリリリッ。俺のスマホが鳴る。
龍悟「おっ、ひかげから電話だぜ。」
昨日れんげの家で先生から宿題を渡された後、高校生同士ということで、俺はひかげと連絡先を交換した。ついでにいうとひかげもスマホである。
龍悟「よう、ひかげ。」
ひかげ「ねえ龍悟さん、明日何か予定ある?」
龍悟「いや、特には。」
ひかげ「明日みんなで海に行くから龍悟さんもどうかなって。」
龍悟「おう、いいぜ。」
ひかげ「んじゃ明日の朝8時に旭丘分校の近くの駅に集合ね。」
そういえば学校付近には電車が走ってたな。明日は初めてこの地域の電車に乗るわけだ。よし、明日遊びに行く分宿題を進めておくか。休憩を終えて俺は再び宿題をしていく。
龍悟「そういえば明日の用意しなきゃな。」
ある程度進めて手を止めてから、明日の用意を開始する。水着は去年の夏休みにプールに行ったときのトランクスがあった。ほかには、タオル、日焼け止め、絆創膏などを備えておく。
翌朝、指定された駅に来ると、みんな来ていた。引率として先生も来ていたが、大丈夫だろうか。
電車に乗り、海へと向かう。
夏海「やっほーい、海だ海だー!」
れんげ「いっぱい泳ぐのん!」
小鞠「静かにしなさいよ!」
卓「・・・・」
朝から随分テンション高いな。
龍悟「こういうとこから海に行くの初めてだな。」
蛍「私もです、楽しみですね先輩。」
ひかげ「都会っ子からすれば田舎の海ってそう思えるのかもね。」
こんな感じで会話をしながら電車の長旅を楽しみ、約1時間に降りる駅に着く。駅から出ると、もう目の前に海が見えていた。とりあえず俺達はそれぞれに更衣室に向かう。
着替えを終えて浜辺に出ると、夏海とれんげがもう水着に着替えていた。着替えるのはやいなあいつら。浜辺には先生がパラソルとシートを用意していた。そこには何故か小鞠が今朝の格好のままで座っていた。
龍悟「小鞠、着替えないのか?」
小鞠「うん、ちょっとね。」
夏海「姉ちゃん、体型が中学生に見られないから水着着れないんだよ。」
ああ...なるほど。
小鞠「こらー、言うなー!!!」
先生「まあまあ、小鞠も高校生くらいになればもう少し成長してるよ。」
小鞠を慰める先生。しかし、追い打ちをかけることが起きる。
ひかげ「おまたせー。」
蛍「すみません、お待たせしました。」
この二人のスタイルが小鞠のコンプレックスの火に油を注ぐ。ひかげは高校生だから納得できるが、小学生の蛍がスタイルでひかげに並ぶのはさすがに不思議だ。
小鞠「・・・・・・・・。」
小鞠、目が死んでるぞ、元気出せ。
そう思いながらもひかげと蛍に見とれてしまう。
ひかげ「龍悟さん、見とれるのはいいけどさ、蛍は小学生だからね。」
龍悟「わっ、わかってるよ!」
ひかげ「ならいいけど。」
あぶねーあぶねー、心読まれてた。気を付けないとな。
小鞠「・・・みんなにジュース買ってきます。」
くらい表情のままジュースを買いに行く小鞠。何か気の毒だな。
小鞠が戻ってくるまでの間、俺達は浜辺でボール遊びや砂遊び、海水浴を楽しんだ。昼食時間になり、パラソルに行くが、小鞠はまだ戻ってない。
龍悟「そろそろ昼飯だし、戻ってくると思ったんだが。」
夏海「いくらなんでも遅いよね。」
蛍「先輩に何かあったんじゃ。」
れんげ「長い時間戻らない、ズバリ誘拐!」
蛍「ゆっ、誘拐ー!?どうしよう、先輩がー!」
泣きながら慌て出す蛍。
ひかげ「ちょっとれんげ、話が飛躍し過ぎよ!」
龍悟「先生、小鞠を探しに…」
そう言おうとしたが、先生は呑気に寝ていた。
ひかげ「ホント、頼りにならない引率者ね。」
龍悟「まったくだ。」
ひかげ「ここはあたしたちがしっかりするべきね。」
龍悟「ああ、俺とひかげは高校生だしな。とりあえず手分けして探そうぜ。」
俺と蛍、ひかげとれんげと夏海の二手に分かれ、小鞠を捜索することに。
蛍「せんぱーい、どこですかー?」
龍悟「おーい、小鞠ー!」
海の家、更衣室、駐車場など、人の出入りするところから探す。途中蛍は何故か自販機の取り出し口を見ていた。気が動転してるにも程があるぞ。
ピンポンパンポーン
放送「えー、迷子センターから迷子のお知らせです。越谷小鞠ちゃんのご家族の方、至急迷子センターにおこしくださ『迷子じゃないって言ってるでしょーが(怒)!!』」
蛍「あ、あはは。」
龍悟「ぶっ、くくく。」
思わぬ見つかり方に俺達は笑った。
小鞠「もう最悪!一人でジュース買いに来ただけで迷子扱いされて。」
夏海「だはははは、こまちゃん面白!」
小鞠「こまちゃん言うな!私はお前の姉だぞ!」
とりあえず一件落着。昼食をとりに海の家に向かった。
夕方まで遊びまくり、駅に着いて帰りの電車を待つ。来るのはあと1時間後だ。しかも最終じゃねーか。
龍悟「あと1時間かよ。なげーな。」
ひかげ「都会に行ってから改めて地元の不便さを知ったわ。」
だよな。まあ仕方ない。
小鞠「それよりお腹すかない?」
夏海「だよねー。」
蛍「私もです。」
れんげ「うちも。」
ひかげ「そこの立ち食いうどん行く?」
龍悟「それがいいな。駅の外で食べて乗り遅れたらシャレになんねーし。」
先生「先生はホームで寝ながら待つから。」
ちょうどホームにある立ち食いうどん屋に入る。ちなみにれんげは立ち食いするにはあまりにも背が低いので椅子に座る。
一同「いただきまーす。(なのん。)」
みんな疲れていたので、勢いよくうどんを食べる。シンプルな味付けだがうまい。田舎だからなおさら温かさを感じる。
小鞠「うにゃー!からーい!!」
小鞠のうどんを見ると、全体が真っ赤だった。こんないたずらをする奴はこの中に一人しかいない。
龍悟「夏海、うどんに何したんだ?」
夏海「え、なっ何にも~。」
もろ表情に出てる。わかりやすっ。
龍悟「俺が新しいの注文するから。」
小鞠「あ、ありがと。」
まったく。唐辛子まみれとはいえ、残すのは勿体ないから俺はそれを食べた。
ジリリリリリ、「列車が来ます。黄色い線までお下がりください。」
龍悟「やべ、電車きたぞ!」
ひかげ「みんな早く!」
急いで電車に駆け込む。中には卓がいた。いつの間に乗ってたんだ。電車はすぐに動き出した。
小鞠「間に合ったー。」
夏海「兄ちゃんはえーな。」
みんな無事に乗れた。あれ、一人足りないぞ。窓からホームで爆睡してる先生が見える。
れんげ「ねえねえ乗り遅れたのん。」
おいおい。夏休み中でよかったな先生。
先生を置き去りにして俺達は帰った。翌朝先生はなに食わぬ顔で戻ってきたらしい。図太いもんだ。
こんなこともあったが、お陰で日記に思い出を書き残せた。
龍悟の休みさ最初の思い出でした。