アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

28 / 81
12/12 修正しました


攻防戦

ロドス本艦、模擬戦闘室

 

 

「はあっ!」

 

「とおりゃあっ!」

 

訓練室の中央、カーディとメランサが張り合っている

 

「「……………………」」

 

それを眺める、ドーベルマン教官とスポット

 

特別何か言うでもなく、二人の戦いを眺めている

やるべきことがないわけではない、単純に二人の動きを見ているのだ

自由に戦わせ、無駄な動きや改善点をあげる、それが今、彼女のやっていること

スポットもこの後、どちらかと戦うことになる、その時に自分ならどうするか

彼なりの戦略を立てている最中だ、サボっているわけではない

ドーベルマン教官もそれをわかっているのだろう、特別何も言わず二人の方に注視している

 

そろそろ交代させようか、そう考え始めた時、入り口から誰かが入ってきた

 

「お、この前突入した部屋じゃないか」

 

「ノックぐらいしなさい」

 

ストレイドとリスカムだ

 

「失礼します、あ、ドーベルマン教官」

 

「こっちに何か用でもあるのか?」

 

続いてフェンとラヴァが入ってくる

戦っていた二人が反応する

 

「あれ? この前の変態紳士さん」

 

「え? あ、どうも、えと、変態紳士さん」

 

「……言われてますよ」

 

「……おかしいな、俺はまだ何もしてないんだが」

 

「身から出た錆です、諦めなさい」

 

入るがいなや、変態呼ばわりされて少し落ち込んでいる

かの汚名はすでにロドスに行き渡っている

ドーベルマン教官が近づいていく

 

「貴様か? ドクターから通達があった客人というのは」

 

「ああ、ストレイドだ、よろしく頼む」

 

「ドーベルマンだ、ロドスで教官をやっている」

 

お互いに挨拶を交わす

 

「……あなたにしてはおとなしいですね」

 

リスカムが怪訝な顔で見る

普段ならここで何か余計なことを言っているはず

だが何もしない、それを訝しんでいるのだろう

 

「いや、綺麗なお姉さんだなー、とは思ったが……汚名があちこちに伝搬してるんでな、ちょっとやめとく」

 

「おや珍しい、あなたが自分の行いを省みるだなんて」

 

「別に大したことはしてないはずだが」

 

「つい先日しでかしているんですがね」

 

「……なるほど、噂通りの男らしい」

 

ドーベルマン教官がそうごちる、どんな噂だろうか

 

「で、二人はどうしたんだ、自主訓練のはずじゃなかったか」

 

スポットが後から来た二人に聞く

 

「あ、いや、なんとなく付いてきただけで――」

 

「面白そうだったから」

 

「………………」

 

ラヴァの答えにフェンが微妙な顔をしている、理由が同じなのだろう

言いづらくて誤魔化そうとしたがラヴァが正直に言ってしまって居心地が悪くなったようだ

 

「で、そこの兄ちゃんはレブロバか?」

 

ストレイドがスポットに話しかける

 

「ああ、そうだ」

 

「そうかそうか、名前は?」

 

「スポットだ」

 

名前を聞き、じっとスポットを見つめている

 

「……なんだ?」

 

その視線を感じ取り、疑問をぶつける

ストレイドが口を開く

 

「スポット」

 

「なんだ」

 

「モフモフしていいか?」

 

「……断る」

 

「ちょっとだけだ」

 

「断る」

 

「指先だけ、先っちょだけだから、いいだろ?」

 

「断る」

 

奇妙なやり取りが交わされる

スポットはまんま犬のような姿をしている

それを見て、触ってみたくなったのだろう

だがスポットが許さない、食い下がるが、諦める

 

「やれやれ、ツレないな」

 

「それで、ここに何の用だ?」

 

ドーベルマン教官がストレイドがここに来た用事を聞く

客人と説明されているとはいえ、監視されている男が来たのだ

先日のこともある、何か企んでいるのではと警戒しているのだろう

 

「いやなに、楽しそうなことはないかなーって」

 

「訓練中ですよ」

 

「ずっとやってたら気が滅入るだろ? 息抜きは必要だ」

 

