アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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12/15 修正


謀られた軍団

 

『フランカ、そっちはどんな具合だ』

 

「ええ、おかげさまで大して酷くはないわ」

 

『ならよし』

 

BSW方面、フランカ達はストレイド達の取りこぼしを相手取っていた

 

「わたしのハルバードにっ! 敵はいませんっ!」

 

バニラは隣で張り切っている、気合は十分らしい

 

「撃ちますっ!」

 

「ぐあっ!」

 

近くに居た兵の腕に銃弾が命中する

ジェシカの射撃だ、正確に狙撃している

続けてバニラの近くの敵を撃とうとする

だが

 

「バニラちゃんっ! ふせ――あっ」

 

「えいしゃー」

 

ジェシカの銃より少し重たい銃声が響く

リンクスの銃撃だ

 

「え、ちょ、リンクスちゃ――」

 

「よいしゃー」

 

正確に、冷静に、独特な掛け声で狙撃を決めていく

 

「いてぇっ!」

 

「がっ!」

 

「武器がっ! 飛んでったっ!」

 

「撃たれたんだよっ! 物陰に隠れろっ!」

 

幼い子供が撃っているとは思えないほど、的確に

それらは全て、手足に、武器に命中している

 

「せんぱいっ!」

 

「何よ」

 

ジェシカから泣きそうな声で呼ばれる

 

「私の仕事がっ! リンクスちゃんに盗られますっ!」

 

「ええ、さっきから見てるわよ」

 

「私のいる意味はっ?」

 

「あるわ、大丈夫よ」

 

先ほどからジェシカの狙った相手がリンクスに綺麗に横取りされている

 

「あいしゃー」

 

「ああっ! またっ!」

 

また取られる、これで何度目だろうか

別にジェシカの腕が悪いわけではない

ただリンクスの銃がジェシカのものより長射程なのと

一向に弾を外さないリンクスがおかしいのだ

 

「落ち着きなさいジェシカ、みっともないわよ」

 

「でも、これじゃあ年上としての威厳がっ!」

 

「そこで慌てたら余計になくなるわよ?」

 

「ふぐぅっ!」

 

どうやら同じ狙撃オペレーターとして危機感を抱いているらしい

気持ちはわからなくはない

年下の、しかも自分より銃を握っていた時間が短い少女に腕前で負けているかもしれないのだ

話によればリンクスは一年程度しか銃を使っていない、ジェシカの方が長い

それでも圧倒的にリンクスの方が無力化した数は多い

銃の種類もあるがその歴然とした差に心が折れかけているのだろう

 

「ストレイド」

 

『なんだ?』

 

元凶と思われる男に聞いてみる

 

「あなた、彼女に何を教えたの?」

 

『ていうと、どういうことだ?』

 

視線を向ける、離れた所でリスカムと戦っている

 

「彼女、随分腕がいいけど」

 

なにかコツでも教えたのか

 

『いや、別に何も教えてないぞ』

 

「でも腕が立ちすぎるのよ」

 

『そうだな、俺も不可解だ』

 

『こら、ドロップキックを繰り出さない』

 

『体制は崩せたろ』

 

『だからって重装兵にやらないでください、防がれたらどうするつもりだったんです』

 

『防がれてない、問題ない』

 

『そういうことではありません』

 

重装兵相手に二人でわちゃわちゃしてる

あれで他もほとんど押さえているのだからふざけた話だ

 

「で、不可解ってどういうこと?」

 

『ああ、銃の話か』

 

「そうよ、あなたが教えたことじゃないの?」

 

『そうだ、俺が教えたのはライフルの使い方と効果的な部位、それだけだ』

 

「狙撃のコツとかは?」

 

『教えたことはない、せいぜい当たる時だけ撃てといったぐらいだ』

 

「それだけ?」

 

『それだけ、嘘は言ってない』

 

そう言われてしまう

どうやら彼女の天性のものなのか、少なくともセンスはあったらしい

 

「ふらんか―、なんのはなしー?」

 

リンクスがちょっと離れた所でそう叫んでくる

 

『なに、お前の狙撃が絶妙だって話だ』

 

「ほんとー?」

 

「ええ、ホント」

 

「やったー、ほめられた」

 

笑顔で言っているのがなんとなくわかる

正直褒めていいことかわからないが

 

『おっと、リンクス』

 

「んー?」

 

重装兵の頭を蹴りつけ、ヘルメットを外しながらストレイドが話しかける

 

『あそこ、見えるか?』

 

