アークナイツ.Sidestorys 鵬程万里 作:Thousand.Rex
繋ぐ者
ロドス・アイランドによるレユニオン強襲作戦は終了し、撤収作業を開始していた
負傷者は回収し、死者は後程、それぞれの故郷へと埋葬される
それが、せめてもの手向けだろう
「……ふう」
各々が慌ただしく動く中、一人、通信車両の近くで一服している男がいた
通信車両付近には人はいない、車内にも、誰もいない
誰も彼に近づこうとはしない、声をかけることも、しようとしない
それもそうだろう、彼はロドスアイランドに宣戦布告をした男
けして味方ではないと、そう宣言した傭兵
この作戦の発端であり、散々戦場をかき乱した化け物だ
「よく働くねえ、どいつもこいつも」
一人、何もせずに周囲を見回している
彼が何もしないのは、やる気がないからではない
単純に、手を貸す余裕がないのだ、彼が、ではなく、彼らが
戦場で起きたことはある程度オペレーターに通達された
ある男の起こした惨状も、伝えられた
そのせいで一部のオペレータは彼に恐怖を覚えている
数百人、一人で殺した男、それだけで十分脅威の対象だ
さらに味方ではないと証言している、警戒するのも無理はない
何人かは彼の方に視線を向けるが、誰も声をかけない
まだ何者か確定していないものに声をかけるものはそうはいない
「……やあ、調子はどうかな」
「ん? 良好だよ、鉄仮面」
余程の理由がなければ、声はかけない
「こんなところでサボりかな?」
「ああ、暇を潰させてもらってる、悪いね」
彼に声をかけたのはドクター、その後ろには、アーミヤとチェン
ドクターの後ろで、ストレイドに警戒の目を向けている
「ほう、両手に華か、羨ましいな」
「君もリスカムとフランカを隣に置いていたろう、大して変わらない」
「フランカはいいが、リスカムはちょっと色気がない、劣情を催すには色々足りん」
「そういうことを聞いてるわけじゃないんだが……」
「それで、世間話をしに来たわけじゃないんだろ?」
「ああ、幾つか聞きたいことがある」
「いいだろう、答え合わせといこうじゃないか」
煙草を捨て、足で踏み消す、そしてドクターと向かい合う
「まず最初に……そうだな、あの羽から」
「まあ、そうだよな、いいぜ」
「ならお言葉に甘えて……あれは、何かな」
ドクターの視線が少しずれる、ストレイドの顔から、その背中に
少し前、この男は空を飛んだ、生身で、なんの機材も使わずに
しかも自由に動き回れるらしい、それこそ、鳥が空を飛ぶように
「見ての通りだ、羽だよ、空を飛ぶための、翼だ」
「それはわかる、ただ常軌を逸していてね、とても説明がつくものではないんだよ」
「だろうな、似たような状況に陥ってる奴なんかそういないだろ」
「あれは何だ、アーツの一種なのはわかるが、原理がわからない」
「簡単だ、鉄仮面」
ストレイドが説明を始める
「あれはな、推進力を生んでいるんだ」
「推進力?」
「そう、飛行機が飛ぶように、ロケットが飛ばされるように、ヘリがプロペラから生み出すように、空を飛ぶための、推進力が生み出せる」
「……つまり、人間ロケットか?」
「違う、例えるなら人間ジェネレーターだ」
「ジェネレーター?」
「そ、動力を生み出す、推進力という名の、動力だ」
「ブースターとは違うのか?」
「若干違う、推進力自体おまけなんだよ、本命は、こっちだ」
その体から光が湧き出る、火の粉のような、チラつく光
「これが、この黒い粒子が、俺のアーツだ、ただ純粋に、俺の体を飛ばすエンジン」
「これ自体に、秘密があるわけか」
「ああ、ま、俺もそこまでわかっちゃいない、もしかしたらもっといい使い方があるかもしれん」
光が彼の背に集まっていく、それは、ある形を作る
黒く、崩れてしまいそうな、幾何学的な羽
三対、六枚の羽、そして舞い散る火の粉
まるで熾天使を思わせる、そんな様相
「……触っても?」
「触れるならな」
ドクターが手を伸ばす、だが、透けてしまう
「実体はないのか」
「ああ、そのくせ不気味な代物だ」
「どうしてだ」
「なに、実験してたら奇妙なことがわかっちまってね」
「と、言うと、どんな実験だ」
空に向けて指をさす
「飛んだろ、俺」
「ああ、飛んだな」
「どれくらい、飛べると思う?」
「……それは、距離か? それとも速度か」
「そのどちらもだ、随分おかしな結果がでちまった」
「どうなった」
「興味津々だな、ホントに解剖されちまう気がしてきた」
「そんなことはしないよ、私は」
「……する奴がいるのか、恐ろしいな」
羽から粒子が出る、体が少し浮かぶ
「どう思う?」
「というと」
「お前は今、ブースターをふかしている、ちょうど噴出孔にいるはずだ」
