魔女が運命と出会うまでの話   作:ボロス

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スープと野営

星空輝く真夜中の平原に、野営をする魔女が一人、 鍋が沸くのを待つ無表情の顔が、火に照らされる。

 

真夜中の平原で、手ごろな丸太に座りながら、焚火を眺める。 一人で鍋を囲んでいるのには理由がある。

 

いつも通り、パーティーを組んだらクビになったからだ。卒業してから、数か月の時間が過ぎても、先生が言っていた大切な人なんて、出来やしない。

 

私だって、普通になろうと努力はしました。でも私の体質はそれを全て否定した、どんなに色んなことを試しても、何も変わることはありませんでした。

 

どうして私は、こんなに苦しまなくてはいけないのでしょうか、人間関係を諦めて、一人で生きれば楽になれるのに。

 

一人で生きれば、嫌われることも、疎まれることもないというのに、なぜ私は、それを拒んでしまうのでしょう。

 

そんな思考に飲まれそうになったとき、吹きこぼれるスープの蒸発する音にハッと意識を向ける。慌てて火加減を調整し量が少し減ってしまったスープを食べることにする。 

 

あまり自分で作ることはないが、普通ぐらいには先生から習っているので、基本的に飲食には困ったことはない、だが、自分で作ることはほとんどない、お店の方が美味しいですし。

 

思えば先生には色んなことを教えてもらいましたね、縄の使い方や人を介助する方法も教えてもらいましたっけ、あれは先生が酔っ払った時に役立ちましたっけ。

 

先生には色んなことを教えてもらいましたが、使う相手がいないので、今のところ意味がないんですけどね・・・。

 

スープを食べながら、星空を眺める、周りには街灯一つないので、綺麗な星々が空に輝いているが、心動かされることはない。

 

『いつか、大切な仲間と眺めたら、違った景色に見えたりもするのでしょうか』 今の私には、空の星を掴むようなものですけどね。

 

そんな微かな憧れを口に出すが、すぐに自嘲気味になってしまうのは、夜の暗さのせいなのか、半分諦めているからなのか。

 

『でもやっぱり、一人は不便ですね』 冒険者はこういった野営をするときは、交代で寝るものだが、一人なので夜が明けるまで寝ることは出来ない。

 

こういった比較的安全そうな環境でも、無警戒で過ごすようなことはしない。伊達にほぼソロで稼いでいる、冒険者だからそんな横着なことはしない。

 

だが寝れないのが辛くない訳ではないので、一応対策も用意している。 三角帽子から一本の瓶を取り出し、瓶を眺める。

 

『一応死なない程度には調整してますが・・・出来るだけこれにはお世話になりたくないですね』 ドロドロとした赤黒い液体が入った瓶を、帽子から少し出して眺める。

 

こうゆう時のために制作しておいたのは、眠気覚まし用のポーションである。味は最悪だが、効果は最高だと自負している。

 

眠気覚ましポーションを制作し、味見したときは、余りの味に作った私も飲みたくないぐらいですが、効果にだけは自信があります。

 

『まぁどうせ一夜ぐらいなので、これに頼るつもりは全くありませんけどね。』 やっぱり飲む気にはならなかったようで 帽子に仕舞う。

 

『これを飲むのは、私以外にしておきましょう』 よっぽど飲みたくないのか、これを飲んでくれるような人が現れるのを待つことにする。

 

まだまだ夜は長いので一応使い魔も飛ばしておいて、監視の範囲を広げておき、焚火の明かりで読書でもすることにする。

 

いつだったか、興味本位で買った恋物語の短編が収録されている本を最初のページから開く。 恋愛なんてあまり興味はない。

 

若い男女が、学校で恋に落ち、紆余曲折ありながら、ついに恋人になるよくある内容だった、現実で遠くから見たことある展開なので、今更真新しさはない。

 

『そういえば、好きな人の子供を妊娠したとかで、退学していった子がいましたね・・・』

 

本の内容に該当しそうな記憶をふと思い出す、幸せそうな顔だったことを覚えている。

 

あれは好きな人と結婚できるから幸せそうだったのか・・・それとも子供が出来たことが幸せだったのか 分からない。

 

私に人間関係と呼べる人は、先生ただ一人なのでそうゆうのはよく分からない 友人だっていたことはない。

 

本に出てくる相談に乗ってくれる親友なんて私にはいるはずがないので、内容にも共感出来ない。

 

『やっぱりこうゆうの読んでも、よく分かりませんね』

 

こういった本を片手に、感想を言い合っていた女子達と同じ本を一人読んでみた時も同じ感想をを述べたものだ。

 

最後まで読み終え、あの時と同じ感想を抱いたあと、まだ燃える焚き火を見る

 

パタリと本を閉じ、まだ火が燃える焚き火にポイと投げる、紙で出来た本に火が付き、もはやよく燃える燃料以上の価値は、今のフィオナにはない。

 

『こんなものは私には必要ない』 ただじっと燃える本を眺めているだけの時間が過ぎていく、燃える火を眺めるとこんなに落ち着くのに、なぜ私の炎は、こうならないのでしょうね。

 

焚き火にまで嫉妬してしまいそうなほどの孤独を抱えていても、それを癒す方法は今の私にはない。

 

『そろそろ明るくなってきましたし、帰って寝ますかね』 大きなあくびをしながら火の後始末をしたあと帰路につくことにする。

 

『この近くの街までそう遠くないのですぐにつくでしょう。』 いつもより眩しい日光に目を細め、歩く。 すぐ目の前に町が見えてきたので、すぐに休めそうで、眠気が押し寄せようとしてくる

 

街にはいったすぐの宿にチェックインし、部屋に向かおうとした時、でかでかと貼られたポスターが目に付く。

 

『なんですかこれ、パンドラ大陸遠征、傭兵募集?』 大きなポスターに書かれた説明を眺める。

 

『最近始まったとかいう、いつもの侵攻ですか、この大陸もまだ半分しか取れてないのに、海の向こうまで攻める余裕はなさそうな気がしますけどね。

国の内情を自然に批判していることには気づいていないが、そのまま説明を読み続ける・

 

報酬は・・・あんまり良さそうではなさそうですね、ご飯は3食付いてるみたいですが、それぐらいですね。

 

あんまり良い所はないが、正直シンクレア共和国にいても、あんまりいいことはなさそうですし、知らない所なら食べたことないものも食べれそうですからね。

 

寝るのはあとにして、すぐにギルドに申請に行くことにする、まだ見ぬ知らない大陸の美味しい食べ物に心躍るフィオナだった。

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