「どこー?」

 

『あの瓦礫の後ろ』

 

遠くで指をさす

その先には瓦礫、後ろにスナイパーと思しき影が二人

 

『撃て』

 

「はーい」

 

「いやちょっと」

 

ここからでは酷く小さく見える、握りこぶし程度の大きさだ

しかもリンクスの銃にはスコープはない、何もついていない

照準の拡大はおろか、目安になる目盛りもない

 

「当たるわけないでしょ? 何を言ってるの」

 

『まあまて、見てろ』

 

リンクスが射撃体制に入る

申し訳程度に付けられた簡素な照準器を覗く

 

「…………すぅ」

 

息を吸う、そして

 

「――――ッ!」

 

引き金を引く、二発、続けて撃つ

物陰のスナイパーが弾かれたように隠れる

 

「え、ちょっと、どうなったの?」

 

『まてまて、結果を急ぐな』

 

少し経ち、スナイパーが二人、腕を押さえた状態で反対側に走っていった

 

「……当てたの? あれを?」

 

『ああ、見事なもんだ』

 

『……スコープついてないですよね?』

 

「アイアンサイトって、この距離当てれるんですか?」

 

「あわわわ……」

 

ジェシカが錯乱しかけている

こんなもの見せられては本当に自分のいる意味がない

そう思っているんだろう

 

『ははは、随分慌ててるなジェシカ』

 

その様が面白いのか、笑いながら話しかける

 

「わたしはっ! どうすればっ!」

 

『落ち着け、お前の銃はリンクスの銃に出来ないことが出来る。そいつの得意射程はどこだ?』

 

「得意射程? ……この銃の」

 

ジェシカがストレイドに目を向ける

ストレイドの銃はジェシカと同じもの

その彼は今、近距離で撃っている

 

『フランカと金ヴルちゃんはお前達の前を張ってる、リンクスには手が回らない。それで、逆にそいつらを援護するのに適してるのはリンクスだ』

 

「はい」

 

『リンクスの銃は長物だ、中、長距離戦が基本のものだ。近づかれると狙いづらい、なら誰かがカバーしてやる必要がある』

 

接近戦での射撃、連射速度はジェシカの銃の方が早く、拳銃ならではの取り回しの良さがある

 

『ほれ、今そいつを護れるのは誰だ?』

 

「……私です」

 

『よし、ならそいつが安心して撃てる環境を作ってやれ。狙いずらいもんを無理に狙う状況じゃない、役割分担は出来るんだ』

 

「はい」

 

『当てれる的だけを撃て、後は適当に牽制射撃でもしてろ。それが今お前に出来る最良だ、説教してるわけじゃないぞ?』

 

「あ、はい、わかってます」

 

『ならオーケーだ、期待してるぞ、後輩ちゃん』

 

「は、はいっ!」

 

そういって、重装兵の盾を蹴り飛ばし、銃を突きつける

メットは着けてない、そのまま撃つ、その場でうずくまり始める

トドメといわんばかりに頭を蹴りとばす、倒れて動かなくなる

 

『……慈悲はないんですか?』

 

『殺してない、十分慈悲はある』

 

『そうですか』

 

「……優しいのか優しくないのかわからないんですが」

 

「いつもの事よ」

 

先輩らしく後輩に何かアドバイスをしてたかと思えば敵にはきつい一撃を入れている

昔からそうやって戦闘中でも人の周りで喋っていた

そして片付くと忽然と姿を消し、別の味方のとこにいる

今回は敵の量が多いからここに留まっているが落ち着いたら同じようにやるだろう

 

「そうだ、ストレイド」

 

『お?』

 

「あなた、相手のリーダーがどんな奴か知ってるの?」

 

『ああ、知ってる』

 

『あ、知ってるんですか』

 

『何も知らないでやってると思ったのか?』

 

『ええ、リーダーを潰せという割には何も言いませんので』

 

『そんな無計画に動くわけがないだろ』

 

この作戦、別に敵勢力を全員無力化するのが目的ではない

彼らの計画の阻止と主犯の確保が最優先だ

ストレイド曰く、リーダーを押さえれば士気はさがるかもしれないとの事

件の特攻用の爆弾も先の爆発で誘爆させたらしい

わざわざこんな大群相手に戦う必要はない

 

『なんだ、知っていたのか?』

 

『その手の重要な情報は一番に共有するべきだと思うが』

 

『なんだなんだ、寄ってたかって俺を苛めるつもりか?』

 

