猫好きの湊さん   作:バーサク戦士

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お誘い 友希那視点

やっとテストが終わった。この休みの期間必死に勉強したかいがあった。なんとか赤点は逃れたと思う。そんな事を考えているとき、正宗が話しかけてきた。

 

「湊ー。どうだった?」

 

 正直言って、正宗のおかげのところが大きいわね。

 

「正宗あなたとも今年いっぱいでお別れね」

 

 でも、最近は正宗のこといじめたくなるのよね。

 

「おい、まさか俺たちがやってきた努力が水の泡になったとか言わないよな?」

 

「そのまさかよ」

 

「待ってくれ。お前が留年したら俺はどうなるんだ」

 

「来年から一人ぼっちね」

 

「嘘だ!嘘だと言ってくれよ!!お前がいなくなったらまた俺は一人ぼっちじゃないか!」

 

 こんなに必死になって、 そんなに私と離れるのが嫌なのかしら。案外可愛いところもあるのね。

 

「嘘よ」

 

「・・・・えっ」

 

「だから、嘘だと言ったのよ」

 

「じゃあ、テストの方は」

 

「まあ、赤点はないはずよ」

 

「そうか、よかった」

 

 なんだかんだ言って私の事を心配してくれるのよね正宗は。

 

「全く本当に正宗は私がついていないとだめね」

 

 本当は私のほうが正宗に依存していることのほうが多い。最近はかまってくれないことも多いし。

 

「・・・・別にお前がいなくても、今井さんと同じクラスになればボッチが回避されるだろうから、やっぱ留年しろ」

 

 本当にこうゆうところはデリカシーが無いわね。大体私が留年したら、正宗だけじゃなく私までひとりぼっちになるじゃない。

 

「紗夜に報告ね」

 

「すいませんでした」

 

 全く最初からそんな事言わなければいいのに。

 

 このまま帰るのもなんかあれね、まだお昼前だし家に帰ってもすることもないわね。

 

「あ、そうだ、正宗ご飯行くわよ」

 

「急に何だ?」

 

 めんどくさそうな顔をしてくる。少しは喜んでもいいんじゃないかしら。

 

「めんどくさいからもう帰るぞ、俺は」

 

「友だちがいる人達はテストが終わったあとに打ち上げに行くらしいのよ」

 

「まさかとは思うがそれに行くとかないよな?」

 

「さあ、準備しなさい」

 

 正宗と一緒に出かけられる。そう思うと足取りが軽くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どこに行くんだ?」

 

「そうね」

 

 正直どこでもいいのだけれど。こうゆうときって普通どこに行くのかしら。リサなら、ショッピングモールに行くとか言いそうね。

 

「ショッピングモールに行きましょう」

 

「却下だ」

 

「なんでよ!」

 

「だってどこかの誰かさんが迷子になるから」

 

 ・・・流石に馬鹿にし過ぎなんじゃないかしら。いくら私でも、迷子になるなんてことはないはずよ。・・・多分。

 

「あのね、私が迷子になるはずないじゃない。流石に馬鹿にしすぎよ」

 

「そう言って迷子になったやつを俺は知っている」

 

「じゃあ、その人はよっぽど間抜けなのね」

 

 ショッピングモールで迷子になるなんてよっぽどのおバカなのね。だいたい、正宗と一緒にショッピングモールに行く人なんかいるのかしら。なんで私を誘わないのよ。そう思うとだんだんムカついてきた。

 

「・・・・そうだな」

 

「じゃあ正宗は、どこがいいのかしら?」

 

「そうだなー」

 

 ふん、それなりの場所を言わないと今の私は満足しないわよ。

 

「あ、そうだ。うちくるか?」

 

 ・・・・え。な、何を言い出してるの正宗は。いくらなんでもいきなり家に来いなんて、誘っているのかしら。いや、いくらなんでも早すぎよ。だいたい物事には順序と言うものがあるでしょ、いきなり家なんて早すぎるのよ!もしそうなったら、私は断れるのかしら。でも、正宗なら別に、って何考えているの湊友希那しっかりしなさい。こんなセクハラ野郎はだめよ。

 

「きゅ、急に何言ってるの。まずは段階って物があるでしょう!」

 

「い、いやほら。今日うち休みだから誰もいないからいいと思ってさ」

 

・・・・な、やっぱり誘っているじゃない。家に誰もいないなんてあからさますぎるのよ。ほんと、男って生き物は何なのかしら。

 

「それこそ問題よ!誰もいないうちに誘って来るなんてやっぱりセクハラね。紗夜に報告するわ」

 

「そうか残念だな。せっかく誰もいないから猫たちを独占させてやろうと思ったのに、紗夜さんに報告されちゃ生きていけないからそれもできそうにないな」

 

 まあ、私は最初からわかってたけどね。正宗はそんな事しないって。そんなことより早くしないと。

 

