アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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山猫散歩

ロドス本艦、医療棟

 

 

「わ~」

 

「リンクス、あまりはしゃいじゃ駄目よ」

 

フランカとリンクスはロドスの医療フロアに来ていた

元々健康診断のために来ていたが、終わった後

リンクスが物珍しそうに見回していたのでなんとなく彼女を自由に歩き回らせることにした

 

「ふらんかふらんか、ここひろい」

 

「ええ、そうね」

 

何やら楽しそうにしている

昨日はストレイドと離れることになると知ったとき、かなり落ち込んでいたが

ある程度慣れてきたのか、多少笑顔を見せてくれるぐらいには元気を取り戻した

 

「ふらんか、あっちあっち」

 

「はいはい」

 

リンクスがフランカの手を引っ張る

医療エリアで騒がしくするのはさすがに申し訳ないので軽く釘をさしながら歩いていく

 

「? あれー?」

 

「あら、どうしたの?」

 

「へんなおとがするー」

 

「変な音?」

 

そういわれ耳を澄ませる、何か機械音が聞こえてきた

キャタピラが回るような音、そんな音を出しながら医療エリアを歩き回るのは一機しかいない

 

『あら、フランカ様』

 

「ランセット、どうもこんにちは」

 

通路の角を曲がると目の前に白いボディを基調としたロボットが現れた

Lancet-2、クロージャがカスタムした医療用ロボットだ

医療オペレーターのサポートを主に担当しているが彼女単体でも治療ができる

高性能なのだがたまに毒舌な時がある、AIが優秀なのが原因だろうか

彼女の愛らしい声と合わせて一部の男性には人気だとかなんとか

 

『どうしたんですか? こんなところで』

 

「ああ、その、この子が探検したそうだったから歩きまわせてたのよ」

 

『その子は、ドクター様が言っていた子ですね』

 

「ごめんなさいね、騒がしかったでしょう」

 

『いえ、大丈夫ですよ』

 

Lancet-2がリンクスを見る、朝ドクターから通達があった、二人ほど人が滞在すると

その時にある程度説明もされている、話を聞いているなら心当たりは自然と出てくるだろう

 

『どうしてフランカ様が一緒に?』

 

Lancet-2が聞いてくる、なぜ件の少女と一緒にいるかまでは聞かされていないのだろう

 

「この子の保護者が知り合いでね、任されたのよ」

 

『ああ、そうですか』

 

元BSWの人間だとは聞かされているはず、彼と一緒にいる子とも

 

「ふらんか、これなに?」

 

リンクスが聞いてくる、Lancet-2のことを聞いているのだろう

 

「ああ、彼女はランセット、ここの医療オペレーターよ」

 

正確にはLancet-2だが、細かいことを言ってもわからないだろう

 

『初めまして、リンクス様、Lancet-2と申します。気軽にランセットとお呼びください』

 

「らんせっと?」

 

『はい、よろしくお願いします』

 

自己紹介をする

 

「らんせっとは、ロボットなの?」

 

『はい、医療ロボットという枠組みに入ります』

 

「ねえねえ、らんせっと」

 

『なんでしょうか?』

 

リンクスが何やら興奮しながら聞き始める

 

「らんせっとは、がったいするの?」

 

「……がっ」

 

『たい、ですか』

 

目を輝かせながら聞いている

合体、あれか、超源石合体とか、そんな感じだろうか

子供向けの玩具でそういうのがあるのは知っているが

フランカはその手のものには疎い

ストレイドの趣味か、それともただ聞いたことがあるのか

 

『リンクス様、私にはそのような機能はございません』

 

「そうなの? じゃあへんけいとかは?」

 

『残念ながら、ございません』

 

「むー……じゃあ、りみったーかいじょとか」

 

『申し訳ございませんが、許可なくそのようなことをするのは制限されています』

 

あるのか、仮にやったらどうなるのだろう

 

「どうして?」

 

『そうですね、私を設計した人がそのような機能を設けなかったからですね』

 

「らんせっとをせっけいしたひと?」

 

リンクスの疑問にLancet-2が答える

 

『はいそうですね、可愛いクロージャお姉さまが組み立ててくれました』

 

「? かわいい……?」

 

Lancet-2の言葉に疑問符を浮かべる、彼女のマスターの呼び方が原因だろう

 

「リンクス、ここにはクロージャという人がいるの、その人が彼女のマスターなのよ」

 

「ますたー?」

 

「そうね、親のような人よ」

 

言ってから気づく、親という単語は彼女には禁句ではなかろうか

 

「おや? おかあさんとおとうさん?」

 

「ええ、そうね、そんな感じの人」

 

そんなことを聞いてくる、そこまで気にしていないのか

一応気を付けた方がいいだろう

 

『フランカ様、リンクス様の保護者の方は親族ではないのですか?』

 

こちらの反応をみて気づいたのだろう、聞いてくる

 

「ええ、違うわね、一人ぐらいはどこかで作ってそうだけど」

 

『おや、お盛んな人なのですね』

 

「…………………………」

 

何も言えない、実際のところいるのだろうか

わからない、彼の悪癖を考えればいてもおかしくない

 

「ふらんか」

 

