東方神隠録   作:赤羽ころろ

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職/食探し

幻想郷にきて早、四日。生活に慣れてきたとは言ったものの正直大変の一言である。食材や生活必需品は霊夢や魔理沙、文やスカーレット姉妹から多少貰い受けているがいつまでもそれに甘える訳にはいかない。そろそろ職を探さないとなと思い始めた今日この頃である。

 

「なあ、ラッキーは何やりたい?」

 

「ん?ゲーム」

 

「そういう意味じゃない。仕事だよ仕事」

 

 んーというもののラッキーはゲームに集中していて話が進まない。

 

 こうなったら・・・・・・

 

「ラッキー君、いくら君が馬鹿であろうとも必ず働かざるを得なくなることを言ってあげようか。働かないと電気が通らなくなってゲームが・・・・・・」

 

「働くっ働くっ! さあお仕事探しましょー!」

 

 馬鹿は気楽でいいなと思った今日この頃でもある。

 

 

 

「今度は仕事ですかぁ? あの、すいませんけどここ新聞屋なんで。職探しなら他行ってくれませんか?」

 

「頼むよ文―。お前幻想郷の事色々知ってんだろォ? な? 紹介してくれたらちょっとだけどお礼も出すからさ!」

 

「わかったやりましょう」

 

 こいつそういうのには目が無いな。つかがめついな。

 

 

 

「やっぱりここでしょ!」

 

 深い森を歩いて来たその場所にはぽつんと家が建っていた。

 

「おい文、ここって魔理沙ん家だろ? 第一本人居ないし」

 

 おそらく今日も霊夢のところだろう。誰一人として客が来ないらしい。まあここまでの道のりが壮絶だったからかもしれないが。

 

「やっぱりここで働くのは無理ですか?」

 

「無理だろ」

 

 

 

「ふむ、外の世界からねえ」

 

 ここは香霖堂。森近霖之助が営む古道具屋である。

 

「スゴイいろいろなものがあるんですね。あ、このティーカップとかいいですね」

 

「あ、それ非売品よ?」

 

「へ?ここに置いてあるのって全部売りものじゃないんですか?」

 

「うん、売り物なのは使い方のわからないものだけね。そこら辺にあるのは私のものさ」

 

 ラッキーところろは顔を見合わせて、

 

「別のところ行くか」「ああ」

 

 

 

「やっぱり外来人だとダメなんですかねェ?」

 

 文は空を見上げてつぶやいた。

 

「そうだなー俺らはこっちの生活に慣れてきただけで常識には慣れてない」

 

「ああ、こっちの人達って変人多いよな」

 

(ラッキーが言うのか)

 

(ラッキーが言っちゃうんだ)

 

「? 何? オレ変なこと言った!?」

 

 すぅっと大きく息を吸い込んで文は「さあ! 次行きましょう!」と急に張り切り始めた。

 

「・・・・・・変な奴」「だからお前が言うなっての」

 

 

 

 次の事業所へ歩いてる最中にあ!っと文は何か思いついたという風にころろを引き留めた。

 

「いっそのこと家で働かないですか!?」

 

「えーいいよ。なんかブラックそうだしちゃんと給料払わなさそう」

 

 むっと頬を膨らませて文は

 

「失敬な! ちゃんと払ってました! 今は誰もいませんけど・・・・・・!」

 

「いやなんの自慢にもなってないから」

 

 そうこうしているうちに目標の事業所についた。すると巫女姿の少女が出てきて、

 

「どうぞご参拝お願いしますーってころろ達か・・・・・・」

 

 その少女はアルだった。はあっと肩を落として戻っていった。

 

「いや、俺らにゃ無理でしょ・・・・・・」

 

「ですよねぇー」

 

 

 

 その後、人間の里中を回ったがやはり雇ってくれるところはなかった。あとは妖怪たちのところにも行ってはみたもののミスチーの夜雀庵

 

 や紅魔館などちょっと無理あるものばかりだった。

 

 そして家に帰ってきた。

 

「お邪魔しまーす」「いや何勝手に上がってんだよ」

 

 おおーと家中を駆けずりまわる文。やはりはじめてきた家は探検したくなるのは人も妖怪も変わらぬようだ。

 

「ころろさぁーん! 私いいこと思いつきましたぁー! これですよこれ! これ見て思いついたんです!」

 

 文が手に持っていたのはころろが持ってきた漫画。高校生が人助けをするために起業する話だ。

 

「そっか、めぼしいものが無ければ俺らで作ればいいんだ!」

 

 起業。なんで思いつかなかったんだ!自分に合わないところが無ければ自分に合うものを作ればいい。無論今までころろ達がいた現世では無理だろう。そこまで現実は甘くはない。