「よし行くわよ正宗。案内しなさい」

 

「え、紗夜さんに連絡してもいいんだぞ。覚悟はできているからな」

 

「私がそんなひどいことするわけないじゃない。それよりも早くして、時間が惜しいわ」

 

「はいはい」

 

 楽しみねやっと猫カフェに行けるなんて。・・・あと正宗の家に行けるのも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、猫の集いの場」

 

 まさかここに入れる日が来るなんて、感激だわ。

 

「何やってるんだ早く入れよ」

 

 全く、もうちょっと心の準備ってものが必要なのに急かしてくるのかしら。

 

「ほら入るぞ」

 

 急に腕を掴まれる。いきなりなんなのかしら。でも正宗の腕ってすごく大きいのね。いや、それよりもまだ早いわよ。

 

「ちょ、ちょっとまだ心の準備ができて「「「「「にゃーん」」」」」

 

 そこは、楽園だった。ああ、こんな素敵な場所がこの世にあったなんて、もっと早く来ればよかったわ。

 

「どうだ、湊。人生初の猫カフェの感想は」

 

「・・・・・・・・」

 

「お、おいどうした」

 

 もう少しもう少しの我慢よ。だんだんみんながよってくる。ここよ!!

 

「もう、逃げられないわよ。これこそが私の狙っていた作戦、近づいてきたところをいきなり抱っこ作戦よ!可愛いわねにゃーんちゃん」

 

 ああ、どの子ももふもふで可愛いわ。

 

「フフ、どの子も可愛いわね。ここが、楽園ね。あ、シロちゃんはどこに要るのかしら」

 

 そう、私の本命はシロちゃんよ。正宗に写真を見せてもらったときから、ずっと楽しみにしてたのよ。

 

「シロなら、多分俺の部屋に「にゃーん」おおシロ降りてきたか」

 

「こ、この子がシロちゃん。か、可愛い。触ってもいいかしら」

 

「ほら」

 

「にゃ」

 

「なっ!!」

 

 そんな、なんで私の方によってこないのよ。

 

「あー、ほらシロこっちのお姉ちゃんの方に行ってきな」

 

「にゃ!」

 

「・・・・ふふ、シロちゃんずっと楽しみにしてたのにこんなことって」

 

「い、いや、シロは人懐っこいはずなんだけどなぁ」

 

「ニャー」

 

 その時落ち込んでいる私のところに一匹の猫がすり寄ってきた。

 

「この子は?」

 

「あー、そいつはクロだな。なかなか俺になついてくれないんだよな」

 

「か、可愛い。ほらおいで」

 

「ニャーン」

 

 そう、クロちゃんていうのね。抱き上げて顔をよく似てみると正宗に似ている。

 

「まさかクロが湊になつくとはな」

 

「全く正宗は、どうせクロちゃんに酷いことでもしたんでしょ」

 

「いや、そんなことはないと思うけど」

 

 もしかして同族嫌悪ってやつかしら?

 

「しゃー」

 

「シャー」

 

「ど、どうしたの。クロちゃんたちは?」

 

「いや、昔から仲が悪くてな。近くにいるとすぐに喧嘩しだすんだよ」

 

「大丈夫なの?」

 

「ああ、毎回結局シロが勝ってクロのことを、いじめてるんだよな」

 

「そうなの、クロちゃんかわいそうに」

 

 ふふ、まるで私達のような関係ね。やっぱりクロちゃんもシロちゃんに弱いのかしら。正宗が私に弱いように。

 

「ニャー」

 

「本当によくなついてるな」

 

「正宗はシロちゃんがなついているから敵だと思われているんじゃないの」

 

「それは、あり得るかも」

 

 それからいろんな猫たちと戯れていたら日が暮れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ帰るわね」

 

「ああ、もうこんな時間か」

 

 そろそろお母さんから連絡もきそうだし。

 

「じゃあ、行くわ」

 

「ああ、気をつけてな」

 

 全く見送りのひとつもないのかしら。そんなことを思っていると、目の前の扉が開いた。

 

「ふー。疲れたわね」

 

「母さん、特売日だからって買い込み過ぎだよ」

 

「あら、そんなに荷物持ちが不満だったかしら」

 

「い、いやそんな事ないよ」

 

 これはもしかして最悪のタイミングってやつかしら。

 

「正宗もういたのね・・・・え」

 

「母さんどうしたんだい・・・・あ」

 

「あ、あのおじゃましました」

 

 そのまま、何事もなく帰ろうとしたしたところで、呼び止められた。

 

「ちょっとまって」

 

「は、はい」

 

「あなた正宗に連れてこられたの?」

 

「は、はい。そうです」

 

「正宗!女の子を家に連れ込むなんてどうゆうつもり!しかもこんなに可愛い子」

 

「いや、母さん普通につれてきただけだよ」

 

