東方再編録   作:ゆず1252

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とりあえず3日に1回投稿目指します!



再開

チュン、、チュン、、

 

小鳥のさえずりが聞こえる。

 

「も、戻って来れたの、か?」

 

辺りを見渡すと、森。遠くには山。

 

「あの地獄絵図じゃないってことは、成功って事でいいんだよな?」

 

だがまだ安心できない。ここは過去なのか、それとも別の次元のどこかなのか。それが分かるまでは。

 

「とりあえず、人里に向かおう。とにかく人と会いたい。」

 

とにかく会いたかったのだ。里の団子屋、定食屋、仲の良かった夫婦、よく話しかけてくれたおばさんやおじさん、本屋。皆死んでしまったから。ひと目でもいいから見たかった。

 

「止まりなさい。」

 

「っ!」

 

そんな感情に浸っていると突然殺気を飛ばされた。

 

「動かないでください。動いたら問答無用で切りますので。」

 

あぁ、この声には聞き覚えがある。

 

「分かった。」

 

「聞き分けが良くて助かります。では質問です。貴方は何者ですか?」

 

あの時、止められなかった戦争の被害者。

 

「気づいたらここに居たと言って信じてくれる?」

 

「はぁ、余裕ですね、人間。」

 

更に強い殺気を飛ばされる。

 

「事実なので仕方ないじゃないですか。そういう貴方は?」

 

初めて会った時もこんな風に一触即発の空気だった。

 

「私はこの妖怪の山の警備を勤めている犬走椛と言います。」

 

変わらないなぁ、仕事には凄く真面目な所は。

 

油断したら涙が出そうなので一旦気を引き締める。

 

「それで、言い残したことは?」

 

「やっぱり、こうなるよね。」

 

椛が刀を構える。懐かしい雰囲気に浸りたいというのに。だがここが幻想郷だということ、まだ戦争が起きていないことは分かった。充分過ぎる収穫だ。

 

「覚悟!」

 

「、っと!」

 

上段からの振り下ろしを体を逸らすことで避ける。

 

「…貴方は人間では無いのですか?」

 

「人間だよ。一応。」

 

「分かりました。」

 

そう言って刀を鞘に収める

 

「ん?どうしたの?」

 

「今の攻防で敵意がないことくらい分かりました。理由がなんであれここには近づかない事をオススメします。」

 

無益な殺生は好まないタイプなのは知っている。たとえ勘違いで逃がしたとしても千里眼で追える事を考えればそうなるか。

 

「そっか、ありがとう。」

 

「いえ、それでは。」

 

ただ僕には最後に確信が欲しかった。

 

「あの!」

 

「はい?」

 

「ここの山に新参者が来たとか言った情報は無いかな。」

 

「いえ、ありません。」

 

思った通りだ。あの頃は椛も警備班から外されていたはず。つまりあの頃よりも過去に戻ってきた事になる。

 

「そっか、分かった。騒がせてごめんね。」

 

「はい、お気を付けて。」

 

 

 

 

 

 

「妖怪の山がここだから、人里は向こうか。いや、やっぱり行くなら博麗神社だ。」

 

恐らく情報が1番手に入りやすい。

 

「よし、行くか。」

 

それにしても早苗や諏訪子、加奈子さんがまだ幻想入りしてなくて良かった。戦争の引き金は彼女達だった。妖怪の山の領地に自分たちの拠点を置き、それが気に食わなかった天狗側。その時はただの小競り合いだった。

 

「鬼の介入のせいで全てが悪い方向に行ってしまった。」

 

本来地底にいるはずの鬼がどういうわけか地上に来たのだ。そこからは泥沼で、鬼は好き勝手暴れ、早苗は鬼に殺され、勘違いした加奈子さんは白狼天狗達を皆殺しにした。

 

「結局は霊夢が全部止めたんだけど。」

 

僕はただ鬼を少しの間止めることしか出来なかった。あの時止めていれば早苗は殺されなかった。

 

「でも今なら…。」

 

再度覚悟を決めて、博麗神社へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あった。」

 

