凶と同じ部屋で寝泊まり(実際の所、あまり滞在する時間も無いので本当に一時的に泊まるくらいなのでほぼ凶の部屋なのだが、俗にいう良い奴なのか俺の寝る場所を確保しておいてくれている)
「第三位、凶様。第零位、アズマ様。紅様がお呼びです」
そう部屋に入ってきたのは、自分たち世界管理者が寝泊まりする場所、通称コクーンの中を点検などをしたりする部隊らしい、名前は覚えていない。
「はい、わかりました」
そう言って凶は、俺を見た後に行こう、と言った。
それに何か言う訳でもない俺はそのまま後ろに着いて行った。
第三位、第零位、などと呼ばれる順位は、世界管理者の中で区切られる実力などでもある。
もちろん、知識が必要な管理世界は、それ相応の知識を持つ管理者に、逆に武力の行使での管理が必要な世界は力をを持つ管理者にやらせるのが普通だ。
知識が必要な者達も順位で区切られているが、その場合は第~識者と呼ばれている。
逆に力を持つ者は第~位と呼ばれるはず。
その中でも、第十位にまで入る上位10名は、その下にいる者の中でも特に強力な力を有している。
それに入らないのが自分、第零位、アズマと言う存在だったはず。
第零位、と呼ばれるが実際自身ではその差を感じた事は無い。
一目置かれるという意味だと上位十名と変わりも無い。
なんだったか、そう偉い人の所に行き仕事をもらわなければならないのか。
「此方、凶、アズマの二人です」
ドアを叩く凶。
「入れ」
美しい音色のような音が鳴る。
そう、この声は昨日聞いた…紅の声か。
「失礼します」
そう言う凶に続き、自分もそう言いながら入室する。
昨日のことが鮮明に思い出される。
「凶、さっそくだがお前には管理世界600C-Zを見てきてほしい。邪神の力が蠢いていると、連絡があった」
邪神…堕落した神々の総称。
「邪神ですか…」
凶が顔を薄らと顰める。
「ああ、あまり強力な力は無いと思われるので、このまま破壊しても良い。600C-Zは最悪破壊しても良い。他の世界に被害が及ぶ前にな」
「分かりました」
凶はそう大きな声で言うと失礼しますと言って出て行った。
「次にアズマ、お前だ」
「はい、俺はどこを?」
「非管理世界、O-8080Gだ、この世界は邪神の巣窟だ…。邪神の力が上級神にも及ぶのが何体も確認されている。その上、その世界の英雄クラスの存在も中々だ」
上級神…強力無比な力を持つ神を束ねる存在…。
「中々…とは?」
「あぁ…英雄クラスと呼ばれる者達は中級神、強いもので上級神に及ぶ可能性の者達のオンパレードだよ」
なんだそれは、そう叫ぶのを抑える。
中級神と言う位の神々は欠伸をしながら天変地異レベルを起こせる。
上級神ともなればその数倍から数百倍まで様々だがそれでも強すぎる。
「そんな者達が存在していて何もしなかったのですか?」
「しなかった、のではなく出来なかったんだ。上級神に次ぐ者は上位10名全てだが、そういう存在が何体いるか分からない中、むやみに戦力を減らすのは無理がある。ならば第零位に任せようという事になったんだ…済まない」
「俺を高く見過ぎですよ…」
自分の力がそこまであると思えない。
「だが、上級神を超える超級神たちもお前に注目している、どうか成功させてくれ」
「…はい」
そう言って扉を開けて外に出る俺は聞くことが出来なかった、紅の言葉に。
「大丈夫、もし死んだらちゃんと後を追いかけてやるからな…!アズマぁ…!」
「鏡、光、離してくれないか?」
そう俺の体に抱き着いて離れない二人をたしなめるが…。
「嫌です!」
「嫌!」
離れない…だと。
「アズマが死んじゃうの嫌だよぉ…」
「そうだよ…アズマが死んじゃったら私…私…」
死ぬの前提ですか。
「ほら、二人とも、離れな」
凶が助け舟を出す、強引に切り離される二人。
「悪いな凶」
「良いさ、だが神様たちもお前に注目してるんだぞ、なんだかんだ失敗は出来ないな」
「ああ、そうだな…」
手元の資料に目を通す、これから非管理世界の情報を知らなければならない。
邪神は分からない
上級神級は8体ほどか…厄介極まりないないな。
「鏡と光は…?」
挨拶くらいはしておこうと思っていたが、いなくなってる?
「ああ、近くに二人の部屋のメイドさんがいたから泣き疲れて眠ってる二人を運んでもらったよ」
泣き疲れる…?どんだけ泣いたんだろう…。
足元にはかなりの水たまりが…凄まじいな…。
「アズマ、お前気をつけろよ」
凶にそう言われる。
「凶、こんなことで死なないぞ、俺は」
「そうだと良いが」
軽口を叩きながら世界へのワープゾーンに乗る、昔は長い時間をかけてその世界まで行ったものだが、今は便利になったものだ。
ワープゾーンを起動するときに向かいで見た凶の顔は、とてもツイてないと言いたげな表情だった。