東方再編録   作:ゆず1252

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最恐の妹

意識を刈り取った一撃は喉に向けた貫手。美鈴が踏み込んで来たところを狙ったため為す術もなく戦闘不能に陥った。

 

 

 

「やっぱりまだまだ修行が足りないかな?」

 

 

 

鍛えてはいる。だが相手が飛び込んで来た威力が、指にそのまま負荷がかかってしまったのだ。ただで済むはずもなく、関節があらぬ方向へ折れてしまっていた。

 

 

 

「治癒魔術である程度治して、と。」

 

 

気を失った美鈴を木陰に移動させる。

 

 

突如爆音

 

「っ!?」

 

爆風で飛ばされた建物の瓦礫や窓ガラスが、飛んでくる。

 

「分離《パージ》!!」

 

美鈴と自分を囲うように空間の壁を作る。

 

「危なかった。」

 

もし僕が守ってなかったら美鈴はタダでは済まなかったであろう。その爆発を起こした主が現れる。

 

「アハハハ!!オネエサマ!」

 

「ちょっと!アンタの妹なんでしょ!?何とかしなさいよ!」

 

「うるさいわね!出来たらとっくに対処してるわ!」

 

「し、死ぬかと思ったんだぜ。」

 

やっぱり記憶通りの展開に進んだらしい。なら次は。

 

「キュッとして、」

 

「させないよ。」

 

「グッ!?」

 

技を発動しようとした瞬間、頭上に移動し裏拳を叩き込む。

 

突然の攻撃に抗うことも出来ず、地面に叩きつけられる。

 

「零!!」

 

「フラン!」

 

あの程度でどうにかなる相手ではないのは明白。何事も無かったかのように立ち上がる。

 

「アナタハダァレ?」

 

狂気に染った目で笑いながら問いかけてくる。

 

「僕は零。あの人達に変わって君と遊んであげよう。」

 

「ちょっと零!何を勝手に!」

 

「霊夢は黙ってて。」

 

これは僕の役目。だから黙って見てろと、目でそう訴えてくる。

 

「ホントニアソンデクレルノ?」

 

「もちろん。僕が死ぬか君が負けるか、勝負をしよう。」

 

「ヘェ、ジブンカラコワシテモイイッテイウヒトハジメテ。」

 

今までの人達は、ただ煩く喚くだけだった。だからこんなにも静かに殺すつもりでいいよと、言われたのは初めての経験なのだ。

 

「霊夢と言ったわね。」

 

「何よ。」

 

「あの人間にフランを任せてもいいと本気で思っているの?」

 

紅魔館の主レミリア・スカーレットは疑問だった。霊夢や魔理沙、そして自らが協力したとしても、あのフランを無力化するのは簡単ではないのだ。それだと言うのにあの男は1人でやると言っている。

 

「それなりに実力があるのは分かるわ。でも今のあの子を止めるなら私達全員で協力した方が確実ではなくて?」

 

純粋にそう思ったのだ。いや、普通なら誰もがそう思う事なのだ。異変を起こしたからと言って幻想郷を壊そうとは考えてなどいないし、ましてや殺し合いを所望しているわけでもない。だが今、この状況は殆ど殺し合いに近い。何故止めないのだ?と。

 

「まだ出会って短いけれど、彼はそういう人なんだと思うわ。」

 

零と知り合って1日も経っていないが、霊夢は零の本質を見抜き始めている。

 

「答えになってないわ。」

 

「心配なら聞けばいいんじゃない?」

 

分からないのは当然だ。話した事もないのだから。だから聞いてみろと、そしたら分かるものもあると霊夢は言う。

 

「っ、そこの人間!」

 

その問いかけに目だけを向ける。

 

「任せても良いのよね!?」

 

長い言葉は言えなかった。色々な感情を最大限込めて伝えようと思った結果出てきた言葉なのだ。

 

「うん。」

 

