再び夢を追いかけて   作:伏龍

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期待と不安

サポーターを外しての全ての球種を投げ終えた俺とジャックはグローブを外しサポーターを持って先輩に着替えを促し各自の家へ移動し着替えて食堂に集まっていた。

 

 

「しかしあんな能力あったならシニアもっと楽に勝てただろうになぜ使わなかったんだ?」

 

疑問に思った事を口にする先輩。

 

「確かにな。あれだけの能力なら楽だっただろうに。」

 

学さんも続く。

 

「ええ、シニアのメンバーが高校で敵になるのはわかってましたからね。その為です。」

 

「それだけでここまで隠し通してきた来たのか。相変わらず先を見てやってるんだな。」

 

「ええ、目指すは甲子園優勝そして最終的には父と同じメジャーですから。それよりも俺も聞きたい事があります。」

 

「何だ?」

 

「4月に入ってくる同級生の事です。声かけたの俺達だけじゃないはずです。」

 

 

「まあな。お前ら以外に5人声をかけてある。」

 

 

「全部で7人ですか。誰です?」

 

 

「まずはお前のシニア時代の相棒の野本雅志、川崎シニアの岩倉征士、松本直央、平塚シニアの堂本太郎、鎌倉シニアの秋武元だ。」

 

「その5人ですか。雅志のやつ何にも言ってなかったのに。」

 

「それは俺が口封じした。」

 

「なぜですか?」

 

「まあちょっとしたサプライズだ。大した理由じゃない。」

 

「この5人、特に松本が来るなら今年の戦力は磐石ですね。」

 

「ああ、後は頑張り次第ってわけだ。お前の中ではある程度レギュラー出来上がってるんだろう?」

 

「ええ、若干どうなるか分からないポジションはありますがね。」

 

「ほぉ〜、お前にしては珍しいな。どこのポジションだ?」

 

「ファーストとセカンドです。」

 

「高井と山井じゃないのか?」

 

「ええ、現時点ではそうです。ですが俺の見立てでは頑張り次第ですが変わる可能性あります。」

 

「そんなやついたか?」

 

「まさかとは思うが木山と橋田か?」

 

「流石先輩ですね。あの2人は頑張り次第では面白い存在になると思っています。」

 

「ちょっと待て。今の所木山は守備専門だし橋田は打撃オンリーやぞ?」

 

「だからですよ。木山先輩は守備をさらに磨きミート小技を教えます。橋田先輩はあの体格で体が硬いので柔軟としごきで贅肉落としてマッチョ体型に変えます。そうすればもしかしたら現レギュラーよりも良くなる可能性があります。」

 

「それは大丈夫なのか?」

 

「ええ、2人は皆さんとは別メニューで鍛えますから。」

 

「あはははっ、あの2人はご愁傷様だな。」

 

「俺は鍛える方法を教えるだけで優しいつもりですが?」

 

「どこが?」

 

「俺をなんだと思ってるんですか?」

 

「鬼教官」

 

「閻魔」

 

「悪魔の使者」

 

「ジャックまで・・・。ひどい・・・。」

 

「あははははっ、まあ冗談はさておきこの後の予定は?」

 

「この後は全員揃ったら昼食、そして先輩達は2時間程休憩です。」

 

「お前らは?」

 

「俺達は日課のストレッチとマッサージの講習があるので。」

 

「日課って、マッサージ師か何かになるつもりか?」

 

「それは無いですよ。自分の体のケアの為です。3月で終わりますけどね。」

 

「なあ、それってある程度覚えるのにどれだけかかるんだ?」

 

「そうですね、俺らの場合1日2時間で週4回を1年ですね。でもどうして?」

 

「ああ、俺たちも学べばいかなと思ってな。」

 

「ああ、そう言うことですか。2年生はともかく3年生は時間が1年しかないので聞いてみます。」

 

「ああ、頼む。」

 

話の区切りがいい所で携帯がなる。

 

「もしもし、爺か。」

 

「ああ、着いたか。じゃあ先輩と同様に宿舎案内してその後食堂に案内してあげてくれ。」

 

電話を切るとメイドに昼食を運ぶ様に指示を出す。

メイドが慌ただしく動く。

 

「あいつら、着いたのか?」

 

「ええ、もうすぐ来ますよ。そうだ、忘れる所だった。先輩だけ先に渡しておきます。」

 

そう言うと俺はサポーターが入ったケースを2つ渡した。

 

「これは?」

 

「もうわかってると思いますが俺らと同じサポーターです。先輩様に重さは調節してあります。」

 

「ケースが2つあるけど?」

 

「小さい方が練習用、大きい方は普段用です。普段用は2つずつ入ってるので毎日お風呂後に変えてください。洗濯はこちらでします。」

 

「どこで渡すんだ?」

 

「いえ、持って来てください。後で言うつもりでしたがしばらくうちで練習していただきますので。その時に。」

 

