キツい冬休みがスタートして6日目入っていた。先輩達は筋肉痛に悩まされながらも日々頑張っていた。12月31日と1月1日、今日と明日は練習は休みである。
寮にいる先輩達も年末年始を家で過ごそうとそれぞれ早朝に家へ帰っていった。
俺は朝食を済ませ瑠璃に聞いてくれと頼まれていたマネージャーの件を学さんに確認した後軽く体を動かそうとジャージに着替えて外に出た所でジャックと顔を合わせた。
「何だ?ジャージなんか着て。今日は休みだろ?」
「ああ、少し体動かそうと思ってな。それに少しやりたい事もある。」
「やりたい事?」
「ああ、ジャイロボールのスピン量増加。」
「可能なのか?」
「ああ、まだ完全では無いけどな。夏の予選までには使えるようにしたいと思ってな。」
「じゃあ後で少し見に行くよ。」
「ああ、わかった。」
そう言ってジャックと別れると球場周りを少し走り投球練習場に向かった。
ボールとネットを用意しているとジャージに着替えてグローブをはめたジャックが来た。
「なんだ?その格好は。」
「受け手がいないとやりにくいし効率悪いだろう?」
「あはははっ、すまない。」
「良いって、俺らの仲だろ。」
そう言って軽くキャッチボールした後俺はマウンドにいく。今までのジャイロボールを数球投げ込む。
「上げるぞ。」
そう言うと俺は今まで以上にプレートの押し付ける力を強めて足が着く直前に投げるスピードを上げて投げた。
バシッ
ジャックのグローブに収まる。
「どうだ?」
「確かに回転は上がってる。けどまだ言われないと分からないレベルだな。」
「やっぱりか。もう少し鍛える必要があるか。」
「みたいだな。まあまだ半年はある。先輩達と同じ様に頑張れば出来るさ。」
「そうだな。」
そう言って投球練習場を後にしそれぞれ部屋に戻った。
戻った後シャワーを浴び部屋に戻ると父さんが来た。
「翔斗、まだみんな揃うまで時間あるし少し買い物に付き合え。」
「ああ、良いけどどこ行くの?」
「何ヶ所かな。足りない分があってな。電話してあるから引取りに行く。」
「わかった。」
今日は大晦日ということもあり3日前から爺やメイドは大掃除で忙しい為大晦日関しては毎年俺と父さんがこうやって足りない分を引取りに行く事がある。
そして父さんの運転でチームの事を話しながら関内など数カ所行き屋敷に戻ってきた。
屋敷に入るとメイドや爺が食堂を出入りしている。
どうやら大掃除は終わったらしい。
俺と父さんは厨房に足らなかった分を持っていくとこの冬休みから新たに入ったコックが手際良くそれぞれ場所に置いていく。
それを見たあと俺は一旦部屋に戻り荷物を置き高橋家が来る時間までくつろいだ。
時間になり高橋家を迎えてスペンサー家を呼びに行き食堂へ向かうと子供用と大人用で分かれ準備が出来ていた。
ジャックと瑠璃の顔合わせも無事に終わった。
この日ばかりは爺やメイドなど全てのお手伝いさんも含めての大宴会である。
全員が座り父さんが音頭を取り宴会が始まる。
早速瑠璃が聞いてきた。
「ねぇ翔ちゃん、なんで大人用と子供用とあるの?」
「ああ、それは俺達がアスリート用になってるからさ。大人はそうじゃなくても問題ないだろう?」
「そうだね。それでか。」
私とした事がみたいな顔をする瑠璃。
ここで俺は注意を促す。
「日が変わる前に年越し蕎麦食べるけど食べ終わったあとでも少しお腹の余力残しておくようにね。」
瑠璃がキョトンっとした顔をする。
「なんで?」
「蕎麦食べたら初詣に行くんだよ。俺達4人だけでな。」
「4人だけ?」
「ああ、父さん達は朝まであのまま宴会だ。だから部屋も用意してある。龍ちゃんも今日はこっちに泊まるといい。」
普段は寮なのでこういう時ぐらいはと思って準備した。
「ああ、ありがとう。」
「行き先は?」
