アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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ブリーフィング

「失礼しま――――」

 

「邪魔するぜ」

 

「ちょっと、ノックぐらいしたらどうです」

 

「いらんだろ」

 

ブレイズに呼ばれストレイド、リスカム、フランカはドクターの執務室にやってきた

中には、すでに何人か人がいた

 

「どうも」

 

「あっ」

 

「げっ」

 

「む、見ない顔だな」

 

「ストレイドさん、どうしてここに?」

 

アーミヤ、メランサ、オーキッド、ヤトウ、フェンがこちらに顔を向け、各々反応を示す

 

「来たか、三人とも」

 

椅子に座ったドクターが声をかける

 

「ほう、随分と美人が多いな」

 

「この面子、やっぱりそういうこと?」

 

フランカがその場の顔ぶれを見て、そう聞く

この場にいるのは、各隊の隊長たちだ

 

「ああ、明日、レユニオンの拠点に強襲を仕掛ける」

 

「ほう、算段がたったのか?」

 

「まあな、おかげさまで」

 

「? どういうことよ」

 

オーキッドが疑問符を浮かべる

レユニオンへの攻勢の算段が整ったことに対して、なぜストレイドに礼を言うのか

まだ事情は聞かされていないらしい

 

「まあまずは彼の紹介から始めよう、何人かは会っていると思うが、彼の名前はストレイド、昔BSWに所属していた人で今は傭兵、そしてこの作戦の発端だ」

 

「発端? こいつが?」

 

「つまり、どういうことだ?ドクター」

 

オーキッドとヤトウがドクターに問いかける

 

「今回、レユニオンの襲撃作戦を察知できたのは事前に話した謎の手紙だと話したな?」

 

「ええ、いつの間にか倉庫に紛れてたって言ってたわね」

 

「その差出人が、彼だ」

 

「彼が? 何故?」

 

「まあそのあたりの説明はいいだろう。重要なのは彼がいなければ後手に回っていたかもしれないという事実だ」

 

「そうだな、感謝してもらおうか」

 

「自分で言うことではありません」

 

今回、敵襲を察知できたのはストレイドが情報を渡したから

その旨をドクターが簡単に説明する

 

「……こいつが?」

 

「……ストレイドさんが、ですか」

 

「おうおう、随分嫌われたな、なんでだ?」

 

「覚えがない、などと言い訳はできませんからね」

 

「残念、さっきの激物で忘れちまった」

 

「もう一度食わせますよ」

 

「やめろ、頼む」

 

オーキッドとメランサが若干顔を引きつらせている

二人はストレイドという災害の被害者だ、素直に信じられないのだろう

それだけのことは、してきている、たった二日だけだというに

 

「それで今回の強襲作戦、彼にも参加して貰うことになった」

 

「あ、そうなんですか?」

 

「ああ、言い出しっぺは俺だからな、任せっきりには出来んだろ」

 

「……戦えるの?あんた」

 

「おう、見惚れるぐらいには強いぜ、俺は」

 

「……そうなんですか?」

 

「おうよ、なんなら俺がレクチャーしてやろうか。手取り足取りナニと「バチィッ!!」失礼、なんでもない」

 

「……なんだこいつは?」

 

無言の圧力をかけられているストレイドをみてヤトウが疑いの目を向けている

開幕早々ふざけたことを言う男を信用してないのだろう

 

「まあまあ、話が進まない、少しの間だけでいい、静聴してくれ」

 

その場にいる全員がドクターの言葉に耳を傾ける

 

「おっと、これはこれは、随分と信頼が厚いみたいじゃないか、鉄仮面」

 

「あなたも静かにしてください」

 

「あんまり話をややこしくしないでね」

 

「へーい」

 

「さて、まずは作戦領域の話をしよう、アーミヤ」

 

「はい、皆さん、こちらを」

 

そういって、アーミヤが何かの書類を渡す

 

「今渡したものはレユニオンが潜伏している拠点の大まかな図面です」

 

「ほう、中々見やすいな」

 

「お褒めに預かり光栄だ」

 

「なに、もっと誇るがいい、俺から賛辞をもらえる機会なんかそうそうないぞ」

 

