アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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続、山猫散歩

Lancet-2と別れた後、フランカとリンクスは引き続き医療フロアを散策していた

 

「ねーふらんか」

 

「なにかしら」

 

リンクスが話しかけてくる

 

「ここにはらんせっとみたいのがいっぱいいるの?」

 

「ええ、でも彼女みたいに話せるのはあと一人しかいないけど」

 

「そうなの?」

 

先ほど、Lancet-2と話した事を思い返す

リンクスの正体、思った以上に悪い話だ

彼が彼女を連れている理由はわからないが彼女の境遇に関与しているのは間違いない

ドクターには話しておくとは言っていた、彼のことだ、手を回してはくれるだろう

何かしらの情報はつかめる、自分の方でも調べれば解決するのはそう遅くはない

問題は、ストレイドの方、信用できない訳ではないのだが

BSWを離れた後の彼の動向がわからない

もしかしたら本当に彼女の故郷を襲撃したのかもしれない

理由はどうあれ、動くだけの動機があるなら彼は動く

昔の事件のように

 

「ふらんか?」

 

「……ああ、ごめんさい、何かしら」

 

リンクスの方を向く、心配そうに見上げている

 

「どうしたの?」

 

「なんでもないわ」

 

誤魔化そうとする

 

「でも、なんだかこまったかおしてる」

 

「……そうかしら」

 

だが見抜かれてしまう、子供は周りの人の精神状況に聡い

フランカが何を考えてるのかまではわからないだろうが

何か、不穏なことを考えていることに気づいたのだろう

 

「だいじょうぶ?」

 

「ええ、平気よ、問題ないわ」

 

子供に心配されてしまった、年上だというのに情けない

今このことについて考えるのはよしておこう

 

「それで、どう? ロドスの中は楽しいかしら」

 

「うん、みたことないものがあってたのしい」

 

「そう、それはよかった」

 

話を変える、滞在自体は一昨日からしているが

まともに歩き回るのは今日が初めてだろう

そこでふと思い出す

 

「そういえばストレイドが言ってたけど、あなた、一度通った道を覚えてるって本当?」

 

「うん」

 

即答された、どうやら本当の話らしい

 

「凄いわね、ならこの船も覚えられるのはホント?」

 

「そーだよ、あとはんぶんぐらいはみてないからわからないけど」

 

どうやっているのだろうか、興味を持って聞いてみる

 

「どうやって覚えてるの?」

 

「えーとね、みたままおぼえろっていわれた」

 

「言われた? 誰に、って一人しかいないか」

 

「すとれいどにいわれたの」

 

見たまま覚えろ、かなり難しいことを言っている

ストレイドが彼女に教えていることは彼女のことを思ってだろうか

真意は彼にしかわからない、やはり問い詰めるべきか

だが昨日パスポートを渡してから彼を見ていない

健康診断の時もいつの間にか終わらせていなくなっていた

リスカムと一緒にいるらしいから探せばすぐに見つかるだろうが

 

「ふらんかふらんか」

 

「どうしたの?」

 

まあ、そのうちばったり会うだろう、リンクスの話に耳を傾ける

 

「なんだかいいにおいがする」

 

「匂い?」

 

言われて鼻を動かす、確かになにか匂いがする

どこか安心するような、心が安らぐ香りだ

 

「そういえば、この辺りは……」

 

「あっちからするー」

 

「あっちょっと、リンクス、走っちゃだめよ」

 

リンクスが一人で走り出す、それを後から追いかける

リンクスがある部屋の扉を開ける

 

「ふぇっ! だっ、誰ですか?」

 

「あら、どちらさま?」

 

「ごめんなさい二人とも、リンクス、挨拶は?」

 

「こんにちは」

 

「はい、こんにちは」

 

「あ、はい、どうもこんにちは……」

 

リンクスが入った部屋には先客がいた

パフューマ―とナイトメアだ

 

「ごめんなさい、ラナさん、グロリア」

 

「大丈夫よ、フランカ、それであなたは……」

 

「ドクターが言ってた人と一緒にいる子よ」

 

「ああ、そう、お名前は?」

 

「リンクス」

 

「そう、リンクス、よろしくね」

 

パフューマ―とリンクスが自己紹介を交わす

その横で、おどおどした様子でナイトメアが聞いてくる

 

「えっと、どうしてここに?」

 

「ああ、その、この子が……」

 

「いいにおいがする」

 

「って」

 

「ああ、香水の匂いね」

 

部屋の机の上にはアロマポッドが置いてある

香りのもとはそれだろう

 

「邪魔しちゃってごめんなさい、二人とも」

 

「いいえ、大丈夫よ」

 

「だ、大丈夫です、はい」

 