ドクターとチェンが入ってくる

どうやらずっと無線は開いているらしい

 

『最重要ターゲットがわかっているなら無駄に戦う必要はない。戦闘は最小限に抑えるべきだ、さっさと言え』

 

『龍のお嬢ちゃん、せっかちな奴は嫌われるぞ?』

 

『のんびり屋も嫌われる、覚えておけ』

 

『おお怖い、まだ怒ってるのか』

 

数日前、奇妙な鬼ごっこで散々煽られたのを根に持っているのか

ストレイドに対するチェンの態度はまだきつい

自業自得だが

 

『それでストレイド、リーダーの特徴は』

 

ドクターが聞く

 

『そうだな、普通のとデカブツだ』

 

そう答える

 

『……なに?』

 

「まって、二人いるの?」

 

『ああ、二人だ、正確には集団を先導する奴と、そいつを支えるブレイン、カリスマ役と頭脳役だ』

 

『どういうことです?』

 

『そのままの意味だ、レユニオンから脱退した集団に合流し感染者の為だと騒いで信任を得た奴と、そいつと一緒に流れてそのまま参加した参謀、この集団が軍団になったきっかけだ』

 

「きっかけ、そう……」

 

『なんだ、思い当たる節でもあるのか?』

 

「ええ、まあね」

 

龍門内での捕縛作戦の時、レブロバが言っていたことを思い出す

いつの間にか合流した、奴らの妄言に乗ってしまったと

 

「ねえ、軍団になったってどういうこと?」

 

『ん? これもそのままの意味だが?』

 

「ならもう少し詳しく話して」

 

『お、聞き方がわかってきたな』

 

「早く言って、おしゃべりしてる状況じゃないでしょ」

 

『それもそうか、簡潔に言うぞ』

 

ストレイドの方をもう一度見る

三人ぐらいにほぼ同時にペイント弾を浴びせている

話し込んでいるが一応戦闘中なのだ

話を始める

 

『要は、この集団こそが被害者で、真の加害者はデカブツ、一般人からテロリストへと思想を書き換えられたんだ』

 

「……それは、意図的に?」

 

『いや、無意識に』

 

「……そう」

 

『ご理解いただけたようだな』

 

「おかげさまで」

 

ストレイドの言うことは間違ってはいない

つまるところ、本来はレユニオンのやり方に耐えられなかった感染者たちが抜けた後

また別の温和な組織になっていたところに過激思想の人物がやってきた

そしてその人物が集団の中で抗うべきだとでもいったのだろう

迫害される現実に立ち向かわないのかと

レユニオンのやり方に反発したとしても人々の境遇は似たりよったりだった

それで、感化されてしまった、もう一つの小さなレユニオンになってしまった

事の始まりはそういうことなのだろう

 

『ストレイド、気になることが』

 

『どうぞ、鉄仮面』

 

『何故、デカブツと明言するんだ? 普通のと言っていた人物は加担していないのか?』

 

『ああ、していない、むしろ反対派に近いだろう』

 

『なに?』

 

『どういうことです』

 

『いま説明する』

 

リスカムと二人で敵の集団をいなしながら言う

戦いながらこちらに意識を向ける余裕があるのは強者だからか、それとも性格か

 

『前の潜入作戦、あれは何のためのものかわかるか?』

 

『情報の伝達と軍事施設の警備の調査ではないんですか?』

 

『奴らの中での表向きはそうだ、だが参謀の奴にとっては違う』

 

「違うって?」

 

『あれは、ばれることが前提の作戦だったんだ』

 

『つまり?』

 

『止めてほしかったんだ、そいつは、この馬鹿げた作戦を』

 

わざとばれる様に仕向けていた、気づかれるために

 

『どうしてだ、傭兵』

 

『簡単だろ、狂人の妄言に乗せたまま放っておけなかったんだ、見過ごせなかった。相方と違ってまともな思考の持主なんだ、常識人と言っても差し支えないだろう』

 

「なら止めればよかったんじゃ……」

 

『止められなかった、一度火が付いたものを消すにはそれ相応の消火剤が必要になる』

 

『参謀に、それは用意できなかったと』

 

『正解だ鉄仮面、頭が回るな』

 

止められないなら代わりに止めてくれる何かが必要だった

それで独自に動き出したと

 

『だが、なぜ潜入なんだ?』

 

『これも単純、孤立させたかったんだ』

 

「なんで?」

 

『情報を漏洩させる際、ばれたと言わせないために』

 

「どういうことよ」

 

