アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里   作:Thousand.Rex

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捨てた祈り

「リスカム! ストレイド!」

 

先ほどまで二人がいた所に炎が舞っている

原因は飛んできた物体、爆発物か何かか

 

「二人とも! 返事を!」

 

大声で呼びかける、二人は近くにいたアヴェンジャーを庇いにいっていた

爆発に巻き込まれた可能性がある、もしかしたら直撃したかもしれない

 

『やかましい、無線で叫ぶな』

 

「ストレイド! 無事なの!」

 

『ええ、私も、アヴェンジャーも無事です』

 

二人の声が聞こえたと同時に近くから重たい着地音が聞こえる

 

「ったく、耳に響くだろうが」

 

「あなた、どこから……」

 

「え? 今、上から来ました?」

 

バニラが驚いている、こちらも同じ感想だ

着弾地点ではなく、すぐ近くにいつの間にかいた

しかも走ってきたのではなく、落ちてきた

片方の腕にアヴェンジャーを担ぎ、もう片方はリスカムを抱えている

 

「あの、今のは――」

 

「それは後です、厄介なのが来ました」

 

ジェシカは何か見たのか、ストレイドに聞こうとしてリスカムに遮られる

確かにお喋りしている暇はない、薄くなった煙の先を見る

倒壊しかけたビルの外壁に穴が開いている

その中で大きな影が動いているのが見える、その近くには複数の人影

 

「団体客のお出ましだ、やれやれ、タチが悪いな」

 

『ストレイド、状況を』

 

「例のデカブツだ、周りに取り巻き、一気に数が増えた」

 

『わかった、応援を寄越す』

 

「ああ、間に合うといいがな」

 

今回は拒否はしない、素直に受け入れる

 

「鉄仮面、ドローンで何人いるのか見れないか?」

 

『建物の陰に隠れてるせいで数字は確定できない、だが今までで一番多い』

 

「そうか、まあ丁度いいか」

 

「何を言っているんです、こんな時に」

 

「なんでもねえ、さっさと迎撃態勢をとれ」

 

「じゃあ降ろしてください、これでは向かい打つのもままなりません」

 

「おらよ」

 

「いたっ!」

 

リスカムを文字通り落とす、腰をさすりながら立ち上がる

 

「鉄仮面、お前の近くに敵はいるか?」

 

『いや、いない』

 

「ならそこが一番安全か、こいつをそっちに持ってく」

 

『アヴェンジャーを?』

 

「そうだ、今回の件、一番わかっているのはこいつだ、死なせるわけにはいかん」

 

『だがそこからは遠い、どうやって連れてくる、敵も目の前だぞ』

 

「それは俺に任せろ」

 

アヴェンジャーを肩に担いだままドクターのいる方向を向く

確かに今回の件、一から十まで知っているのはアヴェンジャーだ

先ほどの爆発もある、巻き込まれる危険があるなら避難させるのは間違っていない

重要参考人である彼を安全なとこに移動させるのはわかる

ただ気になることが一つ

 

「どうするの、運ぶにしてもここからは離れてるわよ」

 

ここには輸送車のようなものはない、人力で運ぶにも先の崩壊のせいで道も荒い

敵の攻撃もくるだろう、人をどこかに送るには厳しい状況だ

 

「任せろと言った、リスカム」

 

なんのこともないように言い、リスカムの方を見る

 

「はい、なんでしょう」

 

声をかけられ、リスカムも目を合わせる

ストレイドが爆発物が飛んできた方を見る

そして言い放つ

 

「頼んだ」

 

「頼まれました」

 

「え? ちょっと!!」

 

言われ、リスカムが一人前に走っていく

止める間もなく行ってしまう

 

「あなた! 何を考えてるの!」

 

「あいつなら問題ない、それにこれが確実だ」

 

「何を――」

 

何か言おうとして、また噴出音が聞こえる

穴から飛んでくるそれは、最悪の破壊兵器だった

 

「ロケットッ!?」

 

それは火を噴き、一直線にリスカムに飛んでいく

リスカムが盾を構える、体が淡く光る

 

『アーツ、起動します』

 

盾に仕組まれたユニットを介して、電流が周囲にバリアを張る

弾頭が直撃する、爆発にリスカムが包まれる

煙が晴れる、そこにはバリアを維持したままのリスカムがいる

 

「オーケーだ、そのままデカブツの射線をふさげ、後ろに送るな」

 

『了解』

 

「フランカ、囮役はリスカムがやる、お前たちの方に飛んでくるのも抑えてくれる」

 