「やかましいです、黙ってください」

 

「うむ、こいつはいつも通り不機嫌だな」

 

「……いつもこんな感じなんですか?」

 

「ええ、いっつもこんな感じ」

 

二人のやり取りを見てフェンがフランカに聞く

久しぶりの再会だというのにずっと喧嘩してる

事情を分かってるものなら理解できるが説明するわけにもいかない

 

「……話していいか?」

 

「ああ、構わないぜ」

 

「なら結構、見てもらえばわかる通り、相手は今、旧市街の廃ビル群に潜伏している」

 

「レユニオンのチェルノボーグ侵攻の最にも使われてたと思われる場所です。彼らにとっては勝手が聞きます」

 

「そこで、奇襲を仕掛けることにする」

 

「奇襲? どうやって?」

 

フランカが聞く、相手が地形を把握しているところにどうやって奇襲をするのか

 

「それに関してストレイドから話があるらしい」

 

「いつの間にそんな話してたんですか?」

 

「お前が目を離してる隙にだ」

 

「……まあ、その余裕はありましたか」

 

ストレイドに視線が集中する

 

「ほう、BSWに居たころを思い出すな、この感じ」

 

「あらあら、あなたでも過去を懐かしむことがあるのね」

 

「なんだ、まるで俺が人間関係を疎かにしてるようじゃないか」

 

「してるでしょ、実際」

 

「確かに」

 

「早く話しなさい、ここはあなたのくだらないトークを披露する場所ではありません」

 

「わかったわかった」

 

「……なんだか新鮮です」

 

「うん、わかる」

 

基本礼儀正しいリスカムがツンケンしている

フランカ以外にそんな対応をするのは珍しい

 

「さて、ではまず部隊の展開からいこう」

 

「奇襲の方法は?」

 

「それは後だ、各自ビル群の中央を通る道路を見てくれ」

 

「真ん中に一本、走ってるやつ?」

 

「ああ、ちょうどその道路の道沿いに二つ、挟むように待機してもらう」

 

「待機ですか?」

 

「そうだ、で、その二つの部隊のちょうど間に来るようにもう一つ動いてもらう。T字に挟み撃つ」

 

「待ってほしい、それでは挟み撃ちにはならないぞ」

 

ヤトウが割って入る

ビル群は所々崩壊しているが入り組んでいる、三方向から攻めたとしてレユニオンには逃げ道が残っている、それでは狙い通りにはならない

 

「そうだな、このままじゃまともな戦いは出来ない、なんたって相手は五百はいる」

 

「えっ! 五百っ!?」

 

「多いな……」

 

「……どうやって捌くんですか?」

 

いきなり戦力差を聞かされ全員が驚愕する

いくらロドスのメンバーが精鋭とはいえしのぎ切れる量ではない

 

「なんだ、一人二十か三十はやれば問題ないと思うが」

 

「あなたと一緒にしない」

 

「なんだ、思ったよりも貧弱だな」

 

「・・・これは怒った方がいいんでしょうか」

 

「いいえ、彼の感性がおかしいだけです」

 

「話を進めてくれ」

 

「ああ悪い、それでだ、さっき言った通り三部隊に分かれて待機してもらう」

 

「あの、なぜ待機なんですか?」

 

「まあまて、話は終わってないだろ?各隊が位置に付いたら俺が合図を送る」

 

「……合図、ですか?」

 

「ああ、大変わかりやすい代物だ」

 

「まって、それじゃ説明にならないわ、どうやって五百人も相手にするの」

 

「なに、気にしなくていい、その時にはお前たちの正面から敵はやってくる、動揺した状態でな」

 

「動揺? なにかやるんですか?」

 

「そうだ、じゃなきゃそもそもこんな配置はしない。しかも奴らは逃げ道がなくなった状態になってるだろう」

 

「……その、どうやって、ですか?」

 

「秘密」

 

「ええ……」

 

「ちょっと、ちゃんと話してくれなきゃわからないでしょ」

 

「説明責任がある、しっかり話してほしい」

 

ストレイドの説明に皆それぞれ騒ぎ始める

 