微笑みながら、覚悟を決めながら、目だけで任せてくれと言われた気がした。レミリアは確信した、霊夢が何故任せても平気だと言っていたのか。

 

「モウイイ?」

 

この零という男は

 

「待たせちゃったかな?」

 

「イクヨ、オニイサン?」

 

どうしようもなく壊れていると。

 

「何処からでもおいで?」

 

それと同じくらい、安心して任せられる人間だと確信した。

 

 

 

 

鋭い爪が零を殺そうと振るわれる。

 

「アハハハ!スゴイスゴイ!ニンゲンナノニスゴイネ!」

 

だがそれを難なく避ける零。

 

「そりゃどうも!」

 

右の攻撃に左を合わせ、クロスカウンターを決める。

 

「キカナイヨォ!」

 

後ろに弾きながら魔力の弾で反撃してくる。

 

「空断。」

 

「ガァ!?」

 

それを真っ二つに切り裂きながらフランドールの腹に小さくない傷を負わせる。

 

「アッ、ハハハハ!!」

 

が、すぐ修復し距離を詰める。

 

「レーヴァテイン!!」

 

炎を纏った剣を生み出し、零に振るう。

 

「あつっ!」

 

それをサイドステップで避けるが、余波と共に飛んできた熱量に驚く。

 

「キュッとしてドカーン!」

 

気を取られた所に即死級の攻撃が来たため、反応は出来たが焦って大きく飛び退く。

 

ザシュッ。

 

水混じりの何かを切り裂く音が聞こえた。

 

「グッ!!」

 

魔力感知で咄嗟に回避したが右腕が斬り飛ばされる。

 

「アハハハ!ヨケタヨケタ!」

 

切られた部分が焼けるように痛い。治癒できるレベルの怪我じゃないなコレ。

 

「オニーサン、ナキサケバナインダ。ツマンナイ。」

 

「コレくらいならどうって事ないよ。」

 

あの時の痛みに比べれば、こんなもの蚊に刺された程度だ。そして君は気づけなかったね。

 

空間に亀裂が走る。

 

「エッ?」

 

フランの右腕が肩から落ちた。

 

「お返し。」

 

「コンナノ、」

 

言葉を紡ぐ間も与えず接近。

 

「ハッ!!」

 

「空破掌」

 

掌手を繰り出し、圧縮した空気をインパクトの瞬間に爆発させる。

 

パァァン!!

 

空気が割れる音が響きわたり、フランは吹き飛ぶ。

 

「ウ、グッ、、」

 

腹部への強烈な一撃は、容易くフランの膝を付かせた。

 

フランが目線を上げれば目の前には脚を振り上げる零の姿。

 

「ギャッ!?」

 

顔面への踵落としがモロに入る。

 

「まだ、やるかい?」

 

意識が朦朧とするが立ち上がるフラン。不思議と痛みは無くふわふわと浮遊感を感じるのみ。興奮していた気持ちも冷めてきて、冷静な思考が出来るようになって来た。

 

(あれ?なんで私…。あぁそっか、またやっちゃったんだ。それでこの人は。きっと悪い事しちゃった私を殺しに来た人なんだ。沢山の命を壊しちゃったから、仕方ない、よね。)

 

「お兄さん。」

哀しげな目で、訴えてくる。

 

「私を、救けてくれるの?」

 

救けて、この言葉にどれ程の意味が込められているか…。それが分からない零では無い。

 

「当たり前だよ。それ以外の選択肢は僕は持ち合わせていない。」

 

「そっか。」

 

「だから安心して、起きた時にはきっと良い事があるから。」

 

暖かい。何でもっと早くこの人に会えなかったのだろう。そうすればきっと私は、

 

ズブッ。

 

フランの胸に、いつの間にか治っている右手が突き刺さる。

 

「あり、がと、う。」

 

「絶対に救けるから。」

 

その言葉を最後にフランの意識は暗闇へ墜ちていく。




2話連続意識が飛んで終わりなのがなんかなぁ…
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