アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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不思議な二人

ノックの音が響き渡る

 

「入りたまえ」

 

「何様ですか」

 

応接室の扉を開く、そこにはリスカムとバニラ、そしてストレイドがいた

 

「……本当に居るのね」

 

「ああ、お邪魔してるよ」

 

昨日、騒ぎを起こした男が何事もなかったかのようにソファに座っている

その近くにはリスカムが立っている

バニラは対面に座っておどおどしている

 

「なんであなたは立ってるの?」

 

「私の役目はこいつの監視です」

 

「ああ、そう」

 

「お堅いな、少しは柔らかくなったらどうだ」

 

「そう言って逃げ出すつもりでしょう」

 

「警戒しすぎだ」

 

ストレイドがやれやれといった感じで肩をすくめる

 

「…………フランカ先輩、この二人っていつもこんな会話してるんですか」

 

「ええ、いつもこんな感じだったわ」

 

バニラの言葉に肯定する

その顔は、怯えている

仕方のないことだ、リスカムの彼にむける態度は常に喧嘩腰

対するストレイドは適当にいなしながら時折茶化す

そのたびにリスカムの角がちらちら光る

一歩間違えれば昨日の再現だ

 

「その、何かお話があって呼んだんじゃないんですか?」

 

フランカの後ろからびくつきながらジェシカが出てきて用件を聞く

 

昨日、弾を撃ち込んだと言われていた、怒られるかと思っているのだろうか

 

「ああそうだ、でもまだ主役がいない。もう少し待ってくれ」

 

「主役?」

 

「リンクスの事ですよ」

 

そう言われ、部屋の中を見渡す

 

「そういえば一緒に呼んでたわね、来てないの?」

 

「というか、来れるんですか? やっぱり探した方がいいんじゃ…………」

 

「問題ない、あいつは何も考えていなそうでもしっかり見てるからな」

 

バニラの言葉にストレイドが返す

 

「あいつは一度通った道は全部覚えてる、昨日みたいな状況じゃさすがに迷うがな」

 

「いやでも、ここは広いですし…………」

 

「大丈夫だ、ここぐらいなら一日歩き回らせれば全部覚えるさ」

 

「それは本当?」

 

「ああ、ほんとほんと、マジマジ」

 

彼女はまだ幼い、あの年齢でこの船の全貌を覚えられるのか、疑ってしまう

すると、ノブの回る音がする

 

「んしょ、あっ」

 

「お、来たか」

 

「すとれいど」

 

リンクスが少し背伸びしながら扉を開けて入ってきた

他の面子に目も向けずストレイドに一直線に駆け寄っていく

 

「おーよしよし、よく来れたな」

 

「にゃー」

 

そういいながら彼女の髪をわしゃわしゃと撫でまわす

 

「犬じゃないんですから、普通に撫でてあげればいいじゃないですか」

 

リスカムが言う、確かに犬をほめるときにやるような撫で方だ

 

「仕方ないだろ? これがいいって言うんだから」

 

「にゃー」

 

確かにリンクスの顔が今まで見たことないぐらいに綻んでいる

昨日はほとんど無表情だった、知らない人間に囲まれていたのもあるだろうが

やはり彼のそばが落ち着くのだろう

 

「…………わたしと一緒にいるとき、そんな風に笑ってくれませんでしたよ」

 

「そりゃあなあ、唐辛子臭い人と一緒には居たくないだろうさ」

 

「なー」

 

「いやそれはあなたのせいじゃないですか!」

 

「はて、何のことやら」

 

バニラが昨日の彼の所業について抗議する

彼を捕まえた後、バニラが妙なことになっているといわれ様子を見たがあれは酷かった

顔面すべて真っ赤に染まり、鼻を直接異臭が襲う、軽く悪夢だ

 

「落とすの大変だったんですからね!」

 

「おーおー、気に入っていただけたようで何よりだ」

 

「気に入ってません!」

 

バニラが怒っているさまを見て彼が笑う

相変わらず人にイタズラばかり仕掛けているらしい

 

「ところで、そろそろ用件を聞いてもいいかしら?」

 

「ん? ああ、そうだな」

本題に移る

「まず最初に、自己紹介からいこうじゃないか

 俺の名前はストレイド、こいつはリンクスだ」

 

「リンクス」

 

ストレイドとリンクスが改めて自己紹介をする

 

「え? ストレイドさん…………ですか?」

 

ジェシカが不思議そうに言う

その疑問は最もだ、昨日、リスカムが彼を呼んだ時と名前が違う

 

「あれ? ストレイドさんじゃないんですか?」

 

バニラが聞く、無線とリンクスから聞いた話ではストレイドと名乗っていたはず

 

「ああ、そうだ、まあ、細かいことは気にせずストレイドって呼んでくれ」

 

「…………そう」

 

彼に話かける

 

「ストレイド、今のあなたはそう名乗ってるのね?」

 

「ああ」

 

「…………わかったわ、ストレイド」

 

「おう」

 

名前を変えた、理由は知らないがそうする訳があるんだろう

 

「さて、三人とも、ここから大事な話がある、しっかり聞いてほしい」

 

「あ、はい、なんでしょうか?」

 

「スリーサイズはいくつかな?」

 

「殺されたいのかしら」

 

「おっと、冗談だ、忘れてくれ」

 