「うむ、ますます昔を思い出してきた」

 

「いい加減、自分だけわかってればいいっていう判断、やめない?」

 

「説明しなくてもいい所を話すって面倒じゃないか?」

 

「独断で動くならいいですが、今回は他の人もいます。多少は話してください」

 

「わかった、なら少しだけヒントをやろう」

 

「ヒント、ですか」

 

そういって、不敵に笑う

 

「ああ、罠を仕掛けた」

 

「罠? 煙幕とか、爆弾とか?」

 

「ああ、そんな感じだ」

 

「どれぐらいの規模なんですか?」

 

「それは明日のお楽しみ」

 

「…………いつの間に仕掛けたんですか?」

 

「いつの間にか」

 

「……いつもこんな感じだったの?」

 

「ええ、いっつもこんな感じ」

 

ストレイドの有耶無耶な返答にオーキッドが渋い顔をしている

ヒントとかじゃなく何をやるのか言うべきだろうに

 

「まあとりあえず、彼が明日、戦闘を有利に進めるために何かしてくれるらしい。彼は仕事のできる人だ、ここは信用しよう」

 

見かねたドクターが助け舟をだす

 

「気が利くな、鉄仮面」

 

「本当は全部話してほしいんだがね」

 

「残念ながら、最近の傭兵はエンタメ性がないと売れないんだ、ネタ晴らしは出来ないな」

 

「そんなものここでは要りません」

 

「なら俺が必要にしてやろう」

 

「要りません、せめて仕事ぐらいは真面目にしなさい」

 

「お? コレも仕事の内なのか」

 

「ドンパチするだけが作戦ではないでしょう」

 

「その通りだ、よくわかってるじゃないか」

 

「……かつてここまで話が進まないことがあっただろうか」

 

「はは……」

 

ドクターが珍しく困っている、その隣でアーミヤ苦笑している

どうにも緊張感がない、やろうとしていることは危険なことだというのに

 

「おや、鉄仮面殿がお困りだ、いい加減に終わらせようか」

 

「終わらないのはあなたが理由です」

 

「まあまあ、さて、話をまとめると周りを囲んで待ち伏せする」

 

ストレイドがブリーフィングを終わらせようとする

 

「そんでもって、俺が色々やるから慌てて逃げてきた奴らを一人残らず殺せ、以上だ」

 

だがその最後のセリフに、皆、何も言えなくなってしまった

 

「お? どうした、そんな呆けた顔して」

 

「……わかって言ってますね?」

 

「さあな、なんのことだか」

 

なぜ、こんな微妙な空気になったのか

リスカムに理由を問い詰められても白々しく言う

 

「ストレイド」

 

ドクターが話しかける

 

「君の普段のやり方がどんなものか、この場で言ってもらう必要はない」

 

「へえ、気にならないのか」

 

「ああ、気にする理由はない」

 

「ま、野郎に探られたくはないからオーケーだ」

 

「だが今回、ロドスに助力を求めたのは君の意思だ」

 

「そうだな」

 

「ならば、我々のやり方に従ってもらう」

 

「というと?」

 

「殺しは無しだ、よほどの状況でない限りむやみに殺害をすることは認めない」

 

「ほう、お優しいじゃないか戦術指揮官殿。そういって仲間が殺されても見ないふりをするのか?」

 

「……何が言いたい?」

 

「別に、なんでも」

 

二人の間に険悪な空気が流れ始める

ストレイドのドクターに対する態度はいやに敵対的だ

 

「……とにかく、無意味な殺戮はなしだ、私達は戦争屋ではない」

 

「そうかい、ならそういうことにしてやろう」

 

「……レイヴン、それ以上、ふざけたことは言わないように」

 

そういわれ、おとなしく口をつぐむ

ロドスは感染者の為に立ち上がった医療組織だ

そして、レユニオンも同じように感染者の為の組織

彼には、同じものに見えているのかもしれない

 

「さて、これで話は終わりだ、他の隊員にはドーベルマン教官から説明がいっている。各自、隊員と連携をとれるように話をしておくように、解散だ」

 