これはこの場を凌ぐための作戦なのだろう

彼がリスカムにやらせようとしていることはわかる、だが相応の危険が伴うものだ

 

「だからって彼女一人にする気!?」

 

「問題ない、戻ったら俺も前に出る」

 

「それでも無茶よ!」

 

反論する、だが一蹴される

状況を考えると最善だ、それでも納得できるものではない

一応、後で一緒に前に出るつもりらしいがそれまで持つか

 

「ジェシカ、バニラ、リンクス、手筈は変わらない、リスカムが流した奴らはお前らが叩け」

 

「いや、でも先輩一人じゃ――」

 

「くどい、無駄死にしたくなければ隊列は崩すな、フランカ、お前もだ」

 

「っ! ……わかったわよ!!」

 

「よろしい、すぐに戻る」

 

反論も許さずにアヴェンジャーを担いで走っていく

ストレイドが燐光を纏い地面を蹴る、跳躍する

 

「はっ!?」

 

「なっ、どうなってるの! それ!?」

 

だがそれは、常人の跳躍力ではない

 

「たかーい」

 

「……ストレイドさん、あなたは一体」

 

ビル一つを飛び越せるのではないか、それほどに高い

異常だ、加速なんかで説明がつくものではない、身体強化の類ではないのか

あっという間にこの場を離れていく

 

「あなた、カンガルーか何か?」

 

『まさか、鉄仮面、車が見えた、そっちに連れてく』

 

『……了解した、アーミヤ、チェン、援護に行かせられるものはいるか』

 

『はい、アドナキエルさん、カーディさん、お願いします』

 

『フェン、ビーグル、あちらに回れ』

 

無線からは各々の指示が飛んでいる

 

『敵影確認、あれはバズーカですか』

 

リスカムの言葉で視線をビルに戻す

 

「……なによあれ」

 

「げぇ、ゴッツイなぁ……」

 

「大きいですね、それに守備兵も多い」

 

「ろぼっとみたい、がちがち」

 

そこには、酷く大きい図体の男がいた

重装兵より大きい、のしのし歩いてる

分厚い防弾チョッキにフルフェイスのヘルメット

その手には、カートリッジ式のロケットランチャーが

もう片方には大盾が、ちょっとやそっとじゃ倒れそうにないほどの重装備だ

 

『周囲の敵兵、確認しました、数が多いですね』

 

その周囲には近衛と思われる兵士が並んで歩いて来ている

 

『全て相手取ろうとするな、お前の役目はランチャーの弾着阻止とデカブツの妨害だ』

 

『了解、取り巻きはフランカ達に流します』

 

「どうしてそう納得できるの!」

 

彼の言葉に二つ返事で了承し一人で前に出た

それが出来るのが彼女しかいないとしてもすぐに行動に起こせるようなことではない

ストレイドを信頼しているからとしても割り切れることではない

 

『危険ですが戦法としては正しいです』

 

「少しは自分の身を案じなさい!」

 

『わかってます、無理はしません』

 

普段から人のことをとやかく言うくせしてこういう時は真っ先に自分から死地に飛び込む

これだからあれこれイタズラされるのだとはわからないのか

 

「フランカ先輩、来ます!」

 

「くっ…………わかったわ、でも死なないでね」

 

『大丈夫です、この程度の爆発なら耐えれます』

 

「ふらんか、わたしはりすかむにしゅうちゅうする?」

 

「ええ、お願い、こっちに来たのは私とバニラとジェシカがやる、あなたはリスカムの援護を」

 

「わかった、がんばる」

 

各自の役割を確認する

構える、前からリーダーの近衛兵が来る

 

「オォォォッ!」

 

まっすぐに、反撃を恐れずに向かってくる

斧を振り下ろしてくる、それに剣をあわせる

抑えるのではなく、軌道をずらす、体制を崩したところに一撃入れる

脇腹を斬る、それで下がるだろう、深い傷ではない

ところが

 

「ぐ、があぁぁ!」

 

「なっ! このっ、倒れなさい!」

 

斬られたことを顧みずに追撃してくる

思わず斬りつけてしまう、先ほどよりも深く、強く

近衛兵が倒れる、だが目は意識を失う寸前までずっとこちらを向いていた

そこには、悍ましいほどの怒りと憎しみを感じた

 

「……なんなの、こいつら」

 

兵は動かない、ピクリとも

出血がひどかった、そのショックで死んだのか

 

「こ、のおぉぉ!!」

 

