「なあ翔斗、何故楽翔高校なんだ?あそこは野球そんなに強くないと聞くし誰かいるのか?」
楽翔高校に推薦入学が決まってる俺たちは高校見学に向かっていた。向かう途中ジャックが問いかけてきたのだ。
「ああ、今年から監督が変わったの知ってるか?」
「さあ、誰なんだ?」
「ニュースにもなってたって言うのに。いいか、俺の父さんが日本の神奈川スターズに6年いたのは知ってるよな?」
「ああ、それは何度も聞いた。」
「その時の1年後輩で尾森学っていう選手がいたんだが父さんと同じく投手出身で2年前に引退したんだ。その人はアメリカにいた頃からよく遊びに来てくれてな。野球も結構教わってたんだ。その人が今年から監督やってるんだよ。」
「へぇ〜、じゃあ翔斗のいわばお師匠さんってわけだ。」
「まあそんな所かな。それに楽翔高校には宇都先輩もいる。」
「げっ、あの人か。」
「あはは。ジャックはあの人苦手だからな。まあ今ならあの頃よりは上手くやれるよ。当時と違って日本語ペラペラになったんだから。」
宇都学。彼は中学時代の2年先輩でキャプテンだった人で強肩強打の捕手だ。俺が尊敬する先輩の1人である。
「って事はまた最強バッテリーの誕生か。」
「まあ最強かどうか分からないけどまたバッテリー組む事にはなるだろうね。」
話が盛り上がってる所で、学校が近づいてきたようだ。
「坊っちゃま、ジャック様、お話が盛り上がってる所申し訳ないのですが楽翔高校に着きました。」
「そうか。爺、ありがとう。じゃあ行ってくる。1時間もかからないと思うから。」
「かしこまりました。お待ちしてます。」
「ジャック、行こうか。」
そう言うと爺が車のドアを開けお辞儀をした。
「行ってらっしゃいませ。」
駐車場から正門に向かうと人影が2人程見える。正門に着いた所で黒髪のロングの女性が話し出す。
「大島君、スペンサー君ようこそ、楽翔高校へ。私はここの教員で顧問兼スカウトの平野麗子よ。」
そう言うと隣の男性が続ける。
「おぉ、来たな翔斗。君がジャック=スペンサー君か。よろしくな。」
そう言うとジャックと握手をし俺の肩を叩いた。
「そうか、監督は大島君と顔見知りでしたね。」
「まあ、先輩の息子さんだからな。」
「あの大投手の息子さんが我が校に入るとか今からワクワクものですよね。」
「じゃあまずはざっと校舎や部室とかを案内してから最後にグラウンドに行きます。監督はグラウンドに戻って頂いて結構です。」
「じゃあ先に行ってるからな。」
「はい、じゃあ学さん後で。」
そう言うと尾森学はスパイクの音をたてながらグラウンドに向かっていった。
「じゃあ行きましょうか。」
「はい。」
2人でハモった返事をし3人で校舎の方へ向かい出す。
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「以上が校舎と部室紹介です。何か質問は?」
麗子先生がそう言うと2人を見つめてくる。
「そうですね・・・。」
俺は考える。この段階で聞くことは時間の速さとお昼についてか。
「まず、お昼ご飯についてですが食堂が無いところを見ると持ってくるか売店で買うっていう事になりますがあ
ってますか?」
「そうね。うちは食堂が無いからそうなるわね。」
「じゃあ次に朝の時間についてですが通常の学校より早いのはなぜですか?」
「やはりそこは聞くわよね。時間が早いのは第1に朝の方が勉強がはかどる為。その為朝練はどの部活も禁止よ。まあスタートが7時だからやれるわけないんだけどね。そして第2に部活の時間をまとめてとるためよ。朝練と放課後で練習を分けるよりはまとめた方がってのが理事長のお考えなの。」
「なるほど。文武両道を成立させる為のって事ですか。」
「そういう事ね。スペンサー君は何かある?」
「俺ですか。俺は特に聞くことないですよ。翔斗が聞いてくれたし。後、先生、俺の事はジャックでいいですよ。」
そう言うとジャックはむず痒そうに頭をかく。
「ふふっ、わかったわ。これからはそう呼ぶわね。」
そう言うとニヤッと笑い頷いた。
「俺も翔斗でいいですよ。」
「わかったわ。じゃあ野球部のグラウンドに向かおうかしら。」
「いよっ、待ってました。」
ジャックのテンションが一気に上がるのがわかる。
「歩きながらでいいわ。ちょっと聞いていいかしら。」
「なんでしょう?」
「あなたたちはなぜうちに来たの?あなた達なら強豪校から誘われてたはずよ?」
それを聞いたジャックが即座に反応する。
「俺は翔斗が一緒ならそれでいいんですよ。こいつが投げる後ろで守りたいし俺が投げる後ろでこいつに守ってもらいたい。」
「ふふっ、なるほどね。ジャックは翔斗にベタ惚れなのね。」
「そうです。初めてこいつの投げる球を見た時からです。その為に無理言って姉ちゃんにひっついて日本に来たんだ。」
