勉強を終えた俺とジャックは荷物を置き着替える為それぞれ部屋に戻っていた。
「さて、後は出るだけだな。まだ少し時間があるな。」
ここで今日の事を思い返していた。
転生後初めて投げたが上手くいったな。キャッチボールの時間で色々試せたのが良かった。あの時間がなかったらと思うとゾッとするな。
麗子先生、スカウト担当って言ってたな。って事はソフトボールか野球の経験者か。後で父か爺に聞いてみるか。
とりあえず、能力再確認といくか。
「オープン」
しかしこの能力どうやって上がっていくんだろう。パワプロタイプで頼んであったのにポイントらしきものが見当たらない。勝手に能力が付くんだろうか。まあもう少し様子見だな。
夏までには後4kmはあげておきたい。変化球ももう少し上がると抑えやすくなるな。今の重さに慣れたら投球練習増やすか。
能力ウィンドウを閉じ立ち上がる。
「さて、学さんの所に行くか。」
書類を持ってドアに向かい部屋を出て宿舎向かう。
コンコン・・・
「誰だ?」
「俺です翔斗です。」
「入れ。」
ガチャとドアを明け中に入る。
どうやらのんびりテレビを見ていたらしい。
「どうした?」
「まずはこれを。」
「これは?」
「練習のグループ分けの班です。最後に発表してほしいんです。」
「わかった。」
「後、さっき言い忘れましてね。」
「なんだ?まだ何かあるのか?」
「ええ、俺達含めた新入生の中にもう1人大事なメンバーが入ってきます。」
「ん?誰だ?」
「ええ、横浜シニアに参謀と言われた同級生がいるんですが知ってますか?」
「ああ、事故かなんかで選手諦めたとかいう子だろ?その子がどうした?」
「楽翔高校に来ます。名前を梨本海斗と言います。」
「選手出来ないのに野球部に来るのか?」
「ええ、海斗は頭が良く野球が大好きでしてね。走れなくはなりましたが元々良かったバットコントロールを活かしたノックが出来て、観察力もある為偵察と作戦をとってもらっていました。」
「そんなのがここに来るのか?俺の仕事無くす気か?」
「いえいえ、監督と2人で進めて欲しいんです。監督は顔が売れてるから偵察出来ないでしょ?」
学さんは指導者としては良いがこういう所が抜けてたりするんだよな。
「確かにな。そいつは助かる。」
そういえばここ来た時からやけに静かだな。寝てるにしてもそろそろ起きないと間に合わない時間のはずだが。
「学さん、宇都先輩は良いとして他の先輩方はどうしてるんですか?ここがやけに静かですが?」
「ああ、俺達が学校を後にした後、練習に身が入らなかったらしくてな。聞いた事に関して話し合っていたらしい。それで元気だからと宇都について行ってる。もちろん、全員サポーターつけてな。」
なに〜、後でやるって言ったのに。まあ良いか。どんな事をやってるかで判断すればいい。
「そうですか、この展開は予想してなかったな。」
そう言うと学さんがすぐに口を開いた。
「まあ、やる気はあるみたいだし俺らもそろそろ行こうか。時間に間に合わなくなる。」
そういって学さんは立ち上がりつけっぱなしだったテレビを消した。
俺も立ち上がりドアを開け球場に向かう。後ろから学さんも着いてくる。
そして球場の前に着いた俺と学さんはジャックと合流し中に入る。
中に入ると直で砂地に座り休憩していた先輩達がこちらに目線をあげる。
「おっ、来たな。待ってたで〜。」
館野先輩が最初に口を開く。
「で、どうするんだ?」
皆を代表してなのか宇都先輩が聞いてくる。
「そうですね。まずこの2時間何をしてたか聞いていいですか?」
「俺達か、着替えてサポーターつけてここに来たあとまず20分程中で歩いてみた。手足を動かしながらな。そして重さがわかった所で各々のペースで40分程ランニング、15分休憩した後30分程サポーター付けたままで筋トレしてお前達を待ってた所だ。」
なるほど。悪くない。時間はかかったようだけどやろうとしてた事が行われていたわけだ。
「わかりました。俺達の投球見るのと練習続けるのどっちが良いですか?」
「それなんやけどな、俺達が来る前に宇都に数球投げたらしいな。どんな球だったかを聞いてな。正直呆れてる。」
「どういうことです?俺ではまだまだダメだと?」
「そうじゃない。逆や。何をしたらその歳でそんな化け物になれるんだって話してた。だから見せなくてもええ。それは実際の投球練習や試合で見せてもらえばええ。そうなったんや。」
「わかりました。じゃあ練習続けましょうか。」
「ああ、何をすればいい?」
「まずは移動しましょうか。着いてきてください。」
そう言って移動する。行く先は体育館程のサイズの室内運動場である。
「着きました。ここです。」
「ここは?」
「元は雨などが降った時に筋トレ等が出来るように作られた場所です。まず中に入りましょう。スパイクを脱いで着いてきてください。」
そう言って翔斗とジャックを先頭にゾロゾロ中に入っていく。
「見てわかる通り壁際には色んな所からゴムが出ています。そして中央には球場と同じサイズでベースと内野部分を作ってあります。」
先輩達と学さんが見渡す。
「まずは中央ですがあれはベースランニング用です。通常は球場の外周を走りますが雨や雪の場合あれを使います。」
全員が翔斗に視線を戻す。
「そして壁際ですがどちらも早くやるのではなくゆっくり伸ばしてゆっくり戻してください。地面から出てるゴムは膝頭の上部分に装着して足上げを多なってください。壁際に並んでる鉄柱から出てるゴムは手に持って送球する形で行って下さい。」