バニラがハルバードを敵兵に深く突き刺している

敵は刺されながら武器を振り上げる、とっさに離れる

倒れる兵を見るその顔には緊張と恐怖が見える

 

「止まってください!」

 

ジェシカが相手の手足を撃っている

だが撃たれたものは負傷部位を引きずりながら向かってくる

 

『到着だ、鉄仮面、ここに置いていく』

 

『わかった、彼は預かる、君は早くあちらに』

 

『言われるまでもない』

 

「ストレイド、こいつらは何?」

 

運び終わったであろうストレイドに質問を投げかける

 

『見ての通りだ』

 

「わかるわよ、だから聞いてるの」

 

先ほどまでの奴らとは違う

彼らは負傷した時点で引くか投降するかを選んでいた

多少しぶとくとも気を失わせる程度で済んだ

だがこの兵士は違う

こちらを恐れていないのか、傷つくことを厭わないのか

ただ向かってくる、こちらを殺しに、執念のままに

己が死ぬことを構わないとでもいうのか

 

『ぐっ! レイヴン、奴らはなんですか』

 

向こうでリスカムがリーダーの取り巻き相手に戦っている

周囲に三人、リンクスの援護を受けながら盾で押し返している

 

『直にわかる』

 

直後、噴出音が聞こえる

リーダーのランチャーから弾頭が飛び出す

それはリスカムの方に飛んでいく

その周りには仲間がいるにもかかわらず

着弾、爆炎が周囲を包む

煙の中からはバリアを張ったリスカムが出てくる

 

『……そういうことですか』

 

『ああ、そういう奴らだ』

 

弾着地点には、燃え上がる何かと、焦げた欠片

そして、持主のわからぬ千切れた手足

 

「っ! この!」

 

向かってくる兵の剣を抑える

そして問いかける

 

「あなた達! 何のつもりなの!」

 

兵士は爛と輝く目を向け答える

 

「なんのことだ」

 

「とぼけないで! 今あなたの親玉は仲間ごと撃ったのよ、何も感じないの!?」

 

「別に何も」

 

なんてこともないように言う、動揺している様子はない

あの惨状を理解したうえで言っている

 

「人の心がないのかしら」

 

「それはこちらのセリフだ、女狐」

 

息が荒くなる、兵の力が強くなる

 

「心がないだと? それはお前たちの行いを知って言うのか?」

 

「何を……!」

 

「お前たちは、我々に手を差し伸べたか? 病にかかった者を救おうとしたか?」

 

被害者の集団と言っていた、行く当てのなくなった感染者の集まりだと

 

「いやしなかった、助けることはせずに放ることを選んだ、ましてや故郷から追い立て、追放した!」

 

彼らを突き動かすのはこの世への恨みと憎しみ

不条理な事象への反抗だ

 

「中には幼子もいた、生まれたばかりの赤ん坊が、親とはぐれた子供たちが!」

 

圧し掛かる重さが強くなる、武器を握る手からは血が滴っている

ここまで力を入れて握りしめていることにこの男は気づいていないのだろう

 

「これは、一種の聖戦だ、淘汰されていった者の為の、この世の感染者を救う為の戦いだ」

 

彼らは救いのないことに絶望してしまったのか、だから身を挺して戦おうというのか

自棄になっている、どうしようもないなら、ならば最後に一矢報いてやろうと

 

『耳を貸すな、フランカ』

 

「そうだ! そうやって見えぬふりをして、化け物と罵って、我らを侮蔑した!」

 

無線からストレイドの声が聞こえる、その声が聞こえてしまったのか、兵が更に興奮する

 

「感染者を救うために戦うのだ、そのための犠牲になろうと構わない」

 

「だからって、味方ごと撃つ奴に付いていくわけ?」

 

「ああ、彼は俺たちの祈りを肯定してくれた、同情ではなく、同士として共に進もうと

ならばいくしかあるまい、俺たちの怒りを世界に示す」

 

「こ、の……!」

 

「化け物などというのなら、本当の化け物になってやろう、我らは死を恐れない

たとえ朽ちようと、手足をもがれようと、最後までお前たちを許しはしない」

 

怨念、というのはこういうものを言うのか、呪い殺してやるとでもいわんばかりに睨んでくる

 

「無意味に願うぐらいなら、呪詛でも吐いている方が幾分マシだ

 

ただのうさ晴らしと言われようとも、安穏と過ごしている奴らに報いを――――」

 

「うるさい!!」

 

「がっ!!」

 

止まらない口に頭突きをかます

そのまま剣の腹で頭を思いっきり殴る

 