口を開けばふざけたことしか言い出さない

よくもまあ一緒に居られたものだ

ストレイドが仕切りなおす

 

「まず一つ、件の作戦、俺も参加することになった」

 

「え? あなたが? どうして?」

 

作戦というのは例のレユニオンの部隊の事だろう

だが彼が介入する理由がわからない

 

「簡単な話だ、例の図面は俺が渡したものだからだ」

 

「え、そうなんですか?」

 

「そ、それでしばらくの間俺はここに留まることになる」

 

「あらそう」

 

「どれぐらいの間いるんですか?」

 

「だいたい三日かそれぐらいだろう」

 

本隊は五日ほどで動くとドクターが言っていた

それに合わせているのだろう

 

「二つ、フランカ、リスカムのパートナーはお前らしいな?」

 

「ええ、そうね」

 

リスカムから聞いたんだろう、そんなことを聞いてくる

 

「悪いが滞在している間、こいつが俺の監視につくことになる、お前たちの行動は別になる。不自由するかもしれないが考慮してくれ」

 

「構わないわ、なんだったらそのまま貰ってくれて構わないわよ?」

 

「私は物ではありません」

 

「こんなのいらん」

 

「奇遇ですね、私もあなたとは居たくありません」

 

リスカムが若干不機嫌になる

この二人、フランカの時より口論が多い

 

「三つ、これで最後だ、よく聞いてくれ」

 

「なにかしら」

 

そういいリンクスをフランカ達に向けてくる

 

「こいつを預かっててくれ」

 

「…………リンクスを?」

 

「ああ」

 

「私達に?」

 

「ああ」

 

「どうして?」

 

「いや、わかるだろ」

 

「わからないわよ、いきなりそんなこと言われても」

 

「なんだよ、ちゃんと聞けって言っただろ」

 

ストレイドが顔をムッとする

 

「俺はこいつに監視されてるって言っただろ?」

 

「ええ、言ったわね」

 

「で、そうなると勝手に動き回れないように制限されるだろ?」

 

「ええ、そうね」

 

「だけどこいつは制限も何もないだろ?」

 

「ええ」

 

「だから預かってくれ」

 

「いやわからないわよ」

 

「こんなに丁寧に説明してるのにか?」

 

「肝心なところが抜けてるのよ! どうして私たちなの?」

 

「昔のよしみということで」

 

「理由になるか!」

 

ストレイドの暴論にフランカが叫ぶ

まあ言いたいことはわかる

窮屈なことになる者のそばにいるよりもそのほうが彼女にとってもいいことだろう

 

「もういい、わかった、預かるわ」

 

「助かる」

 

承諾する、ストレイドが素直に礼を言ってくる、正直気持ち悪い

 

「すとれいど」

 

「ん? どうした?」

 

話が終わると同時にリンクスが口を開く

 

「どっかいっちゃうの?」

 

「いや、近くにいるが一緒にいられないだけだ」

 

「やだ」

 

「悪いが、仕事の都合だ。我慢してもらうことになる」

 

「やだ」

 

リンクスが抵抗している、彼と離れるのが怖いのだろうか

 

「大丈夫だ、俺の代わりにそこのフランカお姉ちゃんたちが一緒にいてくれる」

 

「…………」

 

「少しの間だけだ、わかってくれ」

 

「…………わかった」

 

しぶしぶ了承する、ちょっと可哀想だ

 

「さて、諸君、これで話は終わりだ。解散していいぞ」

 

「いやちょっと、一方的に話されただけなんですけど」

 

「あの、せめて先輩たちとの関係だけでも聞かせてくれませんか?」

 

「フランカから聞け、リスカム」

 

「なんでしょう」

 

バニラとジェシカの質問を強引に切り、リスカムに話しかける

 

「近くに俺の車がある、回収したいから手伝ってくれ」

 

「…………車、ですか」

 

「ああ、お前がいないと動き回れないだろ? 一緒に来てくれ」

 

「ええ、わかりました」

 

「そうだ、フランカ、これが終わったら一緒にお茶でも――――」

 

バチィッ

 

「失礼、なんでもない」

 

そう言って二人は外に出ていく

フランカ、バニラ、ジェシカ、そしてリンクスが取り残される

 

「先輩、結局あの人は誰なんですか?」

 

「あの、お二人とも仲が良さそうでしたけど」

 

「…………そうね」

 

二人が聞いてくる

 

「わかった、あなた達には聞かせておいた方がいいわね」

 

「はい」

 

「誰なんですか?」

 

真剣な顔で聞いてくる

 

『近くってどれくらいですか?』

 

『そりゃあ、近くだよ』

 

『だからそこがどこか聞いているんです』

 

出ていった二人の声が小さく聞こえる

 

「彼の名はストレイド、その正体は」

 

「「その正体は」」

 

 

「リスカムの、元 相棒よ」

 

 

 




最近書いている最中視点がいつの間にかキャラの視点になっていることに気が付きました、直すべきかいっそのこと思い切ってキャラ視点にするか、それとも随時使い分けるか、悩みますね、まあおいおい自分で決めていきます
リンクスの服装について説明してなかったことに気が付いてしまいました
ということで皆さま、好きな服装を思い浮かべてください
無理なら、ぼろいワンピ-ス程度で考えてください
まあ、ストレイドの服装も適当なんですけどね
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