「……そうだな」
「風なりなんなり、普通、感じないか」
「そうだな、だが、何もない」
「そ、これはそういうものだ、何の影響もなく、影響を出す、不可思議なもの」
「干渉はしないと」
「ああ、それ相応に反応が返って来れば、まだやりようはあるんだが」
「何故そんなことを言う」
「これ、ホントに何も干渉しないんだ、俺自身に負担を与えない、何も」
「……負担」
「速度、どれくらい出ると思う」
「……どこまで出た」
「さあ、音速までは試した、で、それ以上はやってない」
「生身でか?」
「生身で、しかも周囲の物も影響なし、この粒子、とんでもない代物だな」
「……音速、以降は」
「試してないって言ったろ、音速で無傷なのに光速も無傷だ、なんてことになったら笑うしかない」
「確かに、笑うぐらいしかできないな」
羽が消える、ストレイドが地に足を付ける
「しかも丸一日飛んでも消えない無限ジェネレーターだ、限界はないのかね」
「よくも使えるな、こんな不明瞭なもの」
「使えるものは使う、それが傭兵のやり方だ」
この傭兵のアーツは性質がわかっていない
わかっているのは、推進力を生みだし、何らかの空気抵抗の軽減をしていること
本来あるべき事象も何故か起こらない
音速に到達するならそれ相応の衝撃が体を襲う
けして生身で耐えられるものではない
そして、限界はまだわかっていない
「加速紛いと言っていたのは、それが理由か」
「ああ、実際、推進力以外の何かで飛んでる可能性もある、確証がないんだよ」
「……羽の形になるのは、元からか?」
「そうだな、わからん」
「なに?」
「それこそ不明だ、どうして羽なのかね」
不敵に笑う、ある程度予想はついているんだろ? そう言うように
「……わかった、アーツの話はここまでにしよう」
「そりゃ結構、説明できないものの説明ほど疲れるものはない、で、お次は?」
「……少し、不快な話になるかもしれない」
「だろうさ」
ドクターが傭兵の頭上を見る
そこには、なにもない
「……君は、サンクタ、なんだな?」
「ご名答、まあ奴らのファイルに俺はいないがな、ラテラーノ人としてはカウントされてない」
「そうなのか」
「こんな奴、あの不自然なほど綺麗な国にはいらんのさ」
彼がサンクタなら、あるべきものがそこにあるはずだ
だが何もない、彼ら特有の、光輪が存在しない
「……光輪は、どうしたんだ」
「割れた」
「……割れた?」
「正確には崩れた、黒く変色して、ボロボロになっちまった」
「それは、鉱石病が原因か」
「それ以外に心当たりがあるのか?」
「……いや、ないな」
光輪はおろか、その背にあるべきものも、実質存在していない
ラテラーノ国に多く属する天使のような見た目の種族、サンクタ
その頭上には光輪、背には羽、サンクタをサンクタ足らしめる、文字通りの象徴
それが彼には存在しない
「なんだ、随分深刻な顔してるな、そんなに酷かったか」
「ああ、なぜ生きているのか、不思議なほどには」
「治療も抑制もしてないからな、よくも死なずにいるものだ」
鉱石病の影響で体に変化が訪れた例は幾つかある
角や爪の肥大化、記憶の忘却、光輪の位置の変化
彼のような症状も、あり得なくはない
「……医療に携わるものとして、君に伝える義務がある、いいだろうか」
「構わんよ、で、どんな具合だった」
「そうだな、ではまず、背中の浸食について」
鉱石病に罹ったものは幾つか症状の深度が分けられる
最初は血液から体に混ざり、臓器に浸食、源石が分布し陰影が映るようになる
「君の背中、羽の付け根というべきか、広い範囲に、源石が表れている」
「知ってる、肩胛骨のあたりか、意外と違和感のないもんだな」
その次の深度に至ると、体表に源石が浸食、そして最後は、感染者自身が源石になる
それが鉱石病に感染したものの末路、逃れようのない終焉
「これが、一つ目だ」
「ん? まだあるのか?」
「ああ、それについて見せたいものがある」
「なんだ」
ドクターがファイルを渡してくる
「……ほう、面白いことになってるな」
「笑い事ではないよ」
中にはレントゲン、写っているのは、背骨、正確には、脊髄
「これが、君の脊髄の状況だ」
「浸食率は」
「八割、といったところだ」
「二割ある、十分だ」
「どこがだ、君は末期だぞ、すぐにでも対処しなければ――」
「死ぬか、だろうさ」
「……軽く言うな」
「別に、どうせいつか死ぬんだ、それが今だろうと大したことはない」
写っている写真には、まともなものは写っていない
あるのは、黒い影に覆われた脊髄
「君、体の感覚はあるのか」
「ある、困ったことにな」
写真をドクターに返す
