再び夢を追いかけて   作:伏龍

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面談 1

食堂に入って学さんが喋り始める。

 

「ええ、練習に入る前に紹介といくつか説明したいと思う。まずは4月から学校では新しく教師として野球部としては投手コーチとして入ってもらう俺の先輩でもあり翔斗の父親でもある大島暁良さん。」

 

先輩達がどよめく。

 

「翔斗共々よろしく。」

 

「そして本来は翔斗の専属コーチだがとりあえずは3年間見てもらえる事になった松波和朗さんと鈴本司郎さん。紹介するまでも無いと思うがお2人共に元メジャー選手である。松波さんは主に内野守備兼打撃コーチ。鈴本さんは外野守備兼打撃コーチだ。」

 

 

そう言うと2人に促す。

 

「松波です。元は翔斗君のコーチでしたが縁あって3年間お世話になります。よろしく。」

 

「鈴本です。同じく3年間お世話になります。よろしく。」

 

 

するとわ〜っと歓声が上がり拍手が起きた。

 

学さん続く。

 

「そして、翔斗の隣にいるのが翔斗と同じく1年生で入ってくる梨本海斗君だ。彼を知っている者はいると思うが中学時代に事故の影響でプレイは出来ないがノックや偵察など参謀として入ってもらう事になった。」

 

 

海斗に促す。

 

 

「梨本です。選手じゃなのにいるかって思う方もいると思いますがデータは翔斗と作ってますが8割が僕が作った物です。チーム内はもちろん他校のデータは任せて下さい。よろしくお願いします。」

 

 

そう言うと海斗は頭を下げた。

 

「以上が紹介だが質問は?」

 

 

そうすると珍しく木山さんが手をあげ質問を始める。

 

 

「じゃあ俺からいくつか。まず梨本だが中学時代県内にいた物は知ってるかわからんが俺を含め他県いた物は良く知らん。データを作ってたと言ったが例えばどんな物があるんだ?」

 

 

 

海斗が答える。

 

 

「全部ですよ。試合用だと相手のピッチングスタイルや球種などの映像、分析をチーム内用だと弱点がわかりやすい映像を出してその上でお手本となるような映像を用意します。映像編集や分析は得意なんで。」

 

 

するとさらに木山さんが質問で返す。

 

「じゃあ時間があれば俺達のも作れるって事か?」

 

 

海斗が俺を見てやれやれと言った顔で質問に答える。

 

「もう既に今度入ってくる予定のある1年生も含めて全員分、作成に取り掛かってますよ。最も翔斗に高校の秋の大会終わった時点で依頼受けてですけどね。」

 

 

全員がざわつく。

 

 

ここで俺が口を挟む。

 

「俺からも。俺が成績良かったのはこの間食事中に話したと思います。」

 

「ああ、オール5だったってやつな。」

 

「はい、ですが俺は海斗に模試で勝った事ありません。野球が大好きってだけでここを選んだやつです。」

 

 

また、ざわつく。

 

海斗が続く。

 

 

 

「まあ勉強はどこでも出来ますが野球はそうは行きませんから。俺はプレイは出来ませんが影で支えるのも悪く無いと思ってます。なのでドンドン俺を使って下さい。どんな映像でも用意します。」

 

 

すると色んな歓声が上がる。

 

「頼んだぞ〜。」

 

「しっかりなぁ〜。」

 

などなど。

 

 

「他は良いか〜?じゃあ続いてまずはここに来た時にみんなが疑問に思った寮割り振りについての説明だ。翔斗頼む。」

 

 

 

「はい、これに関しては今日先輩達全員と部屋単位で面談を予定してますのでその時にお話します。部屋によって違うので。」

 

「わかった。じゃあ投手班は暁良さんに、野手A班は松波さんに、野手B班は鈴本さんに、それ以外は俺に着いてくる様に。」

 

 

ここで俺が補足をする。

 