「俺は学さんです。ここ来る前にジャックにも言ったんですが学さんは俺の師匠みたいな人なんです。あの人を優勝監督にしたいその為に来ました。」
「なるほどね。翔斗もジャックもそれぞれがそれぞれの人に惚れて来たわけだ。」
「まあそうなりますかね。」
話が一区切りしたと思った時グラウンドに着いた。先輩方が練習中である。
「しばらくここで練習見てて。私は監督呼んでくるから。」
そう言うとグラウンドの端にある建屋に向かって歩き出した。
「さて、ゆっくりと観察とでもいきますかね。」
「ああ、予定通り翔斗は内野陣頼む。俺は外野陣を見とく。」
お互いに前もって決めた通りにそれぞれが集中して見る。
10数分後
「どうだ、ジャック。夏の大会の映像から何か変わってるか?」
「いや、何も変わってない。びっくりするぐらいにな。」
「やっぱりか。こっちもだ。そうすると予定通りに進める必要がありそうだな。」
「ああ。」
そう言うとお互いにまた集中して見出す。
「待たせたな。翔斗、ジャック君」
「あっ、学さん。」
「どうだうちの連中は?」
「素直に言って良いですか?」
「ああ、構わんが?」
「俺たちは今年の楽翔高校の全試合の映像を昨日までに全て見て来てます。その上で言うと良くも悪くも夏から全く変わってません。」
「という事は成長してないと?」
「はい、その通りです。」
「なっ!」
麗子先生がびっくりして口を抑えた。
「さすがに翔斗にはわかるか。そうなんだ。今はうちは全体的に伸び悩んでる。」
「監督、同じく意見なんですか?」
麗子先生が食い気味に聞く。
「ああ、それでこいつら2人だけ高校見学に呼んだんだ。こいつは昔から見る目が凄くてな。分析力が凄いんだよ。」
麗子先生はそれを聞くとへぇ〜と言わんばかりに関心した顔になる。
「それで、翔斗。お前の事だ。何か策があるんだろう?」
「あはは、さすが学さん。なんでもお見通しですね。」
「それでどうするんだ?」
「俺とジャックの見立てですがまず全体的にパワー不足が否めません。」
「ああ、それは俺も何となく気づいてた。」
「そしてまず投手の2人ですが、まずエースの佐竹利勝さんですが変化球はいいものを持ってますがストレートが130kmと球速が遅く変化球が生かしきれてません。そして2年生の今井武尊さんですがストレートも変化球も悪くないんですがもしかして心があまり強くないのでは?」
「ああ、やはり気づいてたか。」
「まあ試合であんな乱調の仕方すれば誰でも気づきますよ。」
「そして内野陣ですがパワー不足に加えて各自基本に忠実過ぎですね。」
「やっぱりそこか。実はな、宇都以外は中学時代レギュラー経験0な連中なんだよ。」
「そう言う事ですか。」
俺がそう言うとジャックが続く。
「外野陣も基本一緒なんだけど打球に対してのスタートの1歩が全員遅いな。」
「なるほどな。俺とほぼ見立ては一緒か。で、どうする?」
「まずは俺とレギュラー陣の誰かで3打席勝負して圧勝します。」
「ほぉ〜、その意図は?」
「実力がかけ離れた相手だと人って素直に聞くもんじゃないですか?だからまずはそれをします。そして俺とジャックが両手両足につけてるサポーターを全員にしてもらいます。」
ここで麗子先生が口を挟む。
「ちょっと待って。それってただのサポーターでしょ?何の意味があるの?」
「このサポーターですがもちろんただのサポーターじゃありません。鉛入りなんですよ。今着けてるのは1個2kgあります。」
「なっ! 翔斗、そんなもん着けてるのか。それどうしたんだ?」
学さんと麗子先生が唖然とした表情になり学さんが聞いてきた。
「これは母さんの会社に頼んだ特注品ですよ。」
「そうか、あの人が絡んでるのか。」
俺の母さんは実家が超大手のスポーツメーカーで日本に帰国した際おじいちゃんの跡を継ぎ社長になったのだ。それで俺は中学時代パワーを着ける方法を考えてた時に母さんに相談した所出た答えがこのサポーターなのである。
「監督、翔斗のお母さんってどんな人なんですか?」
麗子先生が不思議そうに学さんに聞く。
「ああ、あの人は俺らの学生時代では憧れの人でな。今は実家が経営してた日本スポーツを継いで社長さんやってるんだよ。」
「日本スポーツって、超大手の?」
「ああ、そうだよ。あの人なら納得がいく。」
麗子先生がびっくりした顔でこっちを見てくる。
「それでどうするんだ?」
「そうですね・・・、全員集めてください。俺がけしかけてみます。」
「ふふっ、なるほどな。でも動く格好じゃないから日時改めてになるだろう。場所はどうする?」
「そうですね、今の練習後にうちの球場でどうですか?バスでお迎えに行かせますので。皆さんに差し上げたい物もありますし。」
「わかった。」
そう言うと2、3歩前に出ると
「練習やめ〜、集合。」
と声をかける。
名前に関しては思いつきで使ってます。
誤字、脱字があれば言ってください。