アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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第二章~ロドスに迷子が舞い降りた~
闖入者


「あ、ありのまま起こったことを話します」

 

「ああ、話せ」

 

 

ロドス本艦、執務室

 

 

龍門での騒動から数時間後、ニット帽を捕らえ、龍門に引き渡し

事後処理と状況報告のために当時その場にいた警官に来てもらっていた

 

「私は最初、むやみに近づく彼を制止するため近づきました」

 

都市内での発砲事件、それすなわち龍門への侵入を許したということ

龍門警察としては、よくない話である

 

「ですが彼は、逆に私に下がれと言い、手を伸ばし私を下がらせました」

 

龍門警察は厳しいことで有名だ、強固な守り、洗練された警官たち

 

「彼の言葉に反論しようとしました。ですが、私の体はいうことを聞かなかったのです」

 

生半可なことでは切り崩せないほどの鉄壁、ネズミ一匹通しはしない

 

「彼に任せればどうにかなる、などという安心感からではありません」

 

市民はそんな彼らを心から信頼している、警察としてそれほど誇りに思うことはないだろう

 

「もっと別の何か、異質な力で動きを封じられたのです」

 

だが今回、三人の不審者が入り込んだ、あまつさえ市内で騒ぎを起こさせた

 

「そして彼は、フェリーンに近づいていきました。ゆっくりと」

 

それは、市民に不安を煽ると同時に、龍門警察の顔に泥を塗ることになる

 

「男はフェリーンに対して腕を向けました。このとき彼は確かに何も持っていませんでした」

 

都市の人々の安全を守るものとして、あってはいけないことだ

 

「男は少女と何か話した後、フェリーンにむけてこう言いました」

 

また同じことを起こすわけにはいかない、問題点を洗い出すために話をしてもらっている

 

「『五つ数える、それまでにそいつを離せ』と」

 

何より、警官が話している男、何者かはわからない

 

「そして男が宣言通り、数え始めました」

 

話を聞く限り、かなり不可思議な点が目立つ男だ

 

「ゆっくり、五から、一まで」

 

何より異常なのは、男がニット帽のフェリーンにやったこと

 

「数えるたびにフェリーンが平静を失くしていくのが見て取れました」

 

フェリーンが男に向けて発砲しようとした瞬間

 

「そして、フェリーンが逆上し、男にむけて撃とうとした瞬間」

 

 

 

「男はいつの間にか銃を持ち、フェリーンの手を撃ち抜いていたんです」

 

 

 

警官の言う通り、男は銃を手に取りフェリーンの手を撃ったという

しかもその銃は目の前にいる警官のものだったらしい

 

「その後、男はスモークを焚き、いつの間にか消えてしまいました」

 

いつの間にか盗まれたと言っていた、おそらく、警官を下げるために手を伸ばしたときに盗んだのだろう、かなり手癖が悪いらしい

 

「以上が事の顛末です」

 

警官の報告を、ドクター、アーミヤ

そして彼ら龍門警察のトップであるチェンが、黙って聞いていた

 

「な、なにを言っているかわからないと思いますが、私も何を言っているかわかりません」

 

警官がそう言いながら、片手をぷるぷると所在なさげに漂わせる

それを見たドクターがそっと、水を入れたコップを近づける

警官は近づけられたそれを手に取り、一口飲む

 

「…………」

 

チェンが黙ってそれを見ている、すると

 

「飲んでいる場合かぁ! 馬鹿者がぁ!!」

 

「あふん!!」

 

コップごと警官をひっぱたいた

衝撃でコップが下に落ち、中身がこぼれる、プラスチック製でよかった、ガラスや陶器なら今頃割れていただろう

 

「貴様っ! それでも龍門警察か!」

 

「ひいっ! すいません!」

 

警官が怒鳴られている、チェンの怒りに触れたらしい

 

「銃を取られ、気づかなかっただと! 挙句、その男も逃がしただとっ!?」

 