 

「各コーチにメニューやそれぞれ個人のデータを事前に渡してあります。疑問に思う事なく必死について行って下さい。」

 

 

 

先輩達の顔が曇る。

 

 

「しばらくは今日と同じく様な練習が続きます。ただし今日は練習と並行して面談を進めます。宇都先輩と宮下先輩はこの後残って下さい。俺からは以上です。」

 

 

「では解散。」

 

学さんがそう言うと班ごとにそれぞれ集まり移動を始める。

 

 

いなくなったのを見てじゃあお2人は着いてきて下さい。

 

 

そう言って俺達はリビングに行く。

 

 

「まずは座りましょうか。」

 

3人共に椅子に腰掛ける。

 

 

「では始めましょうか。」

 

宇都先輩が最初に口を開く。

 

 

「まずはこの面談の意図は?」

 

 

「今回はそれぞれの部屋で意図が違います。」

 

 

この面談の意図はそれぞれの強化ポイントをはっきりさせる為に作った時間である。

 

 

「それでうちの部屋は何でこの組み合わせなんだ?」

 

 

「はい、宇都先輩のリーダーシップを宮下先輩が学んで欲しいんです。」

 

 

「二瓶も2年生の中ではある方だと思うが?」

 

 

 

「はい、それは映像を見て気づきました。だからです。」

 

 

「あ〜、なるほどな。」

 

 

宇都先輩は気付いたようだ。

 

 

 

ポカンとしていた宮下先輩が聞く。

 

 

「先輩、わかるんですか?」

 

 

「ああ、後で教えてやるよ。」

 

 

宇都先輩なら上手くやってくれるだろう。

 

 

そして補強ポイントに入る。

 

 

「そして補強ポイントですが・・・。」

 

 

「俺は打撃って言いたいんだろう?」

 

 

やはり宇都先輩はわかっていたか。

 

 

「はい、ミート、パワー両方共に強化です。宮下先輩に関しては外野守備を中心にお願いします。」

 

 

ここで宮下先輩が反論する。

 

「俺こそ打撃なんじゃないのか?」

 

 

守備の方がいい宮下先輩らしい反論である。

 

「はい、本来はそうです。ですが宇都先輩達が抜けた後を考えると先に守備を強化しておきたいんです。」

 

 

「なら捕手じゃないのか?」

 

 

そう、2、3年生になる先輩達の中では捕手は宇都先輩1人の為宮下先輩にたまに捕手の出番があるのだ。

 

 

 

「捕手に関しては俺のシニア時代の相棒が入ってきます。なので宮下先輩は本業の外野をお願いします。」

 

 

「なんだ?あいつも来るのか?」

 

宇都先輩が思い出したように聞いてくる。

 

 

「ええ、とは言っても俺も知ったのは最近ですけどね。」

 

 

ここで宮下先輩が口を挟む。

 

 

「ああ、そうか。先輩は横浜シニアでしたね。」

 

 

「ああ、そういう事だ。あいつが来るなら捕手は心配しなくていい。」

 

 

「わかりました。」

 

 

ここはこんな所だな。

 

 

「お2人に関しては以上です。他校の映像やデータが見たい時は言ってください。」

 

 

「わかった。」

 

宇都先輩が頷く。

 

 

「では練習に行ってください。その際に次のお2人佐竹先輩と今井先輩に来るように伝えてください。」

 

 

「わかった。」

 

「ああ、翔斗、俺は二瓶でいいぞ。」

 

 

「わかりました。」

 

そう言って2人は立ち上がりリビングを出ていった。

 

 

 

 

 

さて問題は次の2人だ。いかんせん心が強化ポイントなだけにどう伝えるべきか。考え込んでいると2人がやってきた。

 

 

「まずは座って下さい。」

 

 

2人が腰掛ける。

 

 

「さてお2人の部屋割りの意図ですが強化ポイントが同じだからです。」

 