常人ならもっと衝撃を受ける事項だ
それをさらりと受け入れるのは、その精神力故か
「それで、そんな事を伝えてどうするんだ」
「わかっているだろう、君のことだ、予想している」
「その通り、入院しろって言うんだろ?」
「そうだストレイド、ロドスに来てくれ、君は重病人だ。放っておくわけにはいかない」
「えー、面倒くせえ」
「これは命にかかわることだ、見過ごせない」
「はあ、甘ちゃんだな、あんた、こんな奴を抱え込もうというのか」
「それが私たちの役目だ、感染者を助け、治療するのが――――」
ストレイドの目が鋭くなる
同時に銃を引き抜く、照準は、ドクター
「ほう、いい反応だ、もっと早く動ければ止めれるぞ」
「傭兵、銃を下ろせ」
「断る」
「ストレイドさん、お願いします、武器を下げてください」
ストレイドが動くと同時にチェンとアーミヤが武器を構える
片方は剣を、もう片方は背に菱形のなにかを発現させて
「……ストレイド、これはどういうことだ」
「なに、こっちも聞きたいことがあるのさ」
「下せと言った、傭兵」
「まあまあ、あんまり騒ぐと撃つぞ」
「それはさせません、引き金を引く前に、止めてみせます」
「出来るといいな、キラーラビット」
笑う、ただその目は笑っていない
先ほど、無慈悲に殺したときのように、ドクターをまっすぐ見据えている
「これは、警告の続きか?」
「違う、天秤に計ってるんだ」
「何を」
「お前の命を」
チェンとアーミヤの顔が険しくなる
「私の命か、最初からこれが目的か?」
「そうだな、そのことについて謝ることがある」
銃を構えたまま、話し出す
「前、二度目の侵入と言ったな」
「ああ、言った」
「あれは、嘘だ、悪いな」
「……どういうことだ」
「鉄仮面、これは、三度目だ」
「なに?」
「過去に一度、侵入してる、その時は患者に化けてたがな。探してみろ、カツラ被った俺の写真があるぞ」
侵入、つまり、目的があって忍び込んだ
なら、その目的は何だったのか
「何のために入った」
「予想はついてるんじゃないか?」
「……暗殺か」
「そ、俺はお前を殺しにいったんだ、その時」
ドクターは微動だにせず、ストレイドを見つめ続ける
「何故だ、君に敵対していたのか、ロドスは」
「いや、違う、当時、とある噂を聞いちまったもんでね」
「なんだ」
「何、ロドスとか言う組織が感染者を集めて、よからぬことを企んでるとか」
「……………………」
「随分と冷酷な、鬼畜な指揮官殿がいるとか、そんな事を聞いちまってね」
「……それがどうして、こうなる」
「なに、私情だよ、俺個人の事情だ、お前には関係ない」
「関係あると思うが」
「まあまて、話を聞けよ」
依然、場の空気は緊張したまま
少しでもほつれが起きれば、ストレイドはロドスの敵に回るだろう
「それでだ、当時お前を殺しに行った、不穏分子として、認識した」
「殺しに来た、というならなぜ今、私は生きている」
「ちょっと理由があってな、中断した」
「何故だ、君ほどの者なら、容易くやれたろう」
「そうだな、殺せた、だがやめた」
「……………………」
「鉄仮面、仲間に感謝しろ、お前を信じるお仲間を」
「……感謝ならいつもしているよ」
「ならさらにしろ、俺がやめたのはロドスの雰囲気が原因だ」
「雰囲気?」
「ああ、噂と違って、人らしい奴しかいなかった、人体兵器とか、感情を持たぬ兵士とか
アーツ技術を使った化け物とか、そんな話を聞いてたんだが、意外と暖かだった」
「……物騒だな」
「まあ感染者を集めて実験する奴はどこにもいるからな、似たようなことすりゃ言われるさ」
「君が来たのはそれが理由か」
「製薬会社のガワを被った別物だと思ってた、だがあれは、あの温もりは偽りではない」
「……何を言いたい」
「早い話、お前が重いものを背負った奴だと、それがわかった、お前なりの正道を歩いていると」
「正道、さっきも言っていたな、それはなんだ」
「気にするな、俺の中の勝手な定義だ」
「気になる」
「お前、命を狙われてる自覚はないのか」
軽口をたたきながらも照準はぶれない
「ま、その時は引き下がったわけだ」
「そうみたいだな」
「で、しばらくしたらお前の話を聞かなくなった」
「……そうだな」
「で、またしばらくしたら変な噂が流れてきた」
「……………………」
「なんでも、別人のように優しくなったとか」
「……そうか」
「記憶を失くして、戦場を指揮しているとか」
「よくも聞きつけられるものだ」
「なに、これで結構人気者でね、協力者がいるのさ、そこそこ」
引き金に指がかけられる
「別に指揮してること自体はどうでもいい、問題は、お前だ」
「……私か」