『鉄仮面、例えばお前が似たような作戦をする際、どうする?』

 

『何をだ』

 

『斥候部隊に定期連絡も何も寄越させずに五日も放るか?』

 

『……いや、しないな』

 

『つまりそういうこと、本隊に勘付かせない為にわざと潜入させた。囮を送って意図的に分断させる、自分たちとの連携を断ちつつその手の組織に対策を立てさせる。あの偵察隊は事実上の捨て駒だ、ま、死なせるつもりがないからこそ行かせたんだろうが』

 

「死なせるつもりがないって? 実際揉め事は起きてフェリーンは怪我したわよ?」

 

やったのはこの男だが

 

『あの時に潜入してたやつら、若い奴しかいなかったろ』

 

「一人老け顔だった気がするけど、大体そうね」

 

『あの作戦を考えた奴は心優しいんだろ、未来ある奴らを死なせたくなかった、それだけだ』

 

「……他の人たちはいいの?」

 

『いやよくない、だからアイツは祈ってたな、いるかもわからん神様に。戦いになった時、一人でも多く生き延びられるようにと、このご時世に殊勝なことだ』

 

「……そこまでわかっててあんな事する?」

 

『多少の痛みがなければ人は服従という選択肢はださない。文字通り、わからせる必要があった、それだけだ』

 

「それでも、その人はこんな結果になるとは思ってなかったと思うけど」

 

先の爆発、何人巻き込まれたのか定かではないが現状の人数で対処できるほどには減っている

半分、いやそれ以上は生き埋めか、圧死か

人の気持ちがわかっていながらこんな判断をするのはらしいといえばらしいが

あまり気持ちのいいものではない

 

『結果には過程が付きまとう、いいじゃないか、一応目論見通りにはなってるんだし、細かいことまでいきわたってないのは祈った相手が悪かったんだろう』

 

「……神様なんて嫌いなくせして、そういう時だけ一方的に責任を擦り付けるのね。信じてないでしょあなた」

 

『失礼だな、ちゃんと信仰してる神はいるぞ』

 

「なによ、自分勝手に動くことを許してくれる神様?」

 

『まさか、そんなヤワなもんじゃない、もっと立派な神様だ』

 

「どんなのよ」

 

『誰も知らない神様、この世界の誰も、俺も知らん奴だ』

 

「……意味が解らないんだけど」

 

『そのままさ、いるかもわからんものに無駄に信仰を重ねるなら、最初から真偽のほどがわからん奴を祈った方がいい』

 

『聖職者の方に怒られますよ』

 

『わからんぞ、逆に褒めたおされるかもしれん、新しい信仰だってな』

 

『そんなわけがないでしょう』

 

なにやら会話が逸れてきてる気がする、リーダーの人物像の話だった気がするが

つまりあの斥候は捕まることが前提の作戦、そして情報を話させる

確かに好戦的な面子ではなかった、フェリーンが反抗したのも追い詰められたからだろう

もしかしたら話しようによっては説得に応じてたのかもしれない

結局、ストレイドが介入して流血沙汰になってしまったが

 

『……密告では駄目だったのか?』

 

情報を渡すならもっと別の方法もある

そのことが気になったのかドクターが聞く

 

『無理だったんだろ、でなきゃこんなわかりにくい手は打たない』

 

『その人物は、こちらに降伏してくれないのか?』

 

『しないだろ、立場があるし、なにより志こそ同じなんだ。そいつが受け入れなかったのは自爆特攻の件と、無謀な侵攻作戦だけ、無駄に人を死なすべきではないと判断するぐらいの良心があるんだろ』

 

『ならばこちらの呼びかけに応じてくれるかも――』

 

『あり得ない、同じだって言ったろ、そいつも感染者なんだ、やられることはやられてる』

 

『……迫害か』

 

『ああ、理由こそ知れば真っ当と思える怒りだ、復讐事態は許容するだろう、それでも止めようとしたのは褒めてやるが』

 

「……なんだかこんがらがってきたわ」

 

『ま、早い話が助けてくれって事さ、どんな手を使ってでも自分たちを止めてくれってな』

 

助けてくれ、止めてくれ

彼らの意思が復讐に傾いている以上、個人の意思で止めることは出来ない

そこで一緒に協力するふりをして情報の漏洩を画策した

そしてそれはストレイドという傭兵を通じて来るべきとこに来た

理解は出来た、だが気になることがある

 

「ねえストレイド」

 

『なんだ?』

 

質問する

 