「嘘おっしゃい。あなたが女の子を連れてこれるはずないじゃない」

 

「本当だって!」

 

「あなた、名前は?」

 

「湊友希那です」

 

「そう、友希那ちゃん。正宗になにかされなかった?」

 

「い、いえ何もされてないです」

 

「本当に?脅されているとかじゃないわよね」

 

 リサたちもそうだったがなぜ私はすぐに脅されていると勘違いされるのかしら?もしかしてそんなふうに見えているのかしら。

 

「そんな脅されているなんてことは」

 

「逆にいつも俺のほうが脅されている気がするけどな」

 

 本当にいつもいつも余計なことばっかり言ってくるわね。たとえ本当だったとしても今は黙っているところでしょう。

 

「正宗。嘘も大概にしてくれないかしら」

 

「なんだ、ホントの事を言ったまでだ」

 

「そんなあることないこと言って本当にあなたって最低よ」

 

「はぁー。いっつも俺のこと脅しているくせに。こないだのテスト勉強のときがいい例だ」

 

 うっ、それを出されたら少し困る。いやそもそもあのときは正宗が無視するのがいけなかったんじゃない。そうよ、だから私も仕方なくお願い(脅した)だけなのに。

 

「それは、あなたが私のこと無視するのがいけないんじゃない」

 

「まあまあ、ふたりとも落ち着いて」

 

「父さん」

 

「2人が仲がいいのはわかったから」

 

「「よくない(わ)」」

 

「まぁ、当事者はわからないかな」

 

「友希那ちゃんはもう帰るの?」

 

「はい。いまちょうど帰ろうとしたところで、」

 

「それなら、ご飯食べていきなさいよ」

 

「そんな、悪いですよ」

 

「ちょうど食材も買いすぎちゃったからね。ちょうどいいわ」

 

「湊、諦めろ。こうなった母さんは止められない」

 

「わかりました。ご迷惑でなければ」

 

「うんうん。じゃあすぐ作るねー」

 

 結局成り行きのまま正宗のうちでご飯を食べることになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい。できたよー」

 

 そんな声がキッチンの方から聞こえてくる。テーブルの上には、収まり切らないぐらいの料理が並んでいた。どれも全部美味しそうに見える。

 

「おいしそう」

 

「そりゃあ、正宗がこんなにかわいい子をつれてきたんだ。気合も入るってものさ」

 

 ・・・・やっぱり普通なら、付き合ってるとか思われているのかしら。いや、そんな事ないわよね。さっきも口論しているところを見られてたんだから。

 

「ほら、2人とも座って」

 

「「いただきます」」

 

 いろいろな物があるがどれを最初に口に運ぶか迷う。結局迷った挙げ句最初は、サラダを選んだ。

 

「うーん。すごく美味しい。こんなに美味しい料理食べたの初めてだわ」

 

「まあ、父さんの料理は本当に美味しいからな」

 

「はい、おまたせ。オムライスだよ」

 

「こ、これが伝説のオムライス!」

 

 運ばれてきたのは、かわいい猫のイラストが書かれたオムライスだった。震える手ですくい口に運ぶ。

 

「ッ・・・。おいしい」

 

「そんなになるほど美味しいか?」

 

「当たり前じゃない。本当に美味しいわ」

 

「そうかい」

 

 確かにおいしいのだけれどなんて言うのかしら、口じゃ言い表せないけれど正宗が作った方のオムライスのほうがすきだった。ふと横を見ると目があったが、すぐに目をそらされた。その行為に胸が少し傷んだ。なんなのかしらこの胸のもやもやは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今度こそおじゃましますね」

 

「はーい。いつでも来ていいからね。友希那ちゃん」

 

「はい。機会があればぜひ」

 

「あ、正宗送っていってあげなさい」

 

「はぁ、わかったよ」

 

 暗い夜道を2人で並んで歩く。やっぱり暑いわね。

 

「今日はありがとね」

 

「なんだ、急に。気持ち悪い」

 

「あら、人が素直に感謝しているのにその態度、紗夜に報告かしら」

 

「すみませんでした」

 

 まったく今日私に何回紗夜って単語を言わせたのかしら。そういえばテストも終わったことだし、そろそろバンド練習も再開ね。そのまま、会話もなく家までついてしまった。

 

「それじゃあ、明日」

 

「ああ、またな」

 

「あ、正宗」

 

「なんだ」

 

 言おうか悩んだ末に言ってしまった。

 

「おなたのお父さんのオムライス美味しかったけれど、私はあなたが作ったオムライスのほうが好きよ」

 

 意外にも話してみると思っていることがスラスラ出てきた。

 

「え」

 

「それじゃあ」

 

 

 

 

 

 

 やっぱり最近暑くなってきた。だからこの胸の鼓動は暑さのせいだ。自分にそう言い聞かせて、玄関の扉をくぐった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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