東方再編録   作:ゆず1252

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終幕

零に向けられた無数の枝が四方八方から襲いかかる。

 

「零!!」

 

「蛇腹切り…。」

 

それをそれぞれめった切りにし、一直線に進む。

 

「僕はお前が許せない。」

 

憎悪を込めて切り裂く。殴る。蹴る。零の戦い方は洗練された戦い方で、今まで修行を重ねてきたことが分かるほど綺麗な戦い方だった。

 

「あ、あれが…零?」

 

「まるで、」

 

獣。手足頭、使える所は何処でも使う。ひたすらに野蛮に。

 

襲い来る枝を捌くのではなく殴り壊す。

 

「っ!?」

 

地面からの奇襲。

 

 

が、それを踏み潰す。

 

「零!危ない!」

 

頭上と目の前、そして背後から数本の枝が刺し殺さんと零に向かってくる。

 

まるで刺さる場所が全てわかっているかのように、頭上からの攻撃は刀で切り、前後の攻撃は体を逸らすことで避ける。

 

「霊夢!!後どのくらい必要!?」

零の問いかけに霊夢は渋い顔をした。当然だ。あれ程の化け物を封印するとなれば、霊夢と紫の力を合わせたとしてもそれなりの封印術が必要なのだ。

 

「ははっ。」

 

笑った。そんな状況だと言うのに零は笑った。その表情はまさに歓喜。

 

「安心して。何分だろうと何時間だろうと、何日だろうと稼ぐから。だから霊夢はいつも通りでいい。」

 

「っ、分かったわ!」

 

「空断」

 

木の幹へ向けた不可視の攻撃。当然反応など出来るはずなどなく直撃。

 

「ちっ、流石に切れないか。でもそれでいい。この攻撃を受けられるって言うならお前を弱らせるのは苦労しなさそうだ。」

 

本来、空間ごと切り裂くこの技はどんなものでも関係なく切ることができる。が、切れなかった。つまりはこの遠距離技を当ててもダメージはあるが殺すことは出来ないという事。本来の目的、幽々子の奪還に対して有効打が1つ増えた事になる。

 

「零…。もしあれで切れてたら、どうするつもりだったのよ。」

 

だからこそ紫は思った。そんな一か八かみたいな事を何故今実行したのか。

 

〘 ーーーーーーーーーーーーーーっ!!〙

 

耳をつんざくような奇声。

 

「なんなんだぜ!?」

 

「頭が…。」

 

咲夜と魔理沙は耳を塞ぎ耐え、霊夢と紫は結界を張り耐えている。零は、

 

「五月蝿い。」

 

構えを解き、逆手に持つ。

 

「零式剣術、四ノ型 ー 波紋返し」

 

下から振り上げ、そこから空気の波が生まれる。その波が音を呑み込み木の化け物へ返される。

 

「マジかよ…。」

 

「恐ろしいわね。」

 

そっくりそのまま自分で放った攻撃が倍になって返ってくる。受ける側の事を想像したくもない。

 

奇声が止み、静寂が訪れる。

 

「終わった…の?」

 

「まだだよ。まだ終わってない。」

 

木の方へ目を向けると幹の中心部から桃色の髪をした女性の身体が現れる。

 

「幽々子!!」

 

「あの人が…。」

 

零は初めて姿を見た。彼女がこの異変の主犯格の西行寺幽々子である。

 

「身体が出てきたって事は、彼女自身も抗ってるって事なのかな?」

 

抗い、木が弱体化したため身体が外に出てきた。そういう仮説をたてる。

 

「零!あと3分!それで封印術が出来るわ!」

 

ここで吉報。術式の完成間近という報告。

 

「分かった。じゃあ僕は出来るだけ弱らせることを考えるね。」

 

何も無い空間から八本の刀が生まれる。

 

「空剣乱舞。」

 

刀が空を舞い、幽々子を避けながら襲いかかる。堪らず枝で迎撃しようとするが、

 

「無視は困るな。」

 

零から意識を外した為、致命的な隙が生まれる。

 

「空歩」

 

空間から空間へ移動、瞬間移動近い移動法で懐へ入り込む。

 

だが反応が早く、枝で迎撃してくる。

 

「だから無視するなって、言ってだろ。」

 

刀を飛ばし枝を全て切り落とす。

 

「零式剣術、三ノ型 ー 死突き」

 

傍から見たらなんて事のない突き。だが、

 

〘 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!〙

 

さっきとはまた違った、悲鳴の様な叫び声をあげる。零が行ったのは単なる突きでは無い。その名の通り当たったら確実に絶命させる必死の突き。

 

「喚くな。」

 

無慈悲の追撃、八つの刀が切り裂く。

 

零の能力と感知能力を使い合わせ、相手の急所を探す。ただそこへ向けて突きを放っただけのこと。勿論、死なない程度の手加減もした。

 

「なのに、そんなに痛いのか?」

 

死ぬほど苦しい一撃なのは知っている。自分の技なのだから。

 

「たかだかその程度の痛みで、悲鳴をあげるな。」

 

しかし零は許さない。その程度で泣き喚く事を許さない。なぜなら、

 

「僕が受けた痛みはもっと痛かったぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

「零…。」

 

その場に居合わせた4人が感じるものは様々だ。尊敬、嫉妬、畏怖。ただ感じるだけで何も出来ない自分にイラつきを覚える。

 

「まるで別人なんだぜ。なんて言うか…」

 

「感情に任せてる、って感じね。」

 

仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。数々の仲間の死を見てきた。紅魔館での異変は確かに死人は出た。しかし紅魔館だけの問題で済んだからまだいい。しかし今回は色んな人を巻き込む、最初の原因。許せるはずがない。

 

 

「お前のせいで、霊夢は心に傷を負った。」

 

切る。

 

「お前のせいで、魔理沙は片目を失った。」

 

切る。

 

「お前のせいで!!!」

 

切る。切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る切る。

 

唯ひたすらに切る。

 

全ての枝という枝を切り落とし、零は呟く。

 

「残念な事にお前を殺せない。あぁ、残念だ。最大限の苦しみを持って殺してやりたかったよ。でもダメだ。それじゃあ幽々子を救えない。だからもし、次、何も気にせず殺り合える時が来たなら、その時はしっかり殺してやるよ。」

 

そう言って手を伸ばす、

 

「空喰」

 

幽々子が露出している部分のみを抉りとる。

 

「霊夢!!もう行けるだろ!!」

 

「っ!!えぇ!」

 

とうに3分は経っている。なのに封印しなかったのは零のあまりにも強い圧力に呑まれていたから。しかし零の問いかけに我に返った霊夢はすぐさま術を展開する。

 

「夢想封印!!」

 

その声と共に1つの異変の幕が閉じた。

 

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