東方再編録   作:ゆず1252

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手合わせ

「もう話は終わったの?」

 

「うん。お待たせ。」

 

「で?どうすんのよ。」

 

「結果的に言うと零は残る事になったわ。」

 

「あっそ、分かったわ。私は博麗霊夢。幻想郷の巫女よ。」

 

なんともザックリした自己紹介だが、またこれが彼女らしい。

 

「僕は零。苗字はないんだ。」

 

「ま、よろしくね。零。」

 

「っ、よろしく霊夢。」

 

ただ名前を呼ばれただけ。それなのに心が揺さぶられる。幾度となく僕が彼女に求めたものだったから。

 

 

話がまとまりこれからの話をしようとしていたら誰かが近づいて来ていることに気づいた。

 

「霊夢。お客さんみたいだよ?」

 

「この時間帯に来るとしたらアイツね。」

 

溜め息を吐きながら空を見上げる。

 

「よぉー!霊夢!遊びに来たぜ!」

 

努力をする天才と僕が勝手に呼んでいた彼女が来た。あの頃は霊夢の負担を減らすために僕と彼女で日々研磨をしていた。

 

「魔理沙、丁度いい所に来たわね。」

 

「お?紫もいるじゃんか。で、そこのヤツは誰だぜ?」

 

まぁ、そうなるよね。仕方ない。

 

「初めまして。僕は零。今日から幻想郷でお世話になる事になったんだ。」

 

「おぉ!新入りの外来人か!霧雨魔理沙だぜ!よろしくな!」

 

差し伸べてきた手を握り返す。彼女の体温を感じる事がこんなに嬉しいと感じるのは、いや止めよう。変態みたいだ。

 

「お?どうした?」

 

握った手を見ていることに気づいたのか魔理沙が聞いてくる。

 

「あ、ごめん。魔力痕があったから魔法使いなんだって思っただけだよ。」

 

「ほぇ〜。そんなことが分かるのか!」

 

「霊力、妖力、魔力、どれも使えば軌跡が残るんだ。神力は別物だけどね。」

 

「分かったところでなにもいい事は無さそうだけど?」

 

まぁ、天才肌の霊夢にはいらないだろうけどさ。

 

「そうでも無いよ。要は使い用さ。」

 

「例えばどういう時に使えるのかしら?」

 

紫も興味が湧いて来たようだ。未来から来た僕の知識にだろうけど。

 

「そういった力の感知が出来るということはそれを用いて使用する技の起こりを事前に察知できる、で分かるかな?」

 

「うーん、つまり私が魔力を使ったらどんな技か分かるってことか?」

 

「流石にどんな技かまでは分からないけど、どのくらいの規模の技とかくらいなら分かるよ。」

 

本人は簡単に言っているが、言うは易し行うは難し。死に物狂いで訓練をした成果である。それに気づいているのはこの場では紫のみであった。

 

「めちゃくちゃすげー!って技ではないんだぜ。」

 

「そんな事ないわよ、魔理沙。」

 

「紫?」

 

「貴方が零にどんな技を使おうとも、彼は事前に察知して悠々と回避出来る。回避の難しい技と分かればそれ相応の対応が出来る。フェイントや不意打ちも意味をなさない。勝つ技では無く負けない技、と言うのがしっくり来るかしら。」

 

勝つために身に付けたものではあるけど実質はそうかもしれないなぁ

 

「まあ、そういう事かな。」

 

「な、なるほど。それが零の能力って事でいいのか?」

 

「ううん、違うよ。」

 

「は?マジかよ。」

 

大マジだ。感知能力は身に付けたものに過ぎない。

 

「アンタの能力って一体何なのよ。」

 

「それは、」

 

「ただ教えるというのもつまらないわよね〜。」

 

何かを企む表情をしている紫。あぁ、こういう顔をしている時は大体面倒事なんだよね。と、悪態?を心でつくが、それでもやはりまた見れて嬉しいという感情が強く出てくる。

 

「霊夢か魔理沙が1回戦ってみなさいな。」

 

「私は嫌よ。」

 

「まぁ、霊夢ならそう言うと思ったよ。」

 

本音を言うとどっちとも手合わせしたかった。あの時はもう一生出来ないと思っていたのだから当然だ。

 

「じゃあ魔理沙ね。」

 

「いいぜ!ただし、手加減はできないんだぜ?」

 

「上等。かかっておいで。」

 

「ま、死なない程度にやりなさいな。」

 

お互いに距離をとり、集中を高める。

 

「それじゃ、始め!」

 

「先手必勝!マスタースパーク!!」

 

初手から豪快だね。でも…

 

「分離《パージ》」

 

届かない。

 

「バ、バリア!?」

 

「んー、少し違うかな?」

 

さて今度は、

 

「僕の番!」

 

「くっ、」

 

「空断!」

 

第六感的な何かで危険を察知し、空中へ逃げる。

 

ギギギギと魔理沙が立っていた後ろの木が倒れる。

 

「う、嘘だろ?当たったら死んじゃうんだぜ…。」

 

「大丈夫。加減はしてるから。」

 

冷や汗が止まらない魔理沙。

 

「っ!ブレイジングスター!」

 

魔力を出力とし高速移動を行う。

 

「事前に分かってもこれなら関係ないぜ!!」

 

速さでかき乱す。魔理沙らしい脳筋作戦だ。

 

「空間湾曲《ディストーション》」

 

「えっ?」

 

前に進んでいた筈なのに、何故か急旋回をし木に激突する。

 

「勝負あり、だね。って、聞こえてないか。」

 

思いっきりぶつかったため気絶してしまったようだ。

 

「ま、僕の能力はこんなところかな?」

 

霊夢と紫の方へ顔を向ければ、2人は唖然としていた。

 

「まったくアンタの能力が分からなかったわ。」

 

「同じくね。貴方の事情を聴いたからこそ尚更分からなくなったわ。」

 

あぁ、そうか。時間操作系の能力だと思ったのかもしれないけど、僕が使ったのは空間作用系の能力。そりゃこんがらがる。

 

「アンタの能力はなんなの?」

 

紫が事情がどーのこーの言っていた。つまり何かしら隠さなくてはいけない事がある。もしかしたら敵になる可能性を踏まえ、恐る恐る聞く。

 

「僕の能力は、時空を操る程度の能力。」

 

ツクヨミから貰った能力と掛け合わせた。この力のおかげで僕はここに立てている。

 

「全くもってチートね。」

 

「その名の通り時間と空間を操れるって事かしら。本当に感知能力は我流なのね。」

 

「うん。頑張って身に付けた。」

「何が恐ろしいって、その無駄のない体つき。重心の取り方で体術に長けているのが分かる所よね。」

 

零は身長は少し高い程度で細身には見えるが無駄のない筋肉がある。重心のブレの無さから相当な体術使いだと分かる。

 

「ふーん。アンタの実力は分かったわ。何か隠し事があって、紫には言えて私には言えないのも理解してる。ただ私から聞きたいのは、」

 

「大丈夫。」

 

言葉を遮るように伝える。

 

「幻想郷の敵には絶対にならない。」

 

「…そう。ならいいわ。」

 

たった一言で伝わってくる強い意志。霊夢は知るよしもない。零1人の意思では無いことを。




とりあえず主人公の大まかな設定が出来ました!
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