アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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禍根

ロドス本艦

 

 

パンッ

 

 

射撃訓練場

 

 

パンッ

 

 

乾いた音が響き渡る

 

 

パンッ

 

 

一定のリズムで鳴り続ける

 

 

パンッ

 

 

音の主は静かに引き金を引き続ける

 

 

パンッ

 

 

その後ろにはフランカの姿があった

 

 

パンッ

 

 

彼女は何か考え込んでいるらしい

普段なら何か仕掛ける相手が目の前にいるのに何もしない

少し不気味だ

 

 

パンッ

 

 

撃っていた弾倉が空になったのだろう、射撃をやめる

そのまま振り向き、防護用のヘッドフォンを外す

 

「何をそんなに考え込んでいるんです?」

 

リスカムがフランカに声をかける

 

「ええ、ちょっと、ね」

 

フランカが適当に返してくる

彼女がこんなにおとなしいのは珍しい、本当に珍しい

いつも誰かを茶化すことに全力を注いでいる彼女が何もしない

それどころか、今なら日頃の恨みを晴らしても気づかれないような気さえしてきた

どう接するべきか、悩んでしまう

 

騒動の後、ドクターから自由行動を言い渡され、なんとなく射撃訓練場に来たのだが

何故かフランカが一緒についてきた

彼女は前衛オペレーター、使っている武器は剣だ

射撃訓練場は使わない、というか使えない

ついでにいうならそもそも武器を持っていない

訓練をするつもりがないならどうしてここにいるのか

 

「どうしてここにいるんです? ここで剣を振る意味はないですよ」

 

とりあえず、適当に煽ってみる

振るものがないから何も振れないわ~、ぐらいは返ってくると期待したのだが

 

「まあ、ちょっとね」

 

先ほどと大して変わらない答えが飛んできた

重症かもしれない、真面目に心配になってきた

 

「悩みがあるなら聞きますよ」

 

合いの手を出してみる

 

「大丈夫、気にしないで」

 

ならそこに居ないでほしい、そんな言葉が口から出そうになったが飲み込む

 

「本当にどうしたんですか? らしくない」

 

普段から口論ばかりしているが一応は相棒なのだ

さすがに放っておくほどリスカムも薄情ではない

相談に乗るという旨を伝える

 

「大丈夫、本当に大したことじゃないのよ」

 

じれったい、普段の彼女はもっとザクザクものを言う

そこまでして頭を悩ませることがあるのだろうか

とりあえず、思い当たる節としては昼間の事だろう

なんでも、謎の男が荒っぽい方法で事態を収拾したとか

リスカムが到着した時には煙でなにがなんやらわからなかったが

 

「例の変態紳士に何かされたんですか?」

 

聞いてみて

 

「そうね、そんな感じ」

 

驚いた、あのフランカが狼藉を許したらしい

 

「胸でも触られましたか?」

 

「いえ、別に」

 

「なら何を」

 

「ちょっと、ね」

 

振出しに戻る、先ほどから埒が明かない

仕方なく、マガジンを込めなおし、射撃を再開する

ヘッドフォンは外したままで始める、これでフランカが何か言っても聞こえる

 

パンッ

 

「何をどうされたんです」

 

「なにもされてないわ」

 

パンッ

 

「なら、一体何を」

 

「なにもされてないってば」

 

パンッ

 

「あれですか、一目惚れでもしましたか?」

 

「ええ、そんな感じでしょうね」

 

パンッ

ビスッ

 

動揺したリスカムが弾を外す

 

「今、なんと」

 

「誤解はしないで、そんな感じってだけよ」

 

「はあ」

 

フランカの言葉を真に受けかけた

だが例の変態紳士の存在が彼女に与える影響は大きいらしい

すると突然

 

「――あ――――」

 

「―――――ハ―」

 

外を誰かが走る音と、よく聞き取れなかったが声が聞こえる

なんだろう、どこかで聞いた声だ、少し、胸の中がざわつく

見るとフランカにも聞こえたらしい、顔を扉の方に向けている

 

「どうしたんでしょう」

 

「さあ」

 

意識があっちにいってしまったが、フランカの注意を他に逸らせた

今なら聞けるだろう

 

「何か悩みがあるなら聞きますよ」

 

少し前のセリフをそのまま言う

 

「えっ、ああ、そうね、なら、お言葉に甘えて……」

 

フランカがそう言い

 

「あ~、いや、う~ん」

 

また黙りこくってしまう

 

