擬人化計画のビルガモとデートするだけの話。

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舞台は中○ブロードウェイみたいな所です。
擬人化計画のビルガモが可愛い杉なので書いた。
どんなキャラはギャラクシー☆デイズを参考に。


ビルガモちゃんと

『いいですか!昨日もいいましたけど、10時に入り口で待ち合わせですよ!あと1時間です!』

 

「わ、分かってるよ。もう準備終わりそうだし十分間に合うから。そっちは大丈夫?」

 

『全然大丈夫です!』

 

「それならよかった。こっちも準備が終わり次第出かけるから待ってて欲しいな」

 

『分かりましたです。ちゃんと「でえと」に間に合ってくださいね!』

 

そこで彼女との通話は切れた。朝からテンションが高いな…

 

俺はある町に住むしがない学生だ。そんな自分にようやく春が来るかもしれない。

前々から気になっていた隣町の子にいわゆるデートの誘いを申し込んでOKを貰ったのだ。

その返事を貰った時内心でガッツポーズを決めた。

 

そうしてデート当日。俺は身だしなみを整える途中彼女から連絡を受け取った訳だ。

俺は読み慣れないファッション誌などを参考にした出来るだけダサく見え無さそうな服を着ていざ待ち合わせ場所に向かうことにした。

 

電車に乗ること数分。隣町の駅に降りた俺はそのまま足早にこの駅からそう遠くない距離にある複合ビルへ足を向ける。其処が待ち合わせ場所であり、俺と彼女が初めて会った場所である。

 

そのビルは築数十年は経つ古いビルながら、様々な商店があって活気もあり、更に漫画・アニメ関連の店も多く「サブカルチャーの聖地」として有名な側面もある所だ。

 

そんな所に俺は幼少期から親に連れられて訪れていた。そんな小さい時分に迷子になってしまった所に現れたのが彼女だ。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「親とはぐれてしまったですか?」

 

「…お、お姉ちゃんはだれ?」

 

「ふふん、私のことはビルガモと呼ぶです!」

 

「ビルガモ?」

 

多分あだ名か何かなのだろうが、子供心ながらに変な名前だと思った。

 

「私が一緒にお母さんたちを探してあげるですよ!」

 

「ほんと?」

 

「直ぐに見つけるから安心するといいです!」

 

その後、本当に両親は直ぐ見つかり、俺はその少女にお礼を言った。彼女は

 

「もう迷子にならないよう気を付けるですよ!あと出来たらまたこのビルに来てくださいです!」

 

と返した。その後も自分はちょくちょく此処に足を運び、何度も彼女に会うことになる。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

そして俺は待ち合わせ場所であるビルの入り口に到着した。

腕時計をみると、時刻は8時50分台だった。

 

「待ってたですよ!〇〇っち!」

 

と声のした方を見ると。黄色のコートに所謂ツインドリルといった髪型の少女がこちらに来た。彼女が【ビルガモ】である。

 

「待たせてごめん。でも時間通りでしょ」

 

「それはそうですが、早く来ることに越したことはないですよ!」

 

「分かったよ、じゃあ早速行こうか」

 

と、自分達はビルの内部に向かった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

自分達はまず地下にある飲食店を訪れた。

 

ここでは大きなサイズのソフトクリームが売りで、最大で八段巻にすることもできる。今回は二人とも中くらいのサイズだけど。味の種類は俺がカフェオレとラムネで彼女はイチゴと抹茶だ。

 

「ソフトクリームならやっぱりここですね!おいしーです!」

 

「うん、長年人気なのも分かる気がする」

 

その後二人で建物内を散策する。フィギュアの店では

 

「……」

 

彼女の視線の先にはガマガエルとクジラを足して2で割ったようなキャラクターのフィギュアがあった。

欲しいのだろうか。

 

「キ…」

 

「き?」

 

「キモ可愛いです!」

 

「そうなんだ…」

 

正直自分はあまり可愛いと思えないけど彼女の琴線に触れるものがあったのだろう。

プレミアがついているのか少々お高い値段だがここはいいとこ見せるべきだろう。

 

「じゃあ買うよ」

 

「えっいいのです!?」

 

「うん。ビルガモが欲しいなら」

 

「ありがとうです!」

 

蝦蟇鯨人形(仮)を購入するべくレジに行ったら、なぜか彼女の連れということで代金を割り引いてもらえた(それでも高めだったが)。その時、おまけとしてロボットのフィギュアを貰った。

 

「なんか私に似てるです」

 

そうだろうか?確かにコートの色合いが似ている気もするが。

次は書店に向かった。

 

「ガマちゃんの本は無さそうですね…」

 

「まあしょうがないよ」

 

一通り見て回ったのだが、どうやらお目当ての本が無かったようだ。

残念だが、今度また別の書店に行ってみるしかないだろう。

どうしてもというならインターネットで注文してしまうのも手だが。

 

その後お腹が空いてきたので2Fにある飲食店で昼食にすることにした。

昼食の途中彼女に質問してみた。

 

「どう?デート楽しいかな?」

 

「ん?楽しいですよ。どうしたんです?」

 

怪訝そうな顔で質問を返される。

 

「いや、デート初めてだからちょっとね?」

 

「私も初めてだからおあいこです。それにこうやって人に誘われてビルの中を散策するのも新鮮でいいものだと思うですよ」

 

「そっか」

 

それなら良かった。この昼食を終えたらデートの続きと行こう。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「それっ!こうすれば“こんぼ”の出来上がりです!」

 

「くっ手ごわい…」

 

今度は4Fにあるゲームコーナーに訪れた。今彼女と格闘ゲームで対戦しているところだ。

彼女はこのゲームをやり込んでいる様で、初心者の俺は中々勝てなかった。ハンデで彼女は弱めのキャラを使っているが、それでもかなり手ごわい。

彼女曰くここのゲームは大体やったことがあるらしい。

 

「これならどうだ!」

 

「甘いですよ!」

 

とそんなこんなで二人してゲームに熱中し、ここでかなり時間を費やした。

もうそろそろお開きの時間となったので、最後に喫茶店で一服してから解散することになった。

二人でコーヒーを飲みながら今回の感想を言い合った。

 

「今日は本当に楽しかったです!また一緒に行きたいですね!」

 

「そういってもらえて嬉しいよ。じゃあ次はどこに行こう?ここから近い公園とか?」

 

「あっ…」

 

彼女の表情が悲しそうなものに変わった。

 

「ごめんなさい。私はこのビルから離れられないんです…私も〇〇っちと色んな所に行きたいですが」

 

「そうか…」

 

自分が不安に思っていたことが浮上してきた。

彼女は、人間ではないのかもしれない。思えば彼女に出会うのはいつもこのビルの中だった。それに彼女の姿は自分の幼少期から今になるまで全く変わっていなかった。

 

「だから――」

 

「なら、俺はここに通い続けるよ」

 

「〇〇っち…」

 

「だから俺と――」

 

でも俺はこの恋を諦めたくない。

彼女とは時間の流れが違うし更に想定以上の壁が立っているかもしれない。それでも自分はこの初恋を叶えたい。

 

 

 

 

 

「付き合ってください!」

 

――これはとある地球人とロボットの恋の一幕

 




駄文閲覧ありがとうございました。
某所でビルガモちゃんとデートしたいだけの話だった。
今作のビルガモは本体がビルで擬人化は蒼き鋼のアルペジオのメンタルモデル的なイメージです。


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