「基本的にはどれも30分です。ランニング、筋トレ、足上げ、送球ゴムこれをまずはサポーター着けて2ヶ月行ってください。」
先輩達の顔が悲壮感漂った顔に変わる。
「後動体視力の鍛え方を教えます。まず、左右の指を立てて、顔の横幅くらいに広げ、顔から20cmくらい離し、右→左→右→左と交互に見ていく。 同様に、顔の縦幅にも広げ、上→下→上→下と交互に見ていく。 2そして 左右の指を立て片方は顔から30cmくらい離し、片方は離した指と顔の真ん中に置き、前→後→前→後と交互に見ていいきます。」
「左右、上下、前後それぞれ10回ずつ3つでワンセットとして3セットを1日2回行ってください。2回連続でやるのではなく必ず間を開けてください。セット間
休憩は1分です。」
「グループ分けは後で学さんから発表されます。ここまでで質問ある方?」
「1つだけ良いか?」
「練習時間短くないか?」
「ええ、本来予定ではもっと長い予定だったんですが宇都先輩、さっき言ってた授業の件OK出たんで最短の4月終了予定で授業組んでもらいました。」
「OK出たのか?ありがとう。」
宇都先輩から聞いていたのか先輩達からおおっ〜って声があがる。
「それで基本学校がある日は練習後先程の食堂で2時間、学校のない日は午前中に4時間授業受けていただきます。内容はストレッチとマッサージです。」
「宇都先輩に聞いていると思いますが4月までにちゃんとしたやり方を学んでいただきます。これは宇都先輩をはじめプロや社会人までやりたい人もそうじゃない人も怪我防止に繋がります。必ず寝るまでに10分ずつで良いので行ってください。」
「他はいいですか?それではグループ発表お願いします。」
視線が学さんに集まる。
「ああ、じゃあ発表するぞ。投手班。これは投手全員だ。次に野手A班、宇都、館野、福山、遠藤。野手B班、高橋、木山、橋田、高井、山井、宮下。それ以外は内野外野で別れてくれ。」
若干ザワつきながらも視線を翔斗に戻す。
「この2ヶ月に関してはただのグループ分けです。施設の数に限られてる為それぞれの班がスタートする場所が違います。投手班はここと同じ物が投球練習場の一室にも作ってあるのでそちらで練習します。」
「練習自体は今度の週末クリスマス明けの月曜日スタートです。ですが宿舎自体はクリスマスイブから使えるようにしておきます。クリスマス練習したい人は爺に一声かけてください。大抵は屋敷の中にいます。クリスマスイブから冬休みに入るため朝は授業からスタートで朝8時開始です。俺とジャックは日課で通っている為それぞれの個人練習に当てます。」
「冬休み期間中泊まりたい人は日曜日までに宿舎に荷物持って入っておくと良いと思います。日曜日までに入る人は夕方5時までに宿舎に来てください。昼食はこちらで準備します。泊まる人はもちろん朝食、夕食付きです。」
「クリスマス明けの練習までに寮の事をどうするか家族で話し合って下さい。学さんはそれまでに話し合いお願いします。夜に父から電話が行くと思います。」
「わかった。」
「以上ですが何か質問ある方?」
「1ついいか、冬休みの宿題やる時間はあるのか?」
「あるにはありありありますが出来れば練習始まるまでに終わらせておくのが良いかと思います。」
「なぜだ?」
「練習後は筋肉痛で動けないでしょうから。」
「他は良いですか?それでは今日はこれで終わりです。帰りはバスで学校又は駅まで送ります。着替えたら駐車場に集まって下さい。お疲れ様でした。」
言い終えると全員が揃って
「お疲れ様でした。」
全員バラバラになりながらもドアへ向かう。
「ふぅ〜とりあえずこれでスタートがきれるか。」
溜息に近い声をあげると龍ちゃんが声をかけてきた。
「お疲れ。」
そう言ってポカリをくれた。
「翔ちゃんは相変わらずきっちりしてるな。所で、この後時間あるか?」
今は17時か。父さんが帰ってくるまで2時間程か。
「ああ、2時間後に屋敷に戻ってこれればそれまでは暇だよ。」
「じゃあ少しうちに来ないか?瑠璃に合わせてやりたい。」
「ああ、それいいな。じゃあ俺も着替えてバスで行くか。ジャックはどうする?」
「ああ、俺は今日瑚子達に電話すらしてやれてないからな。電話して今日の事報告しに行ってくるよ。」
ここで龍ちゃんが首を傾げる。
「達?」
俺は半笑いで答える。
「ああ、ジャックは中学の時から双子姉妹に言い寄られててね。いつも2人相手なんだよ。」
龍ちゃんも半笑いで答える
「大変だな。」
「なんだよ、2人して。」
怒りながらも恥ずかしそうにしている。
「じゃあジャック、また後で。龍ちゃん、駐車場だよ。」
「ああ、わかってるよ。」
そう言って部屋に着替えに戻る。
瑠璃か、久しぶりだな。4年ぶりか。楽しみだな。
瑠璃の事を考えながら準備をし部屋を出る。リビングにいた爺に声をかける。
「爺、終わったから先輩達と俺を学校と駅に送ってくれ。その途中、龍ちゃんの家があるから場所聞いて龍ちゃんと俺を下ろしてくれ。全員下ろしたら俺を迎えに来てくれ。」
「かしこまりました。」
「じゃあ行こうか。」
そう言って爺を伴って駐車場に向かう。
「ん?なんだ?お前も一緒なのか?」
館野先輩が不思議そうに聞いてくる。
「ええ、龍ちゃんの家に少し用事がありましてね。」
そう言って俺と先輩達がバスに乗り込む。
「じゃあ、みんな揃ってますね。爺、出してくれ。」
そう言うとバスが動き出した。