「ひいい!!」

 

「ふざけているのかぁ!!」

 

「ひいいいぃぃぃぃぃぃ!!」

 

警官が恐怖に震えている、堪忍袋の緒が切れた、なんて話ではない

怒髪天を衝く、それはまさに、この状況を指すのだろう

ドクターがチェンをなだめにかかる

 

「まあまあ、落ち着いてくれ、彼が怯えている」

 

「ドクター! お前もだ!」

 

「へっ?」

 

怒りの矛先がこちらに向く

 

「アーミヤから聞いたぞ、本来なら現場に届く距離にいたと」

 

アーミヤが一瞬でそっぽを向いた

 

「あー、そのー」

 

「なんでも、息切れして動けなくなっていたそうだな?」

 

「……はい、すいません」

 

「謝って済むと思っているのかっ! このたわけどもがぁ!!」

 

「「ひいいぃぃぃぃぃ!!」」

 

ドクターと警官が仲良く震えている、火に油を注いでしまったようだ

ドクターは普段、書類仕事をしている時が多い

作戦指揮こそすれど今回のように現場に出るのは極稀だ

ずっと椅子に座って作業している分、体が追いつかなかったのだろう

 

「府抜けているぞ!!」

 

「「すいませんでしたあぁぁぁ!!」」

 

「まあまあチェンさん、落ち着いて」

 

アーミヤが今度こそなだめにかかる

何度か叫んで落ち着いたのだろう、チェンが静かに言う

 

「もういい、処罰は後で伝える。報告ご苦労だった、下がれ」

 

「はいっ! 失礼しますっ!」

 

警官が部屋を出ていく

残されたのは、ドクターの前に立つチェン、椅子に腰かけるドクター、そばに立つアーミヤ

そして

 

「はぐはぐ」

 

ドクターの膝に座る、白い少女だった

 

「で、その子はどうするんだ?」

 

「とりあえずは、ロドスが預かる」

 

チェンの怒号が響く中、一切顔色を変えずに与えられた菓子を頬張っていた

 

「ほう、ここはいつから託児所になったんだ?」

 

「放ってはおけないだろう」

 

例の騒動の際、人質になっていた張本人だ

何より少女の保護者は例の男、彼につながる唯一の手掛かりでもある

 

「それで、男の捜索は?」

 

「今、フェンたちがやってくれている」

 

「そうか」

 

騒動の後、実際に男と出会った三人に男の行方を探ってもらっている

フェンが何やら嫌がっていたが、渋々承諾してくれた

 

「奴はまだ龍門にいるのか?」

 

「わからん、だから探してもらっている」

 

逃げた後、どこに行ったかは予想できていない、だがそう遠くにいっていないはずだ

 

「検閲の方にはそれらしい奴はいないらしい」

 

「ならまだ、外には出ていないな」

 

龍門警察にも事情を話し、協力してもらっている、もし外に出ようとしたなら、昼間のフェリーンと同じ目にあうだろう

 

「話はもう終わりか?」

 

チェンが少女に一瞬視線を向けて言ってくる

 

「ああ、これ以上話すことはないだろう」

 

「なら、私は戻るぞ」

 

そういい、チェンは執務室から出ようとする

 

「チェン」

 

「なんだ」

 

ドクターが呼び止める

 

「助かる、すまないな」

 

「……なんのことかわからんな」

 

そのまま外に出て行ってしまう

 

「さて」

 

ドクターが立ち上がる、それに合わせて少女が膝から降りる

 

「お嬢さん、名前は?」

 

「リンクス」

 

少女が菓子を頬張りながら自分の名前を言う

 

「そうか、リンクス、私と一緒に来てくれないか?」

 

「ん、どこに?」

 

「ここより居心地のいい部屋だ」

 

「はーい」

 

「どちらに行かれるので?」

 

アーミヤが聞いてくる

 

「応接室だ。一度リンクスを置いて彼女の行動許可証を作ってくる」

 