「ああ、記憶を失くす前、お前には確かな理念があったはず、それを、今も引き継いでいるか、聞きたかった」
「……………………」
「お前が何者か、見定めに来た」
「……証明しろと、そういうことか」
「そうだ、簡単だろ、言えばいい、答えればいい」
「納得のできる答えをか」
これが、彼の本当の目的だ
いつか聞いた、とある男が違えていないか、確かめるため
その道が、外道になっていないか、見定めるため
「鉄仮面、示して見せろお前の正道を、自分が生きるに足るものだと、証明しろ」
じっと、まっすぐにドクターを見る、その目に曇りはない
間違えれば、躊躇いなく殺すだろう
「……わかった、証明しよう、私達の有用性を、君に示す」
ドクターが静かに話し出す、その声色は確かな感情が色づいている
「私は、戦うものだよ、ストレイド」
「この終わりのない病に打ち勝つ為」
「苦しむしかない人々を救う為」
「いつか、積まれた犠牲に報いる為」
「私を、アーミヤを、ロドスを信じるものに報いる為」
「私たちは、戦う、それが私の意思だ」
「……それが、答えだな」
「ああ」
「その戦いの先に、望む回答はないかもしれんぞ、それでも行くか」
「そうだ、未来を切り開く道は、それしかない」
「……へえ、存外、まともな男だったか」
不敵に笑い、銃を下げる
それに安堵したのか、チェンとアーミヤも警戒を解く、瞬間
パンッ!
「「「……………………」」」
乾いた音が響く
一発に聞こえたそれは、三人の顔を撃ちぬいていた
その顔は、赤く染まっている
血ではなく、異臭のする液体
「鉄仮面、合格だ、認めてやる、お前は世界を救うに相応しい」
ストレイドは一人、楽しそうに笑う、そうして上着から何かを取り出す
「ほれ、これをくれてやろう、きっと役に立つ、ゴミじゃないぞ」
そうしてドクターに何かを握らせる、小さな巾着袋、中身はわからない
「レイヴン、ここにいたんですか、って、何をしてるんです」
「楽しい事だ」
「怒られますよ?」
「ならトンズラだ、行こうぜ」
「あ、ちょっと待ってください」
ストレイドがやってきたリスカムと一緒にどこかへ消えていく
残された三人は微動だにしない
しばらくして、異変が起きた
「「がああああああああっ!!」」
「ほあぁ……」
アーミヤはその場にへたり込み、チェンとドクターは痛みに悶絶する
その叫び声は、皆に届いたという
「恐ろしい事をしますね」
「なに、正気に戻る前に逃げればいい」
事件現場から逃げ出し、ストレイドの車へと二人は向かっていた
「ああ、皆さんあっちに集まってますね」
「いやあ、いい悲鳴だ、ぶち込んだ甲斐はあるな」
「巻き込まないでくださいね」
誰かの悲鳴が響き、他の人たちが集まっている
撃たれた三人は痴態を見られることになるだろう
「さて、これで後は消えるだけだな」
「その前に、すべきことがありますよ」
「ああ、わかってる」
指をさす、その先には彼の車
そこから少し離れた所に、バニラとジェシカ
フランカと、リンクスがいる
「睨んでるな、フランカの奴」
「でしょうね、私もあなたを許している訳ではありません」
「それが普通だ、いいのさ、それで」
バニラとジェシカはどこか不安そうに
リンクスは何も言わずレイヴンを見つめ、フランカは睨み付けている
「よう、フランカ、怒り心頭って感じだな」
「……………………」
声をかけられる、だが何も言わない
無言で彼に近づく、そして
「……ッ!!」
大きく振りかぶり、殴りつける
それを何も言わずに受け入れる
「……どうした、一発だけか?」
「ええ、これで勘弁してあげるわ、本当はグチャグチャになるまで殴ってやりたいけど」
「ぬるいな、随分」
「そうね、だけど覚えておきなさい、私はあなたを許していないわ」
「ああ、それでいい」
「……勝手に満足しないでよ、あなたも、この子も」
歯噛みしながら、レイヴンの前から退く
かわりにリンクスが前に立つ
「よう、気分はどうだ、チビ」
「……そうだね、あまりよくないかな」
「だろうさ、ま、その分なら平気だな」
「うん、だいじょうぶ」
リンクスが頷く、見ている分には狂っている様子はない
レイヴンが銃を取り出し、マガジンを入れ替える
「え、その……」
「ストレイドさん、それは」
「実弾だ、ペイント弾じゃ殺せないだろ」
リンクスを見る、その目には確かな決意が見える
「チビ、お話だ、こっちに来い」
「うん」
呼ばれ、レイヴンに近づく
お互いに向かい合う
「歩き方は、覚えたな」
「はい」
「背負うものが何か、理解はしたな」
「はい」
「お前が負うべき責任を、見つけたな」
「はい」
「ならば答えてもらおうか、お前は、何者だ」
