アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里 作:Thousand.Rex
Secret contact
ロドスの廊下を歩く、とある部屋に、足を運ぶ
応接室、客人を迎え入れる、礼節の場
本来使用予定のない日は閉まってる、存外心地のいい空間
鍵をかけられているはずの扉に手を伸ばす
ノブを回す、押してみる
「ん? お前…………」
何の抵抗もなく開いてしまう、
「何やってんだ、こんな所で」
「別に、来てみただけさ」
中には一人の傭兵が寛いでいた、ストレイド、そう名乗る男
いつか会った、奇妙な友人
何食わぬ顔でソファに寝っ転がっている
「なんだ、お前も忍び込むのが好きなクチか」
「いや、楽しそうだけどそうじゃない」
「へえ、じゃあなんだ」
この船には入れないはずの、不法侵入者
これがロドスにとっての認識になるだろう
見つかったら只事にはならない、だからと言って追い出すようなことはしないが
「私は正面から入ってきたのさ、君と違ってね」
「ほう、ならここの一員って事か」
「いや、違うよ」
「あ? なら何者だ」
不審な目で見てくる彼の対面に座り、首に下げている物を見せる
「ほら、自由入艦許可証、行動許可証ともパスポートとも呼ばれてる」
「ふーん……」
じっくり見てくる、何か考えているぐらいしかわからない
果たして今、その頭の中でどんな姦計を練っているのか
「欲しいかい?」
「なんだ、くれてやる権利でも持ってるのか」
「ないよ」
「ならいい、だがあればこの後が楽になるな。説明も少なくて済む」
「そうか、難儀だね」
「そうだ、もう少し簡単にならんものか」
彼の計画が何か、詳細は聞いてない
あの日聞いたのは、ここに行け、そこで奴らと話して来い
それだけだった、深く話さないのは巻き込まない為だろう
彼にとってこれは自分の勝手な都合
間違いではない、実際そうだ
「ならないよ、それで彼女は?」
「その内来る、子供一人置くならここが適切だろう」
「どうかな、ここは優しい人ばかりだよ。君みたいな、ね」
「やめろ、優しくなんかない」
「そうだね、そうしておこう」
彼の対面のソファに座る、それに合わせて彼も起き上がる
話をしに来たことには気がついている、話あってくれる気はないだろうが
だけど、必要な事だ
「で、過程はどうなるんだい?」
「そうだな、面倒なことになりそうだ」
「なんだい? 失敗でもしたのかい?」
「いつもの事だ、だがちょっと、予定に入ってない出来事があった」
「というと?」
「お前には関係ない」
「はいはい、わかったよ」
いつかと同じように切ってくる、誠実なのはいいけどもっと頼るべきだと思う
ただそれを直接言っても、理解はしてくれないだろうけど
「変わらないね、君は」
「変わる意義がない、俺には」
「そのくせ変われというのかい? 傲慢だね」
「そうだな」
「まるで人みたいだ」
「……そうだな」
背にもたれ、仰ぐ様に天井を見る
その先、ここでは見えない空を見る様に目を細める
この人は、誰かの為にしか動かないのだろう
何も相談しないのが証拠、こっちが手伝うって言ってもすぐには聞かなかった
ようやく了承させても少しだけしか協力させない
結末が気になっていることぐらい、わかってくれてるだろうに
「で、この後はどう動くんだい」
「んー、まずは野郎とご対面だ。ここのリーダーの一角、その知将っぷりを試させてもらう」
「なるほど、彼か」
「心当たりがあるのか」
「ああ、お友達だからね。彼とは」
「……ほう、ほう、いいね」
不敵に笑う、どうやら彼の期待値をあげてしまっているようだ
だけど、ドクターなら答えられるだろう、間違いを選択することはない
