「ハァァ!!」
少女が振るうモノとは思えぬ速度で繰り出される連撃。それに負けずと、零も刀を振るう。
「っ!?」
だが、練度は凄まじいが経験が足りなかった。相手の刀ばかりに気を取られ、足払いに気づけず体制を崩す。
「シッ!」
体制を崩した妖夢に襲いかかる踵回し蹴り。
「グッ!」
ギリギリ防御が間に合い、受け身を取る。
「やりますね。実戦経験が少ないのが仇となりましたか。」
「どうも。そう言いつつもガードされると心に来るね。」
お互いがお互いを認め合っている。零は元からだが、妖夢はこの短い剣戟で、零の実力を感じ取り尊敬の意を送っている。
「体の緊張も解れてきました。」
「へぇ、本気じゃ無かったんだ。」
一瞬だった。懐に入られた!
「なので、貴方も本気を出してください。」
下段からの切り上げを繰り出されたが、辛うじて後ろへ避ける。しかし浅くはない傷を負ってしまう。
「…。分かったよ。」
妖夢にとってこの戦いは自らの主の為に戦っている。しかし零との戦いは学べるものが多いと感じ、負ける気など無いが勉強もさせてもらおうと考えていた。
「でも、僕の戦い方は参考にならないから真似しないでね?」
考えが読まれた?と思考するが、それは無いといつ結論に至る。恐らくシンプルに顔に出ていたのだろう。気を引き締めなければ。
「じゃあ、行くよ。」
間合いに入り、横薙ぎに振るう。
「甘いですよ!」
それを下からカチ上げる。仰け反った所へ突き。
「フッ!」
それをバク転しながら蹴り上げる。
「なっ!?」
必然的に仰け反り、そこへ突きを放つ。が、どうにか体を逸らすことで避ける。
「まだまだ!」
そのまま体を回転させ切りつける。それを防ぎ、切り返そうとしたが、
「空破掌」
破裂音と共に吹き飛ばされた。
「うっ、」
「まだやれそうかな?」
朦朧とする意識に喝を入れ立ち上がる。
「ハァ、ハァ。まだまだ余裕、ですよ?」
「そっか。でもそろそろ時間が無いみたいだから次で終わらせよう。」
妖夢は正眼の構え。零は下段の構え。
「行きます!!」
「…。」
掛け声と共に踏み込み、上段から振り下ろす。技も駆け引きもクソもない、ただ全力で断ち切ると言う気持ちで力を込める。
(あぁ、あの目。懐かしい。僕と妖夢が出会って、一緒に剣の稽古をしている時だけ強い目をしていた。だからこそ、勝ちたい。妖夢と共に作り上げた剣技で勝ちたい!!)
「零式剣術 ー 一ノ型 零線!!」
振り下ろしてきた刀を斜め下から全力で叩く。その反動を使い妖夢に向かい切りかかる。
「っ!?」
反応出来るとか見えるとかそういう生易しいものでは無い。見えていようと反応出来ようと、刀ははじかれ体勢は崩れている。つまり避けようが無い。
カチン、と鞘に収める音ともに妖夢が倒れる。
「峰打ちだから安心していいですよ。」
「気づいていたのね。」
咲夜さんが後ろから現れる。
「あれ、霊夢は?」
「先に行ってるはずだけれど。」
「気づかなかった…。じゃあ僕らも行きましょう!」
「そうね。」
「うわぁぁぁ!!!」
「!?」
叫び声が聞こえ、空を見上げると木に追われる魔理沙がいた。
「咲夜さん!霊夢を頼みます!」
「分かったわ!」
能力を使い瞬時に空間を移動し、魔理沙の近くに現れる。
「れ、零!?」
刀を抜き、脇構えの体勢。
「ニノ型 ー 蛇腹切り!!」
向かってくる木をめった切りにする。
「す、すげぇ。助かったぜ…。」
「早く霊夢の所にいこう!」
「不味いわね…。」
「霊夢大丈夫か!?って、なんで紫までいるんだぜ!?」
「零、アレを封印するわ。」
魔理沙の話を聞く暇も無いと無視をし、簡潔に対応を告げる。
「封印?」
「幽々子を取り込み更に力をつけてしまった。今出来るのは封印が精一杯よ。」
ここで1つの疑問が生まれる。
「幽々子さんはどうするの?」
この問い掛けに苦い顔をする紫。それが答えと言わんばかりに。
「ダメだ。」
「それ以外方法がないの。」
「僕があの化け物を弱らせて幽々子さんを助け出してみせる。能力を使えばなんとかなるはず。」
「貴方はあの凶悪さを分かってない!アレは全ての命を吸い取る。本来ここに居るだけでも危険なのよ?」
だからどうした。
「僕がここにいる理由。もしここで見捨てたら意味が無くなってしまう。」
危険なのは百も承知。
「死かもしれないのよ…。」
「かもしれない。でも逃げ出したら多分後でもっと死にたくなる。」
経験済みなのだ。その苦しさを。もうあんな思いをしたくない。
「僕が引き付けている間に封印の準備を。魔理沙と咲夜さんは霊夢と紫の援護をして。」
「おいおい!一人でやる気か!?」
「君じゃ無理だ。邪魔になるだけ。」
冷たい言葉を突きつける。零の目を見ればわかる、もういつもの零では無いと。それくらいに冷たい目をしていた。
「アイツが…。」
ボソッと呟く声が聞こえた。
「アイツのせいで…。」
あの化け物との戦いで魔理沙は片目をやられてしまった。どうにか封印は出来たが被害は甚大、勝ちとは言えない勝利だったのだ。
「殺しはしない…。でも死ぬほど苦しいから覚悟しろ。」
例え、その苦しみが幽々子にも行くとしても関係ない。自業自得だ。
「ここから先は地獄だよ?」