「えっ、ええ、なにかしら」

 

くだらないことに思考をめぐらせているとリンクスが話しかけてきた

 

「すとれいどにも、おやはいるの?」

 

「え、ストレイド? どうして?」

 

何故かストレイドについて聞いてきた

 

「すとれいど、じぶんのことははなしてくれないから」

 

「…………そう」

 

彼のことに関しては断片的なことしか知らない

本人自身、話したくないことは話さない、リンクスも何も聞いていないのだろう

 

「ええ、いたでしょうね、今でも交流があるか知らないけど」

 

「? けんかしちゃったの?」

 

「さあ、わからないわ」

 

彼の親、おそらくはもういないだろう

昔から傭兵だったらしい彼がどうしてそうなったのかはわからない

だがあまりいい話ではないのは確かだ

リンクスには適当にぼかしておく

 

『フランカ様、どうしてストレイド様はリンクス様と一緒にいるのです?』

 

Lancet-2が聞いてくる

 

「さあ、拾った、としか聞かされてないわ」

 

『そうですか……』

 

彼からはそうとしか聞かされてない、どういう経緯で拾ったのか

思い切って聞いてみる

 

「ねえリンクス、彼とは何処であったの?」

 

「すとれいどと?」

 

「そう」

 

そう言われ、リンクスが考え込む

 

「……わかんない」

 

「わからない?」

 

わからない、とはどういうことか

 

『リンクス様、昔、どこに住んでいましたか?』

 

「……わかんない」

 

自分がどこにいたか、覚えていないらしい

 

「なら、覚えてることはある?」

 

せめて何か手掛かりはないか、もう少し聞いてみる

 

「えとね、ひろいところをあるいてた」

 

「どうして?」

 

「わからない、だれかにいわれたの、ふりむかないであるきつづけなさいって」

 

「……誰に?」

 

「わからない、でもやさしいこえだったのはおぼえてる」

 

嫌な予感がする、だがここまで聞いたのだ、聞くべきだろう

 

「周りには、何が見えた?」

 

最悪の可能性を考えて聞いてみる

 

「んとね、とおくにけむりがみえた、もくもくあがってたの」

 

煙、というのは炎の煙だろうか

遠くに見えたということは彼女は離れたところにいたらしい

おそらく、集落か、もしくは村か、そこに住んでいたのだろう

そして何者かに襲撃を受けた、彼女はそこの生き残りだろう

 

「それでね、とおくからくるまがきたの」

 

「……車、それは、ストレイドの?」

 

「うん、ちかくでとまってすとれいどがおりてきたの」

 

その時、彼が近くにいたらしい、理由はわからないが

 

「それで、けむりのほうをね、くるしそうなかおでみてた」

 

「苦しい?」

 

「うん、なんだかわかんないけどくるしそうだった」

 

何か知っているのか、それとも彼が加担していたのか

憶測だけで考えるのはよくない、一度切ろう

リンクスに問いかける

 

「その時に、彼と会ったのね?」

 

「そうだよ、わたしになにかいって、かつぎあげられた」

 

「……………………」

 

実はただの拉致では、いやさすがにしないか

 

「それ以外は覚えてないのね?」

 

「うん、あとはなにも、ばしょも、なまえも、おぼえてない」

 

「まって、今なんて?」

 

「え?」

 

リンクスが聞き捨てならないことを言った

もう一度聞きかえす

 

「えとね、ばしょもなまえもって」

 

「それは、あなたの名前を覚えてないって事?」

 

「うん、わすれちゃった」

 

「…………これは」

 

忘れてしまったで済ましていいことではない

原因はわからない、だが故郷も名前も忘れるようなことがあったのは確かだ

ならばいま名乗っている名前は何なのか

 

「あなたの、リンクスって名前は?」

 

「すとれいどがつけてくれた、ちびってよぶのがふべんだからって」

 

「彼が……」

 

リンクスという名前はストレイドが付けた、つまり彼はこの事を知っている

 

「リンクス、かっこいい、きにいってるの」

 

「そう、よかったわね」

 

無邪気な笑顔でそう言ってくる

彼女と彼が一緒にいる理由、かなり良くない話だ

一度彼に問い詰めるべきか、考える

 

『フランカ様、今の話は』

 

「ああ、ごめんなさい、重い話になったわね。出来るだけ人には話さないでね」

 

『わかりました、ドクター様には一応話しておきますね』

 

ロドスの情報網は広い、手掛かりの一つや二つ、見つかるかもしれない

頼んでおいた方がいいだろう

 

「わかった、ありがとう、引き留めてしまってごめんなさい」

 

『いえ、大丈夫ですよ、では私はこれで』

 

そういって、Lancet-2はキャタピラを回してどこかに行く、患者の世話か何かだろうか

 

「ふらんか、どうしたの?」

 

「……いえ、なんでもないわ、もう少し歩きましょ」

 

「はーい」

 

リンクスの手を繋ぎ、もう一度歩き始める

 

 




超源石合体、体に悪そうです
リンクスはこの話のキーパーソンなのでどうあがいても話が重くなります
まあ、続きはどうなるんだろうな的な軽い気持ちで読んでください
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