銃を構え、リンクスに突きつける
「戦うことから逃げ出す臆病者か」
これは、彼女が何者になったか、見定めるための問答
「意味のない引き金を引くものか」
正道を、誤りのない道を、彼女が選んだか
「それとも、殺すことだけを覚えた獣か、答えろ」
彼が彼女に課した最後の試練
リンクスは彼をじっと見つめ返す
「ちがう、そのどれでもない」
その目は、輝く光に満ちている
「ならば何者だ、お前は、どの道を見出した」
ゆっくりと、はっきりと、彼女は示す
「すとれいど、わたしはたたかう」
「まもるために、たたかうよ」
「わたしのこきょうと、おなじことがおきないように」
「わたしがうばった、あのいのちにむくいるために」
「いつか、だれかに、ほこれるように」
「わたしは、まもる」
「まもるために、たたかいつづける」
「その道は、綺麗言だけでは進めない、わかっているな」
「うん、そこにてんごくはない、あるのはいのりと、それらをあざわらうじゃあくだけ」
「そうして流血に満ちていく、許しを請うことも、出来なくなるかもしれない」
「わかってる、だから、たたかうの」
「己に罪が課せられることを、理解してか」
「うん」
「その先の答えが、酷く不明瞭なものだとしてもか」
「うん」
「いつか、辿り着く為に、戦うか」
「うん、たたかう」
二人の視線がしばらく交差する
何も言わず、時間だけが過ぎていく
ただじっと、お互いに内側を見抜くよう、何かを伝えるように向き合い続ける
「……………………」
そして、そっとストレイドが銃を下す
「……いいだろう、認めてやろう、お前は正道を見出したと」
「……うん」
「なら行け、それはお前に正しさを教えてくれる、お前の理想に導いてくれるだろう」
「うん」
「進め、チビ、そうしていつか、己の魂に誇るといい」
優しく、笑いかける
「お前は立派な人だ、けして違えるなよ」
「……はいっ!」
そのまま銃を仕舞う、緊張していた空気が緩む
どうやら難は逃れたらしい
「レイヴン、これで満足ですか」
「ああ、これなら外道に迷うこともないだろう」
「外道? なによそれ」
「気にするな、お前達には関係ない事だ」
周りを見ると同じように緊張していたのか、ジェシカとバニラも安堵の息を吐いている
一応、わかってはいた、撃たないとは
それでも不安だった、この男は本気だったから
彼女が間違えれば、躊躇うことなく引き金を引いただろう
「いやはや、これで心置きなく終われるな、後はさっさと逃げるだけ」
「逃げるって……何かしたの?」
「ああ、入院しろってうるさいから鉄仮面達にぶち込んできた」
「何を」
「例のペイント弾です」
「え、あれを?」
「そ、いやあ楽しい悲鳴だったな、滅多に聞かん類だ」
「……さっき、聞こえた悲鳴って、ドクターとチェンさんでしたよね」
「そうですね、あとアーミヤさんも撃たれてましたね」
「……あなた、怖いものないの?」
「ない、恐れることなど俺には必要ない」
「せめて悪びれるぐらいしたらどうです」
まあそんな悪戯をしたということはそれなりに気に入ったんだろうが
それでもやりすぎだ、あの三人は耐えれたのだろうか
いや、叫んでいる時点でダメージは大きかっただろう
「……ねえ、ストレイド」
「ん? なんだ」
フランカが怪訝な顔をする
「その、あなた、もう行っちゃうのよね」
「ああ、そうだな」
「リンクスと、その、一緒には……」
「行かない、連れては行けない」
「……そう、よね」
レイヴンが視線をリンクスに向ける
もう一つ、話さなければいけないことがある
約束を、果たしてもらう
「さてチビ、大事な話だ」
「うん」
「お前は背負うことと、歩くこと、そのどちらも覚えた」
「うん」
「ならどうなるか、予想はついてるな」
「……うん」
「俺とお前は、ここでお別れだ」
「……………………」
「別の道を進むことになる、本来、そうあるべきだった道に戻るんだ」
「…………うん」
「泣くなよ? 湿っぽいのは嫌いだ」
俯く、まるで何かをこらえる様に
こうなるのは彼女もわかっていたのだろう
それでも、わかっていても、悲しいものは悲しいのだ
彼女はきっと、泣かないと決めているだろう
見送る側が泣いてはいけないと、誰かのように定義しているだろう
「……ねえ、すとれいど」
「なんだ、最後に頭でも撫でてほしいか」
リンクスが話しかける
「……リンクスって、よんでくれないね」
「ああ、お前の名前はそれじゃない、なら呼ぶ理由はない」
「そうだよね、うん、わかってた」
静かに頷く
「……ストレイド、呼んであげなさいよ」
「無理だな、人の名前を間違えちゃいけないって言われなかったか?」
