第3話 レイントシティ水没事件
あの試合から私は、街から一切出ることなく内政に勤めていた。
一度もボールからポケモンを出すこともない。
:イエッサン
ふるる~
うちのカジノで雇っているイエッサンから呼び出しがかかった。
どうやら来訪者のようだ。
……私は気だるげに了承して、その来訪者に会いに行った。
:タオタオ
……来ちゃった。
そこにいたのは、私の同期であるポーポラのジムリーダーだ。
いつみても間抜けな顔をしている。
:ハマユウ
…………何の用だ。
:タオタオ
ねえねえ、フール団って知ってる?
:ハマユウ
……知らないな。
:タオタオ
…………本当に?
……。
さっきまでゴンベみたいな顔してたくせに、急に目つきが鋭くなっている。
この無言の圧力……。さすがは無に帰す巨大重圧の二つ名を持つだけある。
:タオタオ
ポーポラシティができる前、あの湖の上にはレイントっていう町があったそうだよ。
でもね、ある日を境に町は湖に呑まれ、レイントのジムリーダーは失踪したんだって。
一度、ジムチャレンジそのものの存続が危ぶまれたそうだよ。
……でさ、ジムチャレンジを妨害する組織がこの地方にいるのは知ってる?
:ハマユウ
それが、フール団って?
……アンタの言いたいことはわかった。
レイントの水没に関して、フール団が関与してるんじゃないか、そういう話か?
あれは豪雨が原因だったはずだ。
あんな組織にそんな力があるわけがない。
:タオタオ
なわけないじゃん。あれにそこまでの力なんてもってなぁし。
でも、街1つ沈んだにもかかわらず死者は0で、いまだにジムリーダーは見つかってない。
火事場泥棒だってできそうだよね。あそこまでの災害なら。
:ハマユウ
あの豪雨を利用してジムリーダーを誘拐したって?
:タオタオ
まぁ、その可能性もあるよね……。
:ハマユウ
んで、それを私に言って何になる。
:タオタオ
あなたなら、この地方の裏側と繋がりがありそうだな、と思いまして?
あなたの町のカジノを調べたら面白いことが分かりましたよ。
架空の売り上げを計上し黒字化を図る……いわゆる粉飾ってやつです。
この町の企業と連携し特別利益を計上させて双方が儲けるような仕組み、この循環機構を考えたのも貴方でしょう。
こういう犯罪事を平気で行う貴方なら、フール団の繋がりもありそうじゃないですか?
なんなら、この不当な利益もフール団に流しているかもしれませんね。
普段はゴンベみたいな顔をしてよくもまぁ……。
:ハマユウ
私もジムリーダーなんだ。 ジムチャレンジには賛同しているよ。
だからフール団と協力関係があるわけがないだろう。
カジノに至っては、堕落したこの町を早急に更生させるための手段だったんだ。
ジムリーダーの務めはなにもポケモンバトルだけじゃない。この町の未来と発展のために尽力を尽くす公務員だ。
:タオタオ
あなたからは、強い絶望の臭いがします。虚無を纏った光のない瞳。
あなたの瞳はいつから、ハイライトを失ったのですか?
まぁ、気にしないでください。 私もポーポラジムに出向が決まって、この町の過去がどういう経緯か知りたかっただけですので。 それでは……。
まさか、粉飾まで見抜いてるとはね。
しかしまぁ、あの町の水没が関係あるとは思えない。
単なる偶然だと思うけどね……。
ジムチャレンジ開催まであとわずか。
さて、どうしたもんかね。