そういい、ニヤリと笑う

 

「……何をするつもりです?」

 

「決まってる」

 

ストレイドがドーベルマン教官に提案する

 

「どうだ、休憩がてら教え子たちと俺を遊ばせてみないか?」

 

「ほう」

 

ドーベルマン教官の目つきが鋭くなる

遊ぶ、という言葉の真意を図っているのだろう

 

「つまり、戦おうと?」

 

「いや、ちょっと遊ぶだけさ」

 

「遊ぶ、ですか?」

 

フェンが聞いてくる

 

「ああ、ルールは簡単、三分間、俺が部屋を逃げ回る。お前らは俺をタッチすればいい、この間の延長戦さ」

 

「また走り回るつもりですか?」

 

「部屋の中って言ったろ」

 

「…………ふむ」

 

ストレイドの開示した条件を聞いて思案する

 

「いいだろう、一息入れようと思っていたところだ」

 

「いいんですか?」

 

「構わん」

 

ドーベルマン教官が承諾する

なんだかんだでノリがいい

ストレイドが参加者を募る

 

「じゃ、誰がやる?」

 

「あ、じゃあ、私が」

 

「なら、俺が行こう」

 

フェンとスポットが立候補する

他のメンバーは邪魔にならないように端による

 

「二人だけでいいのか?」

 

「問題ないだろう、貴様ごとき、捕まえるだけで六人もいらん」

 

「…………教官、わたしを数に入れないでくれ、やる気は――」

 

「ほう」

 

「いえ、なんでもありません。やる時は頑張らせていただきます、はい」

 

「私も数に入っているんですか……」

 

三人が部屋の中央で位置につく

 

「それでは……」

 

ドーベルマン教官が合図を出す

 

「はじめっ!」

 

開始と同時に二人が動き出す

 

「はっ!」

 

「フッ!」

 

一気に詰め寄り手を伸ばす

 

「おっとっと」

 

それをひらりと避ける

 

「っ! このっ!」

 

「よっと」

 

フェンがさらに接近する

が、また避けられる

 

「こっちにもいるぞ」

 

スポットが死角から接近する

 

「ああ、わかってるさ」

 

「ッ! なにっ!」

 

まるで見えていたかのように避けられる

 

「ちょっ! まってっ!」

 

「くっ! ちょこまかとっ!」

 

「どうした? もう息が上がってきたか?」

 

先ほどから近づけてはいるが触れることが出来ていない

というよりわざと近づけている節がある

触れそうで触れない、そのギリギリを保っている

触れようと足を踏み込んだところで躱される

そのせいでかえって体力を使ってしまっている

二人のスタミナが少しづつ消耗されていく

 

そして…………

 

 

「そこまでっ!」

 

制限時間がきてしまう

 

「はあっ、はあっ、はあっ」

 

「ぐっ、くそっ…………」

 

二人がバテている、本当に遊ばれてしまった

 

「いやはや、この程度か? お二人さん」

 

大したことないな、ストレイドが言い放つ

 

「お前達、あとでフロア三十周だ」

 

「「げっ」」

 

ドーベルマン教官から残酷な処罰を言い渡される

二人が肩を落としながら端による

 

「お次は誰だ?」

 

「じゃあわたしが!」

 

「私が行きます」

 

カーディとメランサが前に出る

 

「二人とも気をつけて」

 

「あの男、かなり出来るぞ」

 

「わかりました……!」

 

「二人の敵はわたしたちが討つよ!!」

 

「いや、死んでないぞ…………」

 

スポットのツッコミが虚しく響く

選手交代、再び配置につく

 

「さあ変態紳士さん! 覚悟してもらうよ!」

 

「えっと、よろしくお願いします、変態紳士さん」

 

「そろそろよしてくれ、悲しくなってきた……」

 

すでにメンタル的に勝っていそうだ

 

「では、はじめっ!」

 

ドーベルマン教官の合図が響く

 

「たあっ!」

 

カーディが飛びつく

ストレイドがそれを避ける

スポットの時のように死角からメランサが近づく

 

「遅いな」

 

「なっ!」

 

同じようにそれも避けられる

 

「このっ!」

 

「……素早い」

 