「ふざけていないで、呼んであげなさい」
「断る」
「ストレイド……」
「フランカ、これ以上は余計です」
「でも、あの子が可哀そうよ……」
フランカを止める、正直、リンクスの味方に付きたい
ただ、これは二人の問題だ
リンクスが一人で歩けるように、けして、折れぬ心を持たせるために
いつか、自分のことなど忘れられるようにと
レイヴンの、何の淀みのない確かな願いだ
「チビ、リンクスと名付けられた少女は役割を果たしてくれた」
「……………………」
「この愚か者の願いを果たしてくれた、なら未練を残す理由はない、残される理由もだ」
「……だよね」
「悪いな」
俯いたまま、顔をあげない
きっと、我慢してる
泣いてもいいのに、それは駄目だと決めつける
誰かと似ている
本当に、よく似ている
「さて、チビ、お前の今後についてリスカムお姉ちゃんから話があるぞ」
「え?」
「リスカム先輩が話すんですか?」
「ああ、任せた」
「任されました」
レイヴンが少し下がる、代わりに前に出る
「リンクス、まずは賛辞を、あなたが彼に答えを示せたこと、正道を見つけられたこと、とても嬉しく思います」
「……ありがとう」
「……強いですね、あなたは、ええ、本当に強い」
こちらを見上げる
白髪の、フェリーンの少女
初めて見た時はか弱い子供だと思っていた
それがこうも気丈な子だとは思わなかった
「リンクス、今から伝えることは、彼からのお願いです」
「……すとれいどの?」
「ええ、彼から、願われてしまいました、困りものですね」
これは、正しい道に行かせたいという彼の願いだ
なら、応える義務が、自分にはある
「リンクス、あなたの身元はBSWで預かります」
「は?」
「なっ」
「ちょっと、リスカム、どういうこと」
「……びーえす、だぶりゅー、それって」
「ええ、彼が昔在籍していた警備会社です」
フランカ達が驚いている、まあさっき言われたことだ
本社も聞いていない、無理もない
「ロドスで保護するんじゃないの?」
「ええ、まだ伝えている訳ではではありませんが、彼が話を通してくれるという事です」
「そうだ、脅迫状……もとい、推薦状を書いておく。俺の名前を見れば奴らもおとなしく聞き入れるだろう」
「……聞くわね、確かに」
「事の仔細もその時に言えばいい、出向かなきゃいけないのが面倒だがね」
「あら、来るの?」
「俺を知ってる奴らがどんな顔するか、いまから楽しみだ」
「……どんな顔するんでしょう」
「さあ……」
一応、理由はある
ロドスは本来、感染者の為の組織
治療の為、その命を諦めぬ為
けして誰も、見捨てぬ為に結成された医療組織
そこに感染していない少女を押し付けるのは道理に合わない
ドクターならきっと受け入れるというだろうが、きっと彼女の為にならない
リンクスが戦うというなら、護るというなら、これが最適解だと彼は言った
「ま、鉄仮面には適当に言っておけ、チビが回り回ってお前のとこに行くと」
「……喜べばいいのか、わからないわね」
「ここは喜べよ、可愛い可愛い新人が来るんだぞ? 先輩としては腕が鳴るものだ。そうだろ? ジェシカ、金ヴルちゃん」
「こっちに振ります?」
「後輩だぞ? 可愛いぞ? そのうえ強いぞ? 仕事が楽になるに違いない」
「……私より強いんですけど」
「なら負けないように気張るんだな、それじゃ、話すことは話したな」
そう言って車に向かおうとする
「……………………」
それをじっと見つめるリンクス
口を開いて、すぐ閉じる、また開いて、やはり閉じてしまう
別れの言葉を言いたいのだろう、さようなら、ただ一言、言いたいだけだろう
だけど、言えないのだ、泣いてしまいそうで、ほつれてしまいそうで
「……レイヴン」
「……話すことないんだがな、ああそうだ」
振り返る、そうして聞く
「チビ、お前の名前を教えてくれよ」
「……なまえ」
「ああ、山猫でなく、お前自身の名前だ」
彼女の名前、彼が付けた名でなく、本来の名前
彼の目論見通り記憶を取り戻したなら名前を思い出したはず
なら、聞きたくなるのはおかしくない
「……ききたい?」
「聞いてみたい、名前には総じて意味があるからな、お前の親がなんて付けたか聞いてみたい」
「そう、なら」
「なら?」
「おしえない」
「おっと、マジか、ご立腹か? チビ」
だが教える気はないらしい、レイヴンが仰々しく驚いたような仕草をする
それとは逆に、真剣な顔でリンクスが彼を見る
「おしえてほしいなら、わたしをよんで」
「ちびじゃなくって、べつのなまえでわたしをよんで」
「あなたがくれたなまえで、わたしをよんで」
「リンクスって、そうよんで」
「……リンクス」
