猫好きの湊さん   作:バーサク戦士

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胸の痛み

最近湊の様子がおかしい。あの日からなんとなくおかしかったが、ここ最近は明らかにおかしい。具体的に言うとだ。

 

「おい、湊」

 

「っ、なにかしら。正宗」

 

「今日はバンド練習あるのか?」

 

「ええ、今日はあるわよ。それだけ?用がないなら話しかけないで」

 

「お、おう」

 

 そう言って机に突っ伏す。ほらすぐにこれだ。俺から話しかけると、すぐに会話を切り上げる。今までは自分からかまってアピールがすごかったのに急にどうしたんだ。そんなことをやっていると、授業開始のチャイムが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今日はここまでね。みんな気をつけて帰るのよ」

 

 はーいと言う声が教室に響き渡る。もういい加減今日決着をつけてやる。いつまでもこんな態度を取られると、こっちも思うことの一つや二つあるってもんだ。

 

「おい、湊一緒に帰るぞ」

 

「今日はバンド練習があるって言ったでしょう。だから無理よ」

 

「だから、途中まで一緒に行ってもいいだろ」

 

「いや!」

 

 そのまま、逃げるように教室を出ていく。あいつ、今日という今日は逃さねえ。湊を追いかけるように教室をでた。

 

「おい、待てよ。湊」

 

「追ってこないでと言ってるでしょう!」

 

「少しは話を聞いてくれよ」

 

「だから、私は話すことなんかないのよ」

 

「俺があるんだよ」

 

「聞きたくないわよ!!」

 

 この野郎。いつもならそろそろ限界のハズなのに、今日は粘ってやがる。

 

「追いついたぞ」

 

 やっと追いついた。そのまま、湊の手を掴む。

 

「やっと捕まえた」

 

「いや、離しなさいよ」

 

「ぜっったい離さない」

 

 湊は抵抗して、腕をブンブン振り回す。そういえばいい忘れたがここは町中のど真ん中だ。

 

「おい、あんた。その子困っているだろう」

 

「なんだ、お前は」

 

「自分なんかのことよりも、その子困ってるだろう。離してあげなよ」

 

「別に嫌がってない。いつものことだ」

 

「明らかに嫌がってるように見えるけど」

 

「ほら行くぞ、湊」

 

 そのまま、湊の腕を掴んで行こうとすると。

 

「君たちちょっといいかな」

 

 あ、おまわりさんじゃないですか。

 

 結局事情を話して、なんとかわかってもらえた。その後、湊は結局逃げるようにスタジオまで走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--------------

 

 友希那SIDE

 

 

 

 

 

 最近正宗を見るとなんかおかしい。胸の鼓動が早くなる。あのプールの練習に付き合ってもらった日からだ。なんというか正宗のことを考えると頭がぼーっとしてくる。

 

(何なのかしら、これは)

 

 そのとき正宗から話しかけられる。

 

「おい、湊」

 

「っ、なにかしら。正宗」

 

 びっくりした。いきなり話しかけられると、どうすればいいのかわからない。

 

「今日はバンド練習あるのか?」

 

「ええ、今日はあるわよ。それだけ?用がないなら話しかけないで」

 

「お、おう」

 

 そのまま、机に顔を伏せる。なぜだろうとても顔が熱い気がする。結局そのまま、放課後まで正宗と話すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後になった。カバンに荷物をまとめて、急いで教室を出る。このまま、正宗といるとどうにかなってしまいそうだった。

 

「おい、湊一緒に帰るぞ」

 

 なんで今日に限ってそんなことを言ってくるのかしら。また、心拍数が上がった。

 

「今日はバンド練習があるって言ったでしょう。だから無理よ」

 

「だから、途中まで一緒に行ってもいいだろ」

 

「いや!」

 

 そのまま、逃げるように教室を出ていく。そのまま、玄関を出て走った。後ろを振り返ると正宗がついてきていた。

 

(だから、なんなのよ!)

 

「おい、待てよ。湊」

 

「追ってこないでと言ってるでしょう」

 

「少しは話を聞いてくれよ」

 

「だから、私は話すことなんかないのよ」

 

「俺があるんだよ」

 

「聞きたくないわよ!!」

 

 ホントは話していたい。だけど今正宗の顔を見て話すことなんてできない。

 

「追いついたぞ」

 

 その声が聞こえた瞬間腕を掴まれていた。それと、同時に体の体温が上がった気がした。

 

「やっと捕まえた」

 

「いや、離しなさいよ」

 

「ぜっったい離さない」

 

 この、ブンブンと腕を振り回すが一向に離してくれない。

 

「おい、あんた。その子困っているだろう」

 

 その時困っている私に見かねて声をかけてきた人がいた。

 

「なんだ、お前は」

 

「自分なんかのことよりも、その子困ってるだろう。離してあげなよ」

 

「別に嫌がってない。いつものことだ」

 