「あなた、どうしてそんなに詳しいの?」

 

『ああ、それか』

 

先ほどから内部事情に嫌に詳しい

アイツ、とも言っていた、祈っていたとも

面識があるようにしか思えない、どうやって知ったのか

 

『潜入した』

 

「どこに?」

 

『ここに』

 

「……誰が?」

 

『俺が』

 

「……………………」

 

『で、探りまわって情報を手に入れた、ちなみに罠を仕掛けたのもその時だ』

 

「どうやって?」

 

『善良な一般市民のふりして』

 

「……嘘でしょ」

 

『残念、ホントだ』

 

「いや、信じられないわ、あなたが善良なふり出来るわけないもの」

 

『あ、そっち』

 

『確かに、悪事ばかり働きますからね』

 

まあ彼はただの傭兵だ

紛れこもうと思えば紛れ込めるだろう

 

『ストレイド、それがロドスに情報を持ち込んだ理由か?』

 

『ん? なんの話だ?』

 

『いや、助けてもらうためとか、龍門ではなくこちらに持ってきた理由』

 

『ああ、それか、違う』

 

『なに? なら何故』

 

『言わなかったか? 理由』

 

『言ったか?』

 

『言ったろ、面白そうだったからって』

 

『……あれは本気だったのか』

 

『ああ、嘘は嫌いだとも言った』

 

『傭兵、ドクター、話が逸れている、聞きたいのはリーダーの特徴のはずだ』

 

『そうだったな、ストレイド、相手の特徴は?』

 

もう一度聞く

 

『そうだな、じゃあまず普通の方から』

 

『頼む』

 

『そう構えるな、両方一言で済む、普通の方は変わった剣をもってる』

 

『というと、どんなのだ?』

 

『ほら、リスカム、あの時鬼ごっこで遊んだ奴らで黒いフェリーンの子、いたろ』

 

『ああ、メランサさんですか』

 

『あいつの剣に似てるものだ、切れ味がよさそうだったな』

 

「で、大きい方は?」

 

『デカい、説明不要』

 

「え、それだけ?」

 

『それだけ、盾持ちよりガタイが良かった、一回りはデカかったぞ』

 

『武器とか戦法はわからないんですか?』

 

『さすがにわからん、戦うわけにもいかなかったしな』

 

手が回るのか回らないのかわからない

なぜ一番重要な情報を持っていないのか

 

『まあ見た目がわかっただけでもいいか、アーミヤ、聞いての通りだ』

 

『了解です、こちらでも探しておきます』

 

『チェン、そちらでも頼めるか?』

 

『無論だ』

 

ドクターが二人に指示を出す

 

『で、こっちでも探しておけと』

 

『ああ、ストレイド、頼む』

 

『いいだろう、まかせておけ』

 

そういって、ドクターが何も言わなくなる

 

『さて諸君、聞いての通りだ』

 

『わかってますよ』

 

「えっと、とりあえずデカい人を探せばいいんですか?」

 

「あと、剣を持ってる人ですか」

 

「ひとさがし?」

 

『そうだ、よく目を凝らせ、もしかしたらもう倒れてるかもしれん』

 

『そんなわけがないでしょう』

 

「……無駄口は相変わらずね」

 

ストレイドとリスカムがさらに前線をあげていく

さっきからあの二人だけでやっている気がする

二人の後姿が見える

リスカムが盾で押さえ、隙を見せた者をストレイドがペイント弾で撃ちぬく

二人の動きに無駄はない、相手に付け入る隙はない

 

「……なんだか妬けるわね」

 

リスカムの相棒は自分だ、長い事一緒に戦ってきた

それでも、あの二人の方が安定している様に見えるのは気のせいなのか

少し、悔しい

 

「フランカ先輩っ! まえまえっ!」

 

「あぶないよー?」

 

「わかってるわよ」

 

向かってくる兵士を死なない程度に斬りつける

今は感傷に浸っている場合ではない

明確な標的はわかった、数を減らしつつ索敵する

やるべきことは沢山ある

 




盗られる、取られる
この話で使う意味合いとしては変わらないんでしょうがどちらにしてもしっくりきませんでした
そしてようやく出番が来たリンクス、もっと活躍させるべきだったんでしょうかね
こう書きたい、というのがあっても中々思い通りにいかないという状況
多少投稿期間を空けてでも書き込んだ方がいい気がします
そうしたらそうしたで文章量が多くなる気がしますが
まあ軽く読める話を目指してるのでこれぐらいの規模でいいでしょう

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