面談が進み残り2組となっていた。
次は木山先輩と橋田先輩だ。この2人と最後の2人が楽翔高校の命運を握っていると言っても過言じゃない。
特に橋田先輩は体重はそのままで体脂肪率をガッツリ落とす必要がある。そんな事を考えていると・・・
「来ましたね。まずは座って下さい。」
2人が椅子に腰掛ける。
「まずは今回の部屋割りの意図ですが・・・。」
橋田先輩が口を挟む。
「それは現在、専門職だからだろう。それはわかる。部屋にあるあの大量のビデオはなんだ?」
「まあ半分正解です。ビデオに関しては後々説明します。」
橋田先輩が不思議そうな顔をしている。
「半分なのか?」
「はい、そうです。まず代打専門になっている橋田先輩ですが正直サポーターが物足りないんじゃないですか?」
「ああ、重いとは思うがみんな程キツくない。」
木山先輩が唖然としている。
「えっ、これがか・・・。」
「だと思いました。ですが正直これ以上のは無いんです。それでまず橋田先輩ですが内野としては肩も強いので先輩は別の練習場所に行っていただきます。」
「俺だけ別の場所?」
どこ行かされるんだろうと不安そうな顔になる橋田先輩。
「はい、先輩は現在父が通っているジムに言っていただきます。その上で父についているトレーナーとマンツーマンで鍛えていただきます。目標は体重そのままで体脂肪率を10%前後にまで落として下さい。」
そんな地獄に行くのかっていう顔になる。
「俺だけ楽かと思ったが俺も地獄が待ってたか。」
そして目線を木山先輩に移す。
「そして木山先輩ですが手と足で重さを変えてあります。」
「ああ、それは気づいたが理由は?」
「はい、先輩の場合正直パワーはそんなに上がらないと思っています。ですが足は別です。そこで学校がある平日は陸上部に部活留学して短距離走の皆さんと同じ練習をして下さい。後、動体視力のトレーニングも皆さんの倍でお願いします。」
「ははっ、俺も別の場所か。」
「ええ、ただし木山先輩の場合は土日はここで練習です。一応平日のみっていう条件で陸上部にOKしてもらったらしいので。」
これはクリスマス前に学さんに頼んでおいた1つだ。
「って事は冬休み明けか?」
「はい、それまではここで練習です。木山先輩の場合は足を鍛えて守備のレベルアップと出塁率アップが狙いです。」
木山先輩がん?って顔をする。
「出塁率?」
「はい、2人にはレギュラーを狙っていただきます。」
橋田先輩が思わずつっこむ。
「おいおい、そんな事が可能なのか?」
「はい、お2人の頑張り次第ですが。」
ここで珍しく木山先輩が聞いてくる。
「誠はいい、打撃が良いし体型変われば守備も多少良くなるだろうから。だが俺は肝心な打撃がダメだ。それでも狙えるのか?」
「その辺は考えてあります。とりあえず期間ですが3月いっぱいまでです。その後はまた練習が変わりますので。」
「わかった。信じてやってみるよ。」
木山先輩はそれだけ言うとまたいつもの物静かな先輩に戻った。
「既に気づいてるかと思いますが料理に関しては高カロリーな物はほとんど出てきません。」
「やっぱりか。」
橋田先輩がガッカリしている。
「全くではありませんよ。ただこの3ヶ月だけは無いと思ってください。それだけこの期間が大事だと言うことです。」
「わかった。」
2人同時に頷いた。
「お2人は以上です。最後の福山先輩と遠藤先輩をここに来るように言って練習に戻ってください。」
それを聞くと2人は立ち上がりリビングを出ていった。
あの2人に関しては非常に楽しみだ。予選が始まる時にどうなっているか。
そんな事を考えていると最後の2人がやってきた。
「まずは座って下さい。」
そう言うと2人は座り福山先輩が声をあげる。
「この組み合わせはどういう意図なんだ?何かあるんだろうがさっぱりわからん。」