「……それは、無理な願いだ、業が深くて出来はしない」
「どうしてそう、人がやってほしい事をしてあげないの、あなたは」
「許されないからだよ、フランカ」
きっと、これが最後だ
彼と話せるのは、これが終わりだ
だからこそ、反抗したのだろう
せめて最後に、彼に報いるために
少女は語り続ける
「リンクスとよんで、あなたにわたしはそうよばれたい」
小さな声で、語り続ける
「ふらんかがあなたを、すとれいどとよぶように」
あと一度
「りすかむがあなたを、れいぶんとよぶように」
たった一度でいい
「あなたにとってわたしは、リンクスでありたいの」
その名を呼んでもらう為
「つなぐものでありたいの」
その役割を果たす為
「あなたがそう、ねがってくれたように」
誰かの願いを果たす為
「あなたと、つながりたい」
きっと、誰かの心を救う為
「だいじなきずなを、つなげていたいの」
せめて、記憶に残す為、少女は願う
「……参った、俺は子供に論破される運命らしい」
「自業自得ですよ、諦めなさい」
「やれやれ、頭が痛いな」
困ったように頭を掻く、これは折れかけている
だけど、きっと、呼ぶ気はないのだろう
「いいか、チビ」
「……………………」
「俺にその名を呼ぶ理由はない、それを許される道理もない」
「……いやだ、よんで」
「俺は人の願いを叶える器ではない、けして、善人ではない」
「いいから、よんで」
「チビ、俺とお前は本来会うべきでなかったんだ」
「それでもいいから、よんでよ……」
「チビ」
しゃがみ込む、そうしてリンクスの頭に手を乗せる
「お前は優しい心の持ち主だ、きっと、俺を許すだろう」
「……………………」
「だからこそ、俺は呼ばない、その暖かさに、甘えるわけにはいかない」
「……でも、よんで」
「強情だな、誰に似たんだ」
「あなたですよ、きっと」
「マジかよ、こんな頑なじゃないぞ?」
「頑固です、この場の誰よりも」
「まったく、手間をかけてくれる」
上着を探る、そうして何かを取り出し、リンクスに渡す
それは、髪飾りだった
「……はな?」
「ああ、造花だが、髪飾りだ、いつかお前に渡そうと思ってた」
紫色の、何かの花を模った髪飾り
「わたしに?」
「そうだ、いつか来る日の為、仕入れておいた」
「……いつか、くるひ」
それは、今、この瞬間の事だろう
この別れのことを言っているのだろう
「これが俺の答えだ、この花が、俺の名残だ」
「……わかんない」
「なら後で教えてもらえ、それじゃ俺は消えるぞ」
「あ……」
立ち上がる、そのまま車に向かってしまう
「レイヴン、一度だけでも呼んであげれば……」
「言ったろ、理由がない」
本当に呼ばずに行くらしい
厳しすぎる、この男は
そうまでしなければ律することが出来ないのか
だけどこれが彼の選んだ道だ
それを認めている以上、何も言うことが出来ない
去ろうとする彼を止めることは、許されない
「チビ」
ふとレイヴンが立ち止まる
そしてリンクスに話しかける
「……すとれいど」
「それは俺が勝手に付けた名だ、けして正しいものではない」
「だけど」
「お前が正道を進むなら、呼ばれる理由はない」
「……………………」
「ただ、また呼んでほしいなら」
「……ほしいなら?」
「いつか、俺に誇ってみせろ、その道を、進み続けてみせろ」
「……うん」
「そうしていつか、また、願ってみせろ」
軽く振り返り、笑いかける
「じゃ、達者でな、リンクス」
「っ! ……うんっ!」
そのまま車に向かって行ってしまう
「すとれいど、さようなら」
その背を見ながら、手を大きく振る
「さようなら、さようなら!」
声を大きくして、言い続ける
「さようなら! すとれいど!」
きっと、許す為、彼が自分を、許せるように
「さようならっ!!」
「……さようなら」
「……リンクス」
「さよう、なら……」
「リンクスちゃん……」
「……………………」
「……ねえ、ふらんか」
「……何かしら、リンクス」
「わたしは、みおくれたかな」
「ええ、立派だった」
「ちゃんと、かえせたかな」
「きっと、届いたわ」
「……ありがとう、ふらんか」
「お礼を言われるような事、してはいないわ」
「うん、でも、きっとひとりじゃいえなかったから」
「……リンクス」
「でも、だめだね、これじゃ」
「きっと、わらわれちゃうね」
「がまんできるとおもったのに、とまらないの」
「とまって、くれないの」
「どうしても、とめられないの」
「リンクス、立派だった、あなたは立派だったわ」
「……うん、ありがとう」
「大丈夫、あなたなら、成し遂げられる」
「ありがとう、ありが、とう」
「……ありが、あっ…………うぅ」