先ほどと同じようにひらりひらりと躱される

このままではまた時間が尽きてしまう

 

「…………ふむ」

 

すると、ストレイドが何やら考えている

それを隙と見たのか、メランサが接近する

ストレイドにむけて手を伸ばす、が

 

「…………フッ」

 

「――っ!」

 

不敵な笑みを浮かべ、メランサを躱し後ろに回り込む

不意に手を動かす、その位置は、嫌に低い

何かがまずい、直感で危機を感じ取る、が間に合わない、

ストレイドの手が何かに到達する、その時

 

「どおりゃああああぁぁぁ!!」

 

カーディが突撃してきた

 

「おっと、やけに気張るじゃないか」

 

それを避け、二人から距離を取る

だがカーディの様子がおかしい

メランサを庇い、ストレイドを睨み付けている

 

「メイリィ? どうしたの?」

 

不審に思いメランサが話しかける、そしてカーディが喋りだす

「変態紳士さん! 私は今っ! 見たっ! 聞いたっ! 感じたよっ!」

 

「…………何を?」

 

「ほう、どうしたお嬢ちゃん。俺がどうかしたか?」

 

ストレイドが白々しく言う

そして、カーディが大きな声で言い放った

 

 

 

「あなたは今っ! メランサちゃんのスカートをめくろうとしたっ!!」

 

 

「へっ!?」

 

「はっ!?」

 

「……なに?」

 

「おいおい」

 

「……まじかよ」

 

「…………はあ」

 

その言葉に各々が驚愕する

メランサはとっさにスカートを押さえ

フェンは言葉を失い

ドーベルマン教官は顔をしかませ

スポットは呆れたように溜息をつき

ラヴァは唖然とし

リスカムは頭を押さえる

 

「嬢ちゃん、中々勘が鋭いじゃないか」

 

「やはり、捲ろうとしていたね……!」

 

「そうとも、そんな捲ってくれと言わんばかりのスカート、俺が見逃すと思ったか?」

 

「えっそのっあのっちょっと」

 

慌てふためくメランサを庇うように立つカーディ

それを見て再び不敵に微笑むストレイド

 

二人の間に火花が散る

 

 

「メランサちゃんのパンツはっ! 私が守るっ!!」

 

「守ってみせなっ! 嬢ちゃんよぉっ!!」

 

 

「……ええ」

 

「なんだあいつは」

 

「変態だぁ……」

 

「こいつは、ミッドナイトより強烈だな」

 

「………………」

 

それぞれが戦慄するなか、リスカムが動く

 

「? リスカムさん、何を……」

 

フェンが聞く、が何も答えない

 

「ほらほら! 素早く動かんと捲られちまうぞ!」

 

「メランサちゃん! 私の後ろに!」

 

「まっ、まってっ、一回二人とも落ち着いて……」

 

ストレイドがメランサに近づこうとし、カーディがそれを妨害する

いつの間にか攻守が交代した三人

そこに、するりとリスカムが近づく

 

「まって、二人とも、止まって――あっ」

 

「メランサちゃんに近づく――あっ」

 

「鈍いぜ嬢ちゃ…………あっ」

 

その拳には青白い雷光が灯っていた

 

 

「そこまでっ!!」

 

「ごはぁっ!!」

 

 

リスカムブローが綺麗に入る、ストレイドが地に沈む

 

 

「……審査員、得点を」

 

「十点」

 

「十点」

 

「十点」

 

「満点か、こいつはめでたい」

 

こうして、メランサのパンツ攻防戦は幕を閉じた

 

 




さて皆さま、一つ補足がございます
本作にはアーマードコアのタグが付いています
よく知らない人もいるでしょう、アークナイツのタグで来た人の方が多いでしょう
今回暴れたオリキャラは、アーマードコアが元ネタです
ですが勘違いしてもらいたくないことがございます

アーマードコアにこんなドスケベは出てきません

以上、戯言でした


アーマードコア自体はハードボイルドな話なので興味のある方はやってみましょう
初心者でナンバリングを気にしないなら、AC3がお勧めです
ドМの方は初代をやりましょう、プレイステーションクラシックに入っています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。