「ふふっ、でしょうね。堅実な守備が売りの福山先輩とバットコントロールが売りの遠藤先輩ですから。」
なおも福山先輩がつっこむ。
「それがわかっているならなぜだ?」
「もちろんちゃんとした意図があるからですよ。簡単に言うと守備位置を交換していただきます。」
2人同時に立ち上がり叫んだ。
「なに!?」
「落ち着いて下さい。」
そう言うとハッとした顔で座り直す。
「これは監督である学さんも考えてた事らしいです。」
「監督もか・・・。」
そう言うと考え始める2人。
俺はまず福山先輩の方を見る
「いいですか?まず福山先輩ですが堅実な守備もですが何より肩がいい。それに今年の夏、負けた3回戦3回の表ツーアウトにしたあのフライのスタートダッシュの反応の良さです。先輩は外野向きなんです。」
目線を遠藤先輩に移す。
「逆に遠藤先輩ですが内野なら良いですが外野をやる程肩が強くありません。でも先輩の場合はグラブ裁きと目の良さがえーあります。先輩の場合は内野向きなんです。」
「なのでお2人はそれぞれ今まで培ってきた守備の技術をお互いに教えあって欲しいんです。」
「だから同部屋なのか。すると部屋にあったあのビデオも?」
遠藤先輩がそう呟く。
「はい、守備に絞ったビデオが8割です。残りの2割が打撃用です。空いてる時間にしっかり活用して下さい。」
何となく理解したのか顔をあげてこっちを向く。
「守備交代が出来てようやくレギュラー争いのスタートラインです。」
「今、レギュラーなのにか?」
「はい、僕の同級生として入ってくるメンバーの中に俺から唯一ホームランを打ったサードもできるショートとレーザービームと称される程の強肩を持ち当たると飛ぶ打撃の外野手が入ってきます。」
「なっ!」
「なので頑張ってください。じゃないと下手したら高校最後まで補欠の可能性もあります。」
「頑張ればレギュラーでいられるのか?」
「可能だと思います。そのポジション交換の練習自体はまだ先ですが今はその下地を作っていると思って下さい。」
「特に福山先輩は教えてくれる人が俺やジャックも含めて沢山います。お2人は名選手と謳われたコーチ2人にしっかりついて行って下さい。」
「わかった。信用して頑張ってみるよ。」
そう遠藤先輩が言うと手に力が入る2人。
「お2人もこれで以上です。練習に戻ってください。」
それを聞いた2人は足早にリビングを出ていった。
「フゥ〜。」
やっ終わった。一息ついたところに爺がやってくる。
「お疲れ様でした。これでも飲んで一息為さってください。」
そう言って俺が好きなアールグレイの紅茶を出してきた。
「ありがとう、爺。」
そう言って紅茶をすする。
さてこれからどうしようか。まずは学さんの所だな。
紅茶を飲み干し俺は立ち上がり学さんの所に向かった。
「時間的に球場の方か。」
そう思った俺は球場へ向かう。
球場が見えてくると激を飛ばす学さんがいた。
「お前ら、しっかり走れよ〜、ただし無理はするなぁ〜。」
近ずいて声をかける。
「学さん、終わりましたよ。」
「おお〜、終わったか。どうだった?」
「まあ、なんとかって感じです。」
「そうか。」
「それで他の声をかけた1年生組なんですが・・・。」
「ああ、それな。お前らと同じ推薦組だから暇してると思うぞ。」
「わかりました。年明けにでも訪問して練習参加促してきます。」
「ああ、わかった。この後はどうするんだ?」
「俺も投手陣の方で練習参加しますよ。」
「そうか。今頃投球練習場だろう。」
「わかりました。」
そう言って俺は投球練習場に向かった。
練習終わりに全員集まってもらい練習に関しては12月31日と1月1日は休みで冬休みが明けてからは月曜休みである事を伝え練習を終えた。