「あははっ、やっぱりここでやるのか。」

 

悲壮感いっぱいの顔になる先輩。

 

その先輩に同情の顔を向ける学さん。

 

「はい、その方が効率良いですから。」

 

「先輩はこの後どうするんです?」

 

「俺は途中で来ちゃったからなぁ。このサポータも試したいし体動かしてるよ。」

 

「先輩なら大丈夫だと思いますがくれぐれも普段と同じように動かないで下さい。重さに慣れるように動いて下さい。」

 

「大丈夫。わかってるよ。」

 

「施設は自由に使ってください。ジム的な施設もあります。爺にいえば案内してくれます。」

 

「わかった。」

 

とそこへ、ガチャっとドアの開く音がする。

 

「あ〜、いい匂いだなぁ〜。」

 

龍ちゃんを先頭にぞろぞろと他の先輩達が入ってくる。

 

「皆さん、適当に席に着いてください。龍ちゃんはこっちへ。」

 

そう言うと俺は右隣の椅子を引き手招きする。

 

その声に反応し向かってくる龍ちゃん。

 

「久しぶりだな、翔ちゃん。小学校卒業式以来か。」

 

「久しぶり。そうだね。」

 

そう言って握手する。

 

「龍ちゃんがこの学校にいるとは思わなかったよ。てっきり北海道だと思ってたから。」

 

「ああ、去年3月にこっちへ戻ってきてな。せっかく戻ってきたなら尾森さんの元でやりたいと思ってな。お前がここに来るのは読めてたし。」

 

そう言って席に座る。それを見て俺も座る。

 

「なら来てくれればよかったのに。映像見た時はびっくりしたよ。そうすると瑠璃もこっちに?」

 

「ああ、4月からまたお前と同じだよ。本当はここに来る予定だったんだ。でも何かと俺も瑠璃も忙しくてな。瑠璃は相当会いあたがっていた。」

 

「俺も早く会いたいですね。あの時はいきなりの転校だったから。」

 

「ああ、俺達もあの時はびっくりした。今日おじさんは?」

 

「ああ、大学の最後の挨拶に行ってる。」

 

「監督辞めるのか?」

 

「らしい。次はいずれわかるって言われたよ。」

 

「おじさんらしいな。」

 

そこへ監督である学さんが入ってくる。

 

「盛り上がってる所悪いが揃ったぞ。」

 

「あ、すいません。」

 

言われて気づいた俺はみんないる方に目線をやる。

 

「えっと、それでは皆さんまずは食べましょう。その後でお話します。それでは頂いてください。」

 

 

【いただきます 】

 

 

 

みんなハモリ食べだした。

 

 

 

 

 

そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

「まだ食べてる方もいますが話を始めます。食べながらでいいんで聞いてください。」

 

 

 

「まずは先程の学校での無礼を謝ります。あ〜でも言わないとこの展開に持って来れなかったんです。すいませんでした。」

 

それを聞いた館野先輩が立ち上がり喋りだす。

 

「ああ、その事はもういい、それよりもここに来るまでにみんなで話し合った。お前はうちのメンバー全員名前だけじゃなく能力までわかっとるようや。俺達はお前

より年上じゃがお前に着いていく事にした。」

 

びっくりした俺は口を開く事にした。

 

「言い方悪いですがやけに素直ですね。」

 

「ああ、今は俺達のキャプテンやが宇都は中学時代までライバルやった。そのこいつが中学3年の時に急激に上手くなったのをみんなよう覚えとる。それにキャプテンの宇都がここまでお前を信頼してるんや。最初こそちょっと噛み付いたが俺達もお前を信用する事にした。」

 

そこまで言うと座り俺に目線を向ける。

 

「わかりました。それではまず皆さんにお聞きします。今度の夏目標をどこに置いていますか?」

 

みんなザワザワしだし思い思いに喋る。そこで龍ちゃんが口を開く。

 

「翔ちゃん、今年の夏終わった時にみんなで誓った事があるんだ。」

 

ここでとめようと館野先輩が急に立ち上がり口を挟む。

 

「龍二、お前それはやめ・・・」

 

「いえ、言わせてください。こいつがいれば可能だと思うから。」

 

「ちっ、わかったよ。」

 

それを聞いて渋々納得したのか座り直す。

 

「翔ちゃん、俺達が夏に3回戦で横浜工業に惨敗したのは知ってるよね?」

 

「ああ、よりによって県内一の横浜工業とはくじ運ないなぁと思って見てたよ。」

 

 

「惨敗した後のロッカールームで泣く先輩達に誓ったんだ。来年は勝つと。」

 

「なるほど。龍ちゃんはあそこに勝ちたいと。」

 

「ああ、あそこにもし勝てれば甲子園も見えてくると思うんだ。」

 

「だそうですが、他の皆さんはどうですか?勝ちたいですか?」

 