ドクターが会議を終わらせる

各々、執務室から出ていく

残されたのは、ドクター、アーミヤ、リスカム、フランカ、そしてストレイドだけ

 

「どうしたおまえら、話は終わりだぞ」

 

「私は監視が仕事です」

 

「なるほど、フランカは?」

 

「別に、なんとなくよ」

 

「そうか、まあいい」

 

ストレイドがドクターに顔を向ける

 

「で、話してなかったがチーム分けはどうするんだ?」

 

「行動中、随時動いてもらうが、まあ基本は隊ごとに動いてもらうことになる」

 

「俺はどうする?」

 

「君は……リスカム達と一緒でいいだろう」

 

「えー、最初から最後までこいつと一緒かよ、嫌になるな」

 

「最後? どういうことだ?」

 

最後、という言葉に疑問符を浮かべている

 

「なに、これが終わったら俺がここにいる理由はなくなる。用のないとこにいても仕方ないだろう?」

 

「……そのままいてくれる、ということはないのか?」

 

「ないな、なんだ、いて欲しいのか?」

 

「まあ、君のように頭の回る人にはいて欲しいが……」

 

「ほう、そんな熱烈な歓迎、男からは受けたくないな、お断りだ」

 

「……そうか」

 

まだ何か言いたそうだが、口を閉じてしまった

 

「そうだ、鉄仮面、リンクスも一緒に連れてくぞ」

 

「なに?」

 

「え、あの子も、ですか?」

 

リンクスを連れていく

その言葉に驚いている

 

「ああ、あいつは下手な兵士よりも強い、力にはなるさ」

 

「だが、彼女はまだ幼い、戦わせるわけには――――」

 

「もう、戦ったことはある」

 

「……………………」

 

「なにも喋らないのは肯定とみなす、連れてくからな」

 

「……わかった、君の傍でいいな?」

 

「ああ、こっちも状況をみてやらせるさ」

 

渋々承諾する、戦える者が増えるのは悪い事ではない

だが彼女を戦わせるのは、気がかりだ

 

「じゃ、俺もこれで失礼するぞ」

 

「ではドクター、私もこれで」

 

「ああ、急に呼び出してすまなかった」

 

そう言って、二人も消える

ドクターとアーミヤとフランカが残る

 

「ねえ、ドクター」

 

「なんだ」

 

「彼、健康診断受けたんでしょ?」

 

「ああ」

 

「どんな結果だったの?」

 

聞いてみる、彼にはわからないことが多すぎる

人種や、鉱石病に罹ってるのかも、わからない

まだ日は経ってないが簡単な結果なら出ているはずだ

 

「悪いが、言えない」

 

「どうして?」

 

「誰にも喋るなと言われた」

 

「……ストレイドに?」

 

「ああ」

 

「ここで喋っても、彼にはバレないわよ?」

 

「駄目だ、言わない」

 

「……そう、わかった」

 

ドクターも、その横のアーミヤも、話してくれそうにない

彼について知ったものは、そのことをけして喋ろうとしない

よほどのことがあるのか、それとも彼の性格がそうさせるのか

 

「……私も、彼のことを知ったらそんな顔をするのかしらね」

 

「さあな、私にはわからないよ」

 

「そう」

 

そう言って、フランカもいなくなる

ドクターとアーミヤだけが残される

 

「ドクター」

 

「どうした」

 

「なにも、彼に声をかけなくてよかったんですか?」

 

「……そうだな、言うべきだったんだろう」

 

「……言えなかったと」

 

「ああ、彼の顔を見たら、何も言えなくなってしまった、どうしてだろうな」

 

「私も、同じ気持ちです」

 

 

 




作戦とはどう立てるもなのか、私の腐った脳みそではわかりません
まあどういう展開なのかはわかってもらえる形だと思います
二章は次で終わりです、いやはや、長くなってしまいましたね
もう少し短くなるはずだったんですがね
やはり初心者とはこういうものなのでしょうか

ちなみに、コレを書いてて思ったのは大半がセリフで埋まってしまったという事実です
別に構わないんですが流れは出来ているのか不安になります
まあ出来ていると思っておきましょう
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