「そんなに話しにくいことなんですか?」

 

「いや、話しにくいというか、あなたに言えないというか、でも言うべきなのかな~って」

 

「なんです」

 

どうやら自分にだけ聞かせられない話らしい

 

「う~ん、悩ましいわね」

 

このままではまた振出しに戻りそうだ、妥協案を考える

 

「なら、たとえ話でいいのでそこはかとなく言ってくれませんか?」

 

「あ~、それならまあ……」

 

フランカが渋い顔で了解する

話を切り出すのを待ちながら、射撃に戻る

 

パンッ

 

「ねえ、リスカム」

 

「はい」

 

パンッ

 

「もし、もしよ?」

 

「はい」

 

パンッ

 

「もし、もし~、ね?」

 

「はい」

 

パンッ

 

「レイヴンが、ここに現れたら、どうする?」

 

パンッ

ビスッ

バチィッ!!

 

「あ゛ぁ゛っ?」

 

「ひっ!?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、リスカムは弾を外し、一対の角には青白い雷光が灯される

ゆっくりと振り返る、しかしてその顔は

 

「落ち着いてリスカム! 冗談だから!」

 

とても優等生と言われているとは思えないほどに憎悪のこもった眼が光っていた

それは、フランカが恐怖を覚えるほどのもの

 

「怖いから! バチバチしながらこっちを見ないで!」

 

「冗談、ですか…………」

 

「うん! そう! だから落ち着いて!」

 

雷光が少しづつ消えていき、次第になくなる

 

「まったく、どうせ言うなら面白いものでお願いします」

 

「ええ、わかったわ……」

 

リスカムがプンスカしながらヘッドフォンを付け、射撃に戻る

対するフランカは冷や汗をかいている

すると、先ほど誰かが走っていった方向から

 

「逃げるな貴様ぁ!!」

 

「ハハハハァッ! すっとろいぜぇっ! 龍の嬢ちゃんよぉ!!」

 

チェンの怒号と、どこか聞き覚えのある声

 

「「待ってー!!」」

 

それを追いかける、バニラとジェシカらしき声

 

嫌な予感がする

まさかと思い、フランカが扉から顔を出し走っていった誰か達を見る

 

「げぇっ!!」

 

見てはいけない後姿を見てしまった

 

「どうしたんです、さっきから」

 

さすがに聞こえたのだろう、ヘッドフォンを外したリスカムがやってきて同じように廊下を見る

 

「あ、ちょまっ――――」

 

「……今のは、バニラとジェシカですか?」

 

角を曲がっていった二人の背中が見えたらしい、そんなことを言う

決定的なものは見えていない、そのことにフランカが安堵すると

 

「あっ」

 

「リスカムさん! フランカさん!」

 

先ほど集団が走ってきた方からメランサとカーディがやってきた

 

「何かあったのですか?」

 

「はい、その……」

 

「不審者が入り込んできたって、チェンさんが」

 

「不審者?」

 

その言葉を聞き、一人フランカは頭を抱えていた

 

 

 




防音と防護、どちらを使うか心底悩みました
音を防ぐという意味では防音なのですが
耳を守る、という解釈で防護を使っています
日本語は難しいですね


私事が二つほど
一つは、この小説のタグにアーマードコアが追加されたこと
もう一つは、ハーメルンの多機能フォームの利便性に驚かされたこと

タグに関してですが、これはオリジナルキャラクターの名前が関係しています
二人の名前の元ネタがアーマードコアに出てくる単語なのですが
タグをつける以上、その作品のネタを期待して読む人も多いと思います
一章時点では名前以外関連性がなく、つけていませんでしたが
二人の名を見てピンと来る人もいると思い一応つける形にいたしました
特別この先入れ込んでいく予定はないのですが期待してきた人に申し訳ないので
ここに書かせていただきます

もう一つ、多機能フォームの方ですが、
最初、私が使ってるパソコンのメモ機能で書いていたんですよ
そしていざ投稿しようというときに本文に張り付けていたら文章が不自然なところで途切れたり、うまい具合に文節が整わなかったりと困っていました
そして執筆中、件の多機能フォームに触ってみたんですよ
そしたらまあ、驚くほど書きやすい、文字の大きさをいじったり
いざ投稿した時の文章の見え方がわかったり
前に比べてやりやすくなりました
そのうち一章の方も手直しするかもしれません

以上、勝手ながら私事を書かせていただきました


世界とは、存外広いものですね
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