 

 だがここは幻想郷。あちらの「非常識」はこちらの「常識」である。

 

「で、ころろさんどうするかい? その名前とかさ。何やるとか決めないと」

 

「そうだな・・・・・・ここじゃいろいろやれた方が楽かもな。よしこれからうちは何でも屋だ!」

 

 きょとんとしている文。「何でも屋ですか?」

 

 にっところろは笑うとやることの概要を説明し始めた。

 

「うちはとにかく何でもやる! ゴミ拾いから異変解決までなんでもな! どんな危険なことでもラッキーがやってくれます!」

 

「ゲッオレ!?」「異変解決もですか!?」

 

 そしてところろは続ける。

 

「依頼料は要交渉! 分捕りはしない! それこそ文みたいにはしません!」

 

 ほうほうと納得するラッキーの隣で必死に「いやいや分捕ってませんって!」と否定する文。その顔には汗がだらだらと。

 

「そして店名は何でも屋Nikola商店! にょろのN、ころろのK、ラッキーのL、アルのAでNikola!」

 

「・・・・・・トライはいいのか?」

 

「アイツにはうちの看板ニワトリになってもらいます」

 

 何かを感じ取ったかのように二階からコケ―と鳴き声がした。

 

 そして翌日、

 

「いいぞー」「よし」

 

 ころろ達は屋根を見上げた。

 

「なかなかいい面構えじゃねえか」

 

「よし何でも屋Nikola商店スタートだ!」

 

 こうして四人の少年少女と一匹の何でも屋が始まったのである。

 

 

 

「こないね依頼人」「そうだなー」「コケ―」

 

ころろとラッキーとトライは居間で大の字になって寝っ転がっていた。にょろは紅魔館、アルは博麗神社でそれぞれお仕事中である。開業して二日。今のところ客はゼロである。人間の里にチラシは置いてもらっている。ちなみにチラシの製作は文であり多少盛られている部分もある。そしてお察しの通り文がチラシのデザイン、印刷をタダでしてくれたわけなので売り上げの一部は文に行く。

 

やはり幻想郷も甘くはない。これでも税金とられないから現世よりかはマシか。

 

「やっぱり来ないかなー」ところろがつぶやいた時だった。ガラッと扉があく音がした。

 

「すいませーんここって何でも屋ですかー?」

 

人間の里の少女だった。

 

「そうだけど依頼かな? 内容は?」

 

ころろというよりかラッキーとトライも目をキラキラさせて詰め寄るので少女は少し引いていた。

 

「えっと・・・・・・ちょっと手伝ってほしいんだ。うちのお店を」

 

 

 

少女の名前はサチ。人間の里で団子屋を家族で営んでいる。

 

「ほらそろそろお盆じゃない? それでお供え物として団子が売れて品薄になっちゃうのよ。それで人手が足りなくて」

 

幻想郷には学校というものは無いらしい。だから現世では小学四、五年生のこの子も実家の手伝いをしているらしい。読み書き程度は家で習ったみたいだ。

 

「そっかぁ。 そういうことなら了解だ。 うっしNikola商店の初仕事だ! 気合入れていくぞ!」

 

応!っと気合を入れて臨んだもののニワトリのトライは邪魔でしかなかった。

 

「・・・・・・邪魔なんだけどこのニワトリ」「ニワトリ言うな!」

 

うおぇっしゃべったぁ!?っとびっくりするサチ。まあ当然だな。黙々と団子を握るころろの横でラッキーが苦戦していた。

 

「おいおい、なんでそんな器用なんだよお前・・・・・・」

 

「お前が不器用なだけだ。 アルは服作れるしにょろは機械も直せる。お前さ何か無いの?そういうの」

 

うーんとしばらく間を開けてラッキーは

 

「みんなを笑顔にできる」「それ役に立たないな」

 

 

 

約三十分後、団子は目標の数に達しころろ達は休憩に入った。

 

「いやーこうやってなんかするのもいいもんだな」

 

ラッキーはサチに入れてもらったお茶を美味しそうに飲む。そしてすぐに煎餅を頬張る。

 

「ねえねえ、二人はあっちで何をやってたの?」「三人な」とすかさずトライは注釈を入れる。

 

「普通に学生さ。毎日学校通って部活行って・・・・・・」とそこまで言ったときラッキーは顔を顰めた。

 

「ラッキー?」

 

サチは不思議そうにラッキーの顔を覗き込む。

 

「・・・・・・最近まではね。数か月前にあるテロリスト集団の行動が原因で世界は大規模な戦争になったんだよ。それから日本も巻き込まれ始めた」

 

ころろはラッキーの後に続けて話し始めた。

 

 

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