「お前を変えた本人か、いいね、滾ってきた」
彼に関しては大丈夫、放っておいても問題はない
問題は、彼女だ
「で、リンクスは?」
「チビは、まあ、あそこにいた面子が回収してるだろう。ここにいる」
「ふむ、予定通り、と」
「いや、完全に崩された」
「おや、君がか」
「ああ、おかげさまで練り直しだ」
ハプニングが起きたらしい、龍門の検閲門で騒ぎがあったと聞いた
それに巻き込まれたのか、いや、巻き込んだ過程で予想外のことでも起きたか
少なくともこの人が眉間のしわを濃くするぐらいには悩んでいるのがわかる
「……懐かしい顔だったな」
そう言ってこちらを見てくる、じっと、眺めてくる
「なんだい」
「いや、お前もいつか、あんな風に笑うのか、と思ってね」
「あんな風?」
「何、龍門で仲良し三人組がいたもんでね。楽しそうに笑ってた」
「へえ、私も笑ってるよ?」
「そうじゃない、そうじゃあないんだ」
多分、彼なりに心配してるのだろう、人との関係が薄いこちらの在り方を
同じような感性を持ってるから気づいたのか、それともお人好しか
「君は、ホントに変わってる」
「お前ほどじゃない」
善人、その言葉が綺麗にあてはまる
絵にかいたような、優しい人、よくも認めずにいられるものだ
「これは彼にも難しそうだ」
「なんの話だ」
「なんでもないよ」
ソファから立ち上がる
足音が聞こえてくる、近くの通路を誰かが歩いているらしい
この部屋に近づいているようだ
「……一人、二人、子供、これはアイツ、でもう一人は大人か」
「そうだね」
音と気配で索敵している彼をよそに丁度いい位置に動く
「何やってんだ?」
「隠れてる」
「はあ…………」
座っていたソファの後ろに隠れる、部屋の入り口から見えないよう死角に身を潜める
その様子を何も言わずに彼が見ている、適当に理由でも付けたのか、また寛ぎ始める
扉の開く音がした
……………………………………
「どこいくの?」
「探検さ」
「…………すとれいど」
「ばあ」
「――――ッ!?」
「久しぶり、リンクス」
「…………え? もすてま?」
「びっくりしたかい?」
「…………うん」
「そうか、それはすまないね。隣、座るよ」
「えと、なんでここに」
「いるのか、そうだね、奇妙な巡りあわせさ。ほら、リンクス、お膝に来るかい?」
「……いいの?」
「いいよ、ほら」
「じゃあ……」
「うん、いいね、子供は温かい」
「そうなの?」
「ああ、そうだよ」
「……ねえ、どうしてここにいるの」
「そうだね、結末を、願いに来たのさ」
「けつまつ……ねがい」
「ああ、君の前途を、願いに来た」
「わたしの?」
「リンクス、君はこれから未知の世界に望むことになる」
「……みちのせかい」
「きっと、いつかいた世界の名残だろう。彼は優しいね、噂とは違う、真っ当な人だ」
「かれ、すとれいど?」
「そう、リンクス、君には責任ができた、選ぶ義務が生まれた」
「なにを?」
「答えを、多分、残酷な過程を経ることになるだろう」
「ざんこく……」
「よく聞いて、この先は君が選んだ道だ。君の意思で、進んだ道だ。
なら、答えを得る責任がある。それがどれだけ難しい解でも、選ぶんだ」
「どうして?」
「……そうだね、ここから先は私が語るべき物語ではないよ」
「ものがたり?」
「ああ、リンクス、この先を語るのは君だ。君の目で、君の口で、その心で語るんだ」
「こころで、かたる」
「そうだリンクス、だから、祈らせておくれ」
「……いいよ」
「ありがとう、リンクス」
「どうか、君の旅路に幸あることを」
モスティマのサイドは終わりです、後はあっちのアフターでちょくちょく出てくるぐらい、ですかね
そして衝撃的な事を知ってしまいました
モスティマ、あなた、身長170㎝あるの?