忘れっぽい。
いろんな方々から一目置かれている。
これだけ分かれば良いと思います。
「今年も、もう終わりか…」
人々が行き交う街中、街灯の近くにいた男が呟く。
この日は12月30日、一年の終わりまで目と鼻の先と言ったところだ。
男は嘆くように呟いた。
「この世界もおしまいか…」
男、アズマと呼ばれる名。
この者は、神により使わされた観測者兼報告者…通称、世界管理者と呼ばれるものであった。
「アズマ、地球とやらの観測は終わったのか?」
すれ違った男がピタリと止まり、俺に話しかける。
コイツの名はなんだったか、記憶力が無いというのは本当に不便な物だな。
確か…
「キョウ」
「なんだよ」
当たっていたようだ。
キョウ――凶と言う文字だったかな。
「凶、地球の観測は終了したよ」
「ほぉ、そうかい、そうかい。まぁ、終わったなら報告に行って、その後にでも鏡と光の所にでも行ってやれ。待ってたぞ」
「カガミ…ヒカリ…ああ、分かった。近いうちにでも…な」
確か俺を慕ってくれていた者たちの名前か…覚えるというのは難しい。
「アズマ君、地球観測はどうだった? 美味しいものいっぱい食べてきたかい?」
上司…先輩…どういう呼び方だったか。
「紅、だよ。また忘れたのかい?」
情熱的な赤色の長髪、気が強そうな赤い瞳。
綺麗な女性と言うのだろう。
全てが赤で統一された上に名前まで赤か、覚えやすいな。
「はい…すみません」
謝ると彼女は、うっすらと笑いながら首を振った。
「いいよ、怒ってない。君はそういう
彼女には悪いが、確か予定があった。
「嬉しい誘いですが、今日は鏡と光に会いに…」
「…そうか。彼女たちはやはり邪魔か…?消すべき…。 ああ、悪いな、少し落ち込んでいるがしょうがない。またの機会を楽しみにしてるよ」
そういうと彼女は足早にこの場を立ち去った。
だが、彼女は何か言っていた気がする。
「五百七十万七千回以上会っておいて一度も私の事を覚えていないのにアイツラの事を覚えて…?くそっ…なんで…なんで…」
「あ、アズマ!」
鏡、その名を付けられた少女は何処か楽しそうに俺の所に駆けてくる。
「アズマさん! わーい!」
光と呼ばれる少女も満面の笑みで走りかけてくる。
「ああ、久しぶりだな」
何もかも懐かしい。
彼女たちは、経験を積んで、ついに世界管理者の中でも上位に食い込んだらしい。
とは言っても鏡の方が実力が高いらしく、ランキングだと鏡の方が上位らしい。
俺はどちらにせよ成長が嬉しく我が子の事のように喜んだ。
鏡は嬉しそうに――光は鏡に負けて悔しそうにしていた。
俺はそんなこんなで会話にふけ込んでいたが、次に世界管理を任される事になったのは、次の日だった。