「ジェシカ!こいつの両手足を撃ちなさい!」

 

「は、はいっ!」

 

発砲音、体制を崩した兵の手足から血が出る

蹴り倒して剣を突きつける

 

「救うだ救わないだ、そんなことはこの際どうでもいいわ」

 

「ちょっ先輩! 他の敵が――」

 

「やかましいっ!!」

 

振り向きざまに後ろからきていた兵を斬る

両膝に一閃、武器を持つ手に一撃

 

「そんな御大層な理屈を語る前に足掻きなさい!」

 

「足掻いたからこうなっている!」

 

「ならもっと足掻きなさい!」

 

倒れた兵に向き直り怒鳴りつける

 

「諦めた奴らがピーキャー騒がないで! 助けてほしかったんなら大声で泣き続けなさい!」

 

言った勢いのまま相手の頭を蹴る

いい感じに音が響いた、兵は動かない

 

「ストレイド、あなたこの事知ってたのよね」

 

『ああ、知っていた』

 

「ロドスに伝えた理由はコレ?」

 

『違う、偶然だ』

 

「そう、なら結果オーライね、彼らはどっちみちロドスで保護するわ」

 

『保護か、なるほど』

 

「ついでにあなたもよ、覚悟なさい」

 

『どうしてそうなる』

 

「あなたもこいつも、グチグチうるさいのよ、理屈ばかりで動いて、助けが必要な時に周りを頼らない人は嫌いなの」

 

『頼った結果がこれだと思うが』

 

「ならもっと頼ればいいのよ、相手が根負けするぐらいに」

 

『滅多に聞かないご高説だ、理屈で動く男は嫌いか?』

 

「ええ、大嫌い」

 

『マジかよ、フラれたぜ』

 

『ふざけてる場合じゃありません』

 

爆発音、もう一度煙が巻き上がる

リスカムが炎の中で立っている、防いだらしい

 

『レイヴン、そろそろ数的にきつくなってきました、今どこですか』

 

『すぐ近くだ、もう少し耐えろ』

 

『りょうか――』

 

 

『はあぁぁぁっ!』

 

 

『なっ!?』

 

「バニラ!?」

 

リスカムの傍にいつの間にかバニラがいた

 

『バニラ! フランカ達のところに戻りなさい!』

 

『嫌です! 先輩を一人で戦わせるわけにはいきません!』

 

圧倒的に不利な位置で孤立しているリスカムを案じて加勢に行ったのだろう

だがリスカムが一人でいるのにはわけがある

 

「バニラ! 戻ってきなさい!」

 

今、リスカムとフランカ達はわざと離れている

理由は相手のリーダー、正確にはその手に持つ武器

ロケットランチャー、炸薬を詰めた弾頭を発射する重火器

着弾地点は爆風に飲まれる

それは集団に向けて撃つことで劇的な効果を見せる

 

『くっ……バニラ! 後ろに!』

 

それをリスカムは防いでいた

こちらに飛ばないように、自ら射線に飛び込んで

だがその盾はアーツのバリアを張っても彼女自身しか護れない

近くの者までは効果が及ばない

 

『ッ!!』

 

『わっ!?』

 

リーダーがリスカム達にむけて撃つ

防ぎはする、が

バニラが爆風にあおられ大きく飛ぶ、その拍子に倒れる

 

『バニラ! 立ちなさい!』

 

リスカムと距離が離れる、近くに行こうとするが他の兵が抑えに来る

 

『いった……』

 

立ち上がろうとする

 

「バニラちゃん!」

 

「バニラ! なんでもいいから避けなさい!」

 

その近くには斧を振り上げる男

 

『まず……』

 

武器を取りなんとか防ごうとしている

だが動きが鈍い、爆風で吹っ飛ばされた時に体を強く打ったのか

あれでは凌げない

ここから走っても間に合わない、距離が遠い

リスカムも足止めを食らって動けない

ジェシカの銃でも仕留められなければ相手は止まらない

 

『あ、これ死んだかも』

 

どこか抜けたことを言う

斧が振り下ろされる、バニラの頭に到達しようとする

 

 

 

重たい銃声が響いた

 

 




戦闘シーンは苦手です
どうやって書けばいいのかわかりませんね
とりあえずは手探りでやっていきます
あと自分の書いた話をざっと見返したんですが中々適当な部分が多いです
出来るだけ早く投稿しようとして速度重視で書いてた結果なんですが
やっぱり時間はかけるべきなんでしょうかね
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