「泣いていいの、あなたは」
「あぐぅ……ひっぐ………………」
「あなたは強いわ、だから、泣いていいの」
「ひぐ……あぁ……うあぁぁぁぁ…………!」
「やれやれ、もうちょっと気が利くことは言えんのかね」
「そうですね、大人げないです」
二人で車に近づく、その荷台には小さな寝袋がある
「これどうすっかな……俺は使えねえし、ジェシカなら使えるか?」
「体よく押し付けるつもりですね、自分でどうにかしなさい」
「だが取っといてもなあ……」
少し考え、後回しにしたのか運転席に近づいていく
「おや、もう行くんですか」
「ああ、龍のお嬢ちゃんが殺しに来るからな、さっさと逃げるのさ」
「なら撃たなければいいのに」
ドアを開ける、もう去ってしまうらしい
やるべきことは終わらせたようだ
「そうだ、レイヴン、後で荷台をよく確認してください」
「ん? なんかあるのか?」
「ええ、僭越ながら、私からの贈り物があります」
「ほう、贈り物か、なんだろうな」
乗り込もうとして、動きを止める
そして上着を探り始める
「どうしたんです?」
「いや、贈り物で思い出した、そういや余ってるなと」
「何がです」
「これ」
そういって取り出したのは、花を模った髪飾り
リンクスに贈ったものと同じもの
「二つ買ったんですか?」
「違う、二つセットだったんだ、どうするか……」
「持ってればいいじゃないですか、リンクスとペアルックですよ」
「……いやあ、これ、俺が持つ理由がないんだよなあ、意味的に」
「意味?」
花言葉だろうか、それとも髪飾りを付けることがない、ということか
しばらく考え、こちらに視線を向ける
そして不敵に笑う
「ほら」
「あっちょっ!」
「やるよ、お前がペアルックになるといい」
投げ渡される
「くれるんですか?」
「ああ、くれてやる、なんなら別の奴に渡してもいい、俺には不要だ」
「……ありがとうございます」
「お、素直だな、どうした」
「いえ、少し申し訳ないなと思いまして」
「なんのことだ」
「なんでもないです」
笑ってごまかす、今は関係ない事だ
「さて、色々手間をかけてくれたな」
「それはこちらのセリフです、もっと上手くやればよかったのに」
「これで中々考えた方だ、少なくともお前らが危惧したことにはならん」
「彼女以外の件についても、文句がありますが……まあ、いいでしょう」
「なんだ、随分丸くなったな、昔みたいに噛みついて来いよ」
「無用な論争をするほど愚かではありませんので」
「ほう、言うじゃないか、成長したな」
「あなたは何も変わりませんね」
減らず口を叩きあう
そうして、笑いあう
「さよならだ、リスカム」
「さようなら、レイヴン」
一言、別れの言葉を交わす
そうして車に乗り込み、行ってしまう
振り向くこともせず、止まることもせず、行ってしまう
タイヤの回転する音が遠ざかっていく
車がだんだん見えなくなる
そして、影も形も、見えなくなる
「……ええ、さようなら」
一人、別れの言葉を溢す
鴉は行ってしまった
いつも通り、渡っていった
「いつか、また会えますかね」
それが彼の生き方なのだろう、そうすることが彼の在り方なのだろう
随分とあっという間だった、もっと話しておくべきだったろうか
だけどこれが正しいのだ、引き留めることをしてはいけない
渡り鳥には自由に飛んでもらわねば
誰の為でなく、彼の為
それが、彼の行く道だから
「……さて、後片付けに戻りますか」
振り向き、フランカ達の元に戻る
遠くから誰かの怒号が聞こえる
ロドスの人々が慌てているのが良く分かる
一度、後ろを振り向く、そこには何もない
なんとなしに、願ってみる
「どうか、あなたの旅路に幸あることを」
「えーと、これか」
日が暮れ、月が暗闇を支配したころ
ストレイドは一人、荒野で荷台を探っていた
「なんだこりゃ」
その手には何かが乗っている
四角い、手のひらサイズの箱
中に何か入っていそうな、そんなもの
「なんか、どっかで見たような……」
そっと開けてみる、すると
「ぶっ!!」
勢いよく開け放たれる、中から何か飛び出てくる
スプリングが伸び、その先には赤い物体
それがストレイドの顔に当たり、割れる
「……辛い」
周囲に特徴的な臭いが漂う
どこか鼻につく、辛いような、痛いような
唐辛子を混ぜ込んだような、そんな臭い
「やってくれるな、あのアマ」
一人、荒野で悶絶する
自業自得だと人は言うだろう
だけど彼の顔には、どこか楽し気な笑みが浮かんでいた
リンクスの印
シランの花を模った髪飾り
俯いたように咲くそれは、強さと同時にひたむきさを表している
花言葉は、互いに忘れない
これは少女と傭兵、その二人の確かな繋がり