「勝ちたい。」

 

「勝てるなら。」

 

「同じ思いを味あわせてやりたい。」

 

「わかりました。そこまでの覚悟があるならプランを明かしましょう。爺、皆さんに例のものを。」

 

「かしこまりました。」

 

それを聞いた宇都先輩の顔がニヤッとした。爺やメイドが配り終えたのを見て

 

「皆さんに今お配りしたのは俺やジャックが着けてるのと同じサポーターです。これは鉛入りのサポーターで重さはそれぞれに合わせてあります。どう使うかは宇都先輩に話してあるので後で聞いてください。」

 

それを聞いた先輩達はケースを明け絶望にも似た表情に変わる。

 

「学校でも話した通り全体的にパワー不足です。なので常時これを着けて生活、練習していただきます。しばらくはバット、グローブ、ボールいりません。これに体を慣らし筋力アップを最優先します。」

 

それぞれがサポーターを手に取り重さを確かめながら聞いている。

 

「そして次に練習場所ですが学校ではなくうちの敷地内でやっていただきます。理由としては施設が揃っているのと効率が良いからです。」

 

1人がサポーターを着けたのをきっかけに全員がサポーターを着け始める。

 

「ただ全員が同じ事をするわけではありません。そこでグループ分けします。それぞれのグループには俺とジャック専用のコーチが着きます。」

 

少しザワつくもすぐに収まる。

 

「まず投手の佐竹先輩と今井先輩と俺とジャック。そしてレギュラー陣は各課題が決まってる為1つのグループとします。そして木山先輩と橋田先輩のお2人は専門職なので2人のグループです。後のメンバーは全員同じグループで能力全体的な底上げだと思ってください。何か質問はありますか?」

 

ここで橋田先輩が口を開く。

 

「俺と木山は専門っていう意味では確かに一緒だが役割は全然違うのだが?」

 

まあ普通はそう思うだろうなと思った俺はすぐに返答する。

 

「そこに着いてはちゃんとした意図があるので着くコーチに聞いてください。」

 

「他は良いですか?」

 

普段物静かな橋田先輩が口を開く。

 

「一つだけいいか?」

 

「はい、どうぞ。」

 

「ここに来る前に案内されたあの部屋は今後も使っていいのか?」

 

「はい、問題ありません。むしろ高校で野球やる間はずっと使う事になると思ってください。」

 

「いや、実はな俺を含めて数人通学に結構かかってな。あそこで寝泊まりする事があるかもしれんなと思ってな。」

 

「そういえば先輩湯河原でしたね。これは後々提案するつもりでしたがあの宿舎を寮として使ってはどうかと言うつもりでした。」

 

ここで学さんが口を挟む。

 

「それはちょっと待て。そうなると学校が絡んでくる。」

 

「はい、なのでこれは後で父に話して見ますのでその後父と学さんと学校側で話し合ってみてください。」

 

「わかった。」

 

面倒だなって言いかけた言葉を飲み込みこちらに目線を向ける。

 

「ということなのでそれまでは普通に出入りしてもらって結構です。ただ敷地に車以外で入る時は別の門があるので後でご案内します。」

 

「それで今日の予定ですがコーチ達が終日いない為その時用の練習の仕方を教えます。その時に俺達のピッチングも見ていただきます。時間は3時にユニフォームに着替えて球場に集合です。それまでは各自宿舎で休憩をとってください。」

 

「俺とジャックは1時間程所用があるのでいませんが終わり次第戻ってきます。」

 

「それでは特に何もなければ解散にしますが良いですか?」

 

「ああ、俺達も少し頭の中を整理したい。」

 

佐竹さんがそう言うと他の先輩もそれぞれが頷く。

 

「わかりました。それでは解散です。」

 

それを聞いてバラけながらも食堂を後にする先輩達。

 

「学さん、ちょっと。」

 

学さんが足をとめてこちらに来る。

 

「どうした?」

 

「先程言い忘れましたがそれぞれコーチが着くと言いましたがその他のメンバーのグループは学さん、お願いします。」

 

「それは良いが何をさせるんだ?」

 

「そこに関しては年内に書類にして渡しますよ。」

 

「わかった。それにしても凄い事を考えたもんだな。」

 

「俺だけで考えたわけじゃないですよ。ジャックと話して決めた事です。」

 

「まあ、楽しみな1年になりそうだよ。」

 

それだけ言って手をヒラヒラさせながら食堂を後にする。

 

「爺、車の準備は?」

 

「出来ています。」

 

「わかった。ジャック行こうか。」

 

拗ねた感じでジャックが口を開く。

 

「俺、全く喋らせて貰えなかったな。」

 

「あっ、すまない。」

 

手を合わせて謝る。

 

「まあ、いいや。行こう。」

 

そう言って食堂を後にし車に乗り込むのであった。




書き忘れてたので次話で主要メンバー紹介します。
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