「ああ、はい、わかりました、」

 

一応ロドスは関係者以外立ち入り禁止なのだ、自由行動には許可証がいる

 

「きょかしょう?」

 

「ああ、そうだ」

 

許可証自体、不審者かどうかを判別するためのものに過ぎない

この少女には必要ないと思うが作っておいて損はないだろう

 

「行こうか、付いてきてくれ」

 

「はーい」

 

ドクターがリンクスに手を伸ばす、それをリンクスが掴む

 

「アーミヤ、しばらく頼む」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

「いってきまーす」

 

アーミヤに見送られながら執務室を出る

 

 

……………………

 

「すまないが、ここで待っていてくれ」

 

「むー」

 

応接室に到達し、部屋のドアを開けようとする

鍵を取り出し、鍵穴に入れ、回す

 

「……?」

 

だが、鍵を開けたとき特有のガチャリとした感触がない

気のせいだろうか、不思議に思いながらドアノブに触れ、扉をあける

すると

 

「あ」

 

「邪魔してるよ」

 

見慣れない男が部屋のソファでくつろいでいた

男を警戒する

 

「……誰だ」

 

「どこかの誰か、さ」

 

そう答えを返してくる

黒髪赤目、高い身長、身体的特徴のない人種、例の男によく似てる

 

「どうやって入った?」

 

「ふっ」

 

不敵な笑みを浮かべ、ポケットからなにか道具を取り出す

 

「……ピッキングか」

 

「ご名答♪」

 

それはピッキングツールだった

かなり、ではない、恐ろしいほどに手癖が悪い

 

「この船にはどうやって入ったんだ?」

 

もうひとつ、疑問をぶつけてみる

男は天井を指さし答える

 

「忍び込んだ」

 

「どうやって」

 

「どうやってだと思う?」

 

質問に質問で返される

ロドスに入るなら検閲門は必ず通らねばならない

だが先ほど、それらしい男は見ていないと言っていた

わからない、神出鬼没に過ぎる

 

「すとれいどー」

 

「おー、元気してたか?」

 

少女が男に近づき、男は少女の頭をなでる

ストレイド、リンクスはそう呼んだ、それは彼女の保護者の名前のはずだ

 

「君が彼女の――」

 

「鉄仮面のお兄さんよー」

 

訪ねようとする、が男に止められる

 

「こいつのパスポート、作るんだろ?ここに抑えといてやるから、行ってくるといい」

 

「ああ、だがまずそのまえに――」

 

「まあまあ、積もる話はあとで出来るさ」

 

先ほどから男が遮ってくる、さっさと作ってこい、ということか

 

「ついでに俺の分もな」

 

「…………わかった」

 

その前に男の名前を直接聞いておきたかったが同じように遮られるだろう

仮の許可証なら名前がわからなくとも作れる、早くいって戻ってこよう

手続きをするため、外に出る

 

「いってらっしゃ~い」

 

今度は男に見送られる、積もる話はあとで出来る

奴には聞きたいことが山ほどある

 

 

 

 

 

 

 

「さてと」

 

「?」

 

ドクターの足音が聞こえなくなった頃合いで男が立つ

 

「どこいくの?」

 

「お前は、ここで待ってなさい」

 

「むー」

 

「あの鉄仮面が迎えに来るさ」

 

「わかった」

 

男はリンクスを座らせ、応接室の扉に向かう

 

「どこいくの?」

 

リンクスがもう一度聞く

 

男は軽く振り返り、不敵な笑みを浮かべて言う

 

「探検さ」

 

応接室の扉が閉じられる

 

 

 




チェンはゲームでは物静かな武人、というイメージなのですが
ここでは少々、怒りっぽい性格になってしまっています
まあ、この程度ならキャラ崩壊にはならないでしょう
自分なりにキャラのイメージが原作から外れないように努力しているつもりです





え?、マスクドケルシー?
知らない子ですね
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