「昔と変わってないよ。屋台とかも相変わらず出てるから。」
「じゃあ計画的に食べないとね。」
そう言って箸をすすめる瑠璃。
「ああ、そうだ。ジャックついでに今聞いたらどうだ?」
食べていた箸を止めて瑠璃の方を向くジャック。
「そうだな。ねぇ瑠璃ちゃん、瑠璃ちゃんって将来翔斗をサポートする為に色々勉強してるんだよね?」
「そうだよ?それがどうしたの?」
「うん。実は俺は双子の彼女がいるんだが2人とも瑠璃ちゃんみたいに将来俺をサポートしたいって言い始めてね。でも何から始めたらいいか分からないみたいでね。それで聞いてみてって頼まれてね。」
「ちょっと待って。双子って事は2人だよね?両方共彼女なの?」
「そうだよ。」
「サイテ〜。2人と付き合うなんて。」
「あはははっ、普通はそうなるよな。」
思わず爆笑してしまった。
「翔ちゃん?」
不思議そうに見る瑠璃。
「いいか瑠璃、ここまで3人には色々あったがこれは3人が話し合って出した結論で今こうなってるんだ。だから外野の俺らがギャアギャア言ってもしょうがないの。」
「そっか〜、それならしょうがないか。」
まだ納得出来てないみたいだ。それでも答える瑠璃。
「えっとね、私はまずマッサージと料理をまず勉強したの。マッサージは先生に習いに行って、料理はいくつも掛け持ちして。」
「ああ、料理の事はこの間翔斗に多少聞いた。」
「うん。それで今は栄養士の勉強と年明けからここの料理長に実習を習う予定だよ。」
「色々やってるんだなぁ。あいつらにできるかなぁ〜。」
感心するように言うジャック。
「最初から掛け持ちするんじゃなくて最初は1個で慣れてきたら増やす感じで行けばいいと思うよ。私もそうだったし。」
「そうか。ありがとう。伝えておくよ。」
「そうだ瑠璃、マネージャーの件大丈夫だよ。」
「ほんとに?」
「ああ、楽しみに待ってるって。」
「やったぁ。」
両手を上げて喜ぶ瑠璃。驚いたように口を挟む龍ちゃん。
「何?瑠璃、マネージャーやるの?」
「うん、そうだよ、お兄ちゃん。前に見に行った時にマネージャーらしき人見なかったからね。」
「ああ、うちは0だからな。」
「だから翔ちゃんに聞いてもらったの。」
ここでジャックが口を挟む。
「0って事は瑚子達も行けそうか?」
「ああ、多分大丈夫なんじゃないか?明後日にでも確認してみたら?」
「ああ、そうするよ。」
俺はここで練習について聞いてみた。
「龍ちゃん、練習はどう?」
「どうもこうも筋肉痛だらけだよ。まあそれだけ普段鍛えてない所を鍛えてる証拠だからな。」
「そうなんだよ。今日帰ってきて私が腕を触っただけで触るなって怒られたもん。」
「まあそれだけキツい練習だからな。でもやればこうなるって見本が目の前に2人いる。」
「ああ、それはみんなわかってるよ。だからむしろ頑張りすぎなぐらいだ。」
「そんなに?」
「ああ、言ってた事は確実に実践してるし暇さえあればビデオ見て研究してる。」
「貪欲だね。」
「ああ、あの見学の日以来チームがガラッと変わったよ。」
「中でも誠が凄い。お前にハッパかけられてからが凄い。いつも食べてたあいつがきっちり食事制限守ってる。何を言ったんだ?」
「まあそれは秘密事項だよ。」
「まあとにかく夏が楽しみだよ。」
まだ始まったばかりだが満足そうな顔をしている。
食べ終わった俺たちは紅白を見ながら談笑し12時前に蕎麦を食べた後、予定通り初詣に出かけた。
神社でお参りの列に並びお参りをした。
「瑠璃は何をお願いしたんだ?」
「私はもちろん楽翔高校の受験合格と甲子園優勝だよ?翔ちゃんは?」
「俺は1年の感謝と甲子園優勝だよ。」
そんな話をしているとジャックと龍ちゃんが何やら話し込んでいる。
まあ放っておこう。
その後屋台を楽しんだ俺達は屋敷に戻り眠りについた。