ここはナイトメアの病室だ

彼女は鉱石病患者だが少し特殊な立場にある

なんでも二重人格という話だ、彼女自身、術師オペレーターで戦闘でも姿を見ることがあるのだが

少し、というかかなり好戦的な性格が隠れている

日常生活においても危険な思考を持っているらしく

精神の安定を図るため、アロマセラピーによる治療をしているらしい

パフューマ―が一緒にいるのは彼女の担当医だからだろう

 

「それなーに?」

 

「これはね、香水っていうのよ」

 

「こうすい?」

 

「そう、花やハーブの香りを水に溶かしたものよ」

 

パフューマ―がリンクスに簡単に説明している

 

「どうして?」

 

「そうね、いい香りを嗅ぐと落ち着くでしょう?」

 

「うん」

 

「そのために、いつでも嗅げるようにしておくの」

 

「そうなの?」

 

「そう、ほら、あなたもどう?」

 

そういって近くの椅子に座るように促す

 

「ふらんかふらんか」

 

「はいはい」

 

リンクスに促されフランカが座り、リンクスが膝に来る

 

「あら、仲良しね」

 

「この子、私の膝に座るのが気にいったらしくて」

 

「すわりごこちがいい」

 

「っていうのよ」

 

変なところで遠慮がない、子供だからだろうが

なんだかストレイドに似ている気がする

甘えてくれるのは嬉しいのだが

 

「あの、その子とは、どうして一緒にいるんです?」

 

「この子の保護者が知り合いなのよ」

 

「ああ、そうなんですか」

 

ナイトメアが聞いてくる、二人いる内の片方は子供で、もう一人は保護者だと聞かされている

 

「二人って言ってたわね、もう一人は?」

 

「リスカムと一緒にいるわ」

 

「それって、このまえ走り回ってた人ですか?」

 

「……ええ、その人」

 

あの男、医療フロアにも来ていたらしい

患者がいるところぐらい静かにできなかったのか

 

「ごめんなさいね、騒がしかったでしょう」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「大丈夫よ、逆に見ていて面白かったわ」

 

「私から言っておくわ、少しは自重しろって」

 

ロドスにいる人々は優しい、だからといって面白かったで許すのは違うと思うが

遊びまわるのは構わないが、もう少し周りを見てほしい

 

「ねえねえ、おねえちゃん」

 

「あ、わたし、ですか?」

 

「きんぱつのおねえちゃん」

 

リンクスがナイトメアに興味を示した

ナイトメアに名前を聞く

 

「なまえはなんていうの?」

 

「えと、グロリアって言います、はい」

 

聞かれて自己紹介をする、が

 

「もうひとりのおねえちゃんは?」

 

「へ?」

 

リンクスがおかしなことを言い出した

 

「……えっと、私じゃなくて?」

 

リンクスの言葉にパフューマ―が聞く

だがリンクスは首を振り

 

「こうすいのおねえちゃんじゃなくて、こっちのおねえちゃん」

 

そういい、ナイトメアを指さす

 

「えっと、その」

 

ナイトメアが困惑している、正確にはグロリアが

 

「ねえ、フランカ、この子は一体……」

 

「さあ、わからないわ」

 

リンクスが言っているのはおそらく彼女のもうひとりの人格の方だろう

どうやら、存在に気づいているらしい、理由はわからないが

 

「リンクス、そっちのお姉ちゃんはいまお休み中なの、話しかけちゃだめよ」

 

「? そうなの?」

 

「ええ、そうなの」

 

パフューマ―が止める、リンクスが引き下がる

ナイトメアがほっとしている

彼女自身、もう一人の人格は認知しているが、表に出ない限りは目立たない

何も説明してないのに言い当てられて驚いたのだろう

 

「ねえ、リンクス」

 

「なあに?」

 

「どうして、わかったの?」

 

「なにを?」

 

「もう一人、あの人の中に人がいるって」

 

なぜわかったか、聞いてみる

リンクスが答える

 

「えーとね、けはい」

 

「……気配?」

 

その口から出た言葉は、とても子供から出る単語ではない

 

「すとれいどがね、おしえてくれた、これがわかるようになればべんりだって」

 

「あの人、何を教えてるの……」

 

「凄いわね、その人、こんな子にそんなこと教えているの?」

 

やはり碌でもないことばかり教えている

というか教えてわかるものなのか、理解したこの子もこの子な気がする

 

「本当に、碌でもないことしかしないわね、あの人は……」

 

この子をどうするつもりなのか、兵士にでもするつもりなのか

ますますストレイドへの疑念が募っていく

 

「その、凄い人ですね」

 

「ええ、悪い人ではないんだけどね……」

 

ナイトメアの言葉に苦笑するしかない

 

「ねえねえ、こうすいのおねえちゃん」

 

リンクスが今度はパフューマ―に話しかける

 

「なにかしら?」

 

「これって、おはなのにおい?」

 

「ええ、ラベンダーっていうのよ」

 

「らべんだー?」

 

「そう、青っぽいお花なの、いい香りでしょう?」

 

「うん、いいにおい」

 