 

「同じ?そんなわけないだろう。確かに同じ投手だがタイプがまるで違う。」

 

「ええ、投球スタイルは違います。なのでそこは教えあって下さい。ですが本当の強化ポイントは別にあります。」

 

 

 

ここで佐竹先輩が今井先輩を見てハッとする。

 

 

「まさか・・・、心か?」

 

 

えっという顔で今井先輩が佐竹先輩を見る。

 

 

 

「はい、その通りです。」

 

 

今井先輩が佐竹先輩に聞く。

 

「どういう事ですか?」

 

 

俺が口を挟む。

 

 

「そこは俺から話しましょう。」

 

 

「今井先輩、先輩は自分の投球に自信がないんじゃ無いですか?」

 

 

「ああ、その通りだ。」

 

 

「先輩は自分がまだまだダメだって思ってるかも知れませんが投げる球自体は凄く良いんです。」

 

 

「そんなわけないだろう。現に俺は打たれてる。」

 

 

「いえ、球自体は良いんです。ストレートは特に早いわけではありませんが回転率はおそらく高校球界でも上位だと思います。そして練習ならコントロールもいい。」

 

 

「ああ、確かに練習だと思う所に行く。」

 

「変化球も佐竹先輩程ではないですが高校生相手なら合格点だと思っています。」

 

 

ここで佐竹先輩が口を挟む。

 

「ああ、俺も今井が入ってきた時は即エースだな。って思った事がある。」

 

今井先輩がびっくりした顔をしている。

 

 

「なので今井先輩は心さえ鍛えれば今の状態でもそこそこ行けるはずです。そして佐竹先輩ですが・・・。」

 

 

 

「後半の事だろう。」

 

 

今井先輩は気付いていたか。

 

 

「はい、佐竹先輩の場合序盤は良いんです。ですが疲れが出てくると序盤の勢いが消え今井先輩と同じ様な状態になる事があるんです。」

 

 

「打たれ始めた時だな。」

 

 

自覚はあるようだ。

 

「はい、言うなればお2人はガラスのハートなんです。なので先輩達にはカウンセリングを受けていただきます。」

 

 

「カウンセリング?」

 

「はい、それを週に3回で土、日、月で1日1時間です。これを夏予選直前まで行います。月曜日は授業が終わり次第食堂に、土、日は練習後すぐにシャワーを浴びて17時半から1時間です。」

 

 

「それで良くなるのか?」

 

「はい、実際にプロ選手にもカウンセリングを行っている先生に来ていただきます。」

 

 

「わかった。」

 

2人共に頷く。

 

 

「佐竹先輩のスピードに関してはこれからの練習と今井先輩との話で強化です。スタミナも今の練習をすれば確実に上がります。今井先輩の変化球は佐竹先輩と俺でフォローします。」

 

「わかった。」

 

 

2人が頷く。

 

「お2人に関しては以上です。」

 

 

 

「1つ良いか?」

 

佐竹先輩が聞いてくる。

 

 

「はい、どうぞ。」

 

 

「お前から見て俺のストレートはどこまで早くなると思う。」

 

 

「佐竹先輩、じゃあ少し立ってもらっていいですか?」

 

 

そう言うと俺は佐竹先輩に近づく。

 

 

「ちょっと失礼します。」

 

 

そう言って俺は佐竹先輩の体を上から順に触る。

 

 

「そうですね、俺の見立てなので確かな事は言えませんが140までは行くと踏んでいます。」

 

 

「そんなにか?」

 

「はい、最低でも135は超えます。」

 

 

「そうか。」

 

 

佐竹先輩はそう言うとホッとした顔をした。

 

 

「それでは練習に戻って下さい。戻る際に高橋先輩と山井先輩にここに来るように伝えて下さい。」

 

 

「わかった。」

 

 

佐竹先輩がそう言うと2人は立ち上がりリビングを出ていった。

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