「明らかに嫌がってるように見えるけど」

 

 なぜかしら、善意で言ってくれているのだとしても、正宗との時間を邪魔されているとしか思えない。いや、別に正宗のことなんてどうも思ってないけれど。

 

「ほら行くぞ、湊」

 

 そのまま、強引に手を引かれてつれて行かれそうになる。その行為に胸が一層ドキドキしてくる。

 

「君たちちょっといいかな」

 

 そんな雰囲気を壊すような声が聞こえてきた。結局事情を話してそのままスタジオに逃げてしまった。

 

--------------

 

 

 

 

 

 

 

--------------

 紗夜SIDE

 

「はぁ」

 

「湊さん。どうかしたんですか?」

 

「ああ、紗夜ちょっとね」

 

「疲れでもあるのでしょうか、先程から顔色が悪いですよ」

 

「いえ、そんなことないわよ」

 

「ならいいのですが」

 

 湊さんの顔色は見るからに悪そうでした。

 

「今井さん」

 

「ん、どうしたの紗夜?」

 

「今日湊さんどこかおかしくないでしょうか?」

 

「うーん、言われてみればずっと上の空って感じだね」

 

 やっぱり今井さんも気づいていましたか。明らかに様子が変でしたから。

 

「なにか、心当たりはありますか?」

 

 そうだねー、と考える仕草をするとなにか思いついたのか、とてもいい笑顔になりました。

 

「友希那ー」

 

 そのまま、湊さんの方に行き、何か耳打ちをしました。すると湊さんの顔が見る見ると赤くなっていきました。

 

「何だったんですか湊さんは」

 

「えーと、何ていうかね。最近胸が痛いんだって」

 

「胸?ですか」

 

「うん、特定の人を見ると、そうなるらしいよ」

 

 特定の人ですか、まさか何かあったんでしょうか。

 

「それで、大丈夫なんですか、湊さんは」

 

「いーや、このままじゃ危ないと思うよ。きっとこれからの練習にも影響が出てくるんじゃないかな」

 

 まさか、それほど深刻だったとは。

 

「湊さんいいですか」

 

 赤い顔した湊さんに話しかける。

 

「な、何かしら紗夜」

 

「今井さんから聞きましたが、最近胸が痛いそうですね」

 

「ええ、でも大丈夫よ。自分でなんとかするから」

 

「そういうわけにはいきません。今井さんも言ってましたがこのままじゃ練習にも支障が出ます」

 

「それは・・・・」

 

「湊さん教えてください。何が原因なんですか」

 

「誰にも言わないでくれる?」

 

「はい、約束します」

 

「こないだ、紗夜に話した男子生徒いたでしょ」

 

「はい、それがどうかしたんですか」

 

「その・・・」

 

 そこで湊さんは声を詰まらす。

 

「その人を見ていると胸が痛いのよ」

 

 なるほど、湊さんはその生徒のことを見ていると胸が痛くなってくるということですね。

 

「それは、いつ頃からなんですか?」

 

「そうね、ここ最近のことかしら」

 

「最近ですか」

 

「ええ」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

「今井さん」

 

「どうだった、紗夜」

 

「今井さんはその男子生徒と面識があるんでしたよね」

 

「うん、それがどうしたの」

 

「今井さん的にはどのような印象だったのでしょう?」

 

「そうだねー。友希那の体より、あたしの体のほうが好きって言われたかなぁ」

 

・・・・は?やっぱりおかしい人でしたか。湊さんからもう大丈夫と言われましたが、あれは嘘だったんでしょうか。

 

「その後は大丈夫だったんでしょうか?」

 

「まぁ、その後いろいろあったけど一応大丈夫だったよ」

 

「本当ですか?」

 

「もう本当だってばー。ほんと心配性だよね紗夜って」

 

 怪しい、今井さんが言っていることが本当に聞こえない。

 

 まさか!!今井さんまでその生徒にいやらしいことをされてしまったのでしょうか。そして優しい今井さんのことだから、湊さんをかばったのでしょう。そのことに胸がいたんだ湊さんが、落ち込んでしまったということなのでしょうか。もしそうだとしたら辻褄があいますね。

 

「今井さんもう大丈夫です。私がどうにかしてみせます」

 

「う、うん。お願いね、紗夜」

 

「明日その男子生徒に会うことってできませんか?」

 

「え、多分できると思うけど」

 

「会わせてくれませんか。自分の目でどのような人なのか確かめてみたいのです」

 

「うん、そのほうがいいかもね。実際にあってみないとわからないところもあるからね」

 

「お願いできますか」

 

「オッケー。じゃあ、明日の放課後でもいいかな?」

 

「ええ、大丈夫です」

 

「じゃあ、明日の放課後羽丘に来てね」

 

「わかりました」

 

 私の大切なメンバーに良くも手を出してくれましたね。その後の練習はいつも以上に力が入ってしまった。

 

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