ロミッタバンド団のお通りだ! かわいいでしょ?   作:カトラス@リトルジャックP

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ロミッタの新しい帽子といつもの通院。

【第5分区・ゴブリンブティック】

 

ロミッタは行きつけのブティックで服を見て回っていた。

 

「お客様、こちら新色のクロッシェでございます」

 

いつもの店員が帽子を勧めていた。

 

「へぇ、綺麗な青ね!大人の色だわ」

 

ロミッタは楽しそうに帽子を品定めしていた。

 

「はい、他にも赤、緑、白、黒を取り揃えております!」

 

「いいわね!全部見せて!」

 

「はい、しばらくお待ち下さい」

 

店員はそう言うと奥へと引っ込んでいく。

 

ロミッタが他の商品を見ながら待つ事二分程。

 

「お待たせ致しました、こちらになります」

 

店員は両手にお盆を持って戻ってくる、左右のお盆に二つずつクロッシェが並ぶ。

ロミッタの目に映る四色、その中でロミッタは白に手を伸ばす。

 

「ふふっ、ああやっぱり薄紅ピンクの私の肌にとても似合う!」

 

白いクロッシェを被るロミッタ、鏡に映った最高の笑顔。

 

「そちら銅貨12枚となっております」

 

「買うわ」

 

「ありがとうございます!」

 

そうしてロミッタは白い帽子を被って店を出る、自信満々にドレスを纏って歩く姿は見る者に疑いの余地も持たせない。

 

実際、ゴブリンの性差が気になる者からすると、

今日のロミッタは女性にしか見えないだろう。

 

最も、ゴブリンの性差を真剣に気にする者が居るとしたら、

他種族なら「変わり者」で、ゴブリンなら「気にしい」である。

 

 

「さすがロミッタちゃん!予約までの待ち時間に素敵な買い物までできちゃった!かわいいに余念がないわ!」

 

ナルシーでうるさい独り言さえなければ完璧であろうか?

 

 

 

――

 

【第5分区・ジェンダークリニック】

 

診察室に通されたロミッタは促されるままに椅子に座る。

 

「はい、じゃあ注射の前に面談をしましょう。こんにちはロミッタさん」

 

「ええ、こんにちはイシヅ先生」

 

そう、ロミッタが待っていたのは病院の時間であった。

 

「最近はどうですか?」

 

「はい、特に苦しさはありません」

 

「なら良いのですが、何か副作用があればすぐに申し出る様に」

 

エルフの医師はそう言うと少し砕けた雰囲気を出し始める。

 

「心理的にはどう?」

 

「ええ、この二週間で辛かった事は…なかったわ!」

 

自信満々に答えるロミッタである。

医者は更にだらけた様子で、背もたれに寄りかかり次の質問をする。

 

「そっかぁ、良いじゃん!人間関係はどう?バンドの子達とか」

 

「そうね、先生は心配だと思うけど、本当に二人は私を大切にしてるわ」

 

「毎回聞いてごめんねぇ、まあロミッタちゃんが裏切られる度に話聞いてあげる羽目になってる僕だから許してよ」

 

などと言いながら茶目っ気のある笑みを見せる壮齢の女エルフ。

ロミッタも慣れたもので信頼しきっている。

 

「仕事の方はどう?」

 

「よく言えば安定してる、悪く言えばスターダムは遠いわ」

 

ロミッタにしては珍しく憂いの表情で手を払う。

 

「まあ、何もかも上手く行く訳ないわな。んじゃ今日の施術を始めようか」

 

そう言うと肘置きに両手をついて突き上がる様に立つイシヅ、彼女の脚は触手のみで地上生活に余り向かない。

 

「はい、お願いします」

 

二人は隣の施術室へと歩んでいった。

 

 

―――

 

「お疲れ様でした、本日の代金は銀貨12枚となります」

 

「ありがとう」

 

少し疲れた様子でロミッタは受付支払いを行う。

 

「大丈夫ですか?少し休んで行かれます?」

 

本当に心配というよりは業務的にそう聞く受付係から帽子で顔を隠しながら、

 

「ええ、大丈夫よ」

 

と答えてロミッタは出ていった。

 

 

特に寄り道をする余裕もなく、ロミッタは来電座の自分の部屋へと戻っていた。

 

「おかえり、なんか食う?」

 

「…今はいい、寝るから」

 

出迎えるローギにも冷めた反応をして、ロミッタは着替え始める。

 

「おやすみー」

 

ゲグは自分の居る部屋で服を脱ぎだすロミッタもその不機嫌さも特に気にならないとばかりに気の抜けた声を向けた。

 

「部屋に食えるもん置いとくから起きたら食いなよ」

 

ローギは一応背を向けてそう声をかける。

 

 

 

何の返事もしないロミッタがベッドに寝ると二人はまた各々がしていた事に戻る。

 

ゲグはコミックスを読み、ローギは片腕立て伏せを再開した。

 

二人の態度は冷たいのではない、受け入れているのだ。

 

 

―――

 

三時間後。

 

ロミッタが起きると、時刻は夜も九時になろうとしていた。

 

店が最も盛り上がる時間であり、主演級のロミッタと違ってゲグ達は裏方演奏の仕事をしているので部屋には他に誰も居ない。

 

ネグリジェのまま部屋のテーブルに向かうと、皿にライチが五個置いてある。

カクテルや果実盛りの為に店で仕入れてはいるが、そんな安い物ではない。

 

おそらく、爽やかで食べやすい物をと気を使われたのだろう。

 

皮を剥きながら思う、爽やかな果実を頬張りながら思う。

 

大丈夫、体調も戻ったし、気分も良い。

 

「…そうだ!帽子を買ったんだったわ!どのドレスが一番合うか試さないと!!」

 

そうしてロミッタは笑顔爛漫で衣装棚に向かう。

 

最高の組み合わせを見つけて、戻ってきた二人に最高の笑顔を見せる。

 

その事でロミッタはいっぱいだった。

 

 

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