香水の香りが気に入ったらしい、香水瓶にキラキラした目を向けている

 

「リンクスは、好きな香りとかあるの?」

 

パフューマ―が聞く

 

「あるよ」

 

「どんな香りかしら?」

 

「すとれいど」

 

「……ストレイドって、一緒にいる人?」

 

「うん」

 

リンクスの答えに疑問を浮かべる

 

「あの人、そんな香水とか使ってた記憶がないんだけど……」

 

近くにいてその手の匂いを感じたことはない

どういうことか

 

「あの、その人自身の匂いじゃないですか? ほら、母親の温もりみたいな感じで」

 

「ああ、なるほど」

 

ナイトメアに言われ、納得する

リンクスは彼の事を信頼している、実際、親代わりのようなことはしている

昨日も彼のそばに一目散に駆け寄っていた、安心を与えてくれる人と認識しているのだろう

「どんな感じの匂いがするの?」

興味本位で聞いてみる

 

「えっとね、かやくのにおい」

 

聞かなきゃよかった

 

「火薬……その人、爆発物か何か扱ってるの?」

 

パフューマ―がストレイドについて聞いてくる

 

「ああその、傭兵なのよ、彼」

 

「傭兵、そう、ならその手の物もいじるわね」

 

「その、なんだか危なそうな人ですね

 

「……本当に、悪い人ではないのよ、ええ」

 

ナイトメアの評価が変わっていく

擁護したくても擁護出来ない、する必要もないのだが

 

「ところでフランカ」

 

「なにかしら」

 

パフューマ―が聞いてくる

 

「あなた、その人とは親しいの?」

 

「えっと、どうして?」

 

その人、とはストレイドのことを指しているのだろう

だがなぜそんなことを聞かれるのか、聞き返してしまう

 

「いや、なんだか、仲が良いというか、よく知っているように聞こえたから」

 

「ああ、あの人、昔BSWにいたのよ、それで知っているだけ」

 

正確にはいろいろ調べているのだが、言う必要はないだろう

 

「その割には、なんだか親しいというか、理解しているというか、なんだか知りすぎている気がするんだけど」

 

「そういえばそうですね、なんだか仲が良い感じがします」

 

「……あ~、その、昔、ちょっとね」

 

なにやら詮索されている、そういう関係だと思われているのだろうか

 

「実は何かあったんじゃないの?」

 

パフューマ―が聞いてくる、彼女にしてはがっついている

そういうわけではないのだが、何かありかけたのは確かだ

 

「……そうね、二人には話した方がいいかもね」

 

変な誤解が広まるよりはマシかもしれない

 

「話、ですか?」

 

「なになに、やっぱり何かあったの?」

 

そっと、リンクスの耳を閉じる

 

「? ふらんか?」

 

「二人とも、あなたたちは彼の守備範囲内だから言っておくわ」

 

「何をです?」

 

ゆっくり、話し始める

 

「昔、あの人がBSWにいた時の話よ」

 

「あの人はあまり見かけない人でね、話せるタイミングが滅多になかったの」

 

「ある日、一人で彼がふらふらしてたのよ」

 

「私はそれを見ていろいろ勉強できないかと思って話しかけたわ」

 

「彼は快く応じてくれて、つい話こんじゃったのよ」

 

「気が付いたらもう暗くなってたわ、私はこう言った」

 

「『あら、もうこんな時間』って」

 

「それを聞いた彼はこう言ったわ」

 

「『なら、このまま朝食なんて一緒にどうだい』って」

 

「朝食、ですか? 夕食じゃなくて?」

 

ナイトメアが意味が解らず聞き返す、がそれに対し

 

「……朝食……朝……あっ」

 

パフューマ―は意味を理解したらしい

 

「そうね、意味はわからなくていいわ、でもこれだけは覚えておいて」

 

「「……………………」」

 

「彼の誘いに、はい、と言わないこと」

 

「……わかりました」

 

意味は解らなかったが危ない話だとは理解したのだろう、ナイトメアが返事をする

 

「ねえ、待って、フランカ」

 

「……なにかしら」

 

パフューマ―が聞いてくる

 

「あなたはその時、なんて言ったの?」

 

「……………………」

 

何も言わずそっぽを向く

 

「フランカ、あなた、まさか……」

 

「ええ、あの時は危なかったわ」

 

「ふらんかー、きこえなーい」

 

「えっと、何があったんです?」

 

ロドスの日常は過ぎていく




            
             Let's go plan breakfast

意味を知りたい方は調べましょう
ちなみに普通の意味で誘うなら
How about having breakfast together like this?
という形になります、どちらの意味でも誘うときは間違えないようにしましょう
というか、疑問形すらつかずに言っています
日本語に起こしてもわかりやすいことを考えると前回以上に直接的ですね
以上、スラングのコーナーでした






綺麗な外人さんがいたとしても、生半可な覚悟で言ってはいけませんよ?
この手の誘いに乗る方は容赦がないので
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