少し寂れてはいるが昔のまま。

 

「あら、お客さん、って訳じゃなさそうね。」

 

面倒くさそうに出てきたのはここの巫女を勤めている霊夢だ。

 

「いきなり酷いな。もしかしたらお客さんかもしれないじゃないか。」

 

「そうなの?なら、お賽銭箱はあちらよ?」

 

「無一文なもので。」

 

「チッ。」

 

あぁ、こんな会話をしたのは何年ぶりだろうか。何人もの死を見続けてきた彼女はいつしか喋るのを止めた。心を殺し、考えるのを放棄したのだ。

 

「それで、なんのようなのかしら?というか誰よ。」

 

会いたかった。話したかった。したい事なんていくらでもある!でも今はダメだ。僕の感情を殺せ。

 

 

「外から来たって言えばいいのかな。とりあえずここに行けばいいって言われて。」

 

「はぁ〜、また紫ね。ちょっと待ってなさい。」

 

 

 

 

 

 

暫くして、

 

「あら、霊夢。貴方から用だなんて珍しい事もあるわね。」

 

「あんたまた外から人間を連れてきたわね。こっちの身にもなりなさいよ!」

 

この光景をまた見れるだなんて。夢みたいだ。

 

「…いえ、今回ばかりは私は関与してないわ。どこか結界に歪みがあったのかしら。」

 

そりゃそうだ。僕は外から来てなんかないんだから。未来から来たなんて言っても信じてくれるのはさとりちゃんくらいしかいなさそうだし…。

 

「ならとっとと送り返しましょ。」

 

だが、そういう訳にはいかないんだ。

 

「それは、嫌だな。」

 

「…へぇ。貴方、何者なのかしら?」

 

流石、今の一瞬で気付けるなんて。まあ狙ったんだけど。

 

「紫さん、でしたよね?」

 

「えぇ、この妖怪の賢者、八雲紫よ。」

 

「話があります。」

 

霊夢に聞かせる訳にはいかない。

 

「ふふ、分かったわ。霊夢にも聞かせられない話なのね。」

 

「出来れば。」

 

「あーはいはい、分かったわよ。お茶でも飲んでるからそこら辺で話してなさい。ただし暴れるんじゃないわよ。」

 

「そんな事はしないよ。」

 

絶対にね。

 

 

 

 

「それで?」

 

「信じてもらえるかは分かりませんが…。僕は未来から来ました。」

 

未来で起こる出来事を僕は、できる限り細かく具体的に話した。

 

「なるほどね。このまま行けばこの幻想郷は崩壊すると。」

 

「はい。」

 

崩壊する要因となった主な原因は、霊夢の自殺。結果、結界の維持が難しくなり天変地異が起き、崩壊する。その崩壊を止めるために紫は体を犠牲にし、そして死んだ。

 

「にわかには信じ難い、と言うのが本音よ。」

 

「まぁ、ですよね。」

 

「ただ貴方から私の妖力を微弱ながら感じる。それはつまり、貴方が未来から来た裏付けにもなる。」

 

言葉が出なかった。あの満身創痍の体でここまで見越して策を練っていたとは。

 

「本当に食えない人だ。」

 

「あら、酷いこと言うのね。一応私の事なんでしょ?」

 

確かにと、笑顔が滲み出る。

 

「分かったわ。貴方の話を信じましょう。いえ、信じる信じないを関係なく貴方を幻想郷に置くわ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「こっちのセリフだわ。だからちゃんと救ってあげるのよ。」

 

あぁ、このムカつく微笑み方とウィンクでまたこのセリフを言われるとは思わなかった。あの頃はちゃんと答えられなかったけど、今度はちゃんと。

 

「任せて。今度は間違えないから。」

 

「もう一度名乗るわ。私は八雲紫、貴方は?」

 

「僕は、零。苗字はない。ただの零。」

 

「長い付き合いになりそうね、零。」

 

「そうするために来たんだよ、紫」

 

もう1回スタートラインからやり直しだけど、今度はもう間違えない。

 